JPS6115267Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、回転斜板式圧縮機において、斜板
の回転に伴なつてシリンダボア内を往復動するピ
ストンに関するものである。

第１図に示すように、従来のこの種のピストン
１は、両側にピストンヘツド２，２を有し、これ
らピストンヘツド２，２が連結部３でもつて連結
され、この連結部２の下方に挾持部４が斜板５を
またぐようにえぐられて形成されている。この挾
持部４の互に対向する面にはボールポケツト６，
６が形成され、このボールポケツト６，６に一部
が収納されたボール７，７と、このボール７，７
で受けられて斜板５に接するシユー８，８とを介
して斜板５の周縁部がピストン１に挾み付けられ
ている。そして、このピストン１は斜板５の回転
により図示しないシリンダブロツクに形成のシリ
ンダボア内を往復動するものである。

しかしながら、従来のこのようなピストン１に
あつては、ピストン１と斜板５との間にボール
７，７とシユー８，８とを介在する構成となつて
いるので、ピストン１を斜板５に組み付けるに際
し、部品点数が多いばかりでなく、ボール７，７
及びシユー８，８が脱落しやすいので、その作業
が煩わしく、時間を要するという欠点があつた。
また、該ピストン１は、図示のように複雑な形状
であり、且つ軽量化の要請があるためにアルミニ
ウム合金鋳物から成り、しかもシリンダブロツク
も同様にアルミニウム合金鋳物から成るので、両
者のなじみが良いために焼付き事故を招く原因と
なつていた。

そこで、この考案は、全体をプレス成形するこ
とに着目して創作されたもので、板材から構成さ
れて内部に空間を有するピストンヘツドを連結部
の両端に接合して構成すると共に、ピストンヘツ
ドの互に対向する面にシユーを受ける突部を形成
して、ピストンとシユーとの間に介されるボール
を省略できるようにして組付け作業の容易化を図
り、また、ピストンヘツドにアルミニウム合金以
外の素材を適用することができるようにして焼付
き事故の恐れを少なくした軽量のピストンを提供
しようとするものである。

以下、この考案の実施例を図面により説明す
る。

第２図、第３図において、この考案の一実施例
が示され、回転斜板式圧縮機のピストン１は、両
側に設けられたピストンヘツド２，２と、これら
を連結する連結部３とより構成されている。

ピストンヘツド２，２は、図示しないシリンダ
ボアに摺動する摺動部９，９と、シユー８，８を
受けるためのシユー受け部１０，１０とがそれぞ
れ別体に金属板からプレス成形され、両者が接合
されてなる。このピストンヘツド２，２の摺動部
９，９はキヤツプ状で、その側面９ａ，９ａがピ
ストンヘツド２，２の頂面となると共に、外周９
ｂ，９ｂがシリンダボアに接する摺動面を構成し
ている。一方、シユー受け部１０，１０は、円筒
部１０ａ，１０ａの一端がフランジ状に広げられ
てフランジ部１０ｂ，１０ｂが形成され、このフ
ランジ部１０ｂ，１０ｂが前記摺動部９，９の側
面９ａ，９ａの内側に接合されている。この接合
は例えばスポツト溶接又はプロジエクシヨン溶接
等に手段により行なわれる。このようにピストン
ヘツド２，２が板材より成る摺動部９，９とシユ
ー受け部１０，１０とを接合して構成されている
ので、その内部には空間１１，１１が形成され、
軽量化が図られている。

このピストンヘツド２，２のシユー受け部１
０，１０の互に対向する面１０ｃ，１０ｃには、
半球状に突出された突部１２，１２が一体にプレ
ス成形されて形成され、この突部１２，１２で斜
板５の両側に接するシユー８，８を受けている。

連結部３は、金属板からプレス成形されて断面
円弧状に形成されており、この連結部３の両側に
ピストンヘツド２，２のシユー受け部１０，１０
の円筒部１０ａ，１０ａが接合されている。この
接合は例えばスポツト溶接又はプロジエクシヨン
溶接等の手段により行なわれる。

したがつて、上記のように構成されたピストン
１を斜板５に組み付けるには、まずシユー８，８
をシユー受け部１０，１０の突部１２，１２に係
合させ、次にこれらシユー８，８の間に斜板５が
差し込まれるようにすれば完了する。したがつ
て、従来に比べてボールが省略されているので部
品点数が少なく、しかもシユー８，８を係合させ
るべき突部１２，１２がピストンヘツド２，２に
一体になつて固定されているので、脱落の恐れは
なく、そのため容易に組み付けを行うことができ
るのである。

また、ピストンヘツド２，２は内部に空間１
１，１１を有するから、軽合金を用いずとも十分
軽量で、例えばステンレス鋼のようにシリンダブ
ロツクを構成するアルミニウム合金となじみが悪
い素材を用いることができ、なじみの良さからく
る焼付き事故を防止することができる。したがつ
て、ピストン１が嵌挿されるシリンダボアにクロ
ームメツキ等の焼付き防止手段の必要性がなくな
るものである。

以上述べたように、この考案によれば、回転斜
板式圧縮機のピストンにおいて、シユーを受ける
突部をピストンヘツドと一体に形成するようにし
たので、部品点数が少なくなると共に斜板への組
み付け作業を容易にすることができる。また、ピ
ストンヘツドは空間を有するので十分軽量であ
り、そのためシリンダブロツクを構成する素材と
なじみにくい素材の使用が可能である。これによ
り焼付け事故を少なくすることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の回転斜板式圧縮機のピストンを
示す断面図、第２図はこの考案の回転斜板式圧縮
機のピストンを示す断面図、第３図は同上の分解
斜視図である。 １……ピストン、２……ピストンヘツド、３…
…連結部、５……斜板、８……シユー、１１……
空間、１２……突部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板材から構成されて内部に空間を有するピスト
   ヘツドを連結部材の両側に接合して成り、前記ピ
   ストンヘツドの互に対向する面に半球状の突部を
   一体に形成し、この突部で斜板に接するシユーを
   受けるようにしたことを特徴とする回転斜板式圧
   縮機のピストン。