JPS6138553Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、洗濯機の洗剤溶解装置に関するも
のである。

合成洗剤による燐公害や人体への安全性の問題
が社会的にクローズアツプされるようになつてか
ら、これを機にして牛脂やヤシ油等の天然油脂を
主材とする粉石鹸（以下、この明細書ではこの種
の石鹸を単に「粉石鹸」という。）が見直される
傾向にある。しかしながら、粉石鹸は溶解性が悪
いため、合成洗剤のように手軽に使えないという
不便さがある。すなわち、よく溶けていない状態
で使用すると、未溶解の石鹸粒が洗濯物に付着
し、特にポケツトや折返し部分等に入り込んだ粒
はなかなか取れにくい。また、この石鹸粒が洗濯
槽の排水孔付近に付着してしまい、カビ等が発生
する原因ともなつている。一方、過剰に使用する
と、洗濯物に異臭や黄ばみを与えることになる。
このような理由により、粉石鹸は余り普及されて
いない。この点に鑑み、粉石鹸対応型と呼ばれる
洗濯機がいくつか提案されている。例えば、洗濯
槽の上部付近にヒータ線によつて加熱される碗状
の小容器を設け、粉石鹸を一旦この容器内のぬる
ま湯で溶かしてから洗濯槽内に入れるようにした
ものがある。これによれば、粉石鹸をある程度よ
く溶かしてから使用することができるのである
が、ぬるま湯を用意するまでの時間と手間がかか
り、また、加熱に要する余分な電気エネルギーを
必要とするほかに、構造的にも複雑でありコスト
的にも好ましくない。

したがつて、この考案の目的は、使用者に手間
をとらせることなく、かつ、短時間に粉石鹸を効
率よく溶かすことができる洗剤溶解装置を提供す
ることにある。

以下、この考案の実施例を添付図面を参照して
詳細に説明する。

第１図には、洗濯槽１と脱水槽２とを有する典
型的な二槽式洗濯機が示されており、その操作箱
３には、この発明による洗剤溶解装置４が給水受
口２３と洗濯槽１とを結ぶ給水径路内に位置する
ように一体的に組込まれている。この洗剤溶解装
置４は、第２図と第３図に詳しく示されているよ
うに、操作箱３の内壁５からその前パネル６の前
方に膨出するように形成されたシユラウド（囲
い）７を備えている。このシユラウド７は、内壁
５との間において所定の隔室を形成しており、そ
の前面には円形開口８が設けられ、また、底面に
は洗濯槽１に向つて開かれた注水口９が形成され
ている。シユラウド７内には、回転翼車１０と、
これに関連して配置された給水管１１とが設けら
れている。第４図を参照すると、回転翼車１０
は、円形基板１２と、これに所定の間隔をもつて
対設された同径のリング部材１３と、それらの間
に連結された複数の羽根１４とからなり、この回
転翼車１０は、基板１２の中心孔１５を挿通して
内壁５に取付けられるネジ１６により前記開口８
と同心的に軸支される。一方、給水管１１は、回
転翼車１０の斜め上方においてその軸線と平行に
延びるように配設されており、かつ、回転翼車１
０の羽根１４に向けて所定の角度で水を噴射する
スリツト状のノズル孔１７を備えている。この場
合、水の噴射角度は、給水管１１からみて、回転
翼車１０の中心に向う直線と接線とのなす交角の
２等分角程度であることが望ましい。また、この
洗剤溶解装置４は、粉石鹸等の洗剤が入れられる
多孔性の洗剤収納容器１８を備えている。この容
器１８は、第５図に示されているように、円形の
底板１９を有する筒状体からなるが、この場合、
その周壁はきわめて目の細いステンレス製の網体
２０から構成されており、また、その開口部には
補強リング２１が取付けられている。そして、こ
の容器１８は、前記した回転翼車１０内に多少の
摩擦をともなつて緊密に、かつ、着脱自在に挿嵌
し得る大きさに形成されており、また、その開口
部には透明な合成樹脂からつくられたカバー２２
が着脱自在に取付けられるようになつている。な
お、この実施例とは異なり、容器１８の周壁を微
細な透水孔を有する合成樹脂製の筒体もしくは目
の細かな合成樹脂の網体から構成することもでき
る。もつとも、腰の弱い合成樹脂製の網体を使用
する場合には、それを筒状の形態に保持するた
め、底板１９と補強リング２１との間に棒状の補
強メンバが取付けられることになる。一方、透水
孔の大きさや網の目の細かさは、使用される粉石
鹸等の洗剤が未溶解のままでは通過できないよう
な寸法になされている。また、回転翼車１０と容
器１８との間に例えば弾性フツク等からなる固定
具を設けて、この固定具により容器１８を回転翼
車１０内にしつかりと固定するようにしてもよい
ことは勿論である。なお、第２図において、参照
符号２４は、給水源である水道蛇口から給水受口
２３を介して供給される水を洗濯槽１への上部給
水、下部給水、もしくは脱水槽２への脱水給水へ
と切替える公知の給水切替レバーであつて、この
切替レバー２４を上部給水に切替えると、前記し
た給水管１１、シユラウド７および注水口９を含
む給水径路を介して洗濯槽１に水が注がれるよう
になつている。

次に、この考案の作用について説明する。ま
ず、容器１８内に適量の粉石鹸を入れ、その開口
部にカバー２２を取付けてから、この容器１８を
回転翼車１０内にセツトする。給水切替レバー２
４を操作して上部給水にすると、給水管１１のノ
ズル孔１７から水が勢いよく噴出され、その噴射
圧により容器１８は回転翼車１０とともに所定方
向、この実施例では第２図において反時計方向に
回転する。このようにして回転する容器１８内に
おいて、粉石鹸は、網体２０を通して吹込まれて
くる水と激しく撹拌混合され、粉石鹸がほぼ完全
に溶解された洗剤溶解液がつくられる。この洗剤
溶解液は、回転している容器１８内からその遠心
力等により網体２０を通して容器外に排出され、
シユラウド７の下部にある注水口９を介して洗濯
槽１内に注がれる。この場合、未溶解の石鹸粒
は、網体２０に引掛かつて容器外に排出されるこ
とは殆どないが、これらの粒も上記した激しい撹
拌作用によつてやがては溶解されて容器１８内か
ら消失する。実験したところによれば、洗濯のた
めに槽内に溜められる所要水量を給水する過程に
おいて粉石鹸を十分に溶かすことができた。この
点に関連して、カバー２２は透明な合成樹脂から
つくられているため、このカバー２２を透して粉
石鹸の溶解状態を逐一観察することができる。す
なわち、当初は粉石鹸の泡により白濁を呈する
が、溶解がすすむにつれて次第にその濁りが消え
てゆき、最終的に清水のみとなつた時点で粉石鹸
がほぼ完全に溶解されたことを知ることができ
る。

なお、この考案は、第６図に示されているよう
に、回転翼車１０を縦形に配置して、その上方か
ら容器１８を差込むように変形することもでき
る。もつともこの場合には、給水管１１も回転翼
車１０の側方において縦方向に延びるように配置
されることになる。

また、上記各実施例では、回転翼車１０内に容
器１８を保持させて回転させるようにしている
が、容器１８の周壁に羽根を設け、その容器１８
自体を直接シユラウド７内に回転可能に取付け
て、計量カツプ等によりその容器内に粉石鹸を入
れるようにしてもよい。なお、この場合において
も、羽根は任意的に取付けられるものであつて、
この考案は、羽根の有無に限定されるものではな
い。

上記した実施例の説明から明らかなように、こ
の考案によれば、網体等よりなる多孔性の筒状容
器内に粉石鹸を入れ、この容器を洗濯機の給水受
口から洗濯槽に向う給水径路内においてそこを通
る水の噴出圧力にて回転させることにより、ぬる
ま湯等を用意することなく、今まで使いにくいと
されていた粉石鹸を冷水にてほぼ完全に溶解する
ことができる。この場合、粉石鹸は、洗濯槽内に
所要の水量を溜める給水過程において十分に溶解
されるものであるため、溶解のための特段の操作
時間を必要とせず、使用者にとつてきわめて便利
である。したがつて、この考案は、粉石鹸の普及
に大いに貢献するものであり、また、粉石鹸の使
用量も少なくてすむようになる。一方、モータ等
の回転駆動装置によるものではなく、単に給水径
路を通る水の噴出圧力にて容器を回転させるもの
であるため、構造が簡単でありコスト的にも、ま
た、省エネルギーの点においても多大なメリツト
が得られる。さらに、操作箱にシユラウドを形成
し、その中に容器を入れるようにしたことによ
り、洗剤溶解液が操作箱の周囲に飛散することが
なく、また、洗濯機を運転する上でその取扱い操
作をスムーズに行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による洗剤溶解装置が組込ま
れた二槽式洗濯機を一部切欠いて示した正面図、
第２図は第１図に示された洗剤溶解装置を一部切
欠いて示した斜視図、第３図は第２図の−線
に沿つた断面図、第４図は回転翼車を摘示した斜
視図、第５図は容器を摘示した斜視図、第６図は
この考案の他の変形例を示した斜視図である。 図中、１は洗濯槽、４は洗剤溶解装置、７はシ
ユラウド、８は開口、９は注水口、１０は回転翼
車、１１は給水管、１８は容器、２０は網体であ
る。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 洗濯槽の上方に配置された操作箱を有する洗
   濯機のための洗剤溶解装置であつて、 前記操作箱内に隔室を形成するシユラウド
   と、該シユラウドから前記洗濯槽に向つて開か
   れた注水口と、前記隔室内に回転可能に支持さ
   れた多孔性の洗剤収納容器と、前記シユラウド
   を通つて導入され、前記容器に対して所定の角
   度をもつて水を噴射して、その噴射圧により前
   記容器を回転させる給水管とを有し、前記容器
   内に粒状もしくは粉末状の洗剤を収納し、前記
   給水管から水を噴射させることにより、前記洗
   剤が前記給水管からの水にさらされ、かつ、前
   記容器の回転とともに撹拌溶解されて、前記注
   水口から前記洗濯槽内に注がれることを特徴と
   する洗濯機の洗剤溶解装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲(1)において、前記シ
   ユラウドは、前記容器に対して同心的に形成さ
   れた開口を有し、前記容器は前記開口を介して
   前記隔室内に着脱自在に配置されることを特徴
   とする洗濯機の洗剤溶解装置。