JPS6133183Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は金庫室の内扉に用いて好適な錠構造
に関する。

一般に金庫室の内扉は拡子戸状に形成され、か
つ金庫室内を可及的に広く使用するために引き戸
形式として、内扉を開くときには、これを横に滑
らせて戸袋内に引き込ませて入口全体を開くよう
にしており、またこの内扉には両側に錠穴を有す
る両面錠が設けられ、金庫室内外からそれぞれ鍵
を差し込んで施錠・解錠できるように構成されて
いる。

ところが、このような両面錠を設けた内扉にあ
つては、両面錠の錠ケーシングの厚みが比較的厚
いため、内扉全体を薄く作つたとしても錠ケーシ
ングの一部が突出してしまい、結局内扉を開いて
戸袋に引き込んだときに錠の突出部が戸袋の開口
端縁につかえて、完全に金庫室の入口を開くこと
ができず、有効間口が狭くなつて特に大形物品の
金庫室への搬入・搬出に不便をきたすという問題
点があつた。また、錠ケーシングを薄くするた
め、上記両面錠に替えて片面錠にするとともに、
錠近傍の格子間隔を広くして、この間隔より内側
から手を出して錠操作できるように構成すること
も考えられるが、これでは錠操作が極めてやりに
くくなつてしまう。

この考案は上記の問題点に着目してなされたも
ので、内扉の枠を構成する縦框の一部に、鍵穴を
内側（戸袋側）に向けてシリンダ錠を固設し、縦
框の外側面より上記シリンダ錠によつて回動・突
出される係止片を設けるとともに、金庫室の出入
口を構成する開口面の戸当り部には、上記係止片
が係合可能な係合部を設けることによつて上記問
題点を解決することを目的とする。

以下図面に基づいて本考案を説明する。

第１図は、金庫室の扉を開いて内側の内扉の全
体を示したもので、金庫室１の内側（後方）に配
設された内扉２は、左右の縦框３ａ，３ｂと上下
の横框４ａ，４ｂによつて枠組みされており、上
記縦框３ａ，３ｂ間には複数個の横棧５，５…が
適宜間隔をおいて横架されて格子状に形成されて
いる。そして、この内扉２は金庫室の出入口を構
成する上下の開口面に配設されたレール（図示省
略）に沿つて側方にスライドし、金庫室出入口側
部に設けられた戸袋（図示省略）に引き込まれる
ように構成されている。

第２図は本考案の一実施例を示す第１図におけ
るＡ部の拡大断面図であつて、この実施例では内
扉２の枠を構成する縦框３ａ（戸袋から遠い側の
縦框）内に、シリンダ錠６がその鍵穴７を第３図
に示すように内側すなわち戸袋側に向けた状態で
固設されている。このシリンダ錠６は公知の構造
のものが使用されており、シリンダ錠６の錠穴７
と反対側の端部は上記縦框３ａの外側面より露出
し、かつ常時縦框３ａの外側面に突出している係
止片８が設けられている。この係止片８は上記鍵
穴７よりシリンダ錠６に差し込まれた鍵９によつ
て回動されるように構成されているとともに、こ
の係止片８は一方に長く、また、金庫室出入口の
開口面の戸当り部１０には上記係止片８と対向す
る位置に、係止片８が挿通可能な係合穴１１と、
係止片８が回動して係合可能な係合片（係合部）
１２が設けられている。

上記係止片８は、第２図の鎖線が解錠状態での
姿勢を示し、この状態で内扉２を閉めると、係止
片８は係合片１２にぶつかることなく係合穴１１
内に進入し、第２図のごとく縦框３ａと戸当り部
１０とが接合する。そして、鍵９をシリンダ錠６
に差し込んで回すと、シリンダ錠６によつて係止
片８が回動されて、実線で示すごとく係合片１２
に係止され、ロツク状態となつて内扉２はスライ
ドできなくなるのである。

次に、第４図は本考案の他の実施例を示すもの
で、内扉２の縦框３ａ内に固設されたシリンダ錠
６の一端にはピニオン１３が設けられ、かつこの
ピニオン１３に噛み合つたラツク１４が上記縦框
３ａ内に上下動可能に配設されている。また、縦
框３ａ内に係止片８がピン１５によつて回動自在
に装着されており、この係止片８の先端は縦框３
ａの外側面に形成された孔１６より回動して突出
されるようになつているとともに、係止片８には
長溝１７が形成されていて、この長溝１７内には
上記ラツク１４に固設された係合ピン１８が係合
されている。一方、金庫室出入口の開口面の戸当
り部１０には、上記縦框３ａの孔１６に対応して
係合部となる係合穴１９が形成されている。

そして、この実施例では、内扉２をスライドさ
せるときは、係止片８の先端は縦框３ａ内に収納
されており、内扉２を閉めてから鍵９を回してシ
リンダ錠６を操作すると、ピニオン１３が回動さ
れてラツク１４が下降し、係合ピン１８が長溝１
７内を移動して係止片８を回動させ、その先端を
縦框３ａ内から突出させて戸当り部１０の係合穴
１９に係合させる。すると、内扉２は係止片８と
係合穴１９との係合によつてロツクされてスライ
ドできなくなるのである。

以上説明したごとくこの考案は、シリンダ錠を
内扉の縦框内に鍵穴を戸袋側に向けて固設したの
で、錠の端部が内扉の前後に突出して、戸袋に引
き込ませたときに戸袋の開口端縁につかえるおそ
れがなく、金庫室の有効間口一枚に内扉を引くこ
とができるとともに、鍵穴が縦框の内側に来るた
め、金庫室の内外から容易に施錠・解錠操作する
ことができ、また、シリンダ錠を縦框内に固設す
るため、任意の位置に錠を設けることが可能とな
る。しかも、両面錠を設けた従来の内扉にあつて
は、錠取付けのために内扉の中央に帯板が必要で
あつたが、本考案では縦框内にシリンダ錠を固設
するので、中央の帯板が不要となつて内扉全体の
構成が簡単となり、かつ左右の構造がほとんど変
わらないため、設計および製作が簡素化され、安
価となる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は金庫室の扉を開いた状態を示す正面
図、第２図は本考案に係る内扉の錠構造の一例を
示す要部断面正面図、第３図本考案を適用した内
扉の外観を示す要部断面図、第４図は本考案の他
の実施例を示す要部断面正面図である。 １……金庫室、２……内扉、３ａ，３ｂ……縦
框、６……シリンダ錠、７……鍵穴、８……係止
片、９……鍵、１０……戸当り部、１２，１９…
…係合部、１３……ピニオン、１４……ラツク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 金庫室の金庫扉の内側に引き戸式に配設され
   た内扉において、この内扉の縦框内に、鍵穴を
   戸袋側に向けてシリンダ錠を固設し、かつ上記
   縦框の外側面より突出し、あるいは突出可能に
   取り付けられ、上記シリンダ錠によつて回動さ
   れる係止片を設けるとともに、金庫室の出入口
   を構成する開口面の戸当り部には、上記係止片
   に対応してこの係止片と係合可能な係合部を設
   けてなる金庫室における内扉の錠構造。 (2) 上記係止片は、上記シリンダ錠により回転さ
   れるピニオンとこのピニオンに噛み合つたラツ
   クとによつて回動されて、上記係合部と係合、
   離脱されるように構成されていることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の金庫
   室における内扉の錠構造。