JPS6120642B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、モレ防止構造を有する使い捨ておむ
つに関する。さらに詳しくは、濡れて吸液後使い
捨ておむつの股部に接する端縁部が収縮し、弾性
を示す、使い捨ておむつに関する。 従来使い捨ておむつとしては種々のものが堤案
されてきた。従来のものに於ては一般に液不透過
性シートとして低密度ポリエチレンフイルムが用
いられ、この液不透過性シートの上に吸収層とし
て錦状パルプをテイツシユ等で安定的に包み込ん
だものが用いられている。又最近の試みとして
は、超吸収性ポリマー、例えばポリアクリル酸誘
導体、カルボキシメチル化パルプ繊維など少なく
とも自重の数倍以上の吸水をする固体を固定した
構成のものを用いたものも提案されている。 更に吸収部に重ね合せて用いられる液透過性多
孔シートとしては通常不織布が用いられている。
又ポリエチレンフイルムに多数の細孔を設けたも
のも市販されている。 以上述べた如き液透過性の表面シートと液不透
過性の裏面シートとこれら両シートの間に位置す
る吸水層という各主要部から構成された本体に粘
着テープが体対にする固定用として設けられてつ
かいすておむつが構成されるのが普通であるが、
最近では漏れ防止の目的で、特公昭52−40267
号、特開昭54−115939号、同52−120045号に見ら
れる如く、かかるつかいすておむつの長手方向に
端縁部にそつて弾性体を用い、あらかじめ端縁部
にギヤザを設け、着用者の股下部分をおむつに密
着させたものがある。これはゴム等の弾性体の弾
性収縮力を利用しているため、長時間着用すると
きは着用部分が密閉され、ゴム自身の収縮作用に
よりムレやすく、又圧迫感があるという欠点を有
する。しかし一方では、これら弾性体を用いた使
い捨ておむつは着用者へのなじみがよいこと、体
液が漏れにくいことなどの利点がある。 又、かかる弾性体を用いた使い捨ておむつは上
記の使用上の欠点の他に製造工程上、及び輪送上
の欠点もある。製造工程上の欠点としては弾性体
を伸ばした状態で組み込むか、又は使い捨ておむ
つの端縁部を縮めてしわになつている状態で組み
込まなければならないので、生産効率を低下させ
ることがあげられる。又、出来上がつた製品は、
弾性体が縮んでいるためおむつ全体にしわがよつ
ており、製品自体が嵩張るため、輪送コストの増
大を招くという欠点も有する。 本発明者らは、先に水を吸収した時始めて収縮
性を示す吸水収縮繊維を発明して特許出願したが
（特願昭55−83390号）、かかる構造体を従来の弾
性体の代りに該おむつ端縁部の長手方向にそつて
設けることにより、上記欠点を解決することがで
きることを見出し本発明に到つたものである。 即ち本発明のつかいすておむつは、液透過性の
裏面シート及び前記両シートの間に位置する吸収
層からなるつかいすておむつにおいて、水と接触
することにより長さが収縮しかつ伸縮性が付与さ
れる吸水収縮繊維を含有する吸水収縮糸を、上記
吸水層に重なることなくつかいすておむつの長手
方向両側部に、両側部の中央を通る様に固定して
なるつかいすてであつて、上記吸水収縮繊維が濡
れて収縮する際の上記吸水収縮糸を固定したつか
いすておむつの両側部の収緒率が15％以上、収縮
力が100ｇ以上であることを特徴としている。以
下図面について本発明のつかいすておむつの実施
例について詳細に説明する。 第１図はつかいすておむつ１の平面図を示し、
第１図Ａ−Ａ線における断面図を第３図に示す。
特に第３図からはつきりわかるように、このつか
いすておむつは吸水層４が液透過性の表面シート
３と液不透過性の裏面シート６の間に位置し、こ
れらに覆われてなる。これらの構成要素について
は本発明においても先に記した公知の材質を用い
ている。本発明の一番の特徴をなしている点はこ
れに吸水収縮繊維を含有する吸水収縮糸２が組み
込まれている点にある。吸水収縮糸２は第１図及
び第３図からわかるように表面シート３と裏面シ
ート６の間で、吸水層３には重なることなくつか
いすておむつの長手方向両側部に、両側部の中央
を通る様に固定されている。固定の方法は接着剤
による接着、つかいすておむつへの縫着、裏面シ
ートを熱溶融するヒートボンド等従来の方法が用
いられ得るが、重要な点は吸水収縮糸２には後に
詳述するように、水と接触するとその長さが収縮
しかつ伸縮性が付与される性質があるので、その
性質をつかいすておむつ１に伝播させる必要があ
る。従つて接着剤等の媒介物を多量に使用して吸
水収縮糸２を固定する方法は好ましくない。ま
た、吸水収縮糸２は水と接触するとその性質が変
化するので、つかいすておむつ１が濡れるとその
水分を吸水収縮糸２に導く手段がほどこされてい
なければならない。一般にはつかいすておむつが
吸液しても、吸水層３に吸収されなかつた尿や幼
児の体重がかかる為に一度吸水層３に吸収された
後絞り出された尿が、表面シート３や裏面シート
６を伝い吸水収縮糸２に到達し吸水収縮糸２が濡
れることになるので、特別な手段を講じなくても
有効な手段がほどこされていることになる。併し
第３図による実施例においては更にその効果を促
進するために、裏面シート６の上に吸水紙５を載
せ、吸水紙５により吸水層３と吸水収縮糸２を連
結し、一度吸液したら速やかに水分が吸水収縮糸
２に導かれるようになされている。もちろん、吸
水紙５の位置は裏面シート６の上に限らず、表面
シート３の直下や、吸水層３を多層にし、その中
間に置いても前記の効果を十分に発揮できる。 本発明のつかいすておむつは上記の如く構成さ
れているので、つかいすておむつが吸液すると吸
水収縮糸２が収縮するため、第２図に示す如く、
その長手方向の端縁部の長さも収縮する。しかし
吸水収縮糸２は、その際伸縮性も付与されるの
で、使用者の大腿部の形状に応じて密閉し液漏れ
を防いでいる。従つて吸水収縮繊維２は使用前迄
は収縮性や伸縮性が無い為、製造工程や輸送工程
においても一般のつかいすておむつと同様に取扱
えるので効率の低下等をきたすことがない。又着
用者にとつても吸収量が少ない時点、即ち吸水層
３において吸液可能な時点においてはむれとか圧
迫感が緩和され、吸収量が多くなると大腿部とつ
かいすておむつの間に液シール部が形成されるこ
とになる。液漏れを防ぐためには吸水収縮糸をと
りつけたつかいすておむつの両側部の収縮率と収
縮力が影響する。つかいすておむつとしての機能
を果すためには収縮率が15％以上、収縮力が100
ｇ/cm以上必要である。着用者の大腿部の太さと
吸水収縮繊維の長さにより収縮率の最適値は一様
には定まらないが、一般にはつかいすておむつの
長さは着用者にとつて５〜10％位の余裕は見てあ
るので、収縮率は最低15％は必要である。更に液
シールを実現するためには着用者が足を動かすこ
とによりこの足の動きにおむつの側辺がついてゆ
かなければならない。このためには収縮力が100
ｇ以上は必要であり、それ以下になるとシールが
破れ、液漏れが生ずる恐れがある。 尚、本発明においてつかいすておむつの両側部
の収縮率とは吸水収縮繊維を含有する吸水収縮糸
を組み込んだ本発明のつかいすておむつが尿を吸
収して吸水収縮繊維を濡らした時におむつの側辺
が収縮するその度合を示したものであつて、吸水
収縮繊維の組み込まれている部分の側辺の長さの
元長に対する（元長一収縮後の長さ）の割合を％
で示す。又収縮力は尿で濡れ収縮した後、元の長
さまで伸ばした時の縮もうとする力を意味し、テ
トロンのつかみ間隔を50mmとしてこれに試料を取
りつけ、人工尿で充分に濡らしてその収縮力
（ｇ）を測定した値である。又吸水収縮糸の収縮
率及び収縮力は吸水収縮糸を生理食塩水で濡らし
て上記と同様に測定した値である。 本発明においては吸水収縮糸は上記の如き効果
を達成すれば良いから、その使用方法としては
種々の方法がある。例えば一本の吸水収縮糸の収
縮力が足りなければ複数の吸水収縮糸の集合体と
しても用いても良いし、他の糸と撚り合わせたり
織り合わせたり編み合わせたりする方法もあり、
更に糸、布、不織布等の紙錦を吸水収縮繊維を含
む糸で縫う等他の素材と組み合わせて用いても良
い。又吸水収縮糸２を固定する場所も、つかいす
ておむつの長手方向両側部に於いて、単に吸水層
３に隣接して置くのみではなく、両側部の端縁に
近接して固定しても良いし、表面シート１の上に
固定しても上記の効果は期待できる。ただ、吸水
収縮糸２を吸水層３に重ねると、一般に吸水層３
は綿状パルプ等、紙と比べて撓みにくい材質から
できているので、吸水収縮糸２が収縮しても、そ
の性質を吸水層３には伝播し難いので液シール部
を形成しなくなる。更に吸水収縮糸２は直線状に
固定する必要もない。例えば砂時計形のつかいす
ておむつであれば、大腿部に合うように砂時計の
形に沿つて固定できる。更に吸水収縮糸の長さ
も、つかいすておむつの長手方向全長を網羅する
必要もない。収縮率が大きい糸であればあまり長
くなくとも良いが、収縮の効果を全長に等しく及
ぼすためには吸水収縮糸がつかいすておむつの長
手方向両側部の中央を通る必要があり、更にその
効果を増す為には吸水収縮糸の中央部とつかいす
ておむつの長手方向の中央部が一致することが望
ましい。 本発明に使用される吸水収縮糸としては、これ
を組み込んだつかいすておむつの両側部の収縮率
を15％以上に保持し得る様、後記する参考例にも
示す如く、例えば20％以上という様な充分高い収
縮率のものを使用するのが望ましい。又収縮力と
しては勿論一本の糸の収縮力の高いものが便利で
あるが、必要な本数の複数の吸水収縮糸を使用し
て、つかいすておむつの両側部の収縮力が100ｇ
以上になる様にすればよい。 本発明のつかいすておむつに用いることができ
る吸水収縮繊維の例としては、上記本出願人の昭
和55年６月19日付の特許願「混撚糸」（特願昭55
−83390号）で吸水収縮糸として開示している
綿、レーヨン等のセルロース繊維の変成物、例え
ばカルボキシメチル化綿、メチル化綿、エチル化
綿等々を拳げることができる。本発明のつかいす
ておむつに対する理解を助ける為に以下の参考例
及び実施例を示す。 参考例 １ 綿糸（60番手３本撚り 大和紡株式会社）を通
常の方法でカルボキシメチル化し、得られた種々
のエーテル化度のカルボキシメチル化糸の、生理
食塩水で濡らした時の収縮率と収縮力を表１に示
す。尚、表中DSとはエーテル化度を示す。 参考例 ２ ポリノジツクレーヨン糸（30番手３本撚り 大
和紡株式会社）を参考例１と同様に処理し、得ら
れた種々のエーテル化度のカルボキシメチル化糸
の生理食塩水で濡らした時の収縮率と収縮力を表
２に示す。 表１及び表２から、本発明のつかいすておむつ
に使用され得る充分高い収縮率を有する吸水収縮
糸カルボキシメチル化した綿糸としてはエーテル
化度が0.27〜0.40が望ましく、又、カルボキシメ
チル化したポリノジツクレーヨン糸としてはエー
テル化度が0.20〜0.35が望ましいことがわかる。 参考例 ３ 綿糸を参考例１のようにカルボキシメチル化す
る際に架橋剤としてエピクロルヒドリンを３％
（セルロース当り）加え、同時架橋を行ない、そ
の綿糸の収縮率と収縮力を測定した。これを表３
に示す。 参考例 ４ ポリノジジツクレーヨン糸を参考例３と同様に
処理し、収縮率と収縮力を測定した。これを表３
に示す。表３より架橋剤を処理した場合にはエー
テル化度が高くてもよいことがわかる。

【表】

【表】

【表】 尚、上記表１〜３の収縮力は糸の太さを13.3番
手に換算した値である。 実施例 １ 第３図の如き構成のつかいすておむつを次の材
料により作成した。 表面シート：ポリエステル繊維（1.5d×64）45％
とES繊維（3d×51）55％を熱融着させた20ｇ/
m²の不織布（ES繊維はチツソ株式会社製ポリ
プロピレン−ポリエチレン複合繊維） 吸水層：綿状パルプ36ｇを耐湿吸水紙で被包 吸水紙：耐湿吸水紙 裏面シート：ポリエチレンフイルム25ｇ/m² 吸水収縮糸：参考列１で得られた糸あるいは参考
列３で得られた糸と綿糸（60番手３本撚り 大
和紡株式会社）を撚り合わせ200mmの長さに切
断し15本を束にした。又、参考例２あるいは参
考例４で得られた糸で得られた糸は同様に処理
したが５本を束にして用いた。これらの糸を第
３図の耐湿吸水紙５の長手方向両側部に対し、
糸に沿つて20mm間隔にホツトメルト接着剤を施
して固定した。（実験No1〜10及び13〜14） 実施例 ２ 実施例１と同様につかいすておむつを作成し
た。ただし、糸の太さによる影響を調べる為に吸
水収縮糸集合体は参考例１で得られた糸20本を束
にしたものを用いた。又、参考例２で得られた糸
は７本を束にしたものを用いた（実験No.11〜
12）。 以上の如く作成したつかいすておむつの収縮率
と収縮力を表４に示す。 実施例 ３ 実施例１と同様につかいすておむつを作成し
た。ただし吸水収縮糸は耐湿吸水紙に10mm間隔で
縫いつけた。このつかいすておむつの収縮率と収
縮力を表５に示す。 尚表３及び表４中の試料No.は実施例１及び２
の各実験に於いて使用された上記参考例に示した
吸水収縮糸を指示するもので、表１〜表３の試料
No.を意味する。

【表】

【表】

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のつかいすておむつの平面図、
第２図は吸水収縮糸が吸水した際の状態を示す略
示斜視図、第３図は第１図のＡ−Ａ線断面図であ
る。 １……つかいすておむつ、２……吸水収縮繊
維、３……表面シート、４……吸水層、５……吸
水紙、６……裏面シート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シ
   ート及び前記両シートの間に位置する吸収層から
   なるつかいすておむつにおいて、水と接触するこ
   とにより長さが収縮しかつ伸縮性が付与される吸
   水収縮繊維を含有する吸水収縮糸を、上記吸水層
   に重なることなくつかいすておむつの長手方向両
   側部に、両側部の中央を通る様に固定してなるつ
   かいすておむつであつて、上記吸水収縮繊維が濡
   れて収縮する際の上記吸水収縮糸を固定したつか
   いすておむつの両側部の収縮率が15％以上で、収
   縮力が100ｇ以上であることを特徴とするつかい
   すておむつ。 ２ 吸水収縮糸が複数の糸の集合体である特許請
   求の範囲第１項記載のつかいすておむつ。 ３ 吸水収縮糸が表面シートと裏面シートの間に
   固定されている特許請求の範囲第１項又は第２項
   記載のつかいすておむつ。 ４ 吸水収縮糸と吸水層とが吸水紙で連結されて
   いる特許請求の範囲第１項記載のつかいすておむ
   つ。 ５ 吸水収縮繊維がカルボキシメチル化セルロー
   スである特許請求の範囲第１項記載のつかいすて
   おむつ。 ６ 吸水収縮繊維が架橋したカルボキシメチル化
   セルロースである特許請求の範囲第５項記載のつ
   かいすておむつ。 ７ 吸水収縮繊維がカルボキシメチル化した錦糸
   であり、そのエーテル化度が0.27〜0.40である特
   許請求の範囲第５項記載のつかいすておむつ。 ８ 吸水収縮繊維がカルボキシメチル化したポリ
   ノジツクレーヨン糸であり、そのエーテル化度が
   0.20〜0.35である特許請求の範囲第５項記載のつ
   かいすておむつ。