JPS6130984B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、例えば自動車等の燃料タンクの注油
口等に使用されるロツク型の燃料タンク用キヤツ
プに関する。

最近の車両は、環境汚染の対策上、燃料系の気
密性が向上し、そのため気温が上昇するとタンク
内の気化燃料によりタンクの内圧が著しく高くな
る。したがつて、給油時にキヤツプをフイラーネ
ツクより取外す場合に、タンク内圧のために該キ
ヤツプが吹き飛ばされたり、タンク中の燃料が吹
き出したりする状態を招く場合が多々あつた。

したがつて、従来のキヤツプにおいては、第８
図に示すように、キヤツプ本体ａ側に爪ｂ，ｂを
設けると共に、この爪ｂ，ｂと位相が90゜ずれ、
かつ爪ｂ，ｂより下方の位置に爪ｇ，ｇを設け、
この爪ｇ，ｇをフイラーネツクに嵌入した後、90
゜回転し、前記爪ｂ，ｂを嵌入して、さらに回転
しこの爪ｂ，ｂを、フイラーネツクｃに設けたカ
ム壁ｄの端面ｅと係合させることによりキヤツプ
ｆの取付けをなしており、これによりタンクの内
圧が高い場合に生じる前述のキヤツプの吹き飛
び、及びガソリンの吹返しは、この二段爪の一方
が外れても他方の爪ｇがカム壁ｄの端面ｅとの係
合を解かないようになつているので防止される。

ところが、この二段爪方式のキヤツプにおいて
は、図示のように開蓋時に、爪ｂ，ｂの嵌合をと
いた時点でフイラーネツクｃとキヤツプとの間に
大きな間隙を生じ、ガソリンの吹返し対策として
は完全性を欠いていた。

又、キヤツプの取り外しを、をつくり行なえ
ば、二段爪の働きで、前述のようにキヤツプが吹
き飛ばされる心配はないが、キヤツプの取り外し
を急速に行なうと、二段爪が作用せず、吹き飛ば
されてしまうことがある。

この欠点を解決するために、フイラーネツク
と、キヤツプとにネジを切り、多数回捻回しない
と着脱できないねじ込み式のキヤツプが最近提案
されている（特公昭52−33、255号）。このキヤツ
プにおいては、キヤツプを密閉状態から解除後、
更に複数回捻回しないと、キヤツプとフイラーネ
ツクとの嵌合はとかれないので、この間にネジ間
の隙間から、タンク内の高圧は徐々に抜け出るよ
うになるので、前述の二段爪方式のキヤツプが有
しているような欠点は生じない。

このねじ込み式のキヤツプは、通常合成樹脂に
より作れるので締め過ぎによる破損を防止するた
めに、蓋の外殻の内側壁面にラツチ部材を設け、
かつ内部本体の上側部に爪を設けることにより締
付けトルクの制御を行なうようにしているが、こ
のキヤツプにおいては前記内部本体および上側部
に突出して設けられている爪がポリアセタール、
ナイロン等の合成樹脂製のため、寒冷地と温暖
地、冬期と夏期あるいは夜間と昼間のように温度
差の違いにより前記合成樹脂の物性が著しく変化
するため、トルク値が変動し、一定のトルク制御
を行い得ず、しかも合成樹脂製爪に対し常時曲げ
力が作用しているので、耐久性にも問題があり、
この上この爪部の摩耗ないし破損の場合、その修
理交換は事実上不可能である。またこの爪部の形
状は複雑であるので、その成形には煩雑な工程を
必要とする。さらに本体の上側部に爪が水平方向
に突出し、これをその外側の外殻の内側壁面のラ
ツチ部材が受けているので、外殻の径は必然的に
大きくなり、これため限られたスペースに使用さ
れるキヤツプとしては不都合な場合がある。

本発明はかかる従来のキヤツプの欠陥を除去
し、キヤツプ離脱時にキヤツプの吹き飛びや燃料
の吹き出しを伴なわず、その上、温度依存性がな
く常に一定のトルク制御が可能であり、さらに耐
久性に優れ強度的にも問題がなくしかもスペース
フアクター的にも有利なキヤツプを提供すること
を目的とし、その構成は、注油口を形成するフイ
ラーネツクを閉塞するように螺合されるキヤツプ
本体上にハンドル部材を回動自在に載置した燃料
タンク用キヤツプにおいて、前記ハンドル部材と
キヤツプ本体との間の中央位置に、上下方向摺動
可能でかつ金属のばね部材によりキヤツプ本体側
又はハンドル部材側のいずれか一方に向つて弾撥
せしめられてなる回動伝達部材を設け、この回転
伝達部材の一端にクラツチ爪部を設けるとともに
該クラツチ爪部が係合する係合溝を前記キヤツプ
本体又はハンドル部材の一方向回転力が一定値に
なるとクラツチ爪部と係合溝との係合が外れ、逆
方向回転時は常時係合するようにしたことを特徴
とする。

これにより温度依存性のないトルク制御が可能
であり、その上、耐久性にも強度性にも優れしか
もスペースフアクター的に有利なキヤツプとなつ
ている。

以下、本発明によるキヤツプの一実施例を図面
について説明する。

第１〜２図は本発明によるキヤツプＡの一例を
示すもので、このキヤツプＡは、燃料の注油口を
形成するフイラーネツク１を閉塞する合成樹脂製
のキヤツプ本体２と、このキヤツプ本体２上に載
置された合成樹脂製のハンドル部材３と、前記キ
ヤツプ本体２の下端に設けられた凹所４内に嵌着
された負圧弁５と、前記キヤツプ本体２とハンド
ル部材３との間に介装された合成樹脂製の回転伝
達部材６とを有している。

このキヤツプ本体２は側面に雄ねじ部７を有
し、この雄ねじ部７はフイラーネツク１に形成し
た雌ねじ部８と螺合するものであり、この側面頂
部には該フイラーネツク１の注油口を密閉するＯ
リング９を備えてある。

一方、ハンドル部材３は前記キヤツプ本体２に
嵌合される円盤状の頂板と、この頂板に一体に立
設された回動用把手１０とからなる蓋体であり、
前記キヤツプ本体２の上部域を覆うように載置さ
れている。そして、このハンドル部材３には、頂
板から把手１０にかけて内部をくり抜いた空間部
１１が形成されており、後述する回転伝達部材６
が嵌挿されるようになつている。

本発明ではキヤツプ本体２とハンドル部材３と
の間に回転伝達部材６を設けてあるが、この回転
伝達部材６は、第３図に示すようにハンドル部材
３の前記空間部１１内に嵌挿した偏平な柱体１２
と、この柱体１２の下端に一体的に設けたクラツ
チ爪部１３とを有し、このクラツチ爪部１３は第
２図に示すように、前記空間部１１内の段部１４
とクラツチ爪部１３の頂部との間に介装された金
属製のばね部材１５により弾撥されて、第４図に
示すキヤツプ本体２の頂面に形成した係合溝１６
に係合するようになつている。このクラツチ爪部
１３および係合溝１６の形状はハンドル部材３の
一方向回転力が一定値になるとクラツチ爪部１３
と係合溝１６との係合が外れ、逆方向回転時は常
時係合するようなものとなつている。すなわち、
第３図に示すようにクラツチ爪部１３は端面１７
から下り傾斜した傾斜面１８を形成し、この傾斜
面１８の終端と反対側端面１９との間を平坦面２
０により連続したものであり、一方係合溝１６も
この爪部１３の端面形状と同形であるが、第４〜
５図に示すように、前記クラツチ爪部１３を時計
方向に回転するとき（キヤツプ締付時）に傾斜面
１８が係合溝１６側の傾斜面２１、平坦部２２お
よび垂直面２３を越えて次の溝の平坦部２２上に
落ち込み、該溝と係合するようになつている。

前記クラツチ爪部１３は中央に設けられた凹部
２４を境にして一対設けられ（第２図）、係合溝
１６は第４図に示すように、キヤツプ本体２に四
ケ所形成され、後述の負圧弁５と連通する中央通
路２５（第２図）を中心に放射状に配置されてい
る。

また、前記負圧弁５は、第２図に示すようにキ
ヤツプ本体２の下端凹所４内にに設けれており、
燃料タンク内が負圧になると開弁して大気を吸引
み、負圧を解消するようになつている。この負圧
弁５は、公知にものなので説明は省略する。

次に作用について説明する。

キヤツプＡをフイラーネツク１に取付ける場合
は、キヤツプＡをフイラーネツク１上に載置し、
ハンドル部材３の把手１０を時計方向に回動す
る。ここにおいて該把手１０の内部空間部１１に
は回転伝達部材６の柱体１２が嵌着しているた
め、前記回転は直ちに回転伝達部材６の回転とな
る。この回転伝達部材６の回転によりクラツチ爪
部１３の傾斜面１８がキヤツプ本体２側の頂部の
傾斜面２１を押圧し、キヤツプ本体２を回転す
る。この回転によりキヤツプ本体２の雄ねじ７と
フイラーネツク１の雄ねじ８が螺合し、Ｏリング
９がフイラーネツク１の注油口を密閉シールする
ことになる。

この場合、締付トルクが一定値に達するとクラ
ツチ爪部６が係合溝１６の傾斜面２１を乗り越え
て移動することになり、ハンドル部材３はカチカ
チという音を発して空転する。この音によりオペ
レータはキヤツプＡの締付力が一定値に達したこ
とを知ることができる。

本発明では、別部品の回転伝達部材６を金属ば
ね部材で押圧して、トルク制御するので従来の合
成樹脂の弾性によりトルク制御するキヤツプのよ
うに温度変化によりトルク値が変動することがな
い。又、回転伝達部材６が別部品になつているの
で、摩耗した場合に変換可能なので、キヤツプの
寿命が長い。

このキヤツプ取付完了後に燃料の使用によりタ
ンクの内圧が低下すると、負圧弁５の作用によ
り、タンク内に大気が流入し、前記負圧を解消す
ることになる。

キヤツプＡをはずす場合はハンドル部材３を反
時計方向に回転すれば、回転伝達部材６における
クラツチ爪部１３の端面１９がキヤツプ本体２の
垂直面２３に当接し、ハンドル部材３に加えた回
動力は直ちにキヤツプ本体２に伝達されキヤツプ
本体を反時計方向に回動することになる。

この際、タンクの内圧が外気温度の上昇等によ
り高圧になつていると、従来の二段爪方式のキヤ
ツプでは、高圧が一時に大気に抜け出ようとし、
キヤツプの吹き飛び、燃料の吹き返しという状態
が生ずる虞れがあつたが、本発明は、ねじ込み式
キヤツプなので、ねじの螺合を解く間に、ねじ間
の隙間よりタンク内の高圧は徐々に抜け出るよう
になるため、前述の欠点は生じない。

更に他の実施例を、第６図及び第７図ａ，ｂに
示す。この実施例は、第６図に示すように、キヤ
ツプ本体２の頂部中央に凹所４０を設け、この凹
所４０内にクラツチ爪部１３を有する偏平環状を
した回転伝達部材６を収容すると共に、底部４１
の外周部に前記クラツチ爪部１３と係合するため
の係合溝１６が複数個環状に形成されている。

そして、ハンドル部材３の中央部に形成した空
間部１１の中央には、金属板よりなり４本の脚片
４２ａを有するばね部材４２が設けられており、
このばね部材４２の上面はハンドル部材３の内面
に当接され、前記脚片４２ａは前記回転伝達部材
６に当接されている。

また前記回転伝達部材６は、第７図ａに示すよ
うに、一方側面には前記ばね部材４２の脚片４２
ａと嵌合する凹所４３が形成され、反対側面には
第７図ｂに示すように、のこば状のクラツチ爪部
１３が環状に形成されている。

したがつて、前記ばね部材４２は回転伝達部材
６を弾撥して前記クラツチ爪部１３と係合溝１６
とを所定圧で係合し、前記ハンドル部材３による
締付トルクが一定値以上になると空転し、締付力
が一定に達したことを知ることができる。

この実施例のキヤツプも前述の実施例のキヤツ
プと同様に作用する。

なお、上記二つの実施例ではいずれもキヤツプ
本体側に係合溝を形成したものであるが、該溝を
ハンドル部材側に設けクラツチ爪部をキヤツプ本
体側からこのハンドル部材側に向けて弾撥するよ
うにしてもよい。

以上述べたように本発明によれば、ハンドル部
材の回転をキヤツプ本体側に伝達するのに回転伝
達部材を介して行なうようにするとともにこの回
転伝達部材を金属製のばね材を用い押圧力を付与
してトルク制御を行なつているので、従来のねじ
込み式キヤツプのように合成樹脂の弾性によりト
ルク制御を行なわず、したがつて、温度変化によ
りトルク値が変動することはない。

又、回転伝達部材、クラツチ爪部及び係合溝か
らなるトルク制御機構をキヤツプの中央部に設け
たので、従来のトルク制御機構をキヤツプの外周
部に設けたキヤツプのように、キヤツプが大型に
なることがなく、スペースフアクター的にも有利
なコンパクトなキヤツプとすることができる。

更に、回転制御部材を別部品としたので、キヤ
ツプ本体に直接爪材を設け、蓋体にその係合部を
設けた従来のキヤツプと異なり、爪材を有する回
転制御部材が摩耗した場合、その変換が可能であ
り、無駄がなくキヤツプ寿命が長い。

上述のように本発明は、種々の優れた効果を有
し、実用上きわめて有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるキヤツプの平面図、第２
図は第１図の−線に沿う矢視縦断面図、第３
図は第２図の−線に沿う矢視断面相当図、第
４図はキヤツプ本体の平面図、第５図は第４図の
−線に沿う矢視縦断面図、第６図は本発明に
係る他の実施例を示す燃料タンク用キヤツプの断
面図、第７図ａ，ｂは同実施例の回転伝達部材を
示す平面図および底面図、第８図は従来のキヤツ
プの一例を示す縦断面図である。 Ａ……キヤツプ、１……フイラーネツク、２…
…キヤツプ本体、３……ハンドル部材、６……回
転伝達部材、７……雄ねじ、８……雌ねじ、１０
……把手、１１……空間部、１２……柱体、１３
……クラツチ爪部、１５，４２……ばね部材、１
６……係合溝、１７，１９……端面、１８，２１
……傾斜面、２０，２２……平坦面、２３……垂
直面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 注油口を形成するフイラーネツクを閉塞する
   ように螺合されるキヤツプ本体上にハンドル部材
   を回動自在に載置した燃料タンク用キヤツプにお
   いて、前記ハンドル部材とキヤツプ本体との間の
   中央位置に、上下方向摺動可能でかつ金属のばね
   部材によりキヤツプ本体側又はハンドル部材側の
   いずれか一方に向つて弾撥せしめられてなる回動
   伝達部材を設け、この回転伝達部材の一端にクラ
   ツチ爪部を設けるとともに該クラツチ爪部が係合
   する係合溝を前記キヤツプ本体又はハンドル部材
   のいずれか一方に形成し、前記ハンドル部材の一
   方向回転力が一定値になるとクラツチ爪部と係合
   溝との係合が外れ、逆方向回転時は常時係合する
   ようにしたことを特徴とする燃料タンク用キヤツ
   プ。 ２ 前記キヤツプ本体、ハンドル部材および回転
   伝達部材を合成樹脂製としたことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項に記載の燃料タンク用キヤツ
   プ。