JPS6115710B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、木材又はプラスチツク等で作られた
ラケツトフレーム芯体の打球方向の両面にFRP
薄板を貼着させたラケツトフレームに関し、特に
ボール弾撥性に優れたラケツトフレームに関す
る。

ラケツトフレームのボール弾撥性を高めるため
にラケツトフレーム芯体の打球方向の面にFRP
薄板を貼着したラケツトフレームはこれ迄にも各
種のものが知られている。

その１つは、FRP薄板の補強材として各種繊
維から織られたクロスが使用されたものである。
クロス状の補強材は、フレームの形状に沿つて裁
断される際に、ラケツトフレームの柄部から打球
円環部に向かう縦糸が打球円環部において切断さ
れてしまうことになり、そのためクロスの縦糸を
柄部から打球円環部の頂まで連続させたものとす
ることはできない。かようなクロスを補強材とし
て使用したFRPでは、ボールを打球したときに
ラケツトフレームが受ける曲げ外力の大部分はフ
レーム芯体およびFRPの樹脂部分で吸収されて
しまうことになり、弾撥性を高める目的で使用さ
れた補強材繊維としての効果が期待できないとい
う欠点がある。

FRPを使用したラケツトフレームの他の先行
技術は、例えば特開昭51−19630号公報に開示さ
れたもので、これによればラケツトフレーム芯体
の打球方向面の上に、張力を加えない状態で引揃
えたガラス繊維又はカーボン繊維を樹脂含浸する
ことにより成形されたプリプレーグを載せて、該
プリプレーグを加熱および加圧することによりラ
ケツトフレーム芯体に貼着したラケツトフレーム
が開示されている。このようにして製造されたラ
ケツトフレームでは、プリプレーグを作る際に補
強長繊維のロービングを平面上に曲線状に配列し
ておくが、曲線状に配列した長繊維に張力を加え
てプリプレーグを成形することが不可能であるば
かりか、プリプレーグをラケツトフレーム芯体の
打球面上に載せて加熱および加圧するときに半硬
化状態の樹脂が流動しその後に完全硬化するの
で、予め引揃えて配列されていた長繊維が樹脂の
流れと共に流動し、その結果繊維が蛇行した状態
のFRPが形成されることになる。かようなFRP
では前述の先行技術と同様に、ボール打球時にラ
ケツトフレームが受ける曲げ外力の大部分は補強
繊維以外の部分（すなわちフレーム芯体および
FRPの樹脂部）によつて吸収され、補強繊維自
体が支える力は僅かなものに過ぎない。従つて前
記同様、ボール弾撥性に優れたラケツトフレーム
を製作することはできない。

本発明の目的は上記欠点を無くし、極めて優れ
たボール弾撥性を有するラケツトフレームを提供
することである。

この目的を達成するため、本発明のラケツトフ
レームに貼着されるFRP薄板は、ガラス繊維、
カーボン繊維又はケブラー（KEVLAR：商品
名）繊維から成る長繊維のロービングを一方向
に、平行に且つ規則正しくしかも均一な張力を加
えた状態で引揃えておき、これに熱硬化性樹脂を
含浸硬化させることにより得られた所定寸法の
FRPシートの任意の枚数をエポキシ等の熱硬化
性樹脂を介して積層し、該積層体の積層方向両端
面に熱硬化性接着剤を介して防護薄板を更に積層
することによつて作られた積層体をラケツトフレ
ーム芯体の打球方向から見た形状に做つて彎曲さ
せた上加熱して前記積層されたFRPシートおよ
び防護薄板相互の間を接着固定し、該積層彎曲体
を前記ロービング長繊維に平行な多面でスライス
することによつて成形されたものであることを特
徴とするものである。

かような構成のFRP薄板は、その補強長繊維
のロービングがFRP薄板の端から端まで、すな
わちラケツトフレームとして成形された時にフレ
ームの全周に沿つて連続した状態に配設されたも
のであるため、ラケツトフレームに打球時の曲げ
外力が作用したとき補強繊維自体の荷重負荷能力
が極めて高くなりフレームのボール弾撥性を著し
く向上できるものである。更に本FRP薄板は、
その補強長繊維のロービングに張力を加えた状態
で樹脂含浸されたものであるため、ロービング自
体は樹脂から常時引張力を受けており、逆に樹脂
はロービングから常時圧縮力を受けている状態に
成形されている。かような複合体はそれ自体極め
て弾撥力に富むものであり、かようなFRP薄板
をラケツトフレームの芯体に貼着したものは従来
のラケツトフレームに比べ極めて優れた弾撥力を
有する。

以下、添付図面に基き本発明の実施例を説明す
る。

本発明のラケツトフレーム１０は、第１図に示
すように、木材又はプラスチツク等から作られた
慣用的なラケツトフレーム芯体１２と、該芯体１
２の打球方向の表裏面に接着剤で貼着される
FRP薄板１４とから構成されている。FRP薄板
１４は、第２図に示すように、芯体１２の表裏全
周面に亘つて貼着するか、又は第３図に示すよう
に芯体１２の打球円環部の任意の部分を覆うよう
に貼着してもよい。このFRP薄板１４は、ラケ
ツトフレーム１０のボール弾撥性を極めて高いも
のとすべく、本発明により以下に述べる特徴ある
構造に基き構成されている。

FRP薄板１４を作るため、先ず第４図に示す
ようなFRPシート１６を成形する。該FRPシー
ト１６は、ガラス繊維、カーボン繊維又はケブラ
ー繊維のロービング１８を一方向に、平行に且つ
規則正しくしかも均一な張力Ｔを加えた状態で引
揃えておき、これに熱硬化性樹脂を含浸硬化さ
せ、所定寸法に仕上げたものである。FRPシー
ト１６の長さは、FRP薄板１４を第２図に示す
ようにラケツトフレーム芯体１２の全周面に亘つ
て貼着させる場合にあつては芯体１２の柄部の長
さの２倍に打球円環部に沿う周囲の長さを加えた
ものであり、第３図に示すようにラケツトフレー
ム芯体１２の打球円環部の任意の部分を覆うよう
に貼着させる場合にあつては芯体１２の柄部の長
さに、柄部から延びて打球円環部に沿う任意の長
さを加えたものである。本実施例の場合、ラケツ
トフレーム芯体の全周面に亘つて貼着させる場合
のFRPシート１６の長さは1500mm、厚さおよび
巾は夫々１mmおよび90mmとした。

このようにして成形されたFRPシート１６の
任意の枚数を、第５図に示すようにエポキシ等の
熱硬化性接着剤２２を介して積層し、該FRPシ
ートの積層体の積層方向両側には、ABS樹脂又
はゴム等から作られた防護薄板２４を同じく熱硬
化性接着剤２２を介して更に積層し積層体２６を
作る。防護薄板２４は、ラケツトフレームが傷付
いたとき、ガラス繊維等の補強繊維が露出してプ
レーヤの手に突き刺さることのないようにするた
めのものである。

次にこの積層体２６を、第６図に示すように、
金型又は木型等（図示せず）を用いてラケツトフ
レーム芯体１２の打球方向から見た形状に做つて
彎曲させた上加熱することにより各積層面の接着
剤を硬化させて彎曲体２８を作る。この場合、第
６図にＡ−Ａで示すごとく柄部において積層体が
互に接合される部分には熱硬化性接着剤を塗布し
ておくことが望ましい。FRP薄板１４を第３図
に示すように、ラケツトフレーム芯体１２の打球
円環部の任意の位置まで延びている状態に貼着さ
せる場合には、所定の長さの積層体２６を２本
（同一積層体）を使用し、この２本の積層体を金
型又は木型を用いてラケツトフレーム芯体１２の
打球方向から見た形状に做つて左右対称に彎曲さ
せた上加熱することにより、前述のごとく各積層
面の接着剤を硬化させて彎曲体を作る。

以上のようにして作られた彎曲体２８は第７図
に示すように、厚さｔのFRP薄板となるように
補強繊維のロービング１８の方向に平行な多面で
スライスする。本実施例においてはこのスライス
加工は、0.5mm間隔で配設された厚さ0.2mm、直径
120mmの円形ダイヤモンド砥石121枚を回転させな
がら彎曲体２８の補強繊維ロービング１８に沿つ
て注意深く移動することによつて行なわれる。前
述のごとく、本実施例においてはFRPシート１
６の巾は90mmであるので第７図に示す彎曲体２８
の高さＨは90mmとして成形されていることにな
り、従つて、上記仕様の円盤砥石でスライスすれ
ば厚さｔが0.5mmのFRP薄板１４が120枚出来上る
ことになる。

本発明のFRP薄板１４は以上のように構成さ
れているため、補強長繊維のロービングがFRP
薄板の端から端まで、すなわちラケツトフレーム
の全周に沿つて連続したものであることに加え、
各ロービングは張力Ｔを加えられた状態で樹脂内
に含浸硬化されたものとなつている。このような
FRP薄板１４は極めて大きな弾撥性を有するも
のであるため、第２図および第３図に示すように
ラケツトフレームの芯体１２の両面に該FRP薄
板１４を接着剤にて貼着することにより得られる
ラケツトフレーム１０は、従来のFRP貼着ラケ
ツトに比べ極めて優れた弾撥性を有するものとな
る。

尚、第５図の積層体２６を成形する際、例えば
イで示す部分をガラス繊維のロービングを含浸し
たFRPシートとし、ロで示す部分をカーボン繊
維又はケブラー繊維のロービングを含浸した
FRPシートとし、ハで示す部分を再びガラス繊
維のロービングを含浸させたものとするごとく、
補強長繊維の種類を適当に交互させることによつ
て積層体２６を成形することは当業者にとつて明
白なことであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のラケツトフレームを構成す
るラケツトフレーム芯体および該芯体に貼着され
るFRP薄板を示すものである。第２図は、ラケ
ツトフレーム芯体の全周に亘つてFRP薄板を貼
着させた本発明のラケツトフレームを示すもので
ある。第３図は、ラケツトフレーム芯体の打球円
環部の任意の部分までFRP薄板を貼着させた本
発明のラケツトフレームを示すものである。第４
図は、本発明のラケツトフレームに貼着される
FRP薄板を構成するFRPシートを示すものであ
る。第５図は、第４図のFRPシートの複数枚お
よび防護薄板を接着剤を介して積層した積層体を
示すものである。第６図は、第５図に示した積層
体をラケツトフレーム芯体の打球方向から見た形
状に做つて彎曲させた彎曲体を示すものである。
第７図は、第６図の彎曲体をスライスしてFRP
薄板を作るときの説明図である。 １０〜ラケツトフレーム、１２〜ラケツトフレ
ーム芯体、１４〜FRP薄板、１６〜FRPシー
ト、１８〜補強長繊維のロービング、２０〜熱硬
化性樹脂、２２〜接着剤、２４〜防護薄板、２６
〜積層体、２８〜彎曲体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ラケツトフレーム芯体と、該芯体の打球面方
   向の両面に貼着されるFRP薄板とから成るラケ
   ツトフレームにおいて、 前記FRP薄板が、一方向に、平行に且つ規則
   正しくしかも均一な張力を加えられた状態で引揃
   えられた補強用ロービング長繊維に熱硬化性樹脂
   を含浸硬化させて得られた所定寸法のFRPシー
   トの任意の枚数を熱硬化性接着剤を介して積層
   し、該FRPシート積層体の積層方向両端面に熱
   硬化性接着剤を介して防護薄板を更に積層して作
   られた１つの積層体を前記ラケツトフレーム芯体
   の打球方向面から見た形状に做つて彎曲させた上
   加熱することによつて前記積層されたFRPシー
   トおよび防護薄板相互の間を接着固定し、該積層
   彎曲体を前記ロービング長繊維に平行な多面でス
   ライスすることによつて成形されたFRP薄板で
   あることを特徴とするラケツトフレーム。 ２ ラケツトフレーム芯体と、該芯体の打球方向
   の両面に貼着されるFRP薄板とから成るラケツ
   トフレームにおいて、 前記FRP薄板が、一方向に、平行に且つ規則
   正しくしかも均一な張力を加えられた状態で引揃
   えられた補強用ロービング長繊維に熱硬化性樹脂
   を含浸硬化させて得られた所定寸法のFRPシー
   トの任意の枚数を熱硬化性接着剤を介して積層
   し、該FRPシート積層体の積層方向両端面に熱
   硬化性接着剤を介して防護薄板を更に積層した２
   つの積層体を前記ラケツトフレーム芯体の打球方
   向から見た形状に做つて左右対称に彎曲させた上
   加熱することによつて前記積層されたFRPシー
   トおよび防護薄板相互の間を接着固定し、該積層
   彎曲体を前記ロービング長繊維に平行な多面でス
   ライスすることによつて成形されたFRP薄板で
   あることを特徴とするラケツトフレーム。 ３ 前記FRP薄板が、ラケツトフレーム芯体の
   柄部から延び、打球円環部の頂部に至る任意の位
   置まで伸長して貼着されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第２項に記載のラケツトフレー
   ム。