JPS6118162Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、封止装置に関し、特に、蒸気タービ
ンの蒸気室とケーシングの間の界面を封止するた
めの装置に関する。

蒸気タービンは、一般に、高圧蒸気を収集する
蒸気室と、その蒸気のエネルギーを利用して動力
軸を回転させるようにしたタービンケーシングと
を備えている。通常は、蒸気室は、タービンケー
シングの頂面上に配置されており、該頂面が蒸気
室とケーシングの間の界面を形成している。ケー
シングの頂面には、蒸気室からケーシング内へ蒸
気を流入させるための複数個の孔を形成してあ
り、各孔には弁および弁座を配設してある。それ
らの弁を調節して、蒸気室からタービンケーシン
グ内へ流入する蒸気の量を制御し、それによつて
蒸気タービンの容量（能力）を制御する。

一般原則としては、蒸気の圧力を増大させるほ
ど、タービンの効率が増大するが、例えば
1500psi（105Kg／cm²）もの高圧蒸気を使用した場
合、そのような高圧にさらされる、例えば蒸気室
とタービンケーシングとの間の界面を封止するこ
とが極めて困難になる。そのようなシール（封
止）が首尾よく得られるかどうかは、例えば、合
せ面の仕上げ、ボルト締めの度合、温度勾配、適
正なシール設計、およびその組立順序等の多くの
要因によつて左右される。界面に十分に緊密なシ
ールを設定するまでには、通常、多くの作業時間
が失われる。

従つて、本考案の目的は、蒸気タービンを改良
することであり、特に、蒸気室とタービンケーシ
ングとの間の界面のシール（封止）を改良するこ
とである。

本考案の他の目的は、蒸気タービンの高圧蒸気
室とタービンケーシングの間の界面が受ける圧力
を効果的に減少させる封止装置を提供することで
ある。

略述すれば、本考案の封止装置は高圧蒸気室か
らケーシングの内部へ高圧蒸気を流入させるよう
にした構成において該高圧蒸気室とケーシングの
間の界面を封止するためのものであつて、前記高
圧蒸気と界面との間の直接接触を回避するために
該界面を横切つて延長させ、前記高圧蒸気室に蒸
気密態様に接合させた封止部材と、前記界面と連
通するように前記蒸気室とケーシングと封止部材
とによつて画定した室と、前記ケーシングの内部
から前記室へ蒸気を通すために一端を該ケーシン
グの内部に連通させ、他端を該室に連通させた第
１通路を、該第１通路の他端の蒸気圧が該通路の
一端を蒸気圧より低くなるように第１通路を通し
て圧力差を創生するための手段と、前記蒸気室内
の蒸気圧より低い蒸気圧を有する低圧領域と、前
記室から該低圧領域へ蒸気を通すために一端を該
室に連通させた第２通路とから成る。

添付図を参照すると、頂壁１２を有するタービ
ンケーシング１１と、蒸気導入口１４（第２図に
のみ示されている）および底壁１５を有する蒸気
室１３とを備えた蒸気タービン１０が示されてい
る。ケーシング１１の頂壁１２と蒸気室１３の底
壁１５とは、複数のねじ１６（第３図）のような
適当な締着手段によつて結合する。これらの壁
は、界面１７を画定し、それらの壁を貫通する一
連の透孔１８が設けられている。各透孔１８は、
界面１７を貫通し、通路１９に連通する。通路１
９は、タービンの蒸気導入ノズル部２０に通じて
いる。各透孔１８には、弁２１と弁座２２を取付
ける。通常は、任意の特定時点において開放され
ている弁２１の個数を制御するために弁制御機構
（図示せず）を設ける。開放される弁２１の個数
によつて透孔１８を通つて流れる蒸気の量が決定
され、タービン１０の能力が制御される。タービ
ン１０はまた、その軸線方向に延在する環状通路
を備えており、その環状通路内には、回転子軸２
４の外周面に間隔を置いて取付けた複数個の回転
子ブレード２５を慣用の態様で配列し、それらの
回転子ブレードの間にはタービンケーシング１１
に固定した固定子ブレード２６を介設してある。

作動において、高圧蒸気が導入口１４を通して
蒸気室１３内へ導入される。蒸気室１３内に収集
された蒸気は、透孔１８、通路１９および導入ノ
ズル２０を通り、前記各段のブレードに作用を及
ぼしながら、ケーシング１１の軸方向の前記環状
通路内を通過する。そして、該蒸気は、回転子ブ
レード２５および固定子ブレード２６を通つて流
れることにより回転子ブレード２５および軸２４
を回転させる。このようにタービン軸２４の回転
は、蒸気から運動エネルギーを抽出することによ
つて達成され、その結果として、蒸気の温度およ
び圧力が低下される。従つて、蒸気がケーシング
１１内の各段のブレードを順次通過するにつれ
て、その圧力は前段における圧力より漸次低くな
る。

従来の技術では、蒸気室１３とタービンケーシ
ング１１の間の界面１７から例えば1500psi（105
Kg／cm²）以上の圧力の高圧蒸気が漏出するのを防
止する上で大きな困難であつた。即ち、そのよう
な高圧にさらされる界面は、封止するのが極めて
困難であり、十分な封止を設定するにはしばしば
多大の労力と費用を必要とした。第３図に詳細に
示された本考案の封止装置は、従来の難点の多く
を解決したものである。第３図には１個の封止装
置だけが詳細に図示されているが、この封止装置
はタービン１０の各透孔１８に１つづつ配置され
る。

第３図を参照して説明すると、弁座２２は、蒸
気室１３の底壁１５とタービンケーシング１１の
頂壁１２によつて画定される界面１７を横切切つ
て延在させる。従つて、弁座２２は、高圧が界面
１７に直接作用するのを防止する封止部材の役割
をも果す。弁座２２は、のこ歯状ねじ山あるいは
それに類する手段によつて蒸気室１３に固定させ
る。のこ歯ねじは、蒸気室１３と弁座２２の間の
熱膨張を吸収することができるので好ましい。ま
た、弁座２２と蒸気室１３とは、溶接シール３４
あるいはそれに類する手段によつても接合させ、
両者の間に蒸気密シールを設定する。蒸気室１３
の底壁１５と、タービンケーシング１１の頂壁１
２と、弁座２２とで、界面１７と連通する室３５
を画成する。室３５は、透孔１８および弁座２２
を囲繞する環状室とすることが好ましい。タービ
ンケーシング１１と弁座２２の間に、第１端にお
いてケーシングの内部に連通し、第２端において
室３５に連通する第１通路３６を形成し、蒸気
は、タービンケーシング１１の内部から第１通路
３６を通つて室３５内に流入することができるよ
うにする。

第１通路３６内に複数個の機械的シール（封止
部材）４０を配設してラビリンス通路を形成す
る。このラビリンス通路はそれを通る蒸気流を制
限し通路の前後間に圧力差を創生するための手段
を構成する。このような手段を通路３６内に配設
することにより、該通路の第２端の蒸気圧は第１
端における蒸気圧より低くなる。ラビリンス通路
を構成する個々のシール４０は、弁座２２の下方
部分の周りに嵌着させたカラー４１によつて支持
させる。そして、シール４０の変位を防止するた
めにスリーブ４２のような押え手段を設けること
が好ましい。スリーブ４２は、第１通路３６内に
配設し、タービンケーシング１１に形成した小さ
な肩部４３によつて支持され、弁座２２および機
械的シール４０を囲繞して該シールを所望の整列
状態に維持するようにする。また、スリーブ４２
およびシール４０を所定位置に挿入するのを容易
にするために、スリーブ４２の上縁と、ラビリン
ス通路の底部に位置するシール４０の下縁を面取
りすることが好ましい。

室３５をタービンケーシング１１と、軸２４
と、中間段の回転子ブレード２５および固定子ブ
レード２６によつて画定される低圧領域３２（第
１図）に連通するために室３５から低圧領域３２
へ第２蒸気通路４４を延長させる。低圧領域３２
は、タービンケーシング１１の軸方向に延在する
環状通路の中間部分にあり、その圧力は、蒸気室
１３内の蒸気圧より低い。ただし本考案の封止装
置は、タービン１０内の低圧領域に関連させて使
用することに限定されるものではなく、任意の低
圧領域に関連させて使用することができる。第２
通路４４は、一端において室３５に連通し、他端
において低圧領域３２に連通しており、室３５か
ら低圧領域３２へ蒸気を通流させる。各環状室３
５間で蒸気が流れることができるように各室３５
に連通する第３通路４５を設ける（第２図）。こ
のような通路４５は、蒸気室１３の長手中心線の
各側に１つづつ設けることが好ましい。この構成
により単一の第２通路４４によつてすべての室３
５を低圧領域３２に連結することができる。

かくして、室３５内に高い蒸気圧が創生される
ことがなく、室３５の蒸気圧は、蒸気室１３およ
びタービンケーシング１１の高圧領域の高圧蒸気
の圧力より低い。このように蒸気室１３とタービ
ンケーシング１１の界面１７には室３５内の低い
蒸気圧がさらされる。即ち、本発明の独特の封止
装置は、界面１７に露呈される圧力を蒸気室１３
内に存在する圧力から室３５内に存在する圧力に
まで効果的に低下させる。従つて、蒸気室１３と
タービンケーシング１１との間の合せ面は、室３
５内の蒸気の低い圧力の作用を受けるだけであ
る。いうまでもなく、そのような低圧の界面は、
高圧の合せ面に比べて、在来の金属シールによつ
てでも封止するのがはるかに容易である。従つて
本考案によれば、高圧蒸気室とタービンケーシン
グとの間の界面を非常に簡単で経済的な態様で効
果的に封止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の封止装置を組入れた蒸気ター
ビンの一部断面による部分図、第２図は第１図に
線−に沿つてみた蒸気タービンの蒸気室とそ
れに隣接するタービンケーシングの一部分の垂直
断面図、第３図は第２図の線−に沿つてみた
拡大断面図である。 図中、１０は蒸気タービン、１１はタービンケ
ーシング、１３は蒸気室、１７は界面、１８は透
孔、２１は孔、２２は弁座または封止部材、３２
は低圧領域、３４はシール、３５は室、３６は第
１通路、４０は機械的シール、４１はカラー、４
２はスリーブ（押え手段）、４３は肩部、４４は
第２通路、４５は第３通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 締着手段１６によつてケーシング１１に結合
   された高圧流体室１３から該ケーシング１１の
   内部へ流体室の底面とケーシングの頂面との間
   の界面１７を横切つて延長した流体透孔１８を
   通して高圧流体を流入させるようにした構成に
   おいて該高圧流体室とケーシングの界面１７を
   封止するための封止装置であつて、前記高圧流
   体が界面に直接接触するのを回避するために前
   記透孔内に配設して該界面を横切つて延長さ
   せ、前記高圧流体室に流体密態様に接合させた
   封止部材２２と、前記界面と連通するように該
   界面の端部において前記透孔１８に隣接して画
   定された室３５と、前記ケーシングから前記室
   ３５へ流体を通すための第１通路３６と、該室
   ３５内にケーシング内の圧力より低い圧力を創
   生するように第１通路を通る流体の圧力を減少
   させるための減圧手段４０，４２と、前記室３
   ５内および前記界面の前記端部の圧力をケーシ
   ング１１内の圧力より低い値に維持するように
   該室３５から低圧領域３２へ流体を通すための
   第２通路４４を設けたことを特徴と区する封止
   装置。 ２ 前記室３５は、前記流体室１５の底面と、ケ
   ーシング１１の頂面と、前記封止部材２２の外
   表面とによつて画定され、前記第１通路３６
   は、ケーシング１１の内表面と封止部材２２の
   外表面とによつて画定されていることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の封止
   装置。 ３ 前記減圧手段は、ラビリンス通路を形成する
   ように配置した複数個の機械的シール４０と、
   それらのシールを所望の整列状態に維持するた
   めの押え手段４２を含むものであることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の封
   止装置。 ４ 前記機械的シールを支持するために前記封止
   部材の周りに嵌着させたカラー４１を設け、前
   記押え手段を支持するために前記ケーシングに
   肩部４３を形成したことを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第３項記載の封止装置。 ５ 前記室３５は、前記封止部材２２の周りを囲
   繞するように形成したものであることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第４項記載の封止
   装置。