JPS6132967Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は水着に関する考案であつて、一枚の
生地で展開裁断したものを後部（後側）中央上
下、後部中央下側左右で縫合したことを特徴とす
るものである。その目的とするところは縫製箇所
を減らして、縫合の際の段差、柄模様のずれをな
くし、かつ縫合の手間を省いて能率よく生産さ
れ、鮮明に染色、プリントされた水着を提供する
ことにある。

従来、このような水着は前身頃（表部分）、後
身頃（裏部分）の形に裁断した生地を左右の脇の
二箇所及び股下部分で縫い合わせていた。尚、従
来この両脇を縫合するものに加えて後身頃を更に
中央から左右に裁断して、両脇と後身頃中央の三
箇所及び股下部分で縫合したものも多かつた。こ
れを第４図イ，ロによつて説明する。イは水着の
前身頃であつて、１３は前身頃の形に裁断されて
いる。ロは水着の後身頃で、１４は後身頃の形に
裁断されている。イの左、右の脇の１５，１６と
ロの右、左の脇１８，１７の点線部分をそれぞれ
縫い合せ、前身頃１３の下側の股下１９を折返し
てその点線部分を後身頃１４の股下２０の点線部
分で縫い合せ前、後身頃の上側部分に生地をテー
プ状もしくは紐状にしたものをかけ渡して水着の
製造していた。

しかしながら、従来のこのような前身頃、後身
頃の脇二箇所と、もしくはこれに後身頃の中央か
ら左右に裁断した左、右の裁断部分の三箇所で、
更に別に下側股下部分で縫合する水着は手間が非
常にかかり能率面で問題があるばかりでなく、前
と後の縫合部分に段差や柄模様のずれができ、こ
の部分の柄が合せにくいという大きな欠点を有し
ていた。

これを更に詳しく説明すると、このような水着
は普通ナイロンなどの合成繊維、スパンデツクス
などの伸縮する糸を使用したメリヤス編が多く、
生地自体に伸び縮みが激しく、また前身頃、後身
頃の両脇は直線状ではなく、特に女性の身体に合
わせて中央部分を細くくびれさせて下部分に向つ
て太くなるように裁断されており、女性の身体の
線を出すように縫合するのでその縫合は大変難し
い。すなわち、生地自身の有する伸び縮みによつ
て前述のように縞模様、花柄模様には縫合部分に
段差ができたり、前後で模様がずれてうまく合わ
ないという欠点があつた。

本考案のものは従来のこのような欠点をなく
し、水着生産において一番困難とされている縫合
を後部中央上下、後部中央下側左右で行い生産費
を安くし、生産能率を向上して、品質の優れた染
色、プリントの鮮明な水着を提供しようとしたも
のである。

本考案の実施例を図面に従つて説明し、その作
用、効果について述べる。

第１図は、本考案の水着を作るための生地を一
枚に裁断した展開図で、その上部に紐もしくはテ
ープをつけたものである。第２図は、第１図のよ
うに裁断した生地を折り返して縫合した本考案の
水着の前面図、第３図はその後面図を示す。

第１図で示すように、前身頃となる中央部分
１、左右の脇部分７，６、下側の股下部分８を一
枚の生地で裁断する。この前身頃となる中央部分
１と左右の脇部分７，６の境３，２で後側に折り
返し、また、下側股下部分８も後側へ折返して後
側中央で折返した左右両脇部を上下に縫合し１
１、折返した下側股下部分も左右で縫合させる１
２。これに上部に紐もしくはテープ１０，９をつ
けて肩にかかるようにしたものの前部が第２図に
なる。第３図はその後部を示したもので、前述の
ように第１図の左右脇部分の端部５，４を第３図
に示すようにその中央の１１で、折返した股下部
分８を下部１２で縫合する。尚、境２，３で折返
す際、縫合された水着が女性の線を出すように裁
断されたときの端部の形をこれに合わせて裁断す
るのである。

本考案はさきに述べたように、一枚の生地を展
開裁断したものなので、縫製箇所が後側のみに集
中して、従来に比較して上下、左右と縫製回数も
少なく、縫製箇所も大変近接しているので、前述
のように柄模様がずれたりすることもなく、品質
の点はもとより、縫製に際しては生地の縫製部位
を余り動かすこともなく、取扱いも便利で縫製能
率や全体の生産能率が非常に上る。また、縫合の
ための費用も少なくてすむばかりでなく、縫いし
ろやロスも少なく、従つて用いられる生地も少な
くてすみ、コストダウンになり経済面においても
大変優れている。

これに対して従来のものは、三箇所もしくは四
箇所で縫合するものであり、その縫製箇所はそれ
ぞれ離れているので、縫製に際し重ね合わせた生
地を大きく動かして縫製するので取扱いにも手間
がかかり、能率もよくないばかりでなく、裁断し
て二枚もしくは三枚にしたものに花柄、縞模様な
どをプリントしたものを縫合した場合、合わせ部
分の柄がずれたりする欠点を有するものである。

また、従来のものは別々の生地を二枚もしくは
三枚揃えねばならず、全く品質の同じ生地を前身
頃、左右後身頃に得るということは大量生産の要
求されている現在において大変な努力を要するの
であるが、本考案のものは一枚に裁断された生地
ですみ、前述のような不利益もない。

また、本考案のものが品質の点でも優れている
ことを述べる。前述のように従来のものは、一番
大きな欠点として模様のあるものは前身頃と後身
頃の両脇を二箇所もしくは左、右後身頃の三箇所
で縫い合わせるという大変困難な問題点を有して
いて、このような場合縞模様や柄物が染色、プリ
ントされている場合、前述のような段差や柄、模
様のずれができるのである。

これに対して本考案の水着は、一枚の生地で展
開裁断しているので、後部中央の上下と左右で後
側だけで縫い合わせるので、従来のもののような
柄、模様がずれて合わないという欠点がなく、縫
い合せ面もきれいであり、美しく鮮明に染色、プ
リントされた水着を得るという優れた作用効果を
有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の水着を作るために裁断した生
地の展開図、第２図は縫合してできた水着の前
部、第３図は同後部、第４図イは従来の水着の前
部、ロは後部を示す。 図中、１……前身頃となる中央部、２，３……
折返し部分、４，５……右、左の縫合せ部分、
６，７……右、左の脇部分、１１，１２……後部
の縫合せ部分、１３，１４……従来の水着の前
部、後部を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前身頃となる中央部と左右脇部分、下側股下部
   分を一枚の生地で展開裁断し、左右の脇部分を後
   部の左右に折返し、また下側股下部分も後側に折
   返し、後部中央で折返した左右両脇部分を上下に
   縫合し、折返した下側股下部分も折返した前記左
   右脇部分の下側と左右に縫合した一枚の生地で縫
   合した水着。