JPS6118965Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ≪考案の目的≫ 〈産業上の利用分野〉 本考案は原木の皮剥装置に関するものであつ
て、特にリングバーカータイプの皮剥機の改良に
係るものである。

〈考案の背景〉 原木表皮を除去する手段としては、いわゆるリ
ングバーカータイプの皮剥機が存在する。このも
のは中心を開口させた回転リングに対し、複数本
の刃物を取り付け、刃物の作用端を回転リングの
中心に臨ませて、そこを被処理材を通過させるこ
とによつて原木表皮を剥離乃至は削り取るように
したものである。ところでこのような皮剥処理を
受ける原木についてみると、その表皮も、例えば
樹皮繊維が長短、強弱など種々の性状のものがあ
る。これに呼応して現在実用化されているリング
バーカータイプの装置にあつても、具体的に皮剥
ぎ作業を直接担う刃物の部分の構造については
種々の形態のものが開発されている。しかしなが
ら、いずれも一つのリングバーカーに取り付けら
れている刃物の構造はすべて同一のものであり、
異なる形状乃至構造の刃物を取り付けるという技
術思想はいまだないばかりでなく、刃物の作用端
の原木に対する作用圧力に対して格別の配慮はさ
れておらず、単に等しい圧力に設定されているの
が現状である。このような従来手法に留まる限り
は、表皮の性状によつては必ずしも円滑な皮剥き
がなし得ない場合もあり、且つまた表皮のみでな
く往々にして枝の部分いわゆる節の張り出し部分
の除去も皮剥機の機能として要求されるなど、い
まだ解決すべき多くの問題が存在していた。

〈先行技術〉 本出願人はこのような技術課題を解決せんとし
て種々の開発を試み、その一環として特願昭58−
2590号（特公昭59−53163号公報参照）「原木の皮
剥方法並びに装置」、特願昭58−2589号（特開昭
59−127705号公報参照）「原木の皮剥機」等の発
明を完成し特許出願に及んでいる。これらは原木
表皮を剥ぎ起こす作用を主として行う刃物と、こ
れを削り取る作用を主として行う刃物とを組み合
わせ、且つ前者にあつてはその作用端の原木に対
する作用圧力を種々設定できるようにしてあらゆ
る性状の原木の表皮をも効果的に除去する手法を
提案している。

〈解決すべき問題点〉 本考案も係る技術思想の一貫としてなされたも
のであるが、現実にはリングバーカー型の皮剥機
にあつては、回転リングの寸法的な制約から、そ
こに設置し得る刃物の数も自らと限定されるもの
である。即ち複数の種類の刃物をそれぞれ例えば
三基以上など数多く設置する場合には、刃物自体
の干渉を防ぐ配置をいかにするか、又はこれらを
シフトするシリンダの配置をいかにするか等事実
上設計的に多くの問題があつた。このような現状
から二つの異なつた機能を有する刃物を充分必要
な数だけ回転リングに搭載するにあたり、これを
無理なく設置し得るようにする構成の案出が望ま
れていた。

≪考案の構成≫ 〈問題解決の手段〉 本考案はこのような要望に応えるためになされ
たものであつて、本考案たる原木の皮剥機は、中
心を開口させた回転リングに対し、複数本の刃物
を取り付け、刃物の作用端は回転リングの中心に
臨むように付勢され、前記回転リングの中心に被
処理材を通過させて表皮を除去するようにした装
置において、前記回転リングに取り付けられる複
数の刃物は、尖刃状の剥取刃と駆動されて回転す
る回転切削刃とを組み合わされてなり、且つ前記
剥取刃の回動基端は、回転切削刃の支持杆上に回
動自在に取り付けられていることを特徴として構
成されてなるものである。

〈実施例〉 以下本考案を図示の実施例に基づいて具体的に
説明する。附号１は本考案たる皮剥機であつて、
その前後に送材装置２を設けるものである。皮剥
機１について説明すると、符号３は機枠であつ
て、この機枠３に対し回転リング４を支持させる
ものである。即ち回転リング４は、機枠３に取り
付けられているベアリングＢにより回転自在に支
持されるとともに、機枠３上に設置したモータＭ
によつて回転駆動させられるものである。そして
この回転リング４の正面には一例として三組の刃
物が設けられるものであり、これらの刃物はそれ
ぞれ二つの異なる作用を行う刃物が組み合わされ
てなるものである。まず符号５は尖刃状をなす剥
取刃であり、一方符号８は回転駆動される回転切
削刃である。この回転切削刃８はその中空状の支
持杆９が回転リング４に対し回動自在に基軸６ｂ
において取り付けられるものである。そしてこの
基軸６ｂから一体的に延長されたアーム９′の一
端にシリンダ７ｂの摺動子端部が接続され、回転
切削刃８を回転リング４の中心に臨ませるように
符勢状態に設定するものである。一方前記剥取刃
５はその基端寄りの位置で前記支持杆９に設けら
れた支持軸６ａに対し回動自在に取り付けられ
る。そして支持杆９上に設けられたシリンダ７ａ
に剥取刃５の端部５′が接続され、このシリンダ
７ａの伸長より剥取刃５の先端が常時回転リング
４の中心に臨むように附勢状態に設定されるもの
である。尚、これら剥取刃５と回転切削刃８を附
勢させるための加圧手法については従来公知の手
段をとり得るものであり、例えば各別にシリンダ
７ａ，７ｂを用いた場合、作用媒体のエアを別々
の系路で供給して加圧し、剥取刃５と回転切削刃
８との圧力を同一または別々の圧力で加圧するよ
うな設定ができるものである。また同じ加圧系統
で且つ同一仕様のシリンダを用い、剥取刃５と回
転切削刃８とが同一の圧力で常時加圧するように
設定したり、更には加圧のためのエア供給系統は
同一としながらもシリンダの直径を異ならせてそ
れぞれ異なる圧力で剥取刃５と回転切削刃８とを
附勢するようにしてももとより差し支えない。次
に前記回転切削刃８に対する駆動機構について簡
単に説明する。この機構は第５図に示すように、
支持杆９の支軸９′が中空状となつており、且つ
適宜軸受により回転リング４に回動自在に取り付
けられ、そしてその内部に駆動軸２０を設けるも
のである。そしてこの駆動軸はその一端に遊星ギ
ヤ２１を取り付け、この遊星ギヤ２１が機枠３側
に固定された大径のサンギヤ２２と噛み合うので
ある。しかして回転リング４が回転する時には固
定されたサンギヤ２２の周辺を施回する遊星ギヤ
２１が回転を生み出し、駆動軸を回転させて適宜
駆動機構を経て、支持杆９内のチエーン２３に回
転を伝達し、回転切削刃の駆動軸２４を回転させ
るのである。

本考案は以上述べたような構成を有するもので
あり、次のような作用のもとに原木Ｗの表皮
W′を除去するものである。まず処理すべき原木
の表皮W′の性状に応じ適宜剥取刃５と回転切削
刃８との作動圧力を設定するものであり、これは
シリンダを作動させる圧搾空気の圧力を設定する
ことにより行う。このような準備作業が終了した
後、適宜のスイツチング操作によりモータＭを起
動させると、このモータＭの回転が回転リング４
に伝達されて回転を開始する。しかる後送材装置
２によつて原木Ｗを回転リング中心に送り込む
と、回転リング４とともに施回している剥取刃５
と回転切削刃８とが原木Ｗの表皮W′を剥ぎ取り
乃至は削り取るようにして表皮除去を行うのであ
る。この際この種の機械的な皮剥ぎ作業で最も困
難である杉、檜、その他いわゆる内地材と呼ばれ
る長繊維表皮を有する原木が供給された場合であ
つても、回転切削刃８が積極的に表皮繊維をも切
断しつつ切削し、それを更に剥取刃５によつて掻
き取るように作用するから完全な表皮の除去がな
し得るものである。特に長繊維表皮の原木の場合
単に回転切削刃８のみでこれを削り取ろうとする
場合には、回転切削刃８の回転数その他回転切削
刃８に要求される切削能力が極めて過大なものと
なるが、本考案では回転切削刃８によつてある程
度表皮W′の切削切断をなし、残余の部分を剥取
刃５に委ねて除去するようにしたものであるか
ら、この二つの構造の異なる刃物の作用が相乗的
に奏効し、優れた表皮の除去機能を発揮するので
ある。

≪考案の効果≫ 本考案は以上述べたようにリングバーカー型の
皮剥機において、表皮の除去作用を直接担う刃物
に関し、回転切削刃と尖刃状の剥取刃とを組み合
わせ、且つこれら二つの異つた形状の刃物は、回
転切削刃を支持する支持杆に対し剥取刃が搭載さ
れるような構造としたものであるから、限られた
スペースしかない回転リング上においても、スペ
ースを有効に生かしながら多数基の刃物の設置が
可能となり、これが延いては円滑な原木の皮剥き
を可能としたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案たる皮剥機の斜視図、第２図は
同上正面図、第３図は同上側面図、第４図は刃物
を格大して示す分解斜視図、第５図は回転切削刃
の駆動機構を示す断面図である。 １；皮剥機、２；送材装置、３；機枠、４；回
転リング、５；剥取刃、７ａ，７ｂ；シリンダ、
８；回転切削刃、９；支持杆、Ｗ；原木、W′；
表皮。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心を開口させた回転リングに対し、複数本の
   刃物を取り付け、刃物の作用端は回転リングの中
   心に臨むように附勢され、前記回転リングの中心
   に被処理材を通過させて表皮を除去するようにし
   た装置において、前記回転リングに取り付けられ
   る複数の刃物は、尖刃状の剥取刃と駆動されて回
   転する回転切削刃とが組み合わされてなり、且つ
   前記剥取刃の回動基端は、回転切削刃の支持杆上
   に回動自在に取り付けられていることを特徴とす
   る原木の皮剥機。