JPS6112350Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、薬品および飲料との他の内容物が充
填されている瓶の口に冠着して瓶口を封鎖する為
の薄金属板製の開封容易なキヤツプに関する。

詳細には、キヤツプの裂開部を規定するスコア
線を、引張りタブを操作することにより破断させ
た後に、キヤツプの裂開部とそれ以外の部分とを
完全には分離しない状態で瓶口から取り外すこと
ができる開封容易なキヤツプに関する。

従来のこのタイプのキヤツプを第１図（平面
図。なお本図は本考案キヤツプの平面図でもあ
る）第４図（右側面図）を参照して説明する。

このキヤツプ１は、アルミニウム合金の如き薄
金属板でできており、円形の頂部２と、頂部２の
周縁から垂下しているスカート部３と、頂部２と
スカート部３にわたつて裂開部６を規定するスコ
ア線４（このスコア線は全体としてほぼＵ字状を
しており、両端部７，７′が共にスカート部３内
に在り、一方の端部７はスカート部３下端部５付
近まで、また他方の端部７′はスカート部３の中
途まで延びている）と、リング状引張りタブ１２
（これは頂部２に於ける裂開部６の一部であつて
スコア線４の彎曲部１３の極く近くに、頂部板と
一体のリベツト８により鋲着された固着部分１０
を含む前方端部分９と後方端部分１１とを有す
る）とから成つており、スカート部３に於けるス
コア線４の直線部１７，１７′は互いに平行に垂
直に延びている。

このキヤツプ１を開封するには、先ず引張りタ
ブ１２の後方端部分１１を指で持ち上げる。する
と、タブ１２の前方端部分１０が強く頂部２に押
圧されてテコの支点となり、タブ１２の固着部の
周りのスコア線４が破断される（初期破断）。そ
の後、タブ１２のリングに人差し指を掛けて手前
に引つ張ると、頂部のスコア線４が破断され、な
おも引つ張り続けると、スカート部３内の直線部
１７，１７′が破断し始める。その両端部７，
７′まで完全に破断された後も更に手前側に引つ
張り続けると、長い直線部１７側の破断が、端部
７を超えてスカート部３の下端部５にまで達する
ので、その後タブを第４図において図面上右方向
に引張り、頂部内のスコア線部分１４とそれに続
く直線部１７を挾んだ左側と右側の間隔を広げる
と、キヤツプが瓶口から外れる。

ところが、このキヤツプ１のスカート部３に於
ける長い直線部１７と短い直線部１７′は、互い
に平行で前直方向に樋状になつて延びている為、
消費者がキヤツプ１を開封する際のスコア線破断
の為のタブ引張り時に、スカート部３に上端から
短かい直線部１７′の端部部７′まで、樋状の形状
のまま長い直線部１７と短かい直線部１７′のス
コア線が同時に破断され、その勢いで短い直線部
側ではスカート部３の中途で止めてある短直線部
１７′の端部７′を超えてスカート部３の下端部５
まで破断し、同時に長直線部１７のスコア線も破
断して下端部５まで破断してしまう（即ち、裂開
部６が完全に他の部分と分離する）ことがしばし
ばあつた。この様に破断してしまつた場合に、キ
ヤツプの残部を瓶口から取り除く為には、残部を
指でし広げなければならないが、その際鋭い破断
端で指を傷つけるおそれがあり、又、上記の様に
必要以上の引張力を加えた場合には、裂開部６が
完全に他の部分と分離してしまつた後の勢いづた
右腕のひじで開封操作者の胸や脇腹を強く打つお
それがあつた。

このような欠点を除く為に、スカート部内にお
いて前記の短直線部を長直線部から次第に離れる
方向に傾斜させ、両直線部の間隔を下端部に向つ
て末広がり状にしたキヤツプが特開昭47−29073
号公報に示されている。このキヤツプは、短直線
部が末広がり状に傾斜して樋状部分を斜めに横切
つているので、この短直線部の端部までの、長直
線部と同時になされている破断が可成りの力で裂
開部を引張ることによつて序々になされ、従つて
短直線部の端部で破断を停止させることができる
が、これ以後の長直線部の破断には、裂開部を短
直線部側に向つて捩るようにしなければならない
ので、樋形状ということもあつて極めて大きな捩
転、引張力を必要とし、実質的にスカート部の下
端部までの破断が非常に困難であるという欠点が
ある。

本考案は、これらの欠点を除くとともに、スコ
ア線の破断からキヤツプの取り外しまでの裂開操
作が、連続的且つ容易に行える構成をもつキヤツ
プを提供するものであつて、それは、円形の頂部
と、該頂部から垂下しているスカート部と、該ス
カート部と該頂部にわたつて連続して刻まれてお
り裂開部を規定するスコア線と、該頂部に於ける
該裂開部の一部に固着されており、前方端部分、
固着部分、後方端部分とを有するリング状引張り
タブとから成り、該スコア線の両端が互いに離れ
た状態で、一方の端が該スカート部の下端近く、
他方の端が該スカート部の中途まで延びており、
該引張りタブは、該タブの後方端部分が該裂開部
の上方に位置する状態で固着されている開封容易
なキヤツプに於て、該スカート部に於ける長短２
本のスコア線が、少なくとも端部付近で共に短か
いスコア線側に傾斜した湾曲形であり、且つ両ス
コア線間の間隔が端部付近で末広がり状になつて
いることが特徴である。

次に、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図は、本考案キヤツプの平面図（従来キヤ
ツプのそれと同じ）、第２図は第１図Ａ−Ａ線縦
断面図、第３図は右側面図である。

１は、アルミニウム合金から成る薄金属板製の
キヤツプであり、輸液用瓶の口部に冠着されて、
瓶口に嵌入されているゴム栓と共同して瓶口を封
鎖するのに適した形状をしている。

２は、円形の頂部であり、３は、頂部２の周縁
から垂下しているスカート部である。このスカー
ト部３の下端部５付近は瓶口を封鎖する際には、
内方へ曲げられる。４は、頂部２とスカート部３
とにわたつて連続して刻まれており、裂開部６を
規定する為のスコア線であつて、頂部２に於ては
彎曲部１３を有し、彎曲部１３から長，短２本の
スコア線１４，１４′となつてスカート部３まで
延び、スカート部３に於ては何れも右方向（第３
図参照）に傾斜した湾曲形となつて下降し、左側
のスコア線１５はスカート部３下端部付近まで延
び、右側のスコア線１５′はスカート部３の中途
で止まり、これらスコア線１５，１５′間の間隔
は、それぞれの端部７，７′に近づくにつれて広
くなつている。

尚、スカート部３の下端部５付近は、キヤツプ
１で瓶口を封鎖する際に、内方へ曲げられるが、
この際スコア線１５が破断することがない様に、
スコア線１５の端部７とスカート部３の下端部５
との間は、１〜２mm離しておく。

８は、前方端部分９と後方端部分１１との間に
固着部分１０を有するリング状引張りタブ１２
を、固着部分１０に於いて頂部２と固着する為の
リベツトである。

本考案のキヤツプ１を、開封するには、瓶を左
手を持ち、右手の親指を引張りタブ１２の後方端
部分１１の下に入れて、タブ１２の後方端部分１
１を上方に持ち上げ、スコア線４の彎曲部１３を
破断した後、タブ１２の後方端部分１１に右手の
人差し指を掛けて手前側（第１図では右方向、第
３図では紙面に対して上方側）に引つ張つて頂部
２のスコア線１４，１４′を破断した後、なお引
き続きタブ１２を引つ張り続けてスカート部３の
スコア線１５，１５′を破断させる。

この時、スカート部３のスコア線１５，１５′
は共に右下りに傾斜した湾曲形で、末広がりでは
あるがほゞ平行しているので、タブ１２を引つ張
るとスコア線１５，１５′は同時に破断が進行す
るが、スコア線１５の方がスコア線１５′より破
断の進行が早く、スコア線１５′の破断が終了或
いは終了直前にスコア線１５は端部７まで破断
し、さらに端部７からキヤツプのスカート部の下
端縁５まで、タブの引張方向を従来のキヤツプの
ように捩ることなく、そのまま小さな力で容易に
破断することができる。

その後さらに同一方向にタブ１２を引つ張る
と、スコア線１４，１５で区分けされた瓶口に冠
着されているキヤツプの左側部分に対し、裂開部
６に継がるキヤツプの右側部分は瓶口から外れ、
続いてキヤツプ全体が瓶口から外れる。

また、両スコア線は末広がりになつており、ス
カート部の円筒形を斜めに横切る方向に延びてい
るので、スコア線１５′が破断後タブの引つ張り
方向を変えない限り、端部７′からキヤツプの下
端縁５への破断は起こらず、端部７′で破断を確
実に一旦停止させることができる。

上記した様に、本考案のキヤツプのスコア線１
５，１５′は末広がりなつているが共に湾曲形で
あるので、右側の短かいスコア線１５′の彎曲部
が描く円弧と、左側の長いスコア線１５の彎曲部
１３が描く円弧とは同心円に近くなり、スコア線
１５′の破断が端部７′に達したときには長いスコ
ア線１５の破断がスカート部の下端縁５にまで延
長するように、両スコア線の湾曲形状を選定で
き、従来のキヤツプに比べて小さい力で長いスコ
ア線の破断をさせることができる。

さらに又、上記の破断は両スコア線に沿うよう
に裂開部を引張り上げればよく、殆んど捩る必要
がないので、この点からも、従来のキヤツプに比
べて小さい力で破断できる。

上記実施例の説明から明らかなように、本考案
のキヤツプは、キヤツプのスカート部に於ける長
短２本のスコア線が、少なくとも端部附近で共に
短かいスコア線側に傾斜した湾曲形であり、且つ
両スコア線間の間隔が端部付近で末広がり状にな
つているので、垂直に垂下する長直線スコア部と
この長直線スコア線に対する間隔が末広がりにな
る傾斜短直線スコア線とから成るものに比べて、
短スコア線の端部までの長短スコア線の破断が小
さな力ででき、以後の長スコア線の破断は殆んど
捩ることなしに裂開部を引上げることによつてな
されるので、ここでも小さな力で破断がなされ、
さらに末広がり形状に加えて短スコア線と長スコ
ア線とがほゞ同心の内側円弧と外側円弧とに相当
する形状に近いので、短スコア線の端部まで破断
が進行する間に長スコア線の端部を超えてスカー
ト部下端部までの破断を行うことが可能であり、
短スコア線の端部での破断の停止は、より一層確
実になされているという諸効果を奏する。

尚、スカート部が長いキヤツプや厚肉金属板製
キヤツプに於ては、上記タブ引つ張り操作だけで
はキヤツプが瓶口から外れないことがあるが、上
記引つ張り操作の後、タブを持つ手を上方に持ち
上げる（上方に引つ張る）と容易にキヤツプを瓶
口から外すことができる。この様な場合、スコア
線４の彎曲部１３から裂開部６と反対側へ延びる
折り曲げ用スコア線１６（第１図参照）を設ける
とより外し易くなる。

又、上記実施例では、キヤツプ素材の薄金属板
としてアルミニウム合金を用いたが、キヤツプ素
材としてはこれに限られず、錫，クロム，ニツケ
ルその他の金属をメツキしたメツキ銅板やクロム
酸，リン酸等で処理した化学処理銅板及び他の金
属製板でもよいことは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来ならびに本考案キヤツプの平面
図、第２図は第１図Ａ−Ａ線縦断面図、第３図は
本考案キヤツプの右側面図、第４図は従来キヤツ
プの右側面図である。 １……キヤツプ、２……頂部、３……スカート
部、４……スコア線、５……スカート部の下端
部、６……裂開部、７，７……スコア線の端部、
９……前方端部分、１０……固着部分、１１……
後方端部分、１２……タブ、１５……スカート部
に於ける長いスコア線、１５′……スカート部に
於ける短かいスコア線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円形の頂部と、該頂部から垂下しているスカー
   ト部と、該スカート部と該頂部にわたつて連続し
   て刻まれており、裂開部を規定するスコア線と、
   該頂部に於ける該裂開部の一部に固着されており
   前方端部分、固着部分、後方端部分とを有するリ
   ング状引張りタブとから成り、 該スコア線の両端部が互いに離れた状態で、一
   方の端部が該スカート部の下端部近く、他方の端
   部が該スカート部の中途まで延びており、該引張
   りタブの後方端部分が裂開部の上方に位置する状
   態で固着されている開封容易なキヤツプに於て、 該スカート部に於ける長短２本のスコア線が、
   少なくとも端部附近で共に短かいスコア線側に傾
   斜した湾曲形であり、且つ両スコア線間の間隔が
   端部付近で末広り状になつていることを特徴とす
   る開封容易なキヤツプ。