JPS6124555B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、互に噛み合う一対のスクリユーロー
タ室の内で回転せしめて気体を圧縮するスクリユ
ー圧縮機に関するものである。

従来この種のスクリユー圧縮機において、ロー
タ作用空間に液体噴射を行なう型式のものでは、
おす・めすロータの軸受への給油は、吐出配管中
の油分離器で分離した油を高低圧差を利用して給
油する方法か、又は油ポンプを使つて強制給油す
る方法にて行われていてその圧力は吐出圧力前後
の値である。この軸受に給油される油は軸受を潤
滑、冷却し、通路を介して低圧通路又か、ロータ
の作用空間に戻され、作用流体といつしよに圧縮
機より吐出され油分離器で分離回収し再循環利用
される。

軸受への給油通路と端壁との間の部分は、軸と
軸受部分、又は軸とケーシング部分は運転上可能
な小さな隙間で限定されていて漏洩を小さなもの
としている。然しこの小さな隙間も軸の外周部分
全てに長くある為、この隙間は実際上かなりの面
積を有している。ロータ軸とつけ根部分は応力集
中をさける為、かどは丸みをつけており軸受又は
ケーシングはこの丸み部分から運転上接触をさけ
る為出来るだけ小さな逃げとしているがこの部分
も実際上かなりの隙間を有する。ロータ端と端壁
とは運転上接触しない範囲の小さな隙間で限定さ
れていて、ロータ作用空間の洩れを小さくしてい
るが、やはり隙間が長くある為実際上はかなりの
吸入口と連通する面積を有する。従つて吐出圧力
前後の給油圧力で軸受に給油された油はかなりの
量が軸の封鎖部分より洩れる。

一方、スクリユーの吐出側端面において（参考
のため第２図参照。第２図は後述の如く吸入側端
面の形状であるが、吐出側端面も同様な形状であ
る）、ロータ室内面とロータ表面との間の空間の
うち面積にて通常約40％程度は吸入口と連通して
いる。しかして、前述の軸の封鎖部分は、第２図
のハツチングで示した軸断面の外周部分にあり、
ロータの溝底よりかなり内側にあるので、軸の封
鎖部分から洩れた油はロータ作用空間の密封作用
をすることなくロータ室内面とロータ表面との間
の空間に流れ込み、その油の一部は吸入口に連通
する低圧側の吸入口閉じ込み前のロータ作用空間
に漏洩する。

この漏洩した油は温度が約45〜65℃と高く吸入
側作用流体を加熱し体積効率を低下させる。また
洩れ込んだ油自身の体積により圧縮機の有効吸入
量の低下を起こす。又特に冷媒にR12，R22等を
使用した冷凍機においては油中に15〜40重量％の
冷媒が溶解して油中の冷媒が気化してその容積が
数十倍以上となり、圧縮機の有効吸入量をかなり
低下させる。

従来のスクリユー圧縮機においては、ロータ作
用空間の気体が軸受室の空間に漏洩することを防
ぐために種々の構成が考えられているが、何れも
軸受に供給された給油が逆にロータ作用空間に流
入することを防ぐことは考慮されておらず効果が
殆んどなく、上述の如き欠点を伴なうものであつ
た。

本発明は、軸受の給油口とロータのスクリユー
部との間に環状減圧室を設けることにより、従来
のものの上記の欠点を除き、軸受になされた給油
が、直接漏洩してロータ室内の吸入口に連通する
空間に流入することを防ぎ、吸入側流体の加熱に
よる効率低下や、特に冷凍機に用いる場合の如く
油中に溶解し易い冷媒を用いた場合における冷媒
気化による吸入側の有効吸入量の低下などを防ぐ
ことができる、高性能の信頼性の高いスクリユー
圧縮機を提供することを目的とするものである。

本発明は、相互に噛み合うスクリユー凸条とス
クリユー凹条とをそれぞれ有し、二本の軸をそれ
ぞれ中心軸として回転可能に、ケーシングのロー
タ室の中に配備されたおすロータと、めすロータ
とを備え、該ロータ室の一端側に吸入口を、他の
一端側に吐出口を備えたスクリユー圧縮機におい
て、前記おすロータ及びめすロータのスクリユー
部に隣接した軸頚部が軸受部にて支えられ、該軸
受部に潤滑油の給油口が軸受給油口として開口
し、該軸受給油口と前記スクリユー部との間に、
前記軸頚部の一部の外周を取り巻く環状減圧室を
設け、該環状減圧室と、前記ロータ室の内面の吸
入口閉じ込み後のロータ作用空間に開口するロー
タ室給油口とを連通する連通路を備え、前記環状
減圧室に導かれた潤滑油を該連通路に逃すように
したことを特徴とするスクリユー圧縮機である。

本発明を実施例につき図面を用いて説明すれ
ば、第１図ないし第３図において、おすロータは
スクリユー凸条２５を有するスクリユー部、その
スクリユー部に隣接する軸頚５５，５７．５８及
び軸端部５９より成り、めすロータはスクリユー
凹条２６，凸条２８を有するスクリユー部及び軸
頚５６の他は図示されてはいないがおすロータの
軸頚５５，５７，５８に相当する部分より成る。
めすロータにはおすロータの軸端部５９に相当す
る部分はない。

１はケーシングであり内部のロータ室にはおす
ロータとめすロータのスクリユー部を収容する。
ケーシング１の吸入側にはジヤーナル軸受４９が
設けられ軸頚５５を支え（めすロータも同様）、
ケーシング１の吐出側には端板４が設けられ、ジ
ヤーナル軸受５１とスラスト玉軸受５０が備えら
れ軸頚５７，５８（めすロータも同様）を支えて
いる。ロータ室は一端に吸入口３を、他端に吐出
口２を有する。

ジヤーナル軸受４９，５１に対する給油は、入
口７３，７４より、通路６５，６６を経て軸受給
油口７１，７２より潤滑油を供給して行なわれ
る。６７，６８は圧力ダムである。

軸受給油口７１，７２とスクリユー部との間に
は、軸頚５５，５７の一部の外周を取り巻く溝状
の環状減圧室８２，８４が設けられている。環状
減圧室８２，８４の両脇は、ジヤーナル軸受４
９，５１と軸頚５５，５７との間には円滑な回転
を許すための僅かな隙間７８，８０が設けられて
いる。７５，７６は同じく回転を許すための僅か
な隙間であるが、スラスト玉軸受５０のために必
要な量の潤滑油の流出も許す。

環状減圧室８２，８４の上部には連通路８６，
８８が設けられポケツト部８７，８９に連通して
いる。ポケツト部８７，８９からはさらに連通路
７７，９３が接続して合流し、ケーシング１のロ
ータ室内面に開口するロータ室給油口９０に連通
する。ロータ室給油口９０は、ロータ作用空間の
うち、吸入口３に通ずる空間には連通しない位
置、即ち、吸入口３閉じ込み後のロータ作用空間
にのみ通ずるような位置に設けられている。

６は端壁、１２，１３はロータ作用空間であ
る。

作用、効果につき説明すれば、入口７３，７４
から適当な圧力（例えば吐出圧が十数Kg／cm²程度
なら、それより少し高い程度）にて潤滑油を供給
している状態で、軸端部５９を外部より駆動して
おすロータを回転せしめれば、スクリユー凸条２
５とスクリユー凹条２６との噛み合いによりロー
タも回転せしめられ、吸入口より作用気体を吸入
し、ロータの回転につれて作用空間が閉じ込めら
れ、さらに圧縮さらに吐出口２から高圧気体が吐
出される。

この際の潤滑油は、例えば吐出側のジヤーナル
軸受５１につき見れば、軸受給油口７２より供給
された潤滑油は圧力ダム６７内に貯留され軸頚５
７の回転により潤滑及び冷却が行なわれる。

隙間７６から漏れた油はスラスト玉軸受５０を
通りこれを潤滑、冷却しポケツト部８９に入る。
一方隙間８０からも油が漏れ、ロータ室に入ろう
とするが、途中に環状減圧室８４が設けられ、軸
受給油口７２から出て、狭い隙間８０を通過して
この環状減圧室８４に入つた油は減圧される。例
えば、吸込圧４〜５Kg／cm²、吐出圧十数Kg／cm²程
度の圧縮機の場合で、吸込圧よりも１〜３Kg／cm²
程度高い程度の圧力まで減圧される。減圧された
油は通連路８８によりポケツト部８９に導かれ
る。この場合減圧することによつて環状減圧室８
４の中では油中に溶解していたフレオン冷媒など
が蒸発するが、連通路８８が環状減圧室８４の上
部に接続しているので、発生した気体は直ちに上
方に逃げて連通路８８に入り、環状減圧室８４の
中及び隙間８０の中には気体の含有量の少ない粘
度の大なる油が充満し、その油の残部は連通路８
８に逃げ、環状減圧室８４とロータ室との間は実
質的に遮断される。

ポケツト部８９に入つた油は連通路９３を経て
ロータ室給油口９０より吸入口閉じ込み後のロー
タ作用空間に噴出され、ロータ相互及びロータと
ロータ室内面との間の潤滑、密閉、冷却を行な
い、吐出口２より高圧気体と共に吐出される。

冷媒を扱わないスクリユー圧縮機の場合でも、
潤滑油が環状減圧室８４からロータ室に流入せぬ
ように、ロータ室に通ずる隙間を極めて小となし
て油を連通路の方に逃すようにして、環状減圧室
８４とロータ室との間を実質的に遮断して潤滑油
が直接ロータ室に入るのを防ぐことができる。ロ
ータ室給油口９０の位置は、閉じ込みロータ作用
空間の圧力が、連通路７７又は９３内の油の圧力
よりも低くなるような範囲に選ぶ。

吸入側のジヤーナル軸受４９に対する給油につ
いても同様である。

本実施例はこのように構成され作用するので、
環状減圧室８２，８４の機能により同室内が減圧
され、ロータ室の吸入口３に連通したロータ作用
空間の部分との差圧も小さくなり潤滑油のロータ
空間への直接の流入を防ぎ、また、環状減圧室８
２，８４の上部に連通路８６，８８が設けられて
いるので減圧により発生した冷媒気体は直ちに上
昇して抜けるため環状減圧室８２，８４内には粘
度の高い油が充満し、スクリユー部に近い隙間７
８，８０を通過する抵抗が大でありロータ室への
進入を抑制することができる。これらの作用が相
まつて、ジヤーナル軸受４９，５１へ給油された
潤滑油が直接ロータ室へ入ることが抑制され、吸
入口３に通ずるロータ作用空間に高温の油が進入
しないので、加熱による吸入気体の膨張のために
起る体積効率の低下を防止し、洩れ込んだ油自身
の体積による有効吸入量の低下を招くこともな
く、特に冷媒にフレオンを用いた冷凍機にて、油
中に多量に溶解している冷媒が気化して大きな容
積の気体となつて有効吸入量を低下せしめること
を防ぐこともできる。

第４図は別の実施例で、環状減圧室８２がケー
シング１に設けられているものである。隙間７８
はラビリンスシールとなつている。

また、第１図において、環状減圧室８４からの
連通路８８はポケツト部８９へ接続する代りに、
軸受５１とスラスト玉軸受５０の間の空間に開口
せしめてもよい。多量の油が通過するので、スラ
スト玉軸受５０は大きなスラスト荷重を負坦する
ことができる。

また二個のロータ軸は平行でなく、二個のロー
タのスクリユー部は円錘状をなしているものでも
よい。また軸受４９，５１として転り軸受を用い
てもよい。

上記の例は圧縮機について記されているが、逆
に吐出口２から高圧気体を入れてロータを回転せ
しめるタービンとして用いることもきる。

環状減圧室とロータ室との間が実質的に遮断さ
れ、高圧給油口から軸受部に給油された潤滑油が
直接ロータ室に入つて吸入気体に混入することを
防ぎ、加熱膨張による体積効率の低下の防止、油
自身の体積や溶解冷媒が気化した場合の冷媒気体
の体積による有効吸入量の減少などを防止し、効
率のよい、性能のすぐれた信頼性のあるスクリユ
ー圧縮機を提供することができ、実用上極めて大
なる効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は縦断面
図、第２図は第１図の−線断面図、第３図は
その部分詳細断面図、第４図は別の実施例の部分
詳細断面図である。 １…ケーシング，２…吐出口，３…吸入口，４
…端板，６…端壁，１２，１３…ロータ作用空
間，２５…スクリユー凸条，２６…スクリユー凹
条，２８…凸条，４９…軸受，５０…スラスト玉
軸受，５１…軸受，５５，５６，５７，５８…軸
頚，５９…軸端部，６５，６６…通路，６７，６
８…圧力ダム，７１，７２…軸受給油口，７３，
７４…入口，７５，７６…隙間，７７…連通路，
７８，８０…隙間，８２，８４…環状減圧室，８
６，８８…連通路，８７，８９…ポケツト部，９
０…ロータ室給油口，９３…連通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 相互に噛み合うスクリユー凸条とスクリユー
   凹条とをそれぞれ有し、二本の軸をそれぞれ中心
   軸として回転可能に、ケーシングのロータ室の中
   に配備されたおすロータと、めすロータとを備
   え、該ロータ室の一端側に吸入口を、他の一端側
   に吐出口を備えたスクリユー圧縮機において、前
   記おすロータ及びめすロータのスクリユー部に隣
   接した軸頚部が軸受部にて支えられ、該軸受部に
   潤滑油の給油口が軸受給油口として開口し、該軸
   受給油口と前記スクリユー部との間に、前記軸頚
   部の一部の外周を取り巻く環状減圧室を設け、該
   環状減圧室と、前記ロータ室の内面の吸入口閉じ
   込み後のロータ作用空間に開口するロータ室給油
   口とを連通する連通路を備え、前記環状減圧室に
   導かれた潤滑油を該連通路に逃すようにしたこと
   を特徴とするスクリユー圧縮機。 ２ 前記連通路が前記環状減圧室の上部に接続さ
   れている特許請求の範囲第１項記載のスクリユー
   圧縮機。