JPS6139146Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、複数個の変速用多板伝動クラツチの
夫々を各別に押圧入り操作する流体圧操作型ピス
トンを、クラツチ切り操作位置がわへ復帰付勢し
た状態で、且つ、流体供給によつてクラツチ入り
操作位置がわへ移動させる状態で設け、往復移動
可能な弁体の移動に伴つて前記各ピストンの作動
状態を切換える制御弁を設け、往復移動可能な変
速レバーを、前記弁体に対して、それを移動操作
できるよう機械式連動機構によつて連動連結させ
た作業車の流体圧式変速装置に関する。

上記流体圧式変速装置は、コンバイン、トラク
タ、運搬車、建設機械等の各種作業車の走行変速
や、それに装備の各種作業装置に対する作動速度
の変速に適用できるものであるが、変速に際し
て、不必要に無出力状態がもたらされる不都合が
あり、特に、走行変速に使用した場合には、一時
的に機体進行が停止されてしまう不都合もあつ
た。

さらに詳述すると、２つの変速状態が同時にも
たらされることを回避すべく、変速レバーを変速
操作位置からそれに隣る変速位置に移動させる途
中において、次に流体を供給すべきピストンに流
体を供給する以前に、不要なピストンに供給され
ている流体を排出することになり、この結果、不
要な変速中立状態がもたらされることになる。そ
して、これを回避させるには、変速レバーを変速
位置からそれに隣る変速位置へ迅速に移動させ
て、前記不要な変速中立状態がもたらされる時間
を、微少時間に抑制すればよいものであるが、実
際上このようなレバー操作を行なうことは難かし
いものであり、冒記不都合が生じるものであつ
た。

本考案の目的は、レバー操作が煩雑化すること
を抑制した状態で、変速に際して、不必要に無出
力状態がもたらされることを回避する点にある。

本考案の構成は、冒記作業車の流体圧式変速装
置において、前記連動機構中に、前記変速レバー
を変速操作位置からそれに隣る変速操作位置へ移
動させる際の初期移動範囲において、前記変速レ
バーが前記弁体に対して先行移動することを許容
し、且つ、前記変速レバーを変速操作位置からそ
れに隣る変速操作位置へ移動させる終期移動範囲
において、前記弁体が先行移動された前記変速レ
バーに対して復帰移動することを許容する状態で
前記変速レバーと前記弁体とを一体移動する状態
に連結する融通機構、及び、前記変速レバーが前
記弁体に対して先行移動するに伴つて前記弁体を
先行移動した前記変速レバーに対して復帰移動さ
せるための弁体操作用弾性力を蓄積する弾性機構
を組込み、前記弁体を変速用位置に維持させるよ
う前記連動機構の前記融通機構及び前記弾性機構
よりも弁体がわ部分に係止作用する係止機構を、
前記変速レバーの初期移動範囲において前記蓄積
弾性力に抗して係止作用状態を維持し、且つ、前
記変速レバーの終期移動範囲において係止解除状
態に切換操作される状態で設けてあることを特徴
とする。

すなわち、変速レバーを変速位置からそれに隣
る変速操作位置へ移動させる際の初期移動時にお
いては、弁体を移動操作させずに弾性機構に弁体
操作用弾性力を蓄積し、変速レバーの終期移動時
において、前記弾性機構の蓄積弾性力との共働に
よつて、弁体を変速位置からそれに隣る変速位置
へ高速移動させることができるようにしてあるか
ら、変速レバーを迅速に移動させなくとも、弁体
を変速位置からそれに隣る変速位置へ高速移動さ
せて、変速に際して不必要な無出力状態がもたら
されることを回避できるのである。

しかも、変速レバーの終期移動時において、係
止機構を係止解除状態に切換えるに、融通機構に
よつて変速レバーと弁体とを一体移動する状態に
連結して行なうようにしてあるから、係止機構に
対する操作を適確に行なわせることができるので
ある。

さらに詳述すると、係止機構を係止解除状態に
切換えるに、弾性機構によつて変速レバーの移動
を弁体に伝えるようにする手段があるが、この場
合、弾性機構の蓄積弾性力が係止機構の係止力よ
りも大になつた時点で係止機構が係止解除操作さ
れるものとなるから、係止機構を適切なタイミン
グで係止解除させるには、レバー移動量の弾性機
構の蓄積弾性力との関係を正確に決める必要があ
るが、製作誤差や組付け誤差のために上記関係を
所定通りに決められず、誤動作を起し易い不都合
があるが、本案によれば、このような不都合な
く、係止機構に対する係止解除操作を適確に行な
いながら、良好な変速を行なえるのである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、左右走行クローラ１ａ，
１ｂ、脱穀装置２等を備えた本機の前部に、茎稈
引起し装置３、茎稈株元切断用刈刃４、刈取茎稈
を後部脱穀装置２へ搬送する装置５等を備えた刈
取処理部を連結し、もつて、機体進行に伴つて、
圃場に植えられた茎稈を引起し刈取処理し、刈取
茎稈を順次脱穀処理する作業を自動的に連続して
行なえるように構成してある。

第２図に示すように、前記本機に装備の走行用
ミツシヨンケース６に、エンジン出力がベルト伝
動される入力軸７、第１伝動軸８、第２伝動軸
９、及び、出力軸１０を互いに平行する姿勢で遊
転支承し、入力軸７に、小径第１伝動ギヤ７ａ及
び大径第２伝動ギヤ７ｂを固着し、第１伝動軸８
に、第１伝動ギヤ７ａと常時咬合する前進１速用
伝動ギヤ８ａ及び第２伝動ギヤ７ｂと常時咬合す
る前進３速用伝動ギヤ８ｂを遊転支承し、且つ、
第３伝動ギヤ８ｃを固着し、第２伝動軸９に、前
進１速用伝動ギヤ８ａと常時咬合する後進ギヤ９
ａ及び第２伝動ギヤ７ｂと常時咬合する前進２速
ギヤ９ｂを遊転支承し、且つ、第４伝動ギヤ９ｃ
を固着し、前記出力軸１０に、第３伝動ギヤ８ｃ
及び第４伝動ギヤ９ｃと常時咬合する第５伝動ギ
ヤ１０ａを固着し、前進１速、２速、３速及び後
進ギヤ８ａ・・の夫々とそれらを支承する第１、
第２伝動軸８，９との間に、多板式の変速用伝動
クラツチＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄを設け、さらに、各クラ
ツチＡ・・の夫々を各別に押圧入り操作する油圧
操作型ピストンSa，Sb，Sc，Sdを、クラツチ切
り操作位置がわへ復帰付勢した状態で、且つ、油
供給によつてクラツチ入り操作位置がわへ移動さ
せる状態で設け、もつて、各ピストンSa・・を
各別に作動させることにより、走行速度を前進３
段及び後進１段に切換えることができるように構
成してある。

又、前記出力軸１０のケース外端部に、刈取処
理部駆動用プーリ１１をそれが後進伝動状態にお
いて回転されるのを阻止する一方向回転クラツチ
１２を介して取付け、もつて、刈取処理部の作動
速度を走行速度と同調変速できるように構成して
ある。

又、前記出力軸１０に、大、中、小の３つのギ
ヤ部を備えた副変速用ギヤ１３をスライド操作可
能にスプライン連結し、副変速用伝動軸１４に、
前記副変速用ギヤ１３と択一的に咬合する３つの
ギヤ１４ａ，１４ｂ，１４ｃを固着し、もつて、
前記出力軸１０の回転速度を、路上走行用の高速
伝動状態、及び刈取作業用の高低２段の変速状態
に変速できるように構成してある。

更に、操向クラツチ軸１５に、副変速用小径ギ
ヤ１４ｃと常時咬合する伝動ギヤ１５ａを遊転支
承し、且つ、伝動ギヤ１５ａの側部に係脱可能で
且つ左右車軸１６ａ，１６ｂとギヤ連動される左
右クラツチギヤ１７ａ，１７ｂをスプライン連結
し、もつて、左右クラツチギヤ１７ａ，１７ｂの
摺動操作によつて操向できるように構成してあ
る。

第３図に示すように、前記各油圧シリンダ
Sa・・の作動状態を切換えるロータリー型の制
御弁１８を設け、クラツチ入り操作に伴つて制御
弁１８からシリンダに供給される油の一部を蓄積
するアキユームレータ１９を、変速中立状態にお
いてのみ蓄積油をタンク２０に排出する状態で設
け、もつて、変速中立状態から出力用変速状態へ
の切換時において、クラツチ入り操作初期におけ
るピストン作動速度を低速にすることができるよ
うにし、しかも、出力用変速状態から出力用変速
状態への切換時において、ピストン作動速度を高
速にすることができるように構成してある。

第３図に示すように、油圧ポンプ２１から制御
弁１８に供給される油の供給速度を低くする絞り
弁２２を設けて、前記各ピストンSa・・が不必
要に高速作動されることを抑制できるようにして
ある。又、ポンプ２１から各ピストンSa・・に
供給される油の供給圧の最高圧を決めるメインリ
リーフバルブ２３を設け、このバルブ２３からの
排油を前記各クラツチＡ・・に冷却のために供給
する油路２４を設け、さらに、冷却用油の供給圧
の最高圧を決めるサブリリーフバルブ２５を設け
てある。

第４図乃至第９図に示すように、前記制御弁１
８のロータリ型弁体１８Ａを、前記走行用ミツシ
ヨンケース６の上部に付設したバルブケーシング
２６に、回転自在に、且つ、一端部を突出させる
状態で収納し、弁体１８Ａの突出端部に、弁体操
作用アーム２７を一体回転自在に取付け、前記ア
ーム２７を係止揺動させる中間揺動リンク２８
を、バルブケーシング２６から上方に突設した支
持枠２９に前後揺動自在に軸支した状態で、且
つ、前記アーム２７に固着の被係止ピン３０を係
入する長孔３１を形成した状態で設け、変速レバ
ー３２を、前記揺動リンク２８に、それと一体前
後動可能に、且つ、相対横揺動可能に後述の如く
連結し、さらに、ロバー係止枠３４を、レバー３
４の横揺動で係止を解除する状態で設け、もつ
て、前記変速レバー３２を変速中立用操作位置Ｎ
から前方がわに向つて移動させて、前進１速用操
作位置F₁、前進２速用操作位置F₂、前進３速用
操作位置F₃に移動させるに伴つて、前記弁体１
８Ａを回転移動させて前進変速を行ない、且つ、
変速レバー３２を、変速中立用操作位置Ｎから後
方がわに向つて移動させて後進用操作位置Ｒに移
動させるに伴つて、前記弁体１８Ａを回転移動さ
せて後進変速を行なうように構成してある。

上部にレバー取付用板状部３５ａを備えたレバ
ー支持枠３５を、前記揺動リンク２８にボルト止
着し、変速レバー３２の基部に固着した板状体３
６を、前記板状部３５ａに、横揺動自在且つ前後
揺動自在に前後一対のボルト３７，３７によつて
係止連結するとともに、板状体３６の前方揺動範
囲及び後方揺動範囲を接当規制する一対の筒状ス
トツパー３８，３８の夫々を、前記両ボルト３
７，３７にスライド自在に外嵌着して、変速レバ
ー３２の揺動リンク２８に対する横揺動を許容す
るように構成するとともに、前記変速レバー３２
を変速操作位置からそれに隣る変速操作位置へ移
動させる際の初期移動範囲において、前記変速レ
バー３２が前記弁体１８Ａに対して先行移動する
ことを許容し、且つ、前記変速レバー３２を変速
操作位置からそれに隣る変速操作位置へ移動させ
る終期移動範囲において、前記弁体１８Ａが先行
移動された前記変速レバー３２に対して復帰移動
することを許容する状態で前記変速レバー３２と
前記弁体１８Ａとを一体移動する状態に連結する
融通機構３９を構成してある。又、前記板状体３
６を前記板状部３５ａがわへ押圧付勢する前後一
対のスプリング４０，４０を、前記筒状ストツパ
ー３８，３８をボルト頭部がわへ付勢するようボ
ルト３７，３７に外嵌させる状態で設けて、変速
レバー３２をレバー係止枠３４に対する係合がわ
に付勢するように構成するとともに、前記変速レ
バー３２が前記弁体１８Ａに対して先行移動する
に伴つて前記弁体１８Ａを先行移動した前記変速
レバー３２に対して復帰移動させるための弁体操
作用弾性力を蓄積する弾性機構を構成してある。

さらに、前記揺動リンク２８に、ボール４１を
スプリング４２にて突出付勢した状態で係入着す
るとともに、前記弁体１８Ａにおける複数個の変
速用回転位置の夫々に対応する位置でボール４１
が係脱自在に係合する複数個の凹部４３・・を、
前記支持枠２９に形成して、弁体１８Ａを変速用
位置に維持させるよう揺動リンク２８に係止作用
する係止機構４４を構成してある。そして、この
係止機構が変速レバー３２を変速操作位置からそ
れに隣る変速操作位置へ移動させる際の初期移動
時において前記蓄積弾性力に抗して係止作用状態
を維持し、且つ、終期移動時において係止解除状
態に切換えられるように、スプリング４２の付勢
力及び凹部４３・・の形状を決め、もつて、弁体
１８Ａを、変速レバー３２の前記終期移動時に、
前記蓄積弾性力との共働によつて高速回転移動さ
せるように構成してある。

又、前記凹部４３・・のうち後進変速に対応す
るもの４３ａの深さを、他の凹部４３・・よりも
充分浅くし、もつて、後進状態から中立状態への
変速時に、蓄積弾性力を用いずに弁体１８Ａを回
転移動させるようにしてある。要するに、後進か
ら中立状態への変速に際しては、弁体１８Ａを変
速レバー３２と一体移動させて、迅速に無出力状
態に切換えることができるようにして、安全性の
向上を図るように構成してある。

本考案を実施するに、空気圧式で実施してもよ
い。

又、制御弁１８としては、スライド移動される
弁体を備えたスプール型のものを用いてもよい。

又、変速レバー３２と弁体１８Ａとを連動連結
する機械式連動機構としては、ワイヤ利用のもの
等各種のものを使用できる。

又、融通機構３９としては、長孔を利用して連
係融通を与えるようにして構成する等、その具体
的構造は各種変更可能である。

又、弾性機構４０としては、引張りスプリング
を用いて構成する等、融通機構３９の構成に応じ
て各種変更可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンバインの側面図、第２図は伝動構
造の概略線図、第３図は油圧回路図、第４図は変
速レバー装着部の正面図、第５図は同部の側面
図、第６図は弁体操作用アームの装着部を示す切
欠き正面図、第７図は同部の切欠き側面図、第８
図はレバー係止枠の平面図、第９図はボール係合
状態の展開断面図である。 １８……制御弁、１８Ａ……弁体、３２……変
速レバー、３９……融通機構、４０……弾性機
構、４４……係止機構、Ａ……多板伝動クラツ
チ、Sa……流体圧ピストン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数個の変速用多板伝動クラツチＡ・・の夫々
   を各別に押圧入り操作する流体圧操作型ピストン
   Sa・・を、クラツチ切り操作位置がわへ復帰付
   勢した状態で、且つ、流体供給によつてクラツチ
   入り操作位置がわへ移動させる状態で設け、往復
   移動可能な弁体１８Ａの移動に伴つて前記各ピス
   トンSa・・の作動状態を切換える制御弁１８を
   設け、往復移動可能な変速レバー３２を、前記弁
   体１８Ａに対して、それを移動操作できるよう機
   械式連動機構によつて連動連結させた作業車の流
   体圧式変速装置であつて、前記連動機構中に、前
   記変速レバー３２を変速操作位置からそれに隣る
   変速操作位置へ移動させる際の初期移動範囲にお
   いて、前記変速レバー３２が前記弁体１８Ａに対
   して先行移動することを許容し、且つ、前記変速
   レバー３２を変速操作位置からそれに隣る変速操
   作位置へ移動させる終期移動範囲において、前記
   弁体１８Ａが先行移動された前記変速レバー３２
   に対して復帰移動することを許容する状態で前記
   変速レバー３２と前記弁体１８Ａとを一体移動す
   る状態に連結する融通機構３９、及び、前記変速
   レバー３２が前記弁体１８Ａに対して先行移動す
   るに伴つて、前記弁体１８Ａを先行移動した前記
   変速レバー３２対して復帰移動させるための弁体
   操作用弾性力を蓄積する弾性機構４０を組込み、
   前記弁体１８Ａを変速用位置に維持させるよう前
   記連動機構の前記融通機構３９及び前記弾性機構
   ４０よりも弁体がわ部分に係止作用する係止機構
   ４４を、前記変速レバー３２の初期移動範囲にお
   いて前記蓄積弾性力に抗して係止作用状態を維持
   し、且つ、前記変速レバー３２の終期移動範囲に
   おいて係止解除状態に切換操作される状態で設け
   てあることを特徴とする作業車の流体圧式変速装
   置。