JPS6128949Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、地下水位が高いかまたは雨水の地下
滲透が緩慢な農地等に埋設する暗渠排水管のスリ
ーブ継手に関する。

従来、暗渠排水管としては、土管、陶管、合成
樹脂製パイプ等が使用され、農地に掘削した溝に
その排水管を、互いに端面を突き合せて埋設し、
地下水が各排水管の管壁外周面を伝つて突き合せ
た両端面の隙間から管内に吸水され排水路へ送水
されるものである。

したがつて上記両端面が密着しその隙間が狭狭
すぎると吸水効果が著しく低下し、またその隙間
が広すぎると土砂が流入して詰まるという欠点が
ある。

このため、上記両端面の隙間を適正に保持して
おく必要があるが、各排水管は互いの端面を突き
合せているだけであるために、埋め戻しの際にず
れたり、埋設後にトラクターの走行あるいは不等
沈下等によりずれてしまい、上記適正な隙間を保
持しておくことが困難であつた。

本考案の目的は、上記従来の欠点を一挙に解消
し、各排水管の両端に適正な隙間を保持し、所期
の吸水効果を長年にわたつて維持できる暗渠排水
管スリーブ継手を提供することにある。

本考案は、接続しようとする暗渠排水管の外周
に嵌合する合成樹脂製の筒体の中央部分に環状の
蛇腹部を設けてこの部分で撓むようにするととも
に、その両側内周面には上記外周に係合してこれ
ら内周面と外周の間に隙間を保持させる突起を設
け、この隙間から吸水するようにしたものであ
る。

以下には図示の実施例について説明する。

１は暗渠排水路たる土管で、それは、長さ45
cm、直径６cm、両端が同径の直管形をなし両端面
２，２が管軸に直角な平面になつている。そし
て、管壁外周面３には、凹部たる細溝４を16本互
いに等間隔で管軸方向に螺旋状に形成している。

上記細溝４は巾３〜５mmの縦断面短形をなし、
両端面２，２間において約2/3回転分旋回してい
て、それぞれの両端を両端面２，２に開口させて
いる。

５は合成樹脂製の筒体で、それは、長さ６〜８
cm、内径が前記土管１の外径より僅かに大きく、
中央部分に蛇腹部６を環状に設け、両端部の内周
面に突起７をそれぞれ４個ずつ互いに等しい間隔
をあけて環状に配置し本考案スリーブ継手を一体
に成形している。

上記突起７は前記細溝４に密嵌する厚さの側面
略半円形をなす板状で長手方向の軸線を筒体５の
軸線に一致させている。

しかして、上記土管１の一端を筒体５の一側開
口にあてがい、各突起７の先端部分を対応する細
溝４に係合させてこの土管１を旋回させ突起６を
細溝４に沿つて滑らせるようにしながら筒体５の
蛇腹部６のところまで挿入し、もう一本の土管１
を上記筒体５の他側開口から上記土管１と同じ要
領でこの筒体５の蛇腹部６のところまで挿入する
ことにより、土管１，１を、両端面２，２が所要
の間隔をあけて対向し、管壁外周面３と筒体５の
間に隙間があいた状態に接続する（第４，５
図）。

かくして接続された土管１，１は細溝４に突起
７の先端部分が係合し、かつ突起７の軸線に対し
細溝４が斜交しているので、土管１，１を旋回さ
せることなく管軸方向に真直ぐ押したり引いたり
したときには、各突起７が細溝４に引つ掛かつた
ようになつて係止されることにより、位置がずれ
たり抜けたりしないものである。

そこで、農地に掘削した溝に上記土管１を所要
本数筒体５により接続して埋設する際に、例えば
作業者が中腰の状態で土管１を筒体５によつて順
次接続しながら既に接続された部分を溝内に配置
していくと、作業者が持つているところと溝内に
配置されているところとの間の部分はその各土管
１を接続している筒体５の蛇腹部６が撓むことに
より、該部分全体が略弧状に撓み、筒体５が折損
したり土管１が抜けたりすることなく、土管１の
接続と溝内への配管作業を連続してできる。

かくして、土管１が埋設されると、地下水が各
土管１の管壁外周面３及び細溝４の内面を伝つて
対向させた両端面２，２の隙間から土管１内に吸
水され排水路へ送水される。

この場合、各細溝４は巾狭でかつ螺旋状になつ
ているから、その各細溝には土が詰まりにくく土
との間に適度の隙間が保持され、該細溝内面を伝
つて下方に集水されて直接両端面２，２の隙間に
吸水されあるいは管壁の下周部分に集水されて溜
まり、該下周部分を伝つて両端面２，２の隙間に
吸水されるので、仮に管壁外周面３が土に密着し
た後にも、各細溝４により所要の吸水効果を長年
にわたり保持することができる。

また、上記両端面２，２の隙間は筒体５により
被覆されているので、ここに土が詰まつて吸水に
支障を来たすことがないとともに、埋め戻しの際
あるいは埋設後に土管１，１に外力が作用する場
合には、この土管１を旋回させつつ管軸方向に押
したり引くように作用することは実際上あり得
ず、単に管軸方向に押したり引くように外力が作
用するもので、このときには前述の如く突起７が
細溝４に係合して係止されるので、不用意に抜け
たり両端面２，２が密着して吸水に支障を来たす
ことがなく、所要の吸水効果を長年にわたり保持
することがでできる。

各土管１が不等沈下等により多少ずれたとき
に、その分筒体１の蛇腹部６が撓むことにより、
この筒体１の折損を防止できる。

次に第６図は本考案スリーブ継手の他の例を示
し、それは、前記実施例のものとは、筒体８の蛇
腹部９の左右部分９′，９″がこの筒体８に挿入し
た土管１，１の端面２，２に当接するところまで
内側に突出していることにおいて相違するがその
他の構成は同じである。

しかして、上記筒体８に土管１を挿入するとき
には、端面２が蛇腹部９の左部分９′あるいは右
部分９″に当接してそれ以上挿入できなくなるこ
とにより、自動的に端面２，２同士を所定の隙間
をあけて対向する状態に設定できる。

なお、上記実施例では、筒体の内周面に側面半
円形の板状の突起を４個ずつ設けた場合について
説明したが、これに限らず１〜３個あるいは５個
以上にしてもよく、またビン形、三角形、台形等
要するに凹部に係合し得る形状のものであればよ
く、すなわち、上記凹部は前記実施例の螺旋状の
凹溝に限らず、環状の細溝並びに短形、円形等の
孔あるいは窪み等でもよく、例えば、凹部たる環
状の細溝に筒体に設けたピン形の突起をこの筒体
の弾性を利用して強制的に係合させて係止するよ
うにしてもよい。

以上述べたところから明らかなように本考案に
よれば、筒体の内周面に設けた突起を、暗渠排水
管の外周に設けた凹溝に係止して強固に接続でき
るから、埋め戻しの際あるいは埋設後に暗渠排水
管が不用意に抜けたり、位置がずれて両端面が密
着し吸水効果が著しく低下したりすることがない
とともに、上記凹部に係止した突起により筒体の
内周面と暗渠排水管の外周の間に隙間が保持さ
れ、かつ暗渠排水管同士の両端面間の隙間は筒体
で被覆されているから、ここに土が詰まつて吸水
に支障を来たすことがなく、所要の吸水効果を長
年にわたり保持できる。

また、筒体の中央部分に蛇腹部を設け、この部
分で撓むようにしたから、土管の接続作業中にあ
るいは埋設後に各土管が屈折する状態になつたと
きに蛇腹部が撓むことにより折損を防止できるも
のである。

さらに、合成樹脂製なので、水分の多い処に埋
設しても腐食するおそれがなく耐久性に富み経済
的であるとともに、特に筒体の中央部に蛇腹部を
設けるとともに、その両側内周面に突起を設ける
簡単な構成にしたので製造も容易で安価に提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１，２図は接
続しようとする暗渠排水管たる土管の正面図及び
縦断面図、第３図は本考案継手の一部を切欠して
示した正面図、第４図は上記土管を接続した状態
を一部を切欠して示した正面図、第５図は第４図
−線端面図、第６図は他の例を一部を切欠し
て示した正面図である。 １……暗渠排水管たる土管、５，８……筒体、
６，９……蛇腹部、７……突起、４……凹部たる
細溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 暗渠排水管の外周に嵌合する合成樹脂製の筒体
   の中央部分に環状の蛇腹部を設けるとともに、そ
   の両側内周面には上記外周に設けた凹部に係合し
   てこれら内周面と外周の間に隙間を保持させる突
   起を設けてなることを特徴とする暗渠排水管のス
   リーブ継手。