JPS6138398B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は熱交換管の外壁に付着した付着物の除
去装置に係り、特に振動による付着物除去装置に
関する。

熱ガス通路内に配置された熱交換管の外壁に
は、運転時間を径るにしたがつて、煤塵や灰等が
付着し、堆積する。この付着物は熱交換効率を低
下させる原因となるので、何等かの手段により除
去する必要がある。

従来、この種の付着物除去装置としては、煤吹
装置、シヨツトクリーニング装置等が知られてい
る。

煤吹装置は、噴射装置によつて蒸気や空気等を
熱交換管の外壁に強く吹き付けることにより、付
着物を除去するものである。しかし、このような
装置においては、加圧気体を作り出すために大が
かりな付帯設備が必要となる。例えば、蒸気を利
用する場合には汽缶等の加圧蒸気発生装置が必要
であり、また、空気を利用する場合には空気圧縮
装置が必要である。しかも、噴射装置も備えなけ
ればならないため、設備費が高くつき、更には気
体を多量に消費するため、運転費も無視できな
い。また、その熱交換管を具備する装置が小容量
の蒸気発生装置であるような場合には、一時的で
はあるが発生蒸気の殆んどを煤吹装置で消費する
とか、あるいは発生蒸気以上の蒸気を煤吹装置が
必要とすることもあり、このような場合は蒸気を
使用することは不可能となる。

また、シヨツトクリーニング装置は、粒状の固
体を重力により落下させ、それを熱交換管の外壁
に衝突させるとにより、付着物を除去するもので
ある。しかし、このような装置においては、粒状
の固体を高所へ移送するための移送装置と、それ
を回収するための回収装置が必要であるため、や
はり経済的ではない。また、熱ガス通路を垂直配
置にしなければならないため、そのような配置が
とれない場合には使用できない欠点がある。

本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を除
き、蒸気、空気あるいは粒状固体というような付
着物除去用の媒体を必要とせず、且つ設備費、運
転費も安い熱交換管の付着物除去装置を提供する
にある。

この目的を達成するため、本発明は、熱ガス通
路内に熱交換管が存在することによつて生じる熱
ガス渦振動に着目し、この渦振動に熱交換管が共
振するように熱ガスの速度を調節する熱ガス速度
調節手段を設けたことを特徴とする。

以下、図面を参照して本発明を説明する。

まず、本発明の基本原理を説明する。

熱交換管が熱ガスの流れに対しほぼ直角に配置
されている場合、熱交換管の存在によつて生じる
熱ガスの渦の周波数は、一般に次のように表わせ
る。

＝St×Ｖ／ｄ ……(1) ：渦の周波数、St：ストローハル数 Ｖ：熱ガスの速度、ｄ：熱交換管の外径 ところで、渦の周波数の１つの媒介変数であ
るストローハル数Stは、熱交換装置のように多数
の熱交換管が熱ガスの流れの方向に対して規則的
に配列されている場合には、熱交換管の外径と配
列ピツチによつてある一定の値を有することが実
験等により明らかとなつている。

例えば、第１図に示すように、多数の熱交換管
１が熱ガスＧの流れの方向に対して格子状に配列
されている場合には、熱ガスＧの流れ方向の熱交
換管の配列ピツチをｌ、熱ガスＧの流れ方向と直
角方向の熱交換管の配列ピツチをｔ、熱交換管の
外径をｄとすると、ストローハル数Stは第２図の
ようになる。また、第３図に示すように、多数の
熱交換管１が熱ガスＧの流れの方向に対して千鳥
状に配列されている場合には、ストローハル数St
は第４図のようになる。なお、第２図及び第４図
の特性は、いずれもレイノルズ数が10⁶以下の場
合である。

したがつて、熱交換管の外径と配列が決定され
るとストロ−ハル数Stが定まるから、(1)式によれ
ば、渦の周波数は熱ガスの速度Ｖによつて定ま
ることになる。熱ガスの速度Ｖを調節して渦の周
波数を熱交換管の固有振動数に合致させれば、
熱交換管は渦振動に共振するので、その振動エネ
ルギによつて、熱交換管の外壁の付着物を剥離す
ることが可能となる。

第５図及び第６図は本発明の一実施例を示す。
熱交換管１はその両端を管寄２に支持された状態
で、熱ガスＧの通路である煙道３内に設置されて
いる。熱交換管１が配設されている位置より上流
側には、熱ガス速度調節板４が設置されており、
この調節板４はレバー５によつて開閉自在となつ
ている。

熱交換管１のところを通過する熱ガスの速度Ｖ
は熱ガス速度調節板４の開度を調節することによ
り設定することができる。また、両端が管寄２に
固定された熱交換管１の固有振動数は、熱交換管
１の材質、外径、肉厚が決定されると、管寄２間
の距離によつて定まる。したがつて、熱交換管１
の固有振動数Wnを予め求めておき、＝Wnとな
るように、熱ガス速度調節板４を操作すれば、渦
振動に共振して熱交換管１が振動するようにな
る。

一般に、物体を振動させて煤塵、灰等の付着物
を除去する装置においては、付着物の剥離効果と
振動エネルギとの関係は経験的にわかつているの
で、剥離効果のある振動エネルギが得られるよう
に、熱ガスの速度を調節すればよい。

次に、この装置の操作を説明する。

熱交換管１の周囲に熱ガスＧが流れて熱交換作
用が行なわれているときは、常時、熱交換管１中
の蒸気の温度及び流量並びに熱ガスの温度、圧力
及び流量等を計測する。そして、これらの値が規
定以上又は以下になつたことを総合的に勘案し
て、熱交換管１の外壁に煤塵や灰等が付着したこ
とを検知する。付着物を検知したら、熱ガス速度
調節板４を操作して、熱交換管１の周囲を流れる
熱ガスＧの速度を調節し、熱交換管１を熱ガスの
渦振動に共振させて振動させる。この振動は付着
物の除去に必要な所定の時間だけ持続させる。付
着物の除去が済んだら、熱ガス速度調節板４を熱
ガスの流れに対して平行になるように戻し、熱ガ
スの速度を正規のものとする。この状態では、熱
交換管１と渦振動の共振は起り得ないので、熱交
換管１の振動は自然に減衰し、振動のない状態に
戻る。

以上のような操作を繰り返し行なうことによ
り、熱交換管は正規の熱伝達特性を維持しなが
ら、熱ガスとの熱交換作用を行なうことができ
る。

ところで、熱交換管を上述のように強制振動さ
せると、熱交換管の振動疲労の問題があるが、こ
れについては、熱交換管の外径、肉厚、支持長さ
を適当に選ぶことにより、最大発生応力を疲労限
度以下の安全な応力範囲内にすることが可能であ
る。したがつて、熱交換管の振動疲労による破壊
は問題とはならない。

次に、第７図及び第８図を参照して本発明の他
の実施例を説明する。同図中、第５図及び第６図
と同一符号は同一物又は均等物を示す。

この実施例の特徴は、熱熱交換管１の下流側の
熱ガスの一部を上流側に戻す再循環経路６を設け
たところである。即ち、この再循環経路６の途中
にはフアン７が設置されており、これを駆動モー
タ８により回転させることにより、熱交換管１の
下流側にある吸込口９から熱交換済のガスを吸込
み、熱交換管１の上流側にある吐出口１０からそ
のガスを吐出するようになつている。吸込口９及
び吐出口１０にはそれぞれ熱ガスの再循環量を調
節する開閉板１１，１２が設置されている。

このような装置においては、フアン７を回転さ
せると、再循環経路６を通つて熱ガスが熱交換管
１の上流側に流入され、熱交換管１の上流側のガ
ス量が増加するため、熱交換管１の周囲を通過す
る熱ガスの速度も増加する。その増加の程度は開
閉板１１，１２の操作によつて調節できるから、
所望の熱ガスの速度Ｖを得ることができる。した
がつて、この調節により、熱ガスの渦振動の周波
数を熱交換管１の固有振動数Wnに合致させて
やれば、熱交換管１が振動状態となり、付着物の
除去が行なわれる。

特に、この実施例では、熱交換後の熱ガスを熱
交換管１の上流側へ戻すようにしているので、熱
交換管１の周囲を通過する熱ガスの温度を低下さ
せることができる。これを利用すれば、熱交換管
の周囲を通過する熱ガスの温度を、常に熱ガス中
に含まれる煤塵等の融点以下に保つことが可能と
なり、これにより、煤塵等が溶融状態で熱交換管
に付着することを防止できるので、付着物の除去
がいつそう容易になる。

以上説明したように、本発明によれば、熱ガス
自体の渦振動のエネルギにより、熱交換管を振動
させ、付着物を除去するようにしたので、付着物
除去のために従来のような媒体を必要としない。
このため媒体の浪費がなく、また媒体を噴射した
り、回収したりする装置も不要であるので、運転
費、設備費が節約でき、経済的である。しかも、
装置の構造が簡素化されるので、運転上の操作も
容易である。また、熱交換管を振動させて付着物
を除去している間においても、熱交換作用を維持
することができるので、熱回収効率が向上する。
さらに小容量の蒸気発生装置であつても、発生蒸
気をすべて有効活用でき、付着物除去のために蒸
気量の不足を生じさせることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理を説明するために熱交換
管の配列状態を示した説明図、第２図は第１図の
ような配列状態におけるストローハル数の定性的
な特性を示すグラフ、第３図及び第４図はそれぞ
れ熱交換管の配列状態を変えた場合の第１図及び
第２図に相当する説明図及びグラフ、第５図及び
第６図はそれぞれ本発明の一実施例に係る付着物
除去装置の縦断面及び横断面図、第７図及び第８
図はそれぞれ本発明の他の実施例に係る付着物除
去装置の縦断面図及び横断面図である。 Ｇ……熱ガス、１……熱交換管、３……煙道
（熱ガス通路）、４……熱ガス速度調節板、６……
再循環経路、１１，１２……開閉板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱ガス通路内に熱ガスの流れに対しほぼ直角
   に配置され且つ熱ガスの流れの方向に対して規則
   的に配列された複数の熱交換管の外壁に付着した
   付着物を除去する装置において、前記熱交換管の
   周囲を流れる熱ガスの速度を調節する熱ガス速度
   調整手段を設け、前記熱交換管の存在によつて生
   じる熱ガスの渦振動に前記熱交換管が共振するよ
   うに前記熱ガスの速度を調節するようにしたこと
   を特徴とする熱交換管の付着物除去装置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記熱ガス
   速度調節手段は、前記熱交換管の上流側に設けら
   れた、前記熱ガス通路の開度を開き調節できる熱
   ガス速度調節板であることを特徴とする熱交換管
   の付着物除去装置。 ３ 特許請求の範囲第１項において、前記熱ガス
   速度調節手段は、前記熱交換管の下流側の熱ガス
   の一部を上流側に戻す再循環経路と、この再循環
   経路を流れる熱ガスの量を調節する開閉板とを備
   えたことを特徴とする熱交換管の付着物除去装
   置。