JPS6136211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、理容及び美容士が理髪に使用する
鋏の改良に関するものである。

理容において使用される理髪鋏は、通常、動刃
（上刃）の方の柄杆には拇指を挿入する掛止環が
設けられ、また静刃（下刃）の方の柄杆には薬指
を挿入する掛止環とこれより突出させた小指掛止
片とが設けられており、静刃の掛止環に薬指を入
れ、人差指及び中指を柄杆にかけ、小指を指掛片
に置いて、これら四指で静刃を不動状態に保持
し、もつぱら親指の操作で動刃を動かして毛髪を
切る作業を行なうようにしている。

ところで、このような理髪鋏は、もつぱら鋏を
激しく使う理容士用として作られたものであつ
て、これを使いこなすためには長年にわたる修練
が必要であり、そのため、経験の少ない者では、
小指をかける指掛片の存在がかえつてじやまにな
るということも生じている。また、この理髪鋏は
通常美容における鋏としても使用されているが、
美容士の鋏を使う程度は理容士に比べてはるかに
少く、しかも小指をかける習慣もないことから、
少指の掛止片のない方が使うに適するということ
になる。

この考案は、理髪鋏における前述の事情に鑑み
なされたもので、理髪鋏の静刃の柄杆に設けられ
た掛止環に突設した指掛片を取除き、これに代つ
て、この掛止環の尾端部付近に、少指を掛止めに
必要な指掛杆の基端部を枢着し、指掛杆を掛止環
に収容する不使用状態と、指掛杆を突出した使用
状態との２種の状態に切換え得るようにすること
により、理容士と美容士とのように、小指の掛止
めを要する者と要しない者との両方が使用するの
に便宜な理髪鋏を提供しようとするものである。

以下、この考案の実施例について図面を参照し
て説明する。

図において１は動刃部分の柄杆、２は静刃部分
の柄杆で、動刃部分の柄杆１の端末には親指を挿
入する掛止環３が設けられ、また、静刃部分の柄
杆２の端末には薬指を挿入するための掛止環４が
設けられている。この掛止環４の尾端部から外側
部にかけては、掛止環４の平面方向に貫通する長
溝孔５が開設され、その柄杆２寄りの末端部には
段部６が設けられている。そして、長溝孔５の尾
端部側にある始端部には、長溝孔５内に収容可能
な形状とした指掛杆７の基端部がピン８により枢
着されており、この指掛杆の末端には、前記の段
部６に係接する係止段部９が形成されていると共
に、両段部６，９が係接したときに、長溝孔５の
尾端と指掛杆７の末端との間に適宜な隙間１０が
形成されるようになつている。また、長溝孔５の
始端には指掛杆７が所定の突出位置以上に回動を
抑止する突部１７が形成されている。

更に、柄杆１を設けた動刃１１と柄杆２を設け
た静刃１２とはビス１３により軸着され、開閉自
在となつているが、第３図に示したように、一方
の鋏刃、例えば静刃１２にはビス１３が貫通する
透孔１４が設けられ、他方の鋏刃である動刃１１
には、表面側が大径で内面側が小径となる段付透
孔１５が設けられており、段付透孔１５には、外
周がこの段付透孔１５の内周面に密接する形状の
袋ナツト１６を嵌着し、静刃１２の透孔１４側か
らビス１３を通して袋ナツト１６に螺合させて軸
着するのである。

以上説明したように本考案によれば、静刃部分
の柄杆に設けられた掛止環に長溝孔を形成し、こ
の長溝孔内に指掛杆を収容、突出自在に枢着した
ので、理容の鋏として従来のように小指の掛止め
をして作業する場合には、第１図の実線及び第２
図の鎖線で示すように、指掛杆７を長溝孔５内か
ら開き出してやれば、これに小指を置いて使用す
ることができ、また、指掛杆７を必要としない場
合には、指掛杆７を第２図実線のように長溝孔５
内に収容することができ、指掛杆７が作業の邪魔
となることを防止することができ、理容士用の鋏
としても美容士用鋏としても、また、熟練者に
も、それぞれ習慣、技倆に応じて使用して便宜な
ものである等、多くの実用的効果を有するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す鋏の平面
図、第２図は指掛杆部分を拡大して示した正断面
図、第３図は静刃と動刃の軸着部を拡大して示し
た側断面図である。 １，２……柄杆、３，４……掛止環、５……長
溝孔、７……指掛杆、８……ピン、１１……動
刃、１２……静刃、１３……ビス、１６……袋ナ
ツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 静刃の柄杆に設けられた掛止環の一部に、その
   平面方向に貫通する長溝孔を設けると共に、該長
   溝孔内に指掛杆を収容及び突出自在に枢着したこ
   とを特徴とする、理髪鋏。