JPS6138805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトレーリングアームサスペンシヨンを
車体側に取付ける場合に用いるマウントブツシユ
の改良に関し、操縦安定性と乗心地との両立をは
かることができるものである。

車両の懸架装置のひとつとして従来からフルト
レーリングアームサスペンシヨンが使用されてお
り、その概略構造は、第１図に示すように、サス
ペンシヨン固定軸１に一対のトレーリングアーム
２の先端部が固着されるとともに基端部に車輪３
が取付けられており、サスペンシヨン固定軸１の
両端部を車体に取付けた車体側ブラケツト４にマ
ウントブツシユ５を介して取付けることで車体に
固定している。

ところが、上記構造のサスペンシヨンで車輪３
の横方向から力Ｆが作用すると、サスペンシヨン
固定軸１と車輪３の取付部との車体前後方向のオ
フセツト量ｌによつてモーメントＦ・ｌが発生
し、このモーメントによつてマウントブツシユ５
がたわんで車輪３が力Ｆの作用する方向に向きを
変えてしまい操縦安定性を悪化させることとな
る。

そこで、マウントブツシユ５のたわみを小さく
することも考えられるが、マウントブツシユ５の
前後方向のばね定数を上げると乗心地の悪化を招
いてしまう。このようにマウントブツシユには操
縦安定性と乗心地の面とで相反する要求がある。

本考案はかかる従来の欠点を解消し、乗心地の
悪化を招くことなく操縦安定性も確保できるサス
ペンシヨンマウントブツシユの提供を目的とす
る。かかる目的を達成する本考案の構成は、トレ
ーリングアームが固着されるサスペンシヨン固定
軸の両端部と車体側ブラケツトとの間に介装され
るマウントブツシユにおいて、中心部にサスペン
シヨン固定軸を取付ける軸孔が穿設されかつ外形
が略円錐形に形成されその頂部が向い合うよう前
記サスペンシヨン固定軸に装着されるコーンと、
このコーン外周に溶着され互いの頂部が向い合う
截頭円錐形に形成されるとともに車体幅方向外側
の前方略半周および内側の後方略半周にスリツト
が形成されたゴムブツシユとでなることを特徴と
する。

以下、本考案の一実施例を図面に基づき詳細に
説明する。

本考案にマウントブツシユでは車体前後方向の
ばね定数を上げずに車輪の横方向から力が作用し
た場合に発生するモーメントを減少し、あるいは
無くす力が発生するようにしたものである。

本考案のマウントブツシユは、第２図にその縦
断面を示すように、内側ブツシユ１０と外側ブツ
シユ１１とで構成されており、それぞれのブツシ
ユ１０，１１は同一形状であるが装着時の向き等
が異なる。

これら内側ブツシユ１０および外側ブツシユ１
１は、プラスチツク等の樹脂や金属で作られ中心
部にサスペンシヨン固定軸１の固定端部を挿通す
る軸孔１２が穿設されかつ外形が略円錐形とされ
たコーン１３と、このコーン１３の外周表面に溶
着されかつ外形が截頭円錐形に形成されるととも
にその側壁内部の略半周にわたつて頂部と底部と
を貫通したスリツト１４が形成されたゴムブツシ
ユ１５とで構成される。

一方、車体に取付けられる車体側ブラケツト１
６は内側ブツシユ１０および外側ブツシユ１１の
外形に対応した中央部がすぼんだ鼓状に形成され
た筒体で両端開口部が車体の幅方向に位置する。

この車体側ブラケツト１６とサスペンシヨン固
定軸１との連結は、左側連結部のみを示す第２図
のように、まず、サスペンシヨン固定軸１の端部
に内側ブツシユ１０を装着しスリツト１４が車体
の後方略半周に位置するとともに頂部が外側とな
るようにし、この状態のまま車体側ブラケツト１
６にサスペンシヨン固定軸１とともに装着し、外
側から外側ブツシユ１１を装着するが、このとき
内側ブツシユ１０と外側ブツシユ１１との截頭円
錐形の頂部同志が向い合うようにするとともに外
側ブツシユ１１のスリツト１４が車体の前方略半
周に位置するようにする。こののち、ワツシヤ１
７を入れナツト１８で締付けて固定する。

かように本考案のマウントブツシユを介してサ
スペンシヨン固定軸１を車体側ブラケツト１６に
取付けると、第４図に示すように、サスペンシヨ
ン固定軸１の一端部から車輪に作用する横力Ｆの
分力としての右方向の力ｆが作用した際には、左
側連結部の外側ブツシユ１１および右側連結部の
内側ブツシユ１０のコーン１３の円錐面とゴムブ
ツシユ１５およびこれに形成したスリツト１４と
によつてスリツト１４側がたわみやすいことから
サスペンシヨン固定軸１に図中、破線で示すよう
に右方向に回転するようなモーメントが発生する
こととなる。また、図示省略したが横力Ｆが右端
から左方向に作用する場合には左側連結部の内側
ブツシユ１０および右側連結部の外側ブツシユ１
０が車体側ブラケツト１６との間で力を受けるこ
とでサスペンシヨン固定軸１を左回転させるモー
メントを発生する。

したがつて、本考案のマウントブツシユを使用
すれば、第５図に示すように、車輪３に横方向の
力Ｆが作用した場合には、従来と同一の車体前後
方向のばね定数としておけばマウントブツシユの
作用で、この力Ｆによるモーメントの発生を減少
することができ、また、ばね定数を適当にすれ
ば、この力Ｆによるモーメントを無くすこともで
きるので、車輪３の方向が変わることなく車輪３
がトレーリングアーム２およびサスペンシヨン固
定軸１とともにわずかに横にずれるだけで操縦安
定性を害することがない。

一方、乗心地の確保のためにはマウントブツシ
ユの車体前後方向のばね定数や剛性が問題となる
が、ゴムブツシユ１５にスリツト１４が設けてあ
るのでばね定数の増大をおさえることができ乗心
地を良好に保つことができる。

尚、上記実施例ではゴムブツシユに形成するス
リツトを半周、すなわち180度にわたつて設けた
が、ゴム自体のばね定数やゴムの耐久性等を考慮
して適宜選択し、略半周、すなわち180±45度の
範囲に設けるようにすれば良い。

以上、実施例とともに具体的に説明したように
本考案によれば、従来のマウントブツシユでは困
難であつた操縦安定性の確保と乗心地の確保との
相反する要求を両立させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のマウントブツシユの概略説明
図、第２図および第３図は本考案のサスペンシヨ
ンマウントブツシユの縦断面図およびＡ−Ａ矢視
図、第４図および第５図はマウントブツシユの作
用説明図である。 図面中、１はサスペンシヨン固定軸、２はトレ
ーリングアーム、３は車輪、１０は内側ブツシ
ユ、１１は外側ブツシユ、１２は軸孔、１３はコ
ーン、１４はスリツト、１５はゴムブツシユ、１
６は車体側ブラケツト、１７はワツシヤ、１８は
ナツトである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トレーリングアームが固着されるサスペンシヨ
   ン固定軸の両端部と車体側ブラケツトとの間に介
   装されるマウントブツシユにおいて、中心部にサ
   スペンシヨン固定軸を取付ける軸孔が穿設されか
   つ外形が略円錐形に形成されその頂部が向い合う
   よう前記サスペンシヨン固定軸に装着されるコー
   ンと、このコーン外周に溶着され互いの頂部が向
   い合う截頭円錐形に形成されるとともに車体幅方
   向外側の前方略半周および内側の後方略半周にス
   リツトが形成されたゴムブツシユとでなることを
   特徴とするサスペンシヨンマウントブツシユ。