JPS6135804Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動変速機のアンダドライブ装置にお
ける入力軸とクラツチシリンダとの結合構造に関
する。

［従来の技術］ 従来の自動変速機においては、クラツチシリン
ダは生産性の見地からプレス成形されており、ク
ラツチシリンダの内周壁を入力軸の端部に外嵌し
て溶接することによつて入力軸とクラツチシリン
ダとの同心性が維持された状態でトルクを伝達で
きるとともに軸方向の相対的な移動を阻止するよ
うに両者を結合していた。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしプレス成形によるクラツチシリンダは肉
圧の増大に制限があるために伝達可能なトルクは
制限されるので、このような自動変速機を出力ト
ルクが大きなエンジンにも適用可能とするため
に、従来のプレス成形のクラツチシリンダに代り
クラツチシリンダを厚肉に成形できる鋳鉄性のク
ラツチシリンダを採用することが望まれる。

しかし鋳鉄には多量の炭素が含まれるために鋳
鉄性のクラツチシリンダは入力軸との溶接が困難
であるという不具合を有していた。このため鋳鉄
性のクラツチシリンダと入力軸とを従来のプレス
成形のクラツチシリンダと同等に入力軸と結合す
ることができる結合構造が要望されていた。

本考案は上記のような問題点に着目してなされ
たものであり、入力軸と鋳鉄製クラツチシリンダ
とを同心性が維持された状態でトルクを伝達でき
るとともに入力軸と鋳鉄製クラツチシリンダとの
軸方向の相対的な移動を阻止することのできる自
動変速機のアンダドライブ装置の入力軸とクラツ
チシリンダの結合構造を提供することを目的とす
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案の自動変速機のアンダドライブ装置の入
力軸とクラツチシリンダの結合構造は、トランス
ミツシヨンケースと、該トランスミツシヨンケー
ス内に配設されるアンダドライブ装置とからな
り、該アンダドライブ装置は入力軸と、該入力軸
と同軸的に配設された中間軸と、該中間軸と同軸
的に配設された出力軸と、前記中間軸に連結した
入力歯車と前記出力軸に連結した出力歯車を有す
る遊星歯車機構と、前記入力軸に連結されるクラ
ツチシリンダと、該クラツチシリンダにシールリ
ングを介して供給される油圧によつて係合して前
記入力軸と中間軸とを連結する多板クラツチとを
備える自動変速機のアンダドライブ装置の入力軸
とクラツチシリンダとの結合構造において、前記
入力軸の中間軸側の端部の外周に外スプラインお
よび第１の周方向溝を形成し、前記クラツチシリ
ンダの内周壁に記入力軸の第１の周方向溝に対応
した第２の周方向溝と前記外スプラインに対応し
て嵌合時にしめしろを有するように内スプライン
を形成し、前記外スプラインと前記内スプライン
とを嵌合させるとともに前記第１の周方向溝と前
記第２の周方向溝との間にスナツプリングを介在
させたことを特徴とする。

［作用及び考案の効果］ 本考案の自動変速機のアンダドライブ装置の入
力軸とクラツチシリンダの結合構造は、入力軸の
外周に形成された外スプラインとクラツチシリン
ダの内周壁に前記入力軸の前記外スプラインに対
応して形成された内スプラインを嵌合することに
よつて入力軸と鋳鉄製クラツチシリンダとをトル
クを伝達できるように回転方向に連結し、入力軸
外周に形成された第１の周方向溝とクラツチシリ
ンダの内周壁に前記入力軸の第１の周方向溝に対
応して形成された第２の周方向溝との間にスナツ
プリングを介在させることによつて軸方向に連結
し、さらに内スプラインを外スプラインとの嵌合
時にしめしろを有するように形成しているので入
力軸とクラツチシリンダとの同心性を確保するこ
とができるとともに入力軸とクラツチシリンダと
の相対的な軸方向の移動を阻止することができる
ので、鋳鉄性のクラツチシリンダを従来のプレス
製クラツチシリンダと同等に入力軸と連結するこ
とができ、厚肉に形成可能な鋳鉄製のクラツチシ
リンダの使用が可能となるという優れた効果を有
する。

［実施例］ つぎに本考案を図に示す一実施例に基づき説明
する。

第１図は本考案にかかるアンダドライブ装置の
入力軸とクラツチシリンダとの結合構造を有する
自動変速機を示し、流体式トルクコンバータ１
は、ポンプインペラ５、タービンランナ６、およ
びステータ７を備え、ポンプインペラ５は、図示
されていない機関のクランク軸８へ連結され、タ
ービンランナ６はタービン軸６ａへ連結されてい
る。トルクコンバータ１は、ハウジング１７ａに
よつてタービン軸６ａの周方向を包囲されてい
る。

トルクコンバータ１の後方（以下、機関に近い
側を「前」、機関から遠い側を「後」という。）
は、オイルポンプボデー２０によつて区画されて
いる。オイルポンプカバー２１は、オイルポンプ
ボデー２０に隣接して配置され、オイルポンプボ
デー２０とともに、オイルポンプ７１のポンプ室
を区画する。オイルポンプ７１のオイルポンプギ
ヤ５０は、ポンプインペラ５へ連結している。オ
イルポンプボデー２０内に形成されている通路７
２は、オイルポンプ７１の吸入口へ接続されてい
るとともに、オイルポンプカバー２１下部に形成
されている通路７３へも接続されている。

オイルポンプ７１の後方にオイルポンプカバー
２１に隣接して、前進３速後進１速のアンダドラ
イブ装置３がトルクコンバータ１に対して同軸的
に設置される。タービン軸６ａはアンダドライブ
装置３の入力軸９の役割を果たす。アンダドライ
ブ装置３は、その前部をオイルポンプカバー２１
とトランスミツシヨンケース１８によつておおわ
れている。オイルポンプボデー２０、オイルポン
プカバー２１、およびトランスミツシヨンケース
１８は、複数のボルト２２ａによつて互いに結合
されている。

アンダドライブ装置３の入力軸９は、鋳造に形
成された厚肉の鋳鉄製環状クラツチシリンダ６５
に連結しており、このクラツチシリンダ６５と中
間軸２９との間には、多板クラツチ２４が設けら
れている。ハブ６６はクラツチシリンダ６５と嵌
合しており、ハブ６６とサンギヤ軸３０との間に
は多板クラツチ２５が設けられている。サンギヤ
軸３０とトランスミツシヨンケース１８に固定さ
れているサポート３１との間には、多板ブレーキ
２６と、さらに一方向クラツチ６１および多板ブ
レーキ６０の直列連結とが、設けられている。サ
ンギヤ軸３０にはサンギヤ３２が形成されてい
る。サンギヤ３２はプラネタリピニオン３４およ
び３７にかみ合い、一方のプラネタリピニオン３
４はリングギヤ３５とかみ合い、他方のプラネタ
リピニオン３７はリングギヤ３８とかみ合つてい
る。すなわちサンギヤ３２、プラネタリピニオン
３４、およびリングギヤ３５とサンギヤ３２、プ
ラネタリピニオン３７、およびリングギヤ３８と
からなる２列の遊星歯車装置が構成される。リン
グギヤ３５は、フランジ６７を介して中間軸２９
へ連結されている。また、プラネタリピニオン３
４はキヤリヤ３３のピニオン軸６９上に回転可能
に支持され、プラネタリピニオン３７はキヤリヤ
３６のピニオン軸６８上に回転可能に支持されて
いる。アンダドライブ装置３の出力軸３９は、リ
ングギヤ３８とキヤリヤ３３とへ連結している。
キヤリヤ３６とトランスミツシヨンケース１８と
の間には、多板ブレーキ２７と一方向クラツチ２
８とが設けられている。

アンダドライブ装置の下方はオイルパン７５ａ
によつておおわれている。オイルパン７５ａの内
部には、アンダドライブ装置の油圧サーボ（シリ
ンダ）へ供給する油圧を制御する油圧制御装置４
ａ（一部のみ図示）が配置される。トランスミツ
シヨンケース１８の下部前端に形成されている通
路７６は、オイルポンプカバー２１の通路７３を
オイルパン７５ａ内へ接続する。

オイルポンプカバー２１には、通路７３の他に
油圧制御装置４ａとクラツチシリンダ６５とをシ
ールリング１２ａ，１２ｂを介して接続する油
路、およびオイルポンプ７１の吐出口と油圧制御
装置４ａとを接続する油路が設けられている。さ
らに、オイルポンプボデー２０およびオイルポン
プカバー２１には、オイルを油圧制御装置４ａか
らトルクコンバータ１へ供給する油路、およびオ
イルをトルクコンバータ１から油圧制御装置４ａ
へ戻す油路が形成されている。

アンダドライブ装置３の入力軸９とクラツチシ
リンダ６５との連結は、第２図に示す如く入力軸
９の後端部に設けた大径部９ｂに、外スプライン
９ｃおよび周方向溝９ｄを形成し、クラツチシリ
ンダ６５の内周壁６５ａに、上記外スプライン９
ｃおよび溝９ｄと対応する内スプライン６５ｂお
よび周方向溝６５ｃを設け、入力軸の大径部９ｂ
にクラツチシリンダ内周壁６５ａをスプライン嵌
合せしめると共に溝９ｄおよび６５ｃにスナツプ
リング１０を嵌め込んでなされている。この場
合、入力軸の外スプライン９ｃとクラツチシリン
ダ内周壁６５ｂとのスプライン嵌合は嵌着時にし
めしろがあるように形成してあり、嵌着時におい
て入力軸９の軸心とクラツチシリンダ６５の軸心
が一致して同心性を確保するとともに入力軸９と
クラツチシリンダ６５との軸方向のガタツキを無
くする。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動変速機の断面図、第２図はアンダ
ドライブ装置の入力軸とクラツチシリンダの断面
図を示す。 図中、９……アンダドライブ装置の入力軸、６
５……クラツチシリンダ、９ｃ……外スプライ
ン、６５ｂ……内スプライン、６５ｃ，９ｄ……
周溝、１０……スナツプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランスミツシヨンケースと、該トランスミツ
   シヨンケース内に配設されるアンダドライブ装置
   とからなり、該アンダドライブ装置は入力軸と、
   該入力軸と同軸的に配設された中間軸と、該中間
   軸と同軸的に配設された出力軸と、前記中間軸に
   連結した入力歯車と前記出力軸に連結した出力歯
   車を有する遊星歯車機構と、前記入力軸に連結さ
   れるクラツチシリンダと、該クラツチシリンダに
   シールリングを介して供給される油圧によつて係
   合して前記入力軸と中間軸とを連結する多板クラ
   ツチとを備える自動変速機のアンダドライブ装置
   の入力軸とクラツチシリンダとの結合構造におい
   て、前記入力軸の中間軸側の端部の外周に外スプ
   ラインおよび第１の周方向溝を形成し、前記クラ
   ツチシリンダの内周壁に記入力軸の第１の周方向
   溝に対応した第２の周方向溝と前記外スプライン
   に対応して嵌合時にしめしろを有するように内ス
   プラインを形成し、前記外スプラインと前記内ス
   プラインとを嵌合させるとともに前記第１の周方
   向溝と前記第２の周方向溝との間にスナツプリン
   グを介在させたことを特徴とする自動変速機のア
   ンダドライブ装置の入力軸とクラツチシリンダと
   の結合構造。