JPS6124900Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は被測定体の表面から放出される熱放
射を計測することにより被測定体の温度を測定す
る放射温度計に関するものである。

この種の放射温度計は非接触方式による温度測
定を可能とするため、極めて応用範囲が広く、高
温炉等、苛酷な環境下で使用される温度計として
数多く用いられている。ところがこうした放射温
度計は熱放射を計測媒体とするため例えば被測定
体と検出素子との間に配設されるレンズに汚れが
生じた場合等、熱放射エネルギーの伝搬経路に何
らかの障害が存在する場合にはそのまま測定誤差
となつて現われるという問題点があり、特に苛酷
な環境下で使用されるものにおいてはその対策が
重要なポイントとなつている。

この考案は以上のような点に鑑み、放射温度計
における対物レンズの前面に密蔽式の開閉扉を設
けると共に、この開閉扉の開閉操作と引金操作と
を連動させる構成とすることにより、熱放射エネ
ルギーの伝搬経路に汚れ等の障害物が生ずること
を防止することができ且つ、取り扱いが容易な放
射温度計を提供することを目的とするものであ
る。

次に、この考案に係る放射温度計の実施例を図
面について説明する。

図中１はポータブル型の放射温度計で、該温度
計１は、略円筒形状とされる温度計本体２にグリ
ツプ３が形成されており、上記温度計本体２の前
部にはフード４が一体に形成され、このフード４
と本体２との接合位置に本体２と略密着状に開閉
する密蔽式の開閉扉５が設けられている。上記本
体２内における開閉扉５の内側位置には対物レン
ズ６が取り付けられており、この対物レンズ６と
開閉扉５とを結ぶ一直線上における対物レンズ６
の後方位置にハーフミラー７が取り付けられてい
る。このハーフミラー７の上部位置には熱電変換
素子等の検出素子８が取り付けられており、該検
出素子８にハーフミラー７の反射光が加えられる
ようにそのハーフミラー７の取付角度が適宜設定
されている。また本体２の後端部２ａにはハーフ
ミラー７の透過光を受ける接眼レンズ９が取り付
けられており、この接眼レンズ９が取り付けられ
ている後端部２ａには更に目盛読取窓１０が形成
されている。この読取窓１０に近接して本体２の
内部側に表示装置としての目盛盤１１及び指針１
２が設けられており、この指針１２は指針駆動装
置１３に取り付けられ、前記検出素子８の検出値
に応じて駆動せしめられる構成とされている。更
に、この指針１２の可動範囲全体において該指針
１２と当接し得る指針固定板１４が、指針１２の
後部に取り付けられており、この指針固定板１４
は該固定板１４と一体とされる板状スプリング１
４ａにより通常指針１２側、即ち前方に附勢せし
められている。一方、前記グリツプ３には引金１
５が設けられており、この引金１５は該引金１５
の背部に取り付けられている主スプリング１６に
より通常前方に附勢されている。この引金１５の
内部側上部には接続ブロツク１５ａが形成されて
り、このブロツク１５内には連結杆１７の一端が
遊挿され、該連結杆１７とブロツク１５とは結合
スプリング１８を介して接続されている。上記連
結杆１７の他端は前記開閉扉５の開閉操作杆２２
に接続されており、この操作杆２２は上記連結杆
１７の前後動に連動して開閉扉５の開閉操作を行
うリンク機構とされている。また上記連結杆１７
の一部にはストツパー係合片１９が形成されてお
り、本体２側にはこの係合片１９と係合されるス
トツパーブロツク２０が形成され、このブロツク
２０と上記係合片１９との間の幅Ｗは上記開閉扉
５の閉鎖状態から開放状態までに必要な連結杆１
７の移動量と一致せしめられている。一方前記接
続ブロツク１５ａの後端部には該ブロツク１５ａ
と一体に固定板操作片２１が形成されており、こ
の固定板操作片２１は前記指針固定板１４の付近
まで延出されて接続ブロツク１５ａがＷ間隔移動
した際に該操作片２１の先端２１ａと固定板１４
とが当接されるように形成されている。また上記
接続ブロツク１５ａの後部位置には電源操作マイ
クロスイツチ２６が設けられており、このマイク
ロスイツチ２６は接続ブロツク１５ａがＷ間隔移
動した際に該マイクロスイツチ２６のアクチユエ
ータ２６ａが押圧操作せしめられる位置に取り付
けられている。

以上の構成による放射温度計１の作用を以下に
説明する。まず、この温度計１を被測定体に向け
て、引金１５を引くと、連結杆１７及び操作杆２
２を介して開閉扉５が開放せしめられる。こうし
て被測定体からの熱放射エネルギーが光等の電磁
波として対物レンズ６、ハーフミラー７、及び接
眼レンズ９を介して観測され、ここでふたたび被
測定体の目的の箇所に照準を合せて、更に引金１
５を引くと、連結杆１７はストツパー１９，２０
の係合により停止するが結合スプリング１８の圧
縮により接続ブロツク１５は更に後方に移動せし
められる。この接続ブロツクの移動により固定板
１４は操作片２１に押圧されて後方に移動せしめ
られ、これにより指針１２はフリーの状態となる
と共に、マイクロスイツチ２６のアクチユエータ
２６ａが押圧操作されて、電源が投入される。

こうして指針１２がフリーの状態とされ、電源
が投入されると検出素子８により検出された検出
信号に応じて該指針１２は駆動装置１３により駆
動され、被測定体の温度を指示することになる。
次に引金１５を離すと、該引金１５は接続ブロツ
ク１５ａと共に主スプリング１６により元の状態
にもどされ、ふたたび指針固定板１４が指針１２
を押圧固定し、今、計測した測定値がホールドさ
れることになる。また開閉扉５においても連結杆
１７が押し戻されるのでふたたび閉鎖状態とな
り、対物レンズ６等内装部品が汚れ等から保護さ
れることになる。

第４図は上記指針１２の指示値をホールドさせ
る機構を電気的に行つた場合の実施例を示すもの
であり、上述した実施例と同様に開閉扉５、対物
レンズ６及び検出素子８を有しており、この検出
素子８からの検出信号はホールドアンプ２３に加
えられていると共に、このホールドアンプ２３に
は上記開閉扉５の開閉状態を検出するマイクロス
イツチ２４からのON・OFF信号が加えられてい
る。更に、開閉扉５の閉鎖状態を検出する電源操
作マイクロスイツチ２６が設けられており、この
マイクロスイツチ２６は電源回路２７に接続され
ている。

然して、開閉扉５が開放されると同時に電源操
作マイクロスイツチ２６がONせしめられて電源
が投入され、更に、開閉扉５が完全に開放状態と
されるとマイクロスイツチ２４がONとされ、ホ
ールドアンプ２３のホールド機能が停止せしめら
れて検出素子８による検出値が指示計２５に表示
せしめられる。次に、開閉扉５が閉鎖操作される
と、閉鎖される直前にマイクロスイツチ２４が
OFFとされ、ホールドアンプ２３のホールド機
能が動作せしめられて、現在指示していた指示計
２５の指示値がそのまま保持されることになる。

以上説明したように、この考案によれば、放射
温度計における対物レンズの前面に密蔽式の開閉
扉を設けると共に、この開閉扉の開閉操作と引金
操作とを連動させる構成としたので対物レンズ等
の熱放射エネルギーの伝搬経路が開閉扉により保
護され、汚れ等の障害物が生ずることが防止され
る効果があり、苛酷な環境下においても十分な精
度を保つて使用することができる効果がある。

また、この考案において開閉扉の開閉操作と電
源の操作とを連動させる構成とすれば計測操作に
必要な手数を増加させることがない効果があり、
電池等の電源の消耗も防げ、また、ホールド手段
により測定値のホールドも行うようにしているの
で、測定値の確認が容易で、それだけ取い扱いが
容易なものとされる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る放射温度計の一実施例
を示す機構説明図、第２図は同本体の後端部にお
ける形状を示す後端面図、第３図は開閉扉の機構
を示す説明図、第４図はホールド機構を電気的に
行つた場合の他の実施例を示すブロツク図であ
る。 １……放射温度計、２……本体、５……開閉
扉、６……対物レンズ、８……検出素子、１１，
１２……表示装置としての目盛盤と指針、１５…
…引金、２３……ホールドアンプ、２５……表示
装置、２６……電源操作スイツチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被測定体からの放射エネルギーを集束させる光
   学系と、この光学系により集束された放射エネル
   ギーを検出する素子と、この検出素子により検出
   された検出値を表示させる表示装置と、上記光学
   系の前面に設けられた密蔽式の開閉扉と、引金を
   引くことにより連結手段を介し開閉扉を開とする
   引金手段と、この引金手段を引くことによりオン
   とされて電源回路の電源を投入する電源スイツチ
   と、引金手段を引くことによりホールドが解除さ
   れ検出素子の検出値を表示装置に表示させるとと
   もに引金を離すことにより検出値をホールドして
   表示装置に表示させるホールド手段とを備えたこ
   とを特徴とする放射温度計。