JPS6137557B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はプレート式熱交換装置、更に詳しく
は衝突噴流型と呼ばれるプレート式熱交換装置に
関するものである。

一般に、プレート式熱交換器、プレート式蒸発
器、プレート式凝縮器等のプレート式熱交換装置
は伝熱プレートを介して流通する２流体（気体又
は液体）間の熱交換を取り扱うものであるが、従
来のプレート式熱交換装置は次の様な諸欠点を有
している。即ち、高い熱伝達を得る為に伝熱面上
に複雑な模様を形成して流体の流れを乱す様にな
した構造の為に高い圧力損失を覚悟せねばなら
ず、それ故に実設計上では、圧力損失に押えられ
て高い熱伝達率が得られないことがある。又、高
粘性流体の場合には、流体がしばしば流体入口か
らより遠い伝熱面部分にまで至らず、流体が伝熱
面上で偏流を起して高い伝熱性能が得られない。
更に、長時間使用すると伝熱面に汚れが付着して
大幅な性能の低下を招く。

そこで、この発明の出願人は、上述の様な欠点
を解消することを目的とする新規な構造を有する
衝突噴流型のプレート式熱交換装置を既に提案し
ている（例：特願昭52−5270号、特願昭52−5272
号、特願昭52―9029号）、その構成は、概略第１
図に示される様に、伝熱素子としての伝熱プレー
ト１及び２と、多数の噴出穴５を穿設された噴射
プレート３及び４とが掌合して構成され、第１の
流体をそれの供給空間Ａから噴射プレート３又は
４の噴出穴５を通して噴出空間Ｂへ噴出させて隣
接対向する伝熱プレート２又は１の伝熱面に衝突
させ、以て上記伝熱プレート２又は１を介した隣
位の供給空間Ｃ内の第２の流体と熱交換させる様
になしたものである。

ところで、この種の衝突噴流型のプレート式熱
交換装置に於ける衝突噴流による熱伝達では、噴
流の流れ方向の急激な変更（直角方向）に伴う伝
熱面上での流速の上昇及び境膜厚さの縮少によつ
て高い熱伝達が得られる訳であるが、、第２図の
従来例に示される様な平板状の伝熱プレート２に
噴流６を衝突させた場合には、上部より流下して
くる噴流後流によつて伝熱面上の流下液膜６′の
厚さが下部に至るに従つて増大する為、伝熱有効
部分は伝熱面上部のみとなり、伝熱面下部に於い
ては噴流６と伝熱面との接触が絶たれて熱伝達が
著しく阻害され、高い熱伝達率が確保されない。
この為に全体としての熱伝達が低く抑えられてし
まうこととなる。

この発明は上述の如き事情に鑑み、これを改良
除却して衝突噴流型のプレート式熱交換装置に於
ける熱伝達率の向上を図ることを目的とするもの
である。

即ち、この発明によれば、噴射プレートの噴出
穴と対応する伝熱を積極的に担う伝熱プレートの
有効伝熱面部分を伝熱面下部に於いても確保する
為に、上位の噴流域からの流下液を下位の有効伝
熱面部分に流下させることなしに伝熱面外に排水
せしめる排水体が構成されている。この排水体は
噴出空間側へ向つて噴出穴と対応する伝熱を積極
的に担う伝熱プレートの有効伝熱面部分の上方に
突設することによつて構成されている。

以下この発明の構成を、被蒸発液体例えば前記
第１の流体と加熱媒体例えば前記第２の流体との
間の熱交換による被蒸発液体の蒸発作用を取り扱
う衝突噴流型プレート式蒸発器に就て説明すると
次の通りである。

第３図及び第４図はこの発明の第１の実施例を
示すプレートの要部正面図及び要部縦断面図であ
つて、１１は被蒸発液体の噴出する多数の噴出穴
１２を有する噴射プレート、１３はその一側の伝
熱面に被蒸発液体の噴流が衝突すると共に加熱媒
体が他側の伝熱面に沿つて流通する伝熱プレート
である。噴射プレート１１には噴出空間Ｂ側へ向
つて突出している突片１４が設けられている。突
片１４は噴出穴１２の中心と同心状に形成された
馬蹄形状であつて、噴射プレート１１に一体的に
プレス成型し、或は別個の馬蹄形状部材を噴射プ
レート１１に固着して形成されている。突片１４
は、当該蒸発器の組立に当つて各プレートが掌合
することにより、その先端が隣接対向する伝熱プ
レート１３の伝熱を積極的に担う有効伝熱面部分
を下方を除いて取り囲む様にして伝熱にあまり関
与しない伝熱面部分に当接し、これにより、排水
体ａが形成される。

上記第１の実施例に於ける作用に関して説明す
ると次の通りである。

供給空間Ａ内へ供給された被蒸発液体は噴射プ
レート１１の噴出穴１２を通して隣位の噴出空間
Ｂに噴射されて隣接対向している伝熱プレート１
３の伝熱面に衝突する。その際、被蒸発液体は伝
熱プレート１３を介した隣位の供給空間Ｃ内を流
通する加熱媒体に加熱されて蒸発する。そして、
蒸発しきらなかつた残りの未蒸発液体は、噴射プ
レート１１の突片１４の先端部と伝熱プレート１
３の伝熱面との当接によつて構成された排水体ａ
で以て伝熱プレート１３の伝熱を積極的に担う有
効伝熱面部分を流下することなく突片１４に沿つ
て伝熱にあまり関与しない伝熱面部分に沿つて流
下した排出される。

又、突片１４の形状は、第３図に示される様な
馬蹄形状に限定されず、第５図及び第６図に示す
様な実施態様であつても又それ以外の形態であつ
ても可能である。

第７図及び第８図はこの発明の第２の実施例を
示すプレートの要部正面図及び要部縦断面図であ
つて、２１は被蒸発液体が噴出する多数の噴出穴
２２を有する噴射プレート、２３はその一側の伝
熱面に被蒸発液体の噴流が衝突すると共に加熱媒
体が他側の伝熱面に沿つて流通する伝熱プレート
である。この伝熱プレート２３には噴出空間Ｂ側
へ向つて突出している突片２４が設けられてい
る。突片２４は噴流の衝突する伝熱面上の衝突中
心と同心状に成形された馬蹄形状であつて、例え
ばプレスにて伝熱プレート２３に一体的に形成す
ることにより容易に得られる。

上記第２の実施例に於ける作用に関して説明す
ると次の通りである。

供給空間Ａ内へ供給された被蒸発液体は噴射プ
レート２１の噴出穴２２を通して隣位の噴出空間
Ｂに噴射されて隣接対向している伝熱プレート２
３の伝熱面に衝突する。その際、被蒸発液体は伝
熱プレート２３を介して隣位の供給空間Ｃ内を流
通する加熱媒体に加熱されて蒸発する。そして、
蒸発しきらなかつた残りの未蒸発液体は、下位の
伝熱を積極的に担う有効伝熱面部分に流下するこ
となく伝熱プレート２３の突片２４に沿つて流下
して排出される。

又、突片２４の形状は、第７図に示される様な
馬蹄形状に限定されず、数々の態様が可能であ
る。

第９図及び第１０図はこの発明の第３の実施例
を示すプレートの要部正面図及び要部縦断面図で
あつて、３１は被蒸発液体が噴出する多数の噴出
穴３２を有する噴射プレート、３３はその一側に
伝熱面に被蒸発液体の噴流が衝突すると共に加熱
媒体が他側の伝熱面に沿つて流通する伝熱プレー
トである。この伝熱プレート３３には噴出空間Ｂ
側に向つて突出している突片３４が設けられてい
る。突片３４は噴流の衝突する伝熱面上の衝突中
心と同心状に成形された馬蹄形状であつて、例え
ばプレスにて伝熱プレート３３に一体的に形成す
ることにより容易に得られる。突片３４は、当該
蒸発器の組立に当つて各プレートが掌合すること
により、その先端が隣接対向する噴射プレート３
１に当接し、これにより、排水体ａが形成され
る。

上記第３の実施例に於ける作用に関して説明す
ると次の通りである。

供給空間Ａ内へ供給された被蒸発液体は噴射プ
レート３１の噴出穴３２を通して隣位の噴出空間
Ｂに噴射されて隣接対向している伝熱プレート３
３の伝熱面に衝突する。その際、被蒸発液体は伝
熱プレート３３を介した隣位の供給空間Ｃ内を流
通する加熱媒体に加熱されて蒸発する。そして、
蒸発しきらなかつた残りの未蒸発液体は、伝熱プ
レート３３の突片３４の先端と噴射プレート３１
との当接によつて構成された排水体ａで以て下位
の伝熱を積極的に担う有効伝熱面部分に流下する
ことなく伝熱プレート３３の突片に沿つて流下し
て排出される。

又、突片３４の形状は、第９図に示される様な
馬蹄形状に限定されず、数々の態様が可能であ
る。

尚、この発明は以上説明せられ、また、示され
た蒸発器に限定されるものではなく、熱交換器、
凝縮器その他のプレート式熱交換装置に於いても
この発明の要旨にもとることなく数々の態様が可
能である。

以上説明した様にこの発明は、伝熱プレートと
多数の噴出穴を穿設された噴射プレートとが掌合
して構成され、第１の流体をそれの供給空間から
噴射プレートの噴出穴を通して噴出空間へ噴出さ
せて隣接対向する伝熱プレートの伝熱面に衝突さ
せ、以て前記伝熱プレートを介して隣位の供給空
間内の第２の流体と熱交換させる様になした衝突
噴流型プレート式熱交換装置に於いて、噴射プレ
ートの各噴出穴毎に、該噴出穴の周囲に下部を開
放した状態でしかも、伝熱を積極的に担う有効伝
熱面部分をカバーする突片を設け、更に、前記突
片の先端を隣接対向する伝熱プレートの伝熱面に
当接させて排水体を形成する様にしたから、噴流
後流が効果的に排出されて伝熱を積極的に担う有
効伝熱面部分に於いて厚い流下液膜が形成され
ず、高い熱伝達率を得ることができる。しかも、
各噴出穴毎に排水体を独立して設けたから、これ
らの配列に制約がなく、上下に無駄部分が生ずる
こともない。

また、この発明は伝熱プレートと多数の噴出穴
を穿設された噴射プレートとが掌合して構成さ
れ、第１の流体をそれの供給空間から噴射プレー
トの噴出穴を通して噴出空間へ噴出させて隣接対
向する伝熱プレートの伝熱面に衝突させ、以て前
記伝熱プレートを介して隣位の供給空間内の第２
の流体と熱交換させる様になした衝突噴流型プレ
ート式熱交換装置に於いて、伝熱プレート側に、
噴射プレートの各噴出穴毎に対応させて、該噴出
穴の周囲に下部を開放した状態で、しかも、伝熱
を積極的に担う有効伝熱面部分をカバーする突片
を噴出空間側へ向かつて突出させて排水体を形成
させ、この突片の先端を噴射プレートに対して非
接触としたから、噴流後流が効果的に排出されて
伝熱面の伝熱を積極的に担う有効伝熱部分に於い
て厚い流下液膜が形成されず、高い熱伝達率を得
ることができる。しかも、各噴出穴毎に排出体を
独立して設けたから、これらの配列に制約がな
く、上下に無駄部分が生ずることもない。さら
に、突片の先端を噴射プレートに対して非接触と
したから、伝熱プレート面に噴射衝突して蒸発し
た気体の上方への排出が良好に行われる。

また、この発明は伝熱プレートと多数の噴出穴
を穿設された噴射プレートとが掌合して構成さ
れ、第１の流体をそれの供給空間から噴射プレー
トの噴出穴を通して噴出空間へ噴出させて隣接対
向する伝熱プレートの伝熱面に衝突させ、以て前
記伝熱プレートを介して隣位の供給空間内の第２
の流体と熱交換させる様になした衝突噴流型プレ
ート式熱交換装置に於いて、伝熱プレート側に、
噴射プレートの各噴出穴毎に対応させて、該噴出
穴の周囲に下部を開放した状態で、しかも、伝熱
を積極的に担う有効伝熱面部分をカバーする突片
を噴出空間側へ向かつて突出させて設け、更に、
前記突片の先端を隣接対向する噴射プレートに当
接させて排水体を形成する様にしたから、噴流後
流が効果的に排出されて伝熱面の伝熱を積極的に
担う有効熱面部分に於いて厚い流下液膜が形成さ
れず、高い熱伝達率を得ることができる。しか
も、各噴出穴毎に排出体を独立して設けたから、
これらの配列に制約がなく、上下に無駄部分が生
ずることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は衝突噴流プレート式熱交換装置の概略
構成を示す略図、第２図は従来のプレートの要部
縦断面図、第３図及び第４図はこの発明の第１の
実施例を示し、第３図はプレートの要部正面図、
第４図は第３図の―線に沿つたプレートの要
部縦断面図、第５図及び第６図は突片の形状の実
施例を示す噴射プレートの要部正面図、第７図及
び第８図はこ発明の第２の実施列を示し、第７図
はプレートの要部正面図、第８図は第７図の―
線に沿つたプレートの要部縦断面図、第９図及
び第１０図はこの発明の第３の実施例を示し、第
９図はプレートの要部正面図、第１０図は第９図
の―線に沿つたプレートの要部縦断面図
である。 １１，２１，３１……噴射プレート、１２，２
２，３２……噴出穴、１３，２３，３３……伝熱
プレート、１４，２４，３４……突片、ａ……排
水体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 伝熱プレートと多数の噴出穴を穿設された噴
   射プレートとが掌合して構成され、第１の流体を
   それの供給空間から噴射プレートの噴出穴を通し
   て噴出空間へ噴出させて隣接対向する伝熱プレー
   トの伝熱面に衝突させ、以て前記伝熱プレートを
   介して隣位の供給空間内の第２の流体と熱交換さ
   せる様になした衝突噴流型プレート式熱交換装置
   に於いて、噴射プレートの各噴出穴毎に、該噴出
   穴の周囲に下部を開放した状態でしかも、伝熱を
   積極的に担う有効伝熱面部分をカバーする突片を
   設け、更に、前記突片の先端を隣接対向する伝熱
   プレートの伝熱面に当接させて排水体を形成する
   様にしたことを特徴とするプレート式熱交換装
   置。 ２ 伝熱プレートと多数の噴出穴を穿設された噴
   射プレートとが掌合して構成され、第１の流体を
   それの供給空間から噴射プレートの噴出穴を通し
   て噴出空間へ噴出させて隣接対向する伝熱プレー
   トの伝熱面に衝突させ、以て前記伝熱プレートを
   介して隣位の供給空間内の第２の流体と熱交換さ
   せる様になした衝突噴流型プレート式熱交換装置
   に於いて、伝熱プレート側に、噴射プレートの各
   噴出穴毎に対応させて、該噴出穴の周囲に下部を
   開放した状態で、しかも、伝熱を積極的に担う有
   効伝熱面部分をカバーする突片を噴出空間側へ向
   かつて突出させて排水体を形成させ、この突片の
   先端を噴射プレートに対して非接触としたことを
   特徴とするプレート式熱交換装置。 ３ 伝熱プレートと多数の噴出穴を穿設された噴
   射プレートとが掌合して構成され、第１の流体を
   それの供給空間から噴射プレートの噴出穴を通し
   て噴出空間へ噴出させて隣接対向する伝熱プレー
   トの伝熱面に衝突させ、以て前記伝熱プレートを
   介して隣位の供給空間内の第２の流体と熱交換さ
   せる様になした衝突噴流型プレート式熱交換装置
   に於いて、伝熱プレート側に、噴射プレートの各
   噴出穴毎に対応させて、該噴出穴の周囲に下部を
   開放した状態で、しかも、伝熱を積極的に有効伝
   熱面部分をカバーする突片を噴出空間側へ向かつ
   て突出させて設け、更に、前記突片の先端を隣接
   対向する噴射プレートに当接させて排水体を形成
   する様にしたことを特徴とするプレート式熱交換
   装置。