JPS6138757B2 - - Google Patents

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JPS6138757B2
JPS6138757B2 JP17296779A JP17296779A JPS6138757B2 JP S6138757 B2 JPS6138757 B2 JP S6138757B2 JP 17296779 A JP17296779 A JP 17296779A JP 17296779 A JP17296779 A JP 17296779A JP S6138757 B2 JPS6138757 B2 JP S6138757B2
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JP
Japan
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coal
oil
suspended
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hydrocracking
Prior art date
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Application number
JP17296779A
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English (en)
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JPS5698291A (en
Inventor
Masayoshi Ioka
Koji Watabe
Takeo Suzuki
Teisaburo Yahata
Masaki Onozaki
Isao Suzuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Original Assignee
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Publication date
Application filed by Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd filed Critical Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Priority to JP17296779A priority Critical patent/JPS5698291A/ja
Publication of JPS5698291A publication Critical patent/JPS5698291A/ja
Publication of JPS6138757B2 publication Critical patent/JPS6138757B2/ja
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  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は石油類を用いない、石炭粉末懸濁燃料
油の製造方法に関するものである。 近年、エネルギー資源、殊に石油に対する需要
が著しく増加しているのに対し、新規油田の発見
及び開発が頭打ち傾向を示していることから、世
界的なエネルギー不足が顕在化しつつある。この
ような事情から、新エネルギーあるいは代替エネ
ルギーに関する研究及び開発が活発に行われるよ
うになり、就中、化石エネルギー中最大の埋蔵量
が知られている石炭のガス化及び液化による代替
燃料の製造については多数のプロセスが検討され
ている。また、石炭の利用を拡大する上での最大
のネツクが、石炭が固体であることに起因する輸
送及び貯蔵性の難点にあることから、石炭微粉末
をメタノールや石油残渣油のうな安価な液体に分
散させ、取扱いの容易な懸濁油として使用する方
法が提案され、その製造に関しても多くの研究が
向けられている。 しかしながら、石炭粉末懸濁燃料のうち、メタ
ノールを媒体とするものは、メタノールは、その
比重が石炭に比べて小さいこと、及びその構造及
び組成が石炭とは大きく異なり、石炭粒子表面と
のいわゆるなじみが悪いことなどのために、これ
に石炭粉末を添加分散させた場合、石炭粒子が互
に凝集し、ついには固液分離してしまうという問
題を生じ、更にメタノールは、石炭と同様に低カ
ロリーであるため、メタノールに石炭粉末を懸濁
させたもののカロリーも低く、その結果、カロリ
ー基準での輸送効率が低い、及び燃焼に際し低カ
ロリー用燃焼炉の使用が新たに必要であるなどの
問題も生じる。一方、石油残渣を媒体油とする石
炭懸濁燃料は、安定化剤の添加によりその安定性
を高め得ること及び充分に高カロリーであること
から、発電用燃料として有望視されているが、実
際上はいくつかの本質的欠点を有している。すな
わち、この懸濁燃料の場合、(1)産炭地と油田又は
製油所とは地理的に遠く離れていることが多く、
このために石炭エネルギーの最大輸送の観点から
は効率が悪い、(2)一般に、石油残渣油中のイオウ
分は石炭のそれよりも著しく多く、数倍〜10倍以
上であり、このため懸濁油のイオウ分は石炭単独
の場合よりも高くなる、(3)石油残渣油は主として
パラフイン系炭化水素からなるのに対し、石炭
は、これとは構造的に異なつた高度縮合環芳香族
炭化水素であることから、両者のなじみが悪く、
これを補うために安定化剤の添加が必要となる、
などの問題がある。 本発明者らは、石炭懸濁油に見られる前記問題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完
成するに到つた。 すなわち、本発明によれば無水無灰基準での揮
発分が35重量%以上及び無水基準での灰分が15重
量%以下である石炭類から該石炭粉末を懸濁させ
た燃料油を製造するにあたり、 (a) 下記蒸留工程(e)から循環される石炭の水素化
分解生成物から分離された留出油と石炭粉末と
から石炭懸濁油を調製する工程、 (b) 該石炭懸濁油からその一部をそのままあるい
は更に石炭粉末を添加混合して燃料油として回
収する工程、 (c) 該石炭懸濁油の残部を高温高水素圧下で水素
化分解させて石炭の水素化分解生成物を得る工
程、 (d) 該水素化分解生成物を蒸留処理して留出油と
蒸留残渣とを得る工程、 (e) 沸点550℃以下で水素/炭素原子比が0.9〜
1.4の留出油の少なくとも一部を石炭分媒体と
して前記工程(a)に循環する工程、 を含むことを特徴とする石炭粉末を懸濁させた燃
料油の製造方法が提供される。 本発明で用いる原料石炭は、無水・無灰基準で
の揮発分が35重量%以上、好ましくは40重量%以
上でかつ無水基準での灰分が15重量%以下、好ま
しくは10重量%以下であり、かつ炭、亜歴青炭及
び歴青炭などが用いられる。劣性炭であつても、
充分な選炭を行い、前記条件に該当するものを選
別し、本発明の原料石炭として用いることができ
る。本発明においては、前記条件を満たさない石
炭の使用も不可能ではないが、本発明の水素化分
解工程の操作が技術的に難しくなり、また石炭液
化油の収率が低下し、結果的に本発明による石炭
懸濁燃料油の製造効率が低下するようになるので
好ましくない。 本発明においては、原料石炭は、後記石炭水素
化分解油の分留工程から循環される水素/炭素原
子比が0.9〜1.4である留分と混合される。この混
合は、石炭粉末粒子が均一に分散した懸濁油を与
える方法であればどのような方法でも採用するこ
とができ、例えば、循環油に粒径1mm以下の石炭
微粉末を混合する方法、粒径1〜20mmの粗粉砕石
炭を循環油に加え、油中で微粉砕し、混練する方
法などを採用することができる。この油中におけ
る石炭の粉砕、混練あるいは混合過程において
は、界面活性剤などの公知の粉砕促進剤あるいは
分散安定化剤を添加することもできる。しかし、
本発明の工程においては、この分散安定化剤の添
加は必須ではなく、本発明による工程とは別に分
散安定化剤添加工程を設け、この工程において、
本発明により回収された石炭懸濁油に分散安定化
剤を添加し、長時間にわたつて安定化された石炭
懸濁油を得ることができる。石炭と循環油との混
合、又は混練、あるいは循環油中における粉砕混
合を行うための装置としては、例えば、ボールミ
ル、ジヨークラツシヤー、混練機、コロイドミ
ル、ホモジナイザー、ラインミキサー、タービン
型撹拌機、スクリユー型撹拌機などを用いること
ができる。 懸濁油中に分散する石炭粒子の粒度は、通常、
100メツシユ以下、好ましくは200メツシユ以下で
あり、微粉末である程有利である。石炭の油中濃
度は、石炭の種類と性状、後続の水素化分解の反
応方法及び反応条件、並びに最終製品として得ら
れる懸濁燃料油の用途などによつて適当範囲に調
製されるが、一般には、20〜60重量%である。後
続の水素化分解工程の操作容易性を考えると、50
重量%以下、通常30〜45重量%にするのがよい。 安定性の高められた石炭懸濁油を得るには、添
加する石炭は充分に乾燥し、要すれば無灰基準で
の水分が10重量%以下、好ましくは5重量%以下
にする。原料石炭の脱水方法及び脱水の程度は、
石炭の種類、性状などに応じて任意に決められ
る。本発明における好ましい懸濁油の安定化は、
軽質分を含む循環油に石炭を懸濁させ、この懸濁
油を、300〜400℃に加熱処理した後、軽質分を留
出除去させることである。このようにして石炭懸
濁油を加熱処理する時には、石炭中の残存水分が
軽質分と共沸混合物を作つて軽質分と同時に留出
除去され、かつ軽質分が石炭粒子を適当に膨潤さ
せ、その油中分散性を著しく高められ、その結
果、安定性の良好な懸濁油を与える。この処理に
おいては、懸濁油中の水分は0.2重量%以下に低
下させることが容易であり、また石炭粒子の膨潤
は、その見掛比重が石炭粒子のそれより軽くなつ
た1.5〜2.5g/c.c.程度にまで生起させることがで
きる。したがつて、このような加熱処理工程を採
用して、比較的水分含有量の大きな原料石炭(通
常5重量%以上)から安定な懸濁油を得るために
は、循環油としては、軽質分を含むもの、例えば
石炭の水素化分解油から留出された全留分を用い
るのがよい。もちろん、充分に脱水されたあるい
は脱水性の良好な石炭を用いる場合には、循環油
としては、石炭の水素化分解油からの留出分から
軽質留分を分離したものを用いることができ、ま
たかつ炭のように充分な脱水乾燥が難しい石炭を
用いる場合には、軽質油を添加し、軽質油含量の
高められたものを用いることができる。 本発明の石炭懸濁油調製工程において、石炭濃
度が10〜20重量%以上の高濃度懸濁油を調整する
場合、次に示すような2段法を用いることによつ
て、石炭粒子が凝集沈降しにくく、しかも加熱時
において、粘度変化の少ないより安定な懸濁油が
得られることが見出された。 即ち、第1工程で石炭濃度5〜25重量%程度の
希薄懸濁油を調製した後、これを300〜400℃で1
〜10時間加熱処理し、そして、この加熱処理した
生成物から水分と軽質油を蒸留分離させ、次に、
第2工程において、この蒸留残分に必要量の石炭
を加えて混練混合及び必要に応じて微粉砕化す
る。この2段法によれば、第2工程において、石
炭濃度の異る懸濁油を別々に調製し、その一方を
後続の水素分解工程に送り、他方を高濃度懸濁燃
料油として回収することができるので、プロセス
操作上有利である。 本発明において、後続の水素分解油の分別工程
から分離循環される水素/炭素原子比が0.9〜1.4
の石炭液化留分を石炭分散媒体として用いること
は、プロセスの操作性及び経済性を高める上に極
めて重要である。本発明者らは、石炭分散媒体と
して、石油残渣、原油、コールタール、アントラ
セン油など種々の液体油について、その液体油の
種類や性状と、得られる石炭懸濁油の性状、貯蔵
時の相分離しやすさ及び加熱時の粘度増加との相
関について検討したところ、分散媒体としては、
比重が大きく、水素/炭素原子比が0.9〜1.4程度
であり、かつ粘度ができる限り小さいものが好ま
しいことが認められた。この検討結果によると、
石油残渣は水素/炭素原子比が大きくかつ粘度が
大きいために、懸濁燃料油とした場合に安定性に
欠け、かつ粘度が大きいために輸送などに不便で
あるということが認められ、またアントラセン油
などは粘度が小さく、かつ比較的低温においては
安定性の大きい懸濁燃料を与えるものの、長時間
加熱を続けた場合、石炭粒子を著しく膨潤させ、
懸濁油の粘度を著しく増加させ、分散媒体として
は必ずしも好ましくないことが認められた。とこ
ろが、驚くべきことには、石炭液化油から分離さ
れ留出油は、水素/炭素原子比が0.9〜1.4程度で
あり、しかも粘度も小さいために、このものに石
炭を添加して形成した懸濁油は、粘度が小さくか
つ石炭粒子が適度に膨潤するのみで安定化剤の非
存在下でも極めて安定性がよく、取扱い性の非常
に優れたものであることが見出された。これまで
の検討によると、前記したような分散媒体の相違
によつて示される現象は、次のように推察され
る。即ち、水素/炭素原子比が大きい石油系媒体
油は、比重が小さくまた粘度が大きい他に、石炭
粒子との構造の違いも大きいために、その結果、
懸濁油の安定性も必然的に悪化する。アントラセ
ン油のように水素/炭素原子比が過度に小さいも
のは、比重が大きく粘度が小さい点においては好
ましいものの、石炭粒子との構造の差が比較的小
さいために、石炭粒子を容易に膨潤させ、逆に懸
濁油の安定性を失わせる。これに対し、本発明で
用いる石炭液体化油から分離された水素/炭素原
子比が0.9〜1.4の留分は、石炭の水素化生成物で
あるため、石油系のものに比べて芳香族炭化水素
の比率が著しく大きいという特徴を有し、他方、
コールタールやアントラセン油などに比べると、
石炭を過度に膨潤させるようなことがないという
特徴を備えており、これらのことから、石炭分散
媒体として好ましい特性を示すものと考えられ
る。その上、本発明で用いる石炭液化油留分の場
合、その中に軽質分が含まれ、これは水と共沸性
のものであるため、原料石炭が水分の大きなもの
であつても、前記軽質分の水分に対する共沸性を
利用し、その水分の除去を容易に行うことができ
る。即ち、石炭中の水分を除去するためには、石
炭懸濁油を、300〜400℃に加熱処理した後、軽質
分を水と共に留去すればよい。一般に、石炭の水
分を5〜10%程度にまで脱水することは比較的容
易であるが、これ以下の水分になるように徹底的
に脱水することは技術的にも経済的にも極めて困
難である。一方、石炭懸濁油の場合、その安定性
を高める意味で石炭の水分はできる限り除去する
のが好ましく、また水素化分解工程における水分
の悪影響、例えば水分の存在による反応水素分圧
の低下などを回避する意味でも、石炭の水分はで
きる限り除去するのが望ましい。本発明によれ
ば、前記のように比較的簡単な操作により石炭中
の残存水分を除去することができる。このこと
は、本発明における大きな利点の1つである。 本発明においては、前記のようにして調製され
た石炭懸濁油の一部は水素化分解工程において高
温、高水素圧下で処理される。この場合、懸濁油
中の石炭濃度は、反応操作性を考えて、30〜45重
量%の範囲に保持するのがよい、反応条件は、石
炭の種類及び反応方法などに応じて任意に選ばれ
るが、反応温度は通常400〜500℃、好ましくは
420〜480℃であり、反応水素圧は50〜700Kg/cm2
好ましくは100〜350Kg/cm2である。反応方式及び
反応装置は任意であり、従来公知の種々のものが
採用される。例えば、石炭懸濁油を沸騰触媒層を
用いて水素化分解処理することができる。この場
合、水素化分解触媒としては、通常、アルミナや
アルミナシリカなどの多孔質耐火性担体に、周期
律表a、a及び族から選ばれた1種以上を
担持させたものが用いられる。また、この水素化
分解は、1段あるいは2段以上の多段で行うこと
ができる。 本発明において、高められた留出分を得るに
は、水素化分解工程に対し、水素化分解生成物か
ら分離された固形分を含む残渣分の少なくとも1
部を循環させるのがよい。この場合、水素化分解
工程に供給される石炭懸濁油と循環残渣分とを合
せたものの全固形分濃度は、通常、30〜50重量%
の範囲になるように調整される。したがつて、こ
の場合には、石炭懸濁油中の石炭濃度は、残渣分
を循環しない場合に比して低低くなり、通常、5
〜30重量%である。この循環残渣分は石炭懸濁油
に混合して水素化分解工程に供給することができ
る。また、本発明においては、この水素化分解工
程に供給される石炭懸濁油及び/又は循環残渣分
に対しては、高められた水素化分解効率を得るた
めに、水素化分解用触媒として、Mo、Cr、Ni又
はFeなどを含む公知の微粉末状あるいはコロイ
ド状触媒を適量添加することができ、そして、反
応生成物から分離された触媒を含む残渣分を水素
化分解工程に循環することもできる。もちろん、
この場合の添加触媒としては、赤泥やボーキサイ
トのような安価な使い捨てタイプの水素化分解触
媒を用い、反応生成物から分離された残渣を発電
用燃料として回収することもできる。 水素化分解工程から得られる反応生成物は、蒸
留処理工程に送られ、通常、沸点550℃以下の留
出分と、それより高い沸点を有する残渣分とに分
別される。留出分には、石炭の水素化分解により
生じた石炭分解油の他、石炭分散媒体として用い
た循環油分及びその循環油の分解により生じた軽
質分が含まれる。この留出分は、通常、その水
素/炭素原子比は0.9〜1.4の範囲にあり、本発明
において用いる石炭分散媒体としてそのまま適用
し得る資格を有する。しかしながら、プロセスの
経済性や効率を高め、原料石炭に応じたプロセス
を形成するには、循環させる留出分は、その組成
を適当に調整するのが有利である。例えば、安定
性のよい高濃度石炭懸濁油を得るには高沸点分を
多量に含む留分の循環が好ましいが、前記したよ
うに、懸濁油中の石炭粒子の残存水分を充分に脱
離させるための加熱処理を採用する場合は、全留
分あるいは芳香族炭化水素の多い軽質油を比較的
多く含む留分の循環が好ましく、一方、このよう
な特別の加熱処理を必要としない場合には、予め
軽質油を除去した高沸点留分の循環が好ましい。
本発明において用いる好ましい循環油の組成は次
の通りである。 A;脱水用加熱処理を併用する場合 軽質分(bp50〜200℃)1〜10重量% 重質分(bp200℃以上)90〜99重量% B:脱水用加熱処理を併用しない場合 軽質分(bp50〜200℃)2重量%以下 重質分(bp200℃以上)98重量%以上 蒸留処理により残渣分から分離された留出分の
水素/炭素原子比が0.9〜1.4の範囲外にある場合
には、その原子比がこの範囲内にあるように、留
出分の組成調整するか、あるいは水素化分解工程
における反応条件を調節する。 本発明において、石炭懸濁油調製工程で生成し
た懸濁油の一部は燃料油として、そのままあるい
は更に石炭を添加して高濃度の懸濁油とされて回
収されるが、この場合、その石炭の添加混合、及
び必要に応じて行われる微粉砕化は、前記石炭懸
濁油調製工程で示したのと同様の方法及び装置を
用いて実施される。即ち、添加すべき石炭を無灰
基準での水分が10重量%以下、好ましくは5重量
%以下になるまで脱水した後、石炭懸濁油調製工
程からの希薄懸濁油に添加混合される。この場
合、石炭粉末は、粒度100メツシユ以下、好まし
くは200メツシユ以下の微粉末で添加することが
できるが、粒径1mm以上の粗粒状で添加すること
もできる。粗粒状で添加された石炭は、懸濁油中
で微粉砕化及び混合され、またこれらの操作は、
懸濁油の粘度を低下させ、粉砕混合能率を高める
ために、通常50〜200℃程度に保温しながら行わ
れる。懸濁燃料油として好適な石炭濃度は、通常
40〜80重量%である。 本発明において、効率のよい石炭の水素化分解
を行い、留出油の収率を増加させようとする場
合、石炭のイオウ分が多いことが望ましい場合が
ある。しかしながら高イオウを用いることは、生
成懸濁油のイオウ分も上昇するため余り望ましい
ことではない。したがつて、水素化分解工程にイ
オウ分の存在が望ましい場合には、石炭として低
イオウ炭を用いると共に、これに硫化水素先駆体
を添加するかあるいは硫化水素を水素化分解工程
に供給する。産炭地において、低イオウ炭と高イ
オウ炭とが産出する場合には、高イオウ炭を含む
懸濁油を水素化分解工程で処理し、得られた留出
油と低イオウ炭とから、低イオウ分の懸濁燃料油
を調製することもできる。 本発明によれば、従来の石炭懸濁油の製造に関
して見られた技術上の困難を克服することができ
る。すなわち、従来、石炭からそれに含まれる水
分を除去することには非常な困難が伴つたが、こ
の石炭からの水分の除去は、本発明の場合には、
前記したように簡単な処理により容易に行うこと
ができる。また、従来の石炭懸濁油製造において
は、媒体油として石油系のものを用いることか
ら、その媒体油確保に大きい難点があつたが、本
発明の場合、石炭の水素化分解生成物から得られ
る留出油を用いるため、このような難点は全く生
じない。その上、本発明により得られる製品は、
石炭粉末を高濃度で含む懸濁油であるため、その
エネルギー生産効率は、従来の石炭の液化プロセ
ス単独の場合に比して、1.5〜2.5倍にも達し、著
しく高めることができる。更に本発明の場合、従
来の石油残渣に比較して、イオウ分の著しく少な
い石炭液化油を媒体油として用いるために、本発
明で得られる石炭懸濁油は、低イオウ燃料として
有利に利用することができる。 本発明の方法は、産炭地がエネルギー消費地か
ら遠距離に位置し、その製品輸送をタンカーやパ
イプラインにより行う必要がある場合に、特に有
利に適用される。即ち、本発明法の実施プラント
を産炭地に建設することにより、高められたエネ
ルギー生産効率で実質上液状油として取扱い得る
安定性のよい低イオウ分の石炭懸濁油を生産する
ことができ、しかもその場合に、そのプラント建
設地は、従来の媒体油として石油系のものを用い
る懸濁油製造の場合と異なり、産油地や製油所に
よつて可ら制約を受けない。本発明による石炭懸
濁油は、発電用ボイラー燃料、セメント焼成用又
は高炉吹込み用燃料などの他に、従来の重質燃料
が用いられている多くの用途に代替燃料として利
用することができる。また、懸濁油中の油分を微
粉炭から分離し、化学原料として用いることも可
能である。 次に本発明の好ましい実施態様の1例を、フロ
ーシートに従つて更に詳細に説明する。 採掘された石炭は先ず、選炭工程で、その中に
含まれる灰分及びその他の不活性成分を除去し、
揮発分が35%以上、好ましくは40%以上及び灰分
が15%以下、好ましくは10%以下になるように選
炭する。 このようにして得られた精炭Fを乾燥粉砕工程
1に導き、ここで水分10%以下、好ましくは5%
以下になるように乾燥し、粒径2〜20mm程度に粗
粉砕する。 この乾燥粗粉砕された精炭の一部はライン22
から高濃度懸濁燃料油を得るための微粉砕混合工
程8に送り、残部は微粉砕混合工程2に導入す
る。また、この工程2には、蒸留工程7からの循
環留出油をライン18から導入する。ここで粗粉
砕炭は油中充分に微粉砕及び混合され、粒度100
メツシユ以下、好ましくは粒度200メツシユ以下
の微粉炭が分散した懸濁油を調製する。この場
合、その石炭粉末濃度は5〜25%にするのがよ
い。 次に、この希薄懸濁油をライン10から加熱処
理工程3に導入し、ここで300〜400℃で1〜10時
間加熱処理した後、軽質油分離工程4に導入す
る。ここで、沸点200〜300℃以下、殊に300℃以
下の軽質分を蒸留分離し、ライン16から抜出
す。この加熱処理及びそれに続く軽質分分離処理
により、石炭粒子中の残存水分は充分に脱水され
(水分5重量%以下)、極めて安定な希薄懸濁油が
得られる。なお、前記加熱処理工程において、そ
の温度を300〜400℃にする理由は次の通りであ
る。即ち、石炭粒子の膨潤を促進させると共に、
残存水分の脱水を容易にするためである。 軽質分の除去された希薄懸濁油の一部はライン
17により微粉砕混合工程8に導かれ、ここでラ
イン22から導かれる粗粉砕石炭と混合微粉砕さ
れ、石炭濃度30〜80%の懸濁燃料油Pとしてライ
ン21から回収される。 一方、軽質分の除去された希薄懸濁液の残部
は、ライン12により抜出され、生成油蒸留工程
7で分離され、ライン20を通つて循環される粉
末触媒を含む残渣と共に水素化分解工程5に導れ
る。またこの水素化分解工程5には、気液分離工
程6から分離された水素含有ガスがライン19を
通つて循環される。 水素化分解工程5は、温度420〜460℃、水素圧
10〜200Kg/cm2の条件下で実施される。この水素化
分解反応においては、石炭中の灰分が充分高い水
素化分解活性を有する場合には触媒の存在は特に
必要とされないが、通常は、慣用の水素化分解触
媒を存在させる。 水素化分解生成物は、ライン14から気液分離
工程6へ導かれ、ここで気液分離される。得られ
た液状生成物はライン15から生成油蒸留工程7
へ導かれる。一方、分離されたガス状成分はライ
ン19により水素化分解工程5へ循環される。こ
の場合、循環ガスはその途中で精製処理され、そ
の中に含まれるメタン、エタン、硫化水素、アン
モニア及び水分などの不純物はライン24から抜
出され、そしてライン23から補充水素は循環ラ
イン19に添加される。 生成油蒸留工程7では、生成油中に含まれる沸
点550℃以下の成分が留出油として分離され、ラ
イン18により微粉砕混合工程2に循環される。
一方、沸点が550℃より高い液状油や、灰分及び
触媒粒子などの固形分を含む塔底残渣は、ライン
20により水素化分解工程5へ循環される。この
場合、循環残渣の一部はライン26により抜出さ
れ、そのままガス化原料や発電用燃料として利用
されるが、場合によつては、脱灰処理されて精製
燃料や炭素材原料として利用される。また、この
循環残渣には、ライン25から補充触媒が供給さ
れる。 次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。 実施例 1 原料炭として、無水・無灰基準での揮発分47%
(工業分析法に従つて測定)及び無水基準での灰
分8.1%のイオウ分0.93%、及び水分10.5%のもの
を用いた(産地:オーストラリア)。 A:石炭懸濁油調合工程 前記石炭を水分5%まで予備乾燥したのち微
粉末(粒度200メツシユ以下)を石炭液化油に
添加し、均一に混合分散させて石炭濃度20重量
%の懸濁油を調製した。この場合、石炭液化油
は次の性状を有した。 石炭液化油の性状 軽質分含量(bp177℃以下) 2.3 重量% 重質分含量(bp177〜550℃) 97.7 重量% 水素/炭素原子比 1.27 イオウ含量 0.17 重量% 比 重 0.983 水 分 0.1 重量%以下 次に、この懸濁油100重量部を水素加圧(9
Kg/cm2)下、温度380℃に5時間加熱した後、こ
れを300℃で蒸留処理して、それに含まれる軽
質分3.4重量部を実質的に完全に除去した。こ
の場合、留出した軽質油中には水34重量%が混
入しており、この加熱及び蒸留処理により、石
炭に含有される水分の90重量%以上が脱水除去
されたことが確認された。 B:水素化分解工程 前記の石炭懸濁油を慣用の方法に従つて温度
450℃、水素圧力140Kg/cm2の条件下触媒として
ボーキサイトにMoおよびNiを担持したものを
用いて水素化分解した。 C:蒸留処理工程 水素化分解生成物からガス分を分離除去した
後、蒸留処理し、沸点550℃以下の留出油を回
収した。この回収率は、原料懸濁油を基準とし
て90.6重量%である。この留出物は前記で示し
た組成を有し、石炭分散媒体として用いた。 D:高濃度石炭懸濁油の調製 前記工程Aで得た石炭濃度17.8重量%の懸濁
油に、石炭微粉末を添加混合し、石炭濃度48.1
重量%の高濃度懸濁油を得た。この場合、石炭
粉末としては、前記の工程Aで用いたのと同じ
ものを乾燥脱水して用いた(含水率5.0重量
%)。この懸濁油は、安定性及び取扱い性の容
易なもので、パイプ輸送可能な流動性を示し
た。次に、前記で得られた高濃度懸濁油(分散
安定化剤を含まず)の物性データを示す。 硫黄分:0.05重量% 灰 分:4.0重量% 比 重(15/4℃):1.2 粘 度:350c.p. 沈澱物比率:4.5重量%(30℃、200時間静置) 実施例 2 図面に示したフローシートに従つて石炭懸濁油
を連続的に製造する場合の各ラインにおける生成
物の流量及びその成分組成についての1例を次表
に示す。なお、各工程における処理操作条件は実
施例1に準じたものであり、流量は原料石炭Fを
基準(100)としたものである。 【表】
【図面の簡単な説明】
図面は本発明法のフローシートの1例を示す。 1……乾燥粉砕工程、2……微粉砕混合工程、
3……加熱処理工程、4……軽質分分離工程、5
……水素化分解工程、6……気液分離工程、7…
…生成油蒸留工程、8……微粉砕混合工程。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 無水無灰基準での揮発分が35重量%以上及び
    無水基準での灰分が15重量%以下である石炭類か
    ら該石炭粉末を懸濁させた燃料油を製造するにあ
    たり、 (a) 下記蒸留工程(e)から循環される石炭の水素化
    分解生成物から分離された留出油と石炭粉末と
    から石炭懸濁油を調製する工程、 (b) 該石炭懸濁油からその一部を燃料油として回
    収する工程、 (c) 該石炭懸濁油の残部を高温高水素圧下で水素
    化分解させて石炭の水素化分解生成物を得る工
    程、 (d) 該水素化分解生成物を蒸留処理して留出油と
    蒸留残渣とを得る工程、 (e) 沸点550℃以下で水素/炭素原子比が0.9〜
    1.4の留出油の少なくとも一部を石炭分散媒体
    として前記工程(a)に循環する工程、 を含むことを特徴とする石炭粉末を懸濁させた燃
    料油の製造方法。 2 前記工程(b)において分離された石炭懸濁油に
    石炭粉末を添加混合し、燃料油として回収する特
    許請求の範囲第1項の方法。 3 無水無灰基準での揮発分が35重量%以上及び
    無水基準での灰分が15重量%以下である石炭類か
    ら該石炭粉末を懸濁させた燃料油を製造するにあ
    たり、 (a‐1) 下記蒸留工程(e)から循環される石炭の水素
    化分解生成物から分離された留出油に石炭粉
    末を懸濁させて石炭濃度5〜25重量%の懸濁
    油を調製する工程、 (a‐2) 該懸濁油を300〜400℃に加熱処理して加熱
    処理懸濁油を得る工程、 (a‐3) 該加熱処理懸濁油からそれに含まれる軽質
    油を水と共に留去し、沸点200℃以上の重質
    油を分散媒体とする懸濁油を得る工程、 (b) 該重質油を分散媒体とする懸濁油からその一
    部を分離し、これに無灰基準での水分10重量%
    以下の石炭粉末を添加混合して石炭濃度を40〜
    80重量%に調整し、燃料油として回収する工
    程、 (c) 該重質油を分散媒体とする懸濁油の残部を高
    温高水圧下で水素化分解させて石炭の水素化分
    解生成物を得る工程、 (d) 該水素化分解生成物を蒸留処理して留出油と
    蒸留残渣とを得る工程、 (e) 沸点550℃以下で水素/炭素原子比が0.9〜
    1.4の留出油の少なくとも一部を石炭分散媒体
    として前記工程(a)に循環する工程、 を含むことを特徴とする石炭粉末を懸濁させた燃
    料油の製造方法。
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