JPS6128521Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関における燃焼室内圧力が
危険な限界圧力に達すると逃圧せしめるためのシ
リンダ安全弁に関するものである。

従来、大形内燃機関のシリンダカバーＣには、
第１〜２図に示すように、シリンダ安全弁Ａ、燃
焼圧力を採取するための指圧器弁Ｂ、燃料噴射弁
Ｆ、始動弁Ｓ等が取付けられており、シリンダジ
ヤケツトＪに嵌入されたシリンダＤの上端に取付
ボルトＥにより取付けられている。そして、シリ
ンダ安全弁Ａは、シリンダＤにあけられたピスト
ンＰ上部の燃焼室Ｇとの貫通孔Ｈに全体がおさめ
られており、燃焼室Ｇの圧力が危険な限界値に達
すると弁が開いて逃圧孔Ｋから逃圧するようにな
つている。また、指圧器弁Ｂは、シリンダカバー
Ｃにあけられた燃焼室Ｇと連通する貫通孔Ｌに嵌
入せられた弁取付台管Ｍの上端に取付けられ、常
時操作されるためシリンダカバーＣの上方に位置
せられている。そして、この指圧器弁Ｂには、そ
の指圧器取付部Ｂ１に指圧器（図示省略）を取付
け、ハンドルＢ２をまわして開弁し、燃焼圧力を
採取するようになつており、機関のターニング時
にも開弁してシリンダ内圧縮圧力を逃がし、ター
ニングが軽くなるようにすべく利用される。

ところで、従来のシリンダ安全弁Ａは、その全
体がシリンダカバーＣの貫通孔Ｈにおさめられて
いるために大きな孔Ｈを必要とし、さらに逃圧孔
Ｋを設けなければならず、そのうえ指圧器弁Ｂ取
付台管Ｍを嵌入する貫通孔Ｌ等をも設けるため
に、シリンダカバーの剛性を低下せしめるという
問題があつた。

この考案は、上述のような事情に鑑み、シリン
ダカバーの剛性の増大を図りかつ機械加工費の低
減を図りうる指圧器弁付シリンダ安全弁を得るこ
とを目的とするものである。

そして、この考案の特徴とするところは、弁体
に燃焼室と常に連通する指圧ガス導出孔を設ける
と共に、この指圧ガス導出孔の外端に指圧器弁の
弁座をこれと連通するように取付けた点にある。

以下、この考案の実施例を第３図に基づいて詳
細に説明する。

第３図において、１は弁本体で、管状ケーシン
グ１Ａの下端に方形状の取付フランジ１Ｂが設け
られ、内面上下部にはめねじ部１Ｃ，１Ｄが設け
られている。２は弁座で、その中央にはガス導通
孔３が上下方向に貫通状に設けられると共にガス
導通孔３の外側にはこれと平行なガス放出路４が
複数個貫通状に設けられ、ガス導通孔３の上端開
口に弁体当接面２Ａが形成されている。そして、
この弁座２の外周にはねじ部２Ｂが設けられ、ま
た弁座２の下面の突出部外周には回動用ナツト部
２Ｃが形成されており、前記ねじ部２Ｂが弁本体
下部めねじ部１Ｄにねじ込まれている。

なお、弁座２のガス導通孔３の大きさは、シリ
ンダカバーＣの貫通孔Ｌに嵌入された弁取付台管
Ｍのガス導通孔Ｎの直径と等しくせられている。
また、弁座下面２Ｄは直接またはガスケツト（図
示省略）等を介して弁取付台管Ｍの上端面Ｍ１に
当接せられ、両ガス導通孔Ｎ３が連通されてい
る。さらに、弁座下面２Ｄと弁取付台管上端面Ｍ
１との圧着は、弁本体フランジ１Ｂを取付ボルト
５およびナツト６によりシリンダカバーＣに締付
けることによつて行なわれる。

７は弁体で、前記弁本体１の管状ケーシング１
Ａ内の下部に上下摺動可能に嵌入されており、そ
の上面には凹陥部７Ａが、また下面には弁座２へ
の当接面７Ｂを有する突起７Ｃが設けられてい
る。この弁体７には、突起７Ｃの下面７Ｄ中央か
ら外側周面７Ｅに貫通する指圧ガス導出孔８が設
けられている。そしてこの弁体外側周面７Ｅには
指圧ガス導出孔８と同心状の指圧器弁弁座取付用
ねじ孔９が設けられており、このねじ孔９に対応
する前記管状ケーシング１Ａに指圧器弁弁座貫通
用開口１０が設けられている。

１１は圧力設定用のばね、１２はばね受でこれ
らは管状ケーシング１Ａ内の弁体７上に嵌入され
ており、管状ケーシング１Ａの上端めねじ部１Ｃ
にねじ嵌められた圧力調整ねじ１３により下方に
押圧されている。ばね受１２の下面には突起１２
Ａが設けられ、この突起１２Ａが前記弁体７の凹
陥部７Ａに嵌められ、突起下端面が弁体７の凹陥
部７Ａ内上面に当接せしめられている。

１４は圧力調整リングで、弁本体管状ケーシン
グ１Ａ上端と圧力調整ねじ１３の鍔部１３Ａの間
に取替自在に嵌められている。

Ｂは指圧器弁で、広く一般に利用されているも
のであるが、特に弁座１５の外端部が短かくせら
れ、かつねじ部１６が設けられて、このねじ部１
６を前記弁体７のねじ孔９にねじ込んで指圧器弁
Ｂを取付けるようにしてある。

したがつて、指圧器弁Ｂについては、その部品
名を列記するにとどめ、詳細説明は省略する。

１７は指圧器弁本体、１８はスピンドル、１９
はハンドル、２０はばね受、２１はばね、２２は
ばねケース、２３は指圧器取付部材、２４はナツ
ト、２５は指圧器取付部、２６はキヤツプであ
る。

なお、前記管状ケーシング１Ａの指圧器弁弁座
貫通用開口１０は、弁体７の上下方向摺動を規制
しないよう少くとも弁体ストロークよりも大きい
長孔としてある。

この考案にかかるシリンダ安全弁によれば、シ
リンダカバーＣの外側に安全弁Ａが装着され、こ
の安全弁Ａに指圧器弁Ｂが取付けられているの
で、シリンダＤ内の燃焼室Ｇと指圧器弁Ｂのスピ
ンドル１８下面とはガス導通孔Ｎ３および指圧ガ
ス導出孔８、弁座１５のガス通路１５Ａにより連
通されている。そしてこの指圧器弁Ｂは、通常閉
じられているので、安全弁Ａの受圧面積はガス導
通孔３の断面積となつている。したがつて、シリ
ンダ燃焼室Ｇ内の燃焼圧力が安全弁Ａの設定圧力
に達すると、安全弁弁体７は指圧器弁Ｂと共に押
し上げられ、燃焼ガスが弁体７と弁座２との空間
を経て弁座２のガス放出路４を通り大気中に放出
される。

そこで、燃焼ガス圧力を測定する場合は、指圧
器（図示せず）を、指圧器取付部２５に取付け、
ハンドル１９を操作してスピンドル１８を後退さ
せ、開弁することによつて、安全弁Ａの機能を阻
害することなく独立して計測ができる。

なお、この考案の実施例では、ガス放出路４が
弁座２に設けられているが、弁本体あるいは弁体
７に設けてもよい。

この考案は、上述のような構成であるから、安
全弁ＡをシリンダカバーＣの従来の指圧器弁取付
台管Ｍに装着でき、シリンダカバーＣには従来の
安全弁用貫通孔Ｈおよび逃圧孔Ｋを設けなくても
よいのでシリンダカバーの剛性を増大せしめるこ
とができると共に、機械加工工数の節減を図るこ
とができ、そのうえ、安全弁の取付ならびに調整
が容易であるなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内燃機関のシリンダカバーへの
安全弁等の取付状態の概略を示す平面図、第２図
は第１図のＡ−Ａ縦断面部分図、第３図は考案の
実施例構造を示す中央縦断面図である。 Ａ……シリンダ安全弁、Ｂ……指圧器弁、Ｃ…
…シリンダカバー、Ｍ……弁取付台管、１……弁
本体、１Ａ……管状ケーシング、１Ｄ……めねじ
部、２……弁座、２Ａ……弁体当接面、２Ｂ……
ねじ部、３……ガス導通孔、４……ガス放出路、
７……弁体、８……指圧ガス導出孔、９……指圧
器弁弁座取付用ねじ孔、１０……指圧器弁弁座貫
通用開口、１１……圧力設定用ばね、１５……指
圧器弁弁座。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関のシリンダカバーに取付けられた弁取
   付台管と連接される弁座をその下端に螺嵌した弁
   本体内に、前記弁座にばねにより押圧される弁体
   が嵌入され、弁座には弁体との間に形成される空
   間と大気側とを連通するガス放出路が設けられ、
   前記弁体にはその下面中央から側面に至る指圧ガ
   ス導出孔が設けられると共に、この弁体側面には
   指圧器弁の弁座が弁本体側壁に設けた開口を貫通
   し、かつ前記指圧ガス導出孔と連通されるように
   取付けられている内燃機関用指圧器弁付シリンダ
   安全弁。