JPH05256256A - ボールジョイント - Google Patents
ボールジョイントInfo
- Publication number
- JPH05256256A JPH05256256A JP4054788A JP5478892A JPH05256256A JP H05256256 A JPH05256256 A JP H05256256A JP 4054788 A JP4054788 A JP 4054788A JP 5478892 A JP5478892 A JP 5478892A JP H05256256 A JPH05256256 A JP H05256256A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ball
- ball pocket
- radius
- caulking
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
(57)【要約】
【目的】ボールとボールポケットの接触面に極圧の発生
が無く耐焼付性及びコンロッドの応力低減効果に優れ、
しかもボールポケット内周面に曲率半径が極端に変化す
る応力集中部が無くボールポケット強度の高い、信頼性
に優れたボールジョイントを提供する。 【構成】ボールポケット内周面をボールとほぼ同一半径
の球面とこれと同一半径で滑らかにつながる円筒面で構
成するとともに、これをかしめ成形するためのかしめ型
の内周面を、ボール半径とボールポケット肉厚を加えた
長さよりも大きな曲率半径を持つ球面部及びボールポケ
ットを上方から押す平面部で構成する。
が無く耐焼付性及びコンロッドの応力低減効果に優れ、
しかもボールポケット内周面に曲率半径が極端に変化す
る応力集中部が無くボールポケット強度の高い、信頼性
に優れたボールジョイントを提供する。 【構成】ボールポケット内周面をボールとほぼ同一半径
の球面とこれと同一半径で滑らかにつながる円筒面で構
成するとともに、これをかしめ成形するためのかしめ型
の内周面を、ボール半径とボールポケット肉厚を加えた
長さよりも大きな曲率半径を持つ球面部及びボールポケ
ットを上方から押す平面部で構成する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、圧縮機等のコンロッド
に使用されるボールジョイントに係り、特にボールを包
むボールポケットをかしめにより塑性変形させて成形す
る技術に関する。
に使用されるボールジョイントに係り、特にボールを包
むボールポケットをかしめにより塑性変形させて成形す
る技術に関する。
【０００２】
【従来の技術】かしめにより、コンロッドのボールジョ
イントを成形する技術（かしめ前のボールポケット及び
かしめ型の形状，かしめのプロセス）に関しては、特開
昭63−266177号に示されたような技術が開示されてい
る。これら従来技術の内容を、図４及び図５を用いて説
明する。
イントを成形する技術（かしめ前のボールポケット及び
かしめ型の形状，かしめのプロセス）に関しては、特開
昭63−266177号に示されたような技術が開示されてい
る。これら従来技術の内容を、図４及び図５を用いて説
明する。
【０００３】図４は、かしめ成形後の一般的なボールジ
ョイントの断面図である。ボール２０ｂとボールポケッ
ト２１ｃは、ボールの赤道線２０ｃに対し上下それぞれ
２か所でリング状に面接触をする。日赤道線に対し
θu1，θu2の角度で挟まれる上部接触面２１ｅ及び赤道
線に対しθＬ1,θＬ2の角度で挟まれる下部接触面21f）
これら２つの接触面の間には、ボール表面を潤滑するた
めのオイルだめとして隙間２１ｄが形成され、ボール底
部にも隙間２１ｂが形成され、潤滑のためのオイルだめ
として機能する。圧縮機の運転中は、ボールポケット２
１ｃに対し、コンロッド２０は歳差運動を行うため、上
記２つの接触面２１ｅ，２１ｆは摺動面となる。さら
に、接触面２１ｅ及び２１ｆにはそれぞれ初期面圧ｐu
及びｐＬが発生するが、運転中はガス圧縮力Ｆ1により
ｐＬが増加し、ピストン慣性力Ｆ2によりｐu が増加す
る。尚、これらの面圧が異常に高くなると以下の不具合
が発生する。
ョイントの断面図である。ボール２０ｂとボールポケッ
ト２１ｃは、ボールの赤道線２０ｃに対し上下それぞれ
２か所でリング状に面接触をする。日赤道線に対し
θu1，θu2の角度で挟まれる上部接触面２１ｅ及び赤道
線に対しθＬ1,θＬ2の角度で挟まれる下部接触面21f）
これら２つの接触面の間には、ボール表面を潤滑するた
めのオイルだめとして隙間２１ｄが形成され、ボール底
部にも隙間２１ｂが形成され、潤滑のためのオイルだめ
として機能する。圧縮機の運転中は、ボールポケット２
１ｃに対し、コンロッド２０は歳差運動を行うため、上
記２つの接触面２１ｅ，２１ｆは摺動面となる。さら
に、接触面２１ｅ及び２１ｆにはそれぞれ初期面圧ｐu
及びｐＬが発生するが、運転中はガス圧縮力Ｆ1により
ｐＬが増加し、ピストン慣性力Ｆ2によりｐu が増加す
る。尚、これらの面圧が異常に高くなると以下の不具合
が発生する。
【０００４】（１）耐焼付性が低下する。
【０００５】（２）コンロッド２０を傾けるためのトル
クが増加し、応力増大によりコンロッドが折損しやすく
なる。
クが増加し、応力増大によりコンロッドが折損しやすく
なる。
【０００６】図５は、図４に示したようなボールジョイ
ントを得るための、かしめ前のピストン２１及びかしめ
型２２の形状を示したものである。ピストン２１には、
下部接触面となるボール２０ｂとほぼ同一の曲率半径ｒ
1 をもつ球面２１ｆが設けられ、底部には、オイルだめ
となる隙間２１ｂが設けられる。ボールポケット21ｃの
内周２１ｊは、半径ｒ3 の円筒面となっている。ここ
で、かしめ後ボール20ｂの赤道付近にオイルだめのため
の隙間２１ｄが形成されるようにｒ3はｒ1に対し、隙間
長さｃ分大きくしている。即ち、ｒ3＝ｒ1＋ｃとしてい
る。従って、かしめ前後においてボールポケット内周
に、曲面の変曲点２１ｈが生ずる。
ントを得るための、かしめ前のピストン２１及びかしめ
型２２の形状を示したものである。ピストン２１には、
下部接触面となるボール２０ｂとほぼ同一の曲率半径ｒ
1 をもつ球面２１ｆが設けられ、底部には、オイルだめ
となる隙間２１ｂが設けられる。ボールポケット21ｃの
内周２１ｊは、半径ｒ3 の円筒面となっている。ここ
で、かしめ後ボール20ｂの赤道付近にオイルだめのため
の隙間２１ｄが形成されるようにｒ3はｒ1に対し、隙間
長さｃ分大きくしている。即ち、ｒ3＝ｒ1＋ｃとしてい
る。従って、かしめ前後においてボールポケット内周
に、曲面の変曲点２１ｈが生ずる。
【０００７】一方、かしめ型２２には内周に球面２２ａ
を設けているが、この球面半径ｒ2はかしめ後ボールポ
ケット２１ｃがボールに広い面で接触するよう、ボール
の半径ｒ1にボールポケットの肉厚分ｔ1を足した値にす
るのが一般的である。即ち、ｒ2 ＝ｒ1＋ｔ1としてい
る。但し、ボールポケットの外周半径ｒ4 は、隙間長さ
ｃ分だけｒ2 よりも大きくなっているため、かしめ型の
入口部には、ｒ5＞ｒ4となるような、半径ｒ5の逃げ部
２２ｃを設けておく必要が有る。
を設けているが、この球面半径ｒ2はかしめ後ボールポ
ケット２１ｃがボールに広い面で接触するよう、ボール
の半径ｒ1にボールポケットの肉厚分ｔ1を足した値にす
るのが一般的である。即ち、ｒ2 ＝ｒ1＋ｔ1としてい
る。但し、ボールポケットの外周半径ｒ4 は、隙間長さ
ｃ分だけｒ2 よりも大きくなっているため、かしめ型の
入口部には、ｒ5＞ｒ4となるような、半径ｒ5の逃げ部
２２ｃを設けておく必要が有る。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のボールジョ
イントにおいては、ボールの赤道回りにオイルだめを設
けることを目的として、ボールポケットの内面をボール
とほぼ同一径の球面21ｆとボール径よりも大きな径の円
筒面２１ｊで構成していたために、以下に列挙する問題
があった。
イントにおいては、ボールの赤道回りにオイルだめを設
けることを目的として、ボールポケットの内面をボール
とほぼ同一径の球面21ｆとボール径よりも大きな径の円
筒面２１ｊで構成していたために、以下に列挙する問題
があった。
【０００９】（１）かしめ前に、ボール２０ｂとボール
ポケット２１ｃの間に半径方向隙間ｃがあるため、かし
め時にボールポケット２１ｃとかしめ型２２の両軸の間
に図５に示すような偏心δが存在すると、図６に示すよ
うにボール２０ｂの中心Ｏbとボールポケット下部接触
面２１ｆの中心Ｏpがずれた偏かしめ状態となり、この
結果、（ｉ）線接触部となる２１ｉに極圧が発生し、耐
焼付性が著しく低下する。
ポケット２１ｃの間に半径方向隙間ｃがあるため、かし
め時にボールポケット２１ｃとかしめ型２２の両軸の間
に図５に示すような偏心δが存在すると、図６に示すよ
うにボール２０ｂの中心Ｏbとボールポケット下部接触
面２１ｆの中心Ｏpがずれた偏かしめ状態となり、この
結果、（ｉ）線接触部となる２１ｉに極圧が発生し、耐
焼付性が著しく低下する。
【００１０】（ii）線接触部となる２１ｉに極圧が発生
するため、この方向でコンロッドを傾けるためのトルク
が異常に増加し、応力増大によるコンロッドの折損が発
生する。
するため、この方向でコンロッドを傾けるためのトルク
が異常に増加し、応力増大によるコンロッドの折損が発
生する。
【００１１】(iii）線接触部となる２１ｉに極圧が発生
するため、この部分での摩耗が増大し、ボールとボール
ポケットの間にガタが生じて騒音が増大する。
するため、この部分での摩耗が増大し、ボールとボール
ポケットの間にガタが生じて騒音が増大する。
【００１２】（２）ボールポケットの内周面に曲率半径
が不連続的に変化する変曲点２１ｈが存在するため、こ
の部分に応力集中が生じ、コンロッドの引張りに対する
ボールポケットの強度が著しく低下する。
が不連続的に変化する変曲点２１ｈが存在するため、こ
の部分に応力集中が生じ、コンロッドの引張りに対する
ボールポケットの強度が著しく低下する。
【００１３】本発明の目的は、ボールとボールポケット
の接触面に極圧の発生が無く耐焼付性及びコンロッドの
応力低減効果に優れ、しかもボールポケット内周面に曲
率半径が極端に変化する応力集中部が無くボールポケッ
ト強度の高い、信頼性に優れたボールジョイントを提供
することにある。
の接触面に極圧の発生が無く耐焼付性及びコンロッドの
応力低減効果に優れ、しかもボールポケット内周面に曲
率半径が極端に変化する応力集中部が無くボールポケッ
ト強度の高い、信頼性に優れたボールジョイントを提供
することにある。
【００１４】
【課題を解決するための手段】上記目的は、ボールポケ
ット内周面をボールとほぼ同一半径の球面とこれと同一
半径で滑らかにつながる円筒面で構成するとともに、こ
れをかしめ成形するためのかしめ型の内周面を、ボール
半径とボールポケット肉厚を加えた長さよりも大きな曲
率半径を持つ球面部及びボールポケットを上方から押す
平面部で構成することにより達成される。
ット内周面をボールとほぼ同一半径の球面とこれと同一
半径で滑らかにつながる円筒面で構成するとともに、こ
れをかしめ成形するためのかしめ型の内周面を、ボール
半径とボールポケット肉厚を加えた長さよりも大きな曲
率半径を持つ球面部及びボールポケットを上方から押す
平面部で構成することにより達成される。
【００１５】
【作用】ボールポケットの内周円筒部半径をボール半径
とほぼ同一としたため、かしめ時のボールの動きは拘束
され、偏かしめによる接触面の極圧発生を防止できる。
また、かしめ型の球面半径をボール半径とボールポケッ
ト肉厚をあわせた長さよりも大きくしたため、かしめ後
にボールポケットの座屈変形によりボールの赤道回りに
潤滑のためのオイルだめとなる隙間を形成できる。更
に、この隙間は座屈により自然に形成されるため、ボー
ルポケット内周は滑らかな曲面でつながり、応力集中の
原因となる変曲点の発生を防止できる。
とほぼ同一としたため、かしめ時のボールの動きは拘束
され、偏かしめによる接触面の極圧発生を防止できる。
また、かしめ型の球面半径をボール半径とボールポケッ
ト肉厚をあわせた長さよりも大きくしたため、かしめ後
にボールポケットの座屈変形によりボールの赤道回りに
潤滑のためのオイルだめとなる隙間を形成できる。更
に、この隙間は座屈により自然に形成されるため、ボー
ルポケット内周は滑らかな曲面でつながり、応力集中の
原因となる変曲点の発生を防止できる。
【００１６】
【実施例】以下、本発明を片斜板型の圧縮機に適用した
実施例について、図１〜図３を用いて説明する。始め
に、図３を用いて圧縮機全体の構成を説明する。円筒状
のシリンダブロック１の一端には、中央部にラジアルベ
アリング２を介して駆動軸３を回転自在に支持するフロ
ントハウジング４が配置，固定され斜板室５を形成して
いる。このシリンダブロック１には、駆動軸３を中心と
して且この駆動軸３の軸線と平行に円周方向に配置され
た複数個のシリンダボア６が形成されている。駆動軸３
は、シリンダブロック１のほぼ中心線上にあって、シリ
ンダブロック１及びフロントハウジング４の中心部に設
けられたラジアルベアリング２´，２により回転自在に
支持され、圧入あるいはピン、又は塑性結合等によりド
ライブプレート７が一体的に固定されている。ドライブ
プレート７には、カム溝７ａが設けられ、この溝には、
斜板８の耳部８ａにすきまを設けて嵌合されたピポッド
ピン９が、移動可能に取り付けられている。また、カム
溝７ａが設けられたドライブプレート７の耳部７ｂと斜
板の耳部８ａとは側面が接触するような構造としてあ
る。これにより、駆動軸３の回転によりドライブプレー
ト７が回転すると、ドライブプレート７の耳部７ｂから
斜板の耳部８ａに回転力が与えられ、斜板８が回転す
る。駆動軸３には、スリーブ１０が駆動軸３に対して軸
方向に滑動可能に組み込まれており、このスリーブ１０
と斜板８とは、スリーブピン１１の回りに回転自在に連
結されている。従って、駆動軸３の回転により、ドライ
ブプレート７，斜板８がともに回転する。斜板８には、
ボールベアリング１２を介してピストンサポート１３が
連結されており、斜板８に固定されたバランスプレート
１４及び止めナット１５により、ボールベアリング１２
が斜板８の回転方向に移動しないように、斜板のハブ部
８ｂに固定されている。
実施例について、図１〜図３を用いて説明する。始め
に、図３を用いて圧縮機全体の構成を説明する。円筒状
のシリンダブロック１の一端には、中央部にラジアルベ
アリング２を介して駆動軸３を回転自在に支持するフロ
ントハウジング４が配置，固定され斜板室５を形成して
いる。このシリンダブロック１には、駆動軸３を中心と
して且この駆動軸３の軸線と平行に円周方向に配置され
た複数個のシリンダボア６が形成されている。駆動軸３
は、シリンダブロック１のほぼ中心線上にあって、シリ
ンダブロック１及びフロントハウジング４の中心部に設
けられたラジアルベアリング２´，２により回転自在に
支持され、圧入あるいはピン、又は塑性結合等によりド
ライブプレート７が一体的に固定されている。ドライブ
プレート７には、カム溝７ａが設けられ、この溝には、
斜板８の耳部８ａにすきまを設けて嵌合されたピポッド
ピン９が、移動可能に取り付けられている。また、カム
溝７ａが設けられたドライブプレート７の耳部７ｂと斜
板の耳部８ａとは側面が接触するような構造としてあ
る。これにより、駆動軸３の回転によりドライブプレー
ト７が回転すると、ドライブプレート７の耳部７ｂから
斜板の耳部８ａに回転力が与えられ、斜板８が回転す
る。駆動軸３には、スリーブ１０が駆動軸３に対して軸
方向に滑動可能に組み込まれており、このスリーブ１０
と斜板８とは、スリーブピン１１の回りに回転自在に連
結されている。従って、駆動軸３の回転により、ドライ
ブプレート７，斜板８がともに回転する。斜板８には、
ボールベアリング１２を介してピストンサポート１３が
連結されており、斜板８に固定されたバランスプレート
１４及び止めナット１５により、ボールベアリング１２
が斜板８の回転方向に移動しないように、斜板のハブ部
８ｂに固定されている。
【００１７】一方、ピストンサポート１３には突起部１
３ａにより、ボールベアリング１２に対して右方向への
移動を規制され、しかも斜板との間に設置されたスラス
トベアリング１６により、左方向への移動も規制されて
いる。また、ピストンサポート１３の下側位置で、かつ
半径方向にスライドピン１７が圧入，ねじ込み、あるい
は、塑性結合等の方法で固定されており、このスライド
ピン１７には、スライドボール１８及びこれに当接する
シュー１９が回転及び滑動可能に装着されている。シュ
ー１９は、フロントハウジング４の内周部に設けられた
軸方向円筒溝を往復運動し、ピストンサポート１３に
は、両端にボール２０ａ，２０ｂを有する複数個のコン
ロッド２０の一端が、ボール２０ａの回りに回転自在と
なるように取り付けられ、他端には、ボール２０ｂの回
りに回転自在となるようピストン２１が取り付けられて
ボールジョイントを形成している。
３ａにより、ボールベアリング１２に対して右方向への
移動を規制され、しかも斜板との間に設置されたスラス
トベアリング１６により、左方向への移動も規制されて
いる。また、ピストンサポート１３の下側位置で、かつ
半径方向にスライドピン１７が圧入，ねじ込み、あるい
は、塑性結合等の方法で固定されており、このスライド
ピン１７には、スライドボール１８及びこれに当接する
シュー１９が回転及び滑動可能に装着されている。シュ
ー１９は、フロントハウジング４の内周部に設けられた
軸方向円筒溝を往復運動し、ピストンサポート１３に
は、両端にボール２０ａ，２０ｂを有する複数個のコン
ロッド２０の一端が、ボール２０ａの回りに回転自在と
なるように取り付けられ、他端には、ボール２０ｂの回
りに回転自在となるようピストン２１が取り付けられて
ボールジョイントを形成している。
【００１８】上記構成により、駆動軸３の回転はドライ
ブプレート７，斜板８及びボールベアリング１２を介し
てピストンサポート１３の搖動運動に変換され、ピスト
ンサポート１３の搖動運動は、コンロッド２０を介して
ピストン２１の往復運動に変換される。こうして、シリ
ンダボア６内でガスの吸入，圧縮が行われる。
ブプレート７，斜板８及びボールベアリング１２を介し
てピストンサポート１３の搖動運動に変換され、ピスト
ンサポート１３の搖動運動は、コンロッド２０を介して
ピストン２１の往復運動に変換される。こうして、シリ
ンダボア６内でガスの吸入，圧縮が行われる。
【００１９】次に、本実施例の特徴部分であるボールジ
ョイント部について、図１，図２を用いて詳細に説明す
る。図２は、かしめによりボールジョイントを成形する
前のピストン２１，コンロッド２０及びかしめ型２２を
示すが、ボールポケット球面２１ａは、ボール２０ｂと
ほぼ同一の球面半径ｒ1 となっており、底部には、オイ
ルだめとなる隙間２１ｂを設けている。ボールポケット
球面２１ａのボール赤道線２０ｃよりも上部は、半径ｒ
1の内周円筒面２１ａ´及び肉厚ｔ1を持つボールポケッ
ト２１ｃで構成されボール２０ｂを挿入できるようにな
っている。この実施例においては、ボールポケット円筒
面２１ａ´とボール２０ｂがほぼ同一径であるため、ボ
ールの半径方向の動きが拘束され、従来例の図６で見ら
れたような偏かしめは発生しない。
ョイント部について、図１，図２を用いて詳細に説明す
る。図２は、かしめによりボールジョイントを成形する
前のピストン２１，コンロッド２０及びかしめ型２２を
示すが、ボールポケット球面２１ａは、ボール２０ｂと
ほぼ同一の球面半径ｒ1 となっており、底部には、オイ
ルだめとなる隙間２１ｂを設けている。ボールポケット
球面２１ａのボール赤道線２０ｃよりも上部は、半径ｒ
1の内周円筒面２１ａ´及び肉厚ｔ1を持つボールポケッ
ト２１ｃで構成されボール２０ｂを挿入できるようにな
っている。この実施例においては、ボールポケット円筒
面２１ａ´とボール２０ｂがほぼ同一径であるため、ボ
ールの半径方向の動きが拘束され、従来例の図６で見ら
れたような偏かしめは発生しない。
【００２０】一方、かしめ型２２は、球面半径ｒ2 の２
２ａと上部平面２２ｂおよびロッドの逃げ部２２ｃから
なり、２２ａ及び２２ｂがボールポケット２１ｃを塑性
変形させる面となる。ここで、型の球面半径ｒ2とボー
ル半径ｒ1とボールポケット肉厚ｔ1の関係は次式によ
る。ｒ2＞ｒ1＋ｔ1 上記構成からなるボールポケット及びかしめ型によりボ
ールジョイントをかしめ成形したのが図１である。ボー
ルポケット２１ｃは、かしめ型の球面２２ａに沿って座
屈しながら変形するため、ボール２０ｂの赤道付近に
は、ボールポケット内周面２１ｇとの間に、長さｃの隙
間２１ｄが発生しこれがオイルだめとなる。尚、隙間の
長さｃは次式となるため、かしめ型の球面半径ｒ2 を変
えることにより、隙間２１ｄの容積を自由に調整でき
る。ｃ＝ｒ2−ｒ1−ｔ1 次に、本実施例ではかしめ型に上部平面を設けているた
め、この面によって上方から押されたボールポケットの
材料が塑性流動により、ボール２０ｂの中心方向に逃げ
ボールポケットの上部肉厚がｔ1からｔ2に増厚して、上
部接触面２１ｅを形成する。また、この状態においてボ
ールポケット内周面２１ｇは、座屈により上部接触面２
１ｅ及び下部接触面２１ｆと滑らかに結ばれる曲面とな
る。
２ａと上部平面２２ｂおよびロッドの逃げ部２２ｃから
なり、２２ａ及び２２ｂがボールポケット２１ｃを塑性
変形させる面となる。ここで、型の球面半径ｒ2とボー
ル半径ｒ1とボールポケット肉厚ｔ1の関係は次式によ
る。ｒ2＞ｒ1＋ｔ1 上記構成からなるボールポケット及びかしめ型によりボ
ールジョイントをかしめ成形したのが図１である。ボー
ルポケット２１ｃは、かしめ型の球面２２ａに沿って座
屈しながら変形するため、ボール２０ｂの赤道付近に
は、ボールポケット内周面２１ｇとの間に、長さｃの隙
間２１ｄが発生しこれがオイルだめとなる。尚、隙間の
長さｃは次式となるため、かしめ型の球面半径ｒ2 を変
えることにより、隙間２１ｄの容積を自由に調整でき
る。ｃ＝ｒ2−ｒ1−ｔ1 次に、本実施例ではかしめ型に上部平面を設けているた
め、この面によって上方から押されたボールポケットの
材料が塑性流動により、ボール２０ｂの中心方向に逃げ
ボールポケットの上部肉厚がｔ1からｔ2に増厚して、上
部接触面２１ｅを形成する。また、この状態においてボ
ールポケット内周面２１ｇは、座屈により上部接触面２
１ｅ及び下部接触面２１ｆと滑らかに結ばれる曲面とな
る。
【００２１】（従来例（図４）に見られるような応力集
中が発生する変曲点２１ｈは、存在しない。）この結
果、本実施例によれば、かしめ時にボールが半径方向に
移動すること無く、ボールポケット全周で面接触による
安定した接触面圧が得られ、またボールの赤道付近にオ
イルだめを形成でき、さらに、ボールポケット内周面が
滑らかにつながる曲面となるため、以下の効果が得られ
る。
中が発生する変曲点２１ｈは、存在しない。）この結
果、本実施例によれば、かしめ時にボールが半径方向に
移動すること無く、ボールポケット全周で面接触による
安定した接触面圧が得られ、またボールの赤道付近にオ
イルだめを形成でき、さらに、ボールポケット内周面が
滑らかにつながる曲面となるため、以下の効果が得られ
る。
【００２２】（１）ボールとボールポケットの接触面の
一部に極圧が発生しないため、耐焼付性に優れる。
一部に極圧が発生しないため、耐焼付性に優れる。
【００２３】（２）ボールとボールポケットの接触面の
一部に極圧が発生しないため、ある方向でコンロッドを
傾けるトルクが異常に増加すること無く、応力増大によ
るコンロッドの折損を防止できる。
一部に極圧が発生しないため、ある方向でコンロッドを
傾けるトルクが異常に増加すること無く、応力増大によ
るコンロッドの折損を防止できる。
【００２４】（３）ボールとボールポケットの接触面の
一部に極圧が発生しないため、この部分での耐摩耗性に
優れ、摩耗ガタによる騒音の発生を防止することができ
る。
一部に極圧が発生しないため、この部分での耐摩耗性に
優れ、摩耗ガタによる騒音の発生を防止することができ
る。
【００２５】（４）ボールの赤道付近にオイルだめを設
けたため、耐焼付性に優れる。
けたため、耐焼付性に優れる。
【００２６】（５）成形後のボールポケット内周が連続
した滑らかな曲線で結ばれるため、応力集中が少なく、
コンロッドの引張りに対するボールポケットの強度が飛
躍的に向上する。
した滑らかな曲線で結ばれるため、応力集中が少なく、
コンロッドの引張りに対するボールポケットの強度が飛
躍的に向上する。
【００２７】尚、図１に示した実施例は、ボール２０ｂ
の中心とかしめ型球面２２ａの中心が一致しているが、
これがコンロッド２０の軸方向にずれても、同様の効果
が得られることはいうまでもない。
の中心とかしめ型球面２２ａの中心が一致しているが、
これがコンロッド２０の軸方向にずれても、同様の効果
が得られることはいうまでもない。
【００２８】また、図１に示した実施例は、ピストン２
１側に関する例であるが、ピストンサポート１３側のボ
ールジョイントに関しても適用でき、同様の効果が得ら
れることはいうまでもない。
１側に関する例であるが、ピストンサポート１３側のボ
ールジョイントに関しても適用でき、同様の効果が得ら
れることはいうまでもない。
【００２９】また、図１に示した実施例は、片斜板型の
圧縮機に関するものであるが、圧縮機のみでなく全ての
ボールジョイントに適用可能であることはいうまでもな
い。
圧縮機に関するものであるが、圧縮機のみでなく全ての
ボールジョイントに適用可能であることはいうまでもな
い。
【００３０】
【発明の効果】本発明によれば、ボールポケット内周面
をボールとほぼ同一半径の球面とこれと同一半径で滑ら
かにつながる円筒面で構成するとともに、これをかしめ
成形するためのかしめ型の内周面を、ボール半径とボー
ルポケット肉厚を加えた長さよりも大きな曲率半径を持
つ球面部及びボールポケットを上方から押す平面部で構
成したため、かしめ時のボールの動きは拘束され、偏か
しめによる接触面の極圧発生を防止でき、同時にボール
ポケットの座屈により、かしめ後にボールの赤道回りに
潤滑のためのオイルだめとなる隙間を形成できる。更
に、この隙間は座屈により自然に形成されるため、ボー
ルポケット内周は滑らかな曲面でつながり、応力集中の
原因となる変曲点の発生を防止できる。
をボールとほぼ同一半径の球面とこれと同一半径で滑ら
かにつながる円筒面で構成するとともに、これをかしめ
成形するためのかしめ型の内周面を、ボール半径とボー
ルポケット肉厚を加えた長さよりも大きな曲率半径を持
つ球面部及びボールポケットを上方から押す平面部で構
成したため、かしめ時のボールの動きは拘束され、偏か
しめによる接触面の極圧発生を防止でき、同時にボール
ポケットの座屈により、かしめ後にボールの赤道回りに
潤滑のためのオイルだめとなる隙間を形成できる。更
に、この隙間は座屈により自然に形成されるため、ボー
ルポケット内周は滑らかな曲面でつながり、応力集中の
原因となる変曲点の発生を防止できる。
【００３１】この結果、ボールとボールポケットの接触
面に極圧の発生が無く耐焼付性及びコンロッドの応力低
減効果に優れ、しかもボールポケット内周面に曲率半径
が極端に変化する応力集中部が無くボールポケット強度
の高い、信頼性に優れたボールジョイントを得ることが
出来る。
面に極圧の発生が無く耐焼付性及びコンロッドの応力低
減効果に優れ、しかもボールポケット内周面に曲率半径
が極端に変化する応力集中部が無くボールポケット強度
の高い、信頼性に優れたボールジョイントを得ることが
出来る。
【図１】本発明の実施例を示すかしめ成形後のボールジ
ョイント断面図である。
ョイント断面図である。
【図２】本発明の実施例を示すかしめ成形前のボールジ
ョイント及びかしめ型の断面図である。
ョイント及びかしめ型の断面図である。
【図３】本発明の実施例を適用した圧縮機の断面図であ
る。
る。
【図４】従来のかしめ成形後のボールジョイント断面図
である。
である。
【図５】従来のかしめ成形前のボールジョイント及びか
しめ型の断面図である。
しめ型の断面図である。
【図６】従来の不具合例を示すかしめ成形後のボールジ
ョイント断面図である。
ョイント断面図である。
２０…コンロッド、２０ａ，２０ｂ…ボール、２１…ピ
ストン、２１ａ…ボールポケット球面、２１ａ´…ボー
ルポケット円筒面、２１ｂ…隙間、２１ｃ…ボールポケ
ット、２１ｄ…隙間、２１ｅ…上部接触面、２１ｆ…下
部接触面、21ｇ…ボールポケット内周面、２１ｈ…変曲
点、２１ｉ…線接触部、２２…かしめ型、２２ａ…かし
め型球面、２２ｂ…かしめ型上部平面。
ストン、２１ａ…ボールポケット球面、２１ａ´…ボー
ルポケット円筒面、２１ｂ…隙間、２１ｃ…ボールポケ
ット、２１ｄ…隙間、２１ｅ…上部接触面、２１ｆ…下
部接触面、21ｇ…ボールポケット内周面、２１ｈ…変曲
点、２１ｉ…線接触部、２２…かしめ型、２２ａ…かし
め型球面、２２ｂ…かしめ型上部平面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 布施 栄次 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内
Claims (3)
- 【請求項１】内周を、円筒，球面またはこれらの組合わ
せで成形されたボールポケットにボールを挿入し、前記
ボールポケット上部をかしめて塑性変形させることによ
り製作するボールジョイントで、前記ボールポケットと
前記ボールとは該ボールの赤道線に対し上下それぞれ１
個所でリング状に接触し、これら両接触面の間には、前
記ボールポケットと前記ボールとの間に隙間が存在する
ものにおいて、前記隙間は、前記ボールポケットの座屈
変形により生じさせることを特徴とするボールジョイン
ト。 - 【請求項２】内周を、円筒，球面またはこれらの組合わ
せで成形されたボールポケットにボールを挿入し、前記
ボールポケット上部をかしめて塑性変形させることによ
り製作するボールジョイントで、前記ボールポケットと
前記ボールとは該ボールの赤道線に対し上下それぞれ１
個所でリング状に接触するものにおいて、これら両接触
面に挟まれるボールポケットのボール側表面には、変曲
点が無いことを特徴とするボールジョイント。 - 【請求項３】内周を、円筒，球面またはこれらの組合わ
せで成形されたボールポケットにボールを挿入し、前記
ボールポケット上部をかしめて塑性変形させることによ
り製作するボールジョイントで、かしめ前のボールポケ
ット内周面をボールとほぼ同一半径の球面とこれと同一
半径で滑らかにつながる円筒面で構成するとともに、こ
れをかしめ成形するためのかしめ型の内周面を、ボール
半径とボールポケット肉厚を加えた長さよりも大きな曲
率半径を持つ球面部及びボールポケットを上方から押す
平面部で構成したことを特徴とするボールジョイントの
製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4054788A JPH05256256A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | ボールジョイント |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4054788A JPH05256256A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | ボールジョイント |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05256256A true JPH05256256A (ja) | 1993-10-05 |
Family
ID=12980500
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4054788A Pending JPH05256256A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | ボールジョイント |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05256256A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003065222A (ja) * | 2001-08-30 | 2003-03-05 | Sanden Corp | 斜板式圧縮機のピストン |
| KR100823399B1 (ko) * | 2006-03-10 | 2008-04-17 | 히타치 어플라이언스 가부시키가이샤 | 밀폐형 압축기 |
| WO2008132775A1 (en) * | 2007-04-25 | 2008-11-06 | Panasonic Corporation | Hermetic reciprocating compressor with thrust ball bearing |
| JP2010065791A (ja) * | 2008-09-11 | 2010-03-25 | Honda Motor Co Ltd | ピストンとコンロッドとの球面連結構造 |
| US8122577B2 (en) | 2007-11-07 | 2012-02-28 | Ogino Industrial Co., Ltd | Device and method of producing ball joint |
| GB2550135B (en) * | 2016-05-09 | 2021-08-25 | Ultra Electronics Ltd | Axially Loaded spherical Joint assembly |
-
1992
- 1992-03-13 JP JP4054788A patent/JPH05256256A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003065222A (ja) * | 2001-08-30 | 2003-03-05 | Sanden Corp | 斜板式圧縮機のピストン |
| KR100823399B1 (ko) * | 2006-03-10 | 2008-04-17 | 히타치 어플라이언스 가부시키가이샤 | 밀폐형 압축기 |
| WO2008132775A1 (en) * | 2007-04-25 | 2008-11-06 | Panasonic Corporation | Hermetic reciprocating compressor with thrust ball bearing |
| US8122577B2 (en) | 2007-11-07 | 2012-02-28 | Ogino Industrial Co., Ltd | Device and method of producing ball joint |
| JP2010065791A (ja) * | 2008-09-11 | 2010-03-25 | Honda Motor Co Ltd | ピストンとコンロッドとの球面連結構造 |
| GB2550135B (en) * | 2016-05-09 | 2021-08-25 | Ultra Electronics Ltd | Axially Loaded spherical Joint assembly |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US8894292B2 (en) | Split outer ring, split rolling bearing using the same ring and construction and method of mounting the same rolling bearing | |
| EP3056749B1 (en) | Combination spherical and laminated bearing assembly | |
| EP0040477B1 (en) | Multicylinder swash plate compressor | |
| EP0814261A2 (en) | Compressor piston | |
| JPH10318129A (ja) | 斜板式圧縮機のピストン | |
| US20100254641A1 (en) | Rotary-slide bearing with a convex and an elastically yielding sliding surface | |
| JP3958420B2 (ja) | 斜板式コンプレッサー用シュー及び斜板式コンプレッサー用ピストンジョイント | |
| JPH05256256A (ja) | ボールジョイント | |
| JP3298571B2 (ja) | 摺動装置 | |
| US7444921B2 (en) | Swash ring compressor | |
| US20040131475A1 (en) | Shaft seal, compressor having the same and method for sealing shaft | |
| US6202301B1 (en) | Method for manufacturing piston of variable-capacity type compressor | |
| GB2357322A (en) | Bearing bush for a motor rotor with a radial portion of shorter axial length than the axial length at the inner periphery of the bush | |
| US6446540B1 (en) | Bearing for swash plate compressor | |
| EP1898090A2 (en) | Variable displacement compressor | |
| US20040081381A1 (en) | Method and assemblies utilizing a drawn race in a compression bearing assembly | |
| US7455008B2 (en) | Swash plate compressor | |
| EP0040911B1 (en) | Multicylinder swash plate compressor | |
| EP1111236A2 (en) | Variable displacement swash plate type compressor having pivot pin | |
| CN217355200U (zh) | 一种便于装配的杆端关节轴承 | |
| JPS6325341Y2 (ja) | ||
| JP2003286942A (ja) | 往復動圧縮機に用いるピストンの製造方法 | |
| JP2001304105A (ja) | 可変容量型斜板式圧縮機 | |
| JP3182486B2 (ja) | コネクティングロッドの連結方法 | |
| EP1467097A2 (en) | Reciprocating compressor |