JPS6132185B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車等の車両制動装置に用いる油圧
式のスキツド防止装置に関し、特にスキツド防止
の作動中であることを検知する検出装置に改良を
施したスキツド防止装置に関するものである。

一般にスキツド防止装置は、第１図に略図的に
示すようにマスターシリンダ（MC）への接続ポ
ート１と、後輪ホイールシリンダ（WC）への接
続ポート２とを連通する油通路３，４間に、前者
ポート１から後者ポート２への油の流れを阻止す
るチエツクバルブ５を備えており、このチエツク
バルブ５は通常走行時には油圧源Ｐからの油圧に
応動するアクチユエータ６（イクスパンシヨンピ
ストン）により開かれている。そして、車輪のス
キツド時には、バルブＶを作動し、イクスパンシ
ヨンピストンを作動している油圧源からの油圧の
供給を止め、上記ピストンの作動室の油圧をドレ
インＤすることにより、イクスパンシヨンピスト
ンを逆方行へ移動させ、これにより上記チエツタ
バルブ５を閉成すると同時に、このチエツクバル
ブ５から後輪ホイールシリンダ（WC）までの通
路４，７中に封じ込められた油の圧力を低下させ
て後輪のスキツドを解除するよう機能する。

そして、従来運転者に対してスキツド制御が正
しく作動していてブレーキ装置が故障していない
ことを表示するために、その検出装置として同図
に示すスイツチ装置８が用いられていた。

即ち、このスイツチ装置８は、一端面９ａが通
路４に臨んで後輪ブレーキ油圧を受け、他端面９
ｂが通路３に臨んでマスターシリンダの油圧を受
けるスイツチピストン９と、このスイツチピスト
ン９が図の左方に移動したときにスイツチピスト
ン９の導体部１０にて相互に接続されるスイツチ
片１１，１２とから成る。そして、前記一端面９
ａの受圧面積が他端面９ｂよりも大であることに
より、通常では通路３，４の油圧は殆んど等しい
からスイツチピストン９は右方へ移動してスイツ
チ片１１，１２の接続をオフとする。スキツド作
用が行なわれているときには後輪ブレーキ油圧が
マスターシリンダ油圧よりも極端に低下するた
め、スイツチピストン９は左動してスイツチ片１
１，１２の接続をオンとし、回路１３を介して表
示器１４に「スキツド制御作動中」を表示するも
のである。

ところで、この種のスキツド防止装置は、通常
後輪ホイールシリンダへの接続ポート２とイクス
パンシヨンピストン６によるチエツクバルブ５と
の間に切換弁１５を設け、油圧源の故障時には該
切換弁１５にて該接続ポート２とマスターシリン
ダへの接続ポート１とを直結することにより少な
くともブレーキ作用だけは確保することができる
構成とされており、前記スイツチピストン９の一
端面９ａにはかかる切換弁１５よりも上流側、つ
まりイクスパンシヨンピストン６により制御され
る室と等しい油圧が加えられるようになつてい
る。

このため、制動時にイクスパンシヨンピストン
が作動してスキツド制御が行なわれているときに
は前述の如くオン作動するが、油圧源が故障して
切換弁が作動したときにも一端面９ａへの油圧が
減少してオン作動してしまい、スキツド制御作動
中の表示をしてしまう。これを解決するために
は、例えば油圧源が故障していること又はブレー
キ油路の切換弁が作動していること等を検出する
検出装置からの信号と上記スキツド制御作動信号
とを組合せて表示するようにすればよいが、部品
数が増えると共に回路が複雑になる等の不具合が
ある。

また、前記従来構造では、スキツド制御作動時
にスイツチピストン９を移動させる構造の為に、
この移動量に見合つた油量をマスターシリンダか
ら供給する必要があり、この供給された油はスキ
ツド制御作動終了時に再びマスターシリンダに戻
されることになるためペダルシヨツクが生じると
いう不具合もある。

更に、この従来構造ではスイツチ片を作動する
スイツチピストンが油中に配されるために、スイ
ツチ片とピストンとの間にシール構造を施こさね
ばならず、シールが不完全であるとスイツチの誤
作動が生じることもある。

本発明は上記に鑑みなされたものでその目的と
するところは、スキツド制御作動を検出する装置
をイクスパンシヨンピストンの移動を機械的に検
知するスイツチにて構成することにより、スキツ
ド制御作動時のみを確実に検出してこれを表示す
ることができしかも、ペダルシヨツクを防止しか
つシール構造を施す必要のないスキツド制御検出
装置を備えたスキツド防止装置を提供することに
ある。

以下、第２図乃至第４図に示す実施例により本
発明を説明する。

第２図は本発明のスキツド防止装置２０の断面
図であり、２１，２２，２３は夫々装置本体を構
成するブロツクを示し、これら３個のブロツクを
一体化してその内部に各種構成要素を組込んであ
る。

前記ブロツク２１と２２とに亘つて形成した凹
所２４内にはソレノイド２５を収納する一方、こ
のソレノイド２５の中心部を貫通するプランジヤ
２６を摺動自在に包持するプランジヤホルダ２７
を並設する。凹所２４の一端には封栓２８を嵌着
し、この封栓２８内の中心開口孔２９及びフイル
タ３０を通して凹所２４内空間を室３１及び油圧
源であるポンプＰからの油圧導入ポート３２に連
通させる。前記プランジヤ２６はその外周面に軸
方向の通油溝３３，３３を形成すると共に、両端
にボール３４，３５を一部突出させて理設する。
また、プランジヤ２６はばね３６により他端方向
（左方向）に付勢され、左動したときに、ボール
３４がブロツク２１に穿設されたドレンポート３
７を塞いでドレンポート３７と室３８とを遮断
し、またソレノイド２５によりばね力に抗して右
動したときにボール３５によつて前記中心開口孔
２９を閉塞するようになつている。

前記油圧導入ポート３２及び室３１に連通する
ようにブロツク２２，２３に亘つて形成した細径
の個所３９内には、弾性隔壁４０を中間に介して
第１スプール４１と第２スプール４２を軸方向に
並んでしかも軸方向に摺動できるように内装す
る。第１スプール４１の左端には室３１と連通す
る室４３を画成し、第２スプール４２の右端には
室４４を画成してあり、第２スプール４２に遊嵌
されたばね４５によりこの第１、第２スプール４
１，４２を左側に付勢している。前記室４４には
マスターシリンダMCに連通するマスターシリン
ダ接続ポート（以下Ｍポートと言う）４６を開口
すると共に、室４４に対向配置した室４７に連通
する弁孔４８を開口し、該弁孔４８内に遊挿した
第１弁体４９のステム４９ａ先端を室４４に突出
位置させる。この第１弁体４９はばね５０により
付勢されて常態ではその頭部４９ｂが弁孔４８を
閉塞する一方、ステム４９ａと弁孔４８との隙間
を介して該弁孔４８の側面に開口した後輪ホイー
ルシリンダWCの接続ポート（以下Ｗポートと言
う）５１を室４４に連通させる。即ち第１弁体４
９は、油圧源であるポンプの油圧に応じて作動
し、上記油圧源の正常時にはマスターシリンダか
らの油圧を、後述するチエツクバルブを介してイ
クスパンシヨンピストンへ導き、且つ該イクスパ
ンシヨンピストンからホイールシリンダへ導くよ
うに作動し、油圧源の異常時にはマスターシリン
ダからの油圧を前記チエツク弁及びイクスパンシ
ヨンピストンを介さず、直接ホイールシリンダへ
供給する切換弁として作動する。前記第２スプー
ル４２の右端にはその右動時にステム４９ａ先端
を押動する小径部５２を形成すると共に、同時に
弁孔４８を閉塞する第２弁体５３を取着する。

前記ブロツク２２，２３に亘つて形成した大径
の凹所５４内にはイクスパンシヨンピストン本体
５５とピストン作動棒５６とを同軸的に内装し、
イクスパンシヨンピストン本体５５はその右端に
室５７を画成する一方ピストン作動棒５６はその
左端拡径部５６ａにより室５８を画成する。ピス
トン作動棒５６とイクスパンシヨンピストン本体
５５とは、ピストン本体５５に形成した凹部５５
ａ内に作動棒５６の一端を緩く嵌合させており、
両者間に形成される室５９は大気に連通させてい
る。前記室５８は通路６０を介して室３８に連通
させる。また、室５７は通路６１を介して室４７
に連通する一方、チエツクバルブ６２を介して室
６３更に通路６４を介して室４４に連通してい
る。チエツクバルブ６２は凹所５４の右端壁に凹
設された室６３内に内装され、室６３から室５７
への油の流れを阻止するように設けているが、イ
クスパンシヨンピストン本体５５が右動したとき
には、室５７内に突出した弁ステム６５ａがイク
スパンシヨンピストン本体５５に押圧されてばね
６６力に抗して弁体６５は右動し、該油の流れを
可能にするようにしている。

そして本発明においては、前記イクスパンシヨ
ンピストン本体５５の側方に臨設するようにスキ
ツド制御作動の検出スイツチ６６をブロツク２２
に取着する。この検出スイツチ６６はブロツク２
２にねじ込んだスイツチボデイ６７を有し、この
スイツチボデイ６７は内部開口内に摺動可能なプ
ランジヤ６８を有する。このプランジヤ６８はば
ね６９によりイクスパンシヨンピストン本体５５
に向かつて突出附勢されると共に、その後端はス
イツチボデイ６７に設けた２個の接片７０，７１
に対向している。一方、イクスパンシヨンピスト
ン本体５５の端部には小径部５５ｂを形成し、プ
ランジヤ６８の先端がこの小径部５５ｂに接して
いるときにはプランジヤ６８は突出状態にあり接
片７０，７１間をオフ状態に保つが、イクスパン
シヨンピストン本体５５が左動し、プランジヤ６
８が押込まれて大径の部分に接するようになると
このプランジヤ６８は接片７０，７１間をオンさ
せるようにしている。尚、小径部５５ｂの長さは
イクスパンシヨンピストン本体５５がチエツク弁
６２を完全に閉じるように左動した後にプランジ
ヤ６８を押し込むように設定する。

ここで、図中７２は車輪の回転数等からスキツ
ド状態を検出するセンサで、検出信号を制御回路
７３に送出してソレノイド２５をオンさせるもの
であり、９４は接片７０，７１がオンした時に表
示器７５を作動させる回路、７６はタンクであ
る。

次に本発明装置の作用を説明する。

(1) スキツド発生前のブレーキ作用 油圧導入ポート３２には常時油圧源油圧が供
給されており、この油圧源油圧は一方で室３１
を経て室４３に導かれて第１スプール４１を右
動し、他方で室３１、フイルタ３０、中心開口
孔２９、油溝３３、室３８及び通路６０を経て
室５８に導かれてピストン作動棒５６を右動す
る。これにより、第１スプール４１の右動は第
２スプール４２を共に右動させ、第２図に示す
如くその小径部５２がステム４９ａを押動して
第１弁体４９をばね５０に抗し開位置に保つ。
同時に、第２スプール４２端部の第２弁体５３
は弁孔４８を閉塞する。一方、ピストン作動棒
５６は凹部５５ａの底面を介してイクスパンシ
ヨンピストン本体５５を右動させ、弁ステム６
５ａを押動してチエツクバルブ６２を開状態と
する。この時、検出スイツチ６６はプランジヤ
６８の先端がイクスパンシヨンピストン本体５
５の小径部５５ｂに接しているためオフとなつ
ており、表示器７５には何等の表示を行なわな
い。

ここで、ブレーキペダルの踏込みによりマス
ターシリンダ油圧が発生すると、この油圧はＭ
ポート４６から室４４、通路６４、室６３、チ
エツクバルブ６２、室５７、通路６１、室４
７、弁孔４８及びＷポート５１を経てホイール
シリンダWCに伝達され、通常の如く制御作用
を行なうことができる。

(2) スキツド防止作用 かかる制動が急激すぎて車輪がスキツド状態
となると、これを検出するセンサ７２からの信
号にてソレノイド２５が付勢される。そして、
ソレノイド２５はプランジヤ２６をばね３６に
抗して第３図の如く右方に移動させ、ボール３
４にて閉じられていたドレンポート３７を開く
と共に今度はボール３５で孔２９を閉塞する。
この結果、室５８内の油は通路６０、室３８、
ドレインポート３７を経てドレインされ、これ
によりイクスパンシヨンピストン本体５５は室
５７のブレーキ油圧により左動される。このイ
クスパンシヨンピストン本体５５の左動により
チエツクバルブ６２は閉成され、Ｍポート４６
からの油圧をＷポート５１に伝達しなくなる。
一方チエツクバルブ６２の閉成により、ホイー
ルシリンダWCと室５７との油路間に封じ込め
られたブレーキ油圧は、イクスパンシヨンピス
トン本体５５の左動に伴なう室５７の容積膨脹
により低下され、ブレーキ力を低下して車輪の
ロツクを解除し、スキツド状態の継続を防止す
る。この時、イクスパンシヨンピストン本体５
５の左動により検出スイツチ６６は、そのプラ
ンジヤ６８がイクスパンシヨンピストン５５に
より押込まれるため接片７０，７１間をオンさ
せ、表示器７５にスキツド制御作動中であるこ
とを表示させる。これにより、ブレーキペダル
の踏込みにも拘らずブレーキ力が作用しないこ
とは、スキツド制御作動中であるからブレーキ
には異常が生じていないことを運転者に告知す
る。

(3) 油圧源失陥時 油圧導入ポート３２に供給すべき油圧が消失
すると、第１スプール４１と第２スプール４２
がばね４５により第４図の如く左動し、第１弁
体４９は弁孔４８を室４７との連通を閉塞する
が、第２弁体５３は弁孔４８と室４４とを開放
連通する。同時に室５８の油圧が消失するため
イクスパンシヨンピストン本体５５の室５７に
チエツクバルブ６２を介して油圧が加えられる
ことによりイクスパンシヨンピストン本体５５
は左動し、チエツクバルブ６２が閉成した時点
で該油圧が遮断されてイクスパンシヨンピスト
ン本体５５は停止する。このとき、前述したよ
うにイクスパンシヨンピストン本体５５の小径
部５５ｂの長さ設定により検出スイツチ６６の
プランジヤ６８は突出位置にあり、従つてオフ
状態を保つて表示器７５に表示を行なわせるこ
とはない。そしてＭポート４６に供給された油
圧はソレノイド２５の付勢、減勢に拘らず、室
４４、弁孔４８及びＷポート５１を経てホイー
ルシリンダWCに伝達されブレーキ作用を行な
う。このときスキツド制御作用は行なわれな
い。

第５図は他の実施例の検出スイツチ７７を示
し、特にスイツチ杆７８のみを図示してある。
この例はその傾倒によりオン、オフさせるスイ
ツチ杆７８をイクスパンシヨンピストン本体５
５の端面にばね７９により当接配置したもので
あり、イクスパンシヨンピストン本体５５が左
動したときにオンするようにしたものであるこ
とは前例のものと同じである。本例によつても
前例と同様の効果を奏し得ることは言うまでも
ない。

以上説明したように本発明のスキツド防止装置
は、スキツド制御作動を検出する検出スイツチを
イクスパンシヨンピストン本体５５の移動量を検
出する機械式スイツチにて構成したから、単一の
スイツチにてスキツド制御作動中を確実に検出す
ることができ、油圧源故障による検出誤作動を防
止することができる。またスイツチを油中に配設
して油圧にて作動させるものではないから、ペダ
ルシヨツクが発生することは全くなくしかもスイ
ツチにシール構造を施す必要もない等、構造が簡
単でありながら正確な作動が得られるという効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はスキツド防止装置における検出スイツ
チを説明するための概念断面図、第２図乃至第４
図は本発明装置の夫々異なる作用状態の断面図、
第５図は他の実施例の部分断面図である。 ２１，２２，２３……ブロツク、２５……ソレ
ノイド、２６……プランジヤ、３２……油圧導入
ポート、３７……ドレインポート、４１……第１
スプール、４２……第２スプール、４６……マス
ターシリンダ接続ポート、５１……ホイールシリ
ンダ接続ポート、５５……イクスパンシヨンピス
トン、５６……ピストン作動棒、６２……チエツ
クバルブ、６６……検出スイツチ、６８……プラ
ンジヤ、７０，７１……接片、７２……センサ、
７３，７４……回路、７５……表示器、７６……
タンク、７７……検出スイツチ、７８……作動
杆、Ｐ……油圧源、MC……マスターシリンダ、
WC……ホイールシリンダ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブレーキマスターシリンダからホイールシリ
   ンダへのブレーキ油圧路に臨んで摺動可能に設け
   られ、スキツド発生時に別途設けた油圧源から供
   給されている油圧を排出することにより、前記ブ
   レーキ油圧路を遮断すると共に、ホイールシリン
   ダ内の油圧を低下するように移動するイクスパン
   シヨンピストンと、上記油圧源の油圧に応じて作
   動し、上記油圧源の正常時にはマスターシリンダ
   からの油圧をチエツクバルブを介してイクスパン
   シヨンピストンへ導き、且つ該イクスパンシヨン
   ピストンからホイールシリンダへ導くよう作動
   し、油圧源の異常時には、マスターシリンダから
   の油圧を前記チエツク弁及びイクスパンシヨンピ
   ストンを介さず、直接ホイールシリンダへ供給す
   る切換弁とを備えたスキツド防止装置において、
   前記イクスパンシヨンピストンは、ブレーキ液圧
   側にあるイクスパンシヨンピストン本体と、前記
   油圧源の油圧側にあるピストン作動棒とから成
   り、上記イクスパンシヨンピストン本体に形成し
   た凹部内にピストン作動棒を嵌合して両者間に室
   を形成するとともに、前記イクスパンシヨンピス
   トン本体の側方に、該イクスパンシヨンピストン
   本体の移動を検出してスキツド制御作動中の表示
   信号を出力する検出スイツチを設けたことを特徴
   とするスキツド防止装置。 ２ 検出スイツチは、イクスパンシヨンピストン
   本体に突出付勢されてその先端がイクスパンシヨ
   ンピストン本体の周面に当接するプランジヤと、
   このプランジヤの突出状態でオフとなり押込状態
   でオンとなる接片とを有し、該プランジヤはイク
   スパンシヨンピストン本体が通常位置にある時は
   該ピストンの小径部周面に当接し、スキツド作動
   時の位置にあるときにはその大径周面に当接する
   よう構成してなる特許請求の範囲第１項記載のス
   キツド防止装置。 ３ 検出スイツチは、その傾倒によりオン、オフ
   する作動杆をイクスパンシヨンピストン本体の端
   面に当接させてなる特許請求の範囲第１項記載の
   スキツド防止装置。