JPS6111501Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、増圧式ユニツトインジエクタの調量
装置、詳しくは、デイーゼルエンジンの燃料噴射
装置における増圧式ユニツトインジエクタの調量
装置の改良に関するものである。

従来一般のデイーゼルエンジンの燃料噴射装置
は第１図に示すようになつていて、エンジンａの
カム軸ｂにカツプリングｃ、オートマチツクタイ
マｄを介して噴射ポンプｅの軸ｆが連結されてお
り、エンジンａの回転に応じて所定のタイミング
で燃料タンクｇからの燃料を各インジエクタh₁，
h₂，h₃……に圧送するようになつている。噴射ポ
ンプｅの燃料圧送行程において各インジエクタに
送る高圧燃料が各インジエクタh₁，h₂，h₃……の
針弁の開弁圧以上の圧力に達すると、針弁が持ち
上げられて燃料がエンジンのシリンダ内に噴射さ
れる。そしてその燃料噴射量は噴射ポンプｅに設
けられているコントロールラツクｉの押込み量に
よつて変化する。このコントロールラツクｉの押
込み量は噴射ポンプｅの軸ｆに連結されたフライ
ウエイトｊによりリンク機構ｋを介して制御され
る。このコントロールラツクｉは押込み量に応じ
て噴射ポンプｅのジヤークポンプのピストン部
（図示せず）の有効ストロークを制御するように
なつている。また燃料の噴射時期はオートマチツ
クタイマｄによりエンジンａの回転速度に応じて
可変し得るようになつている。すなわち、エンジ
ン回転速度が高くなるにつれて噴射時期が進むよ
うになつている。

しかしながら、かかる従来の一般方式の燃料噴
射装置においては、噴射ポンプｅの軸ｆに設けた
カム（図示せず）により燃料圧送用の各ピストン
（図示せず）を駆動しているためにエンジンａの
低回転域で低噴射量のときに噴射が不安定とな
り、噴射量がばらつき、かつシリンダ内への燃料
の噴霧状態も悪く、エンジンを滑らかに回転させ
ることが困難であつた。また噴射時期はエンジン
回転速度の関数で表わされるが、排気ガス対策の
ための補正や噴射量による補正等が全くなされて
いないのが現状である。

従つてかかる従来の燃料噴射装置では、今後
益々厳しくなることが予想される排気ガス規制や
騒音規制または燃料効率の向上に応ずることがで
きない。

このような従来の燃料噴射装置を改良する手段
として以下に示す手段がある。

すなわち、エンジンの回転速度（カムの角速
度）による噴射圧の変動を取り除きどの回転域で
も安定して高い噴射圧を維持することができる手
段として第２図に示す構成がある。なおこの例は
単気筒の場合を示してある。

この第２図において、１はロータリバルブであ
り、１ａはエンジンのカムシヤフトと同期して回
転するロータリシヤフトである。そしてこのロー
タリシヤフトの回転によりロータリスリーブ２に
設けた吸入ポート３と供給ポート４とが、また供
給ポート４とドレンポート５とがそれぞれ順次連
通するようになつている。上記吸入ポート３には
高圧蓄圧室６を介してエンジンにて直接駆動され
る高圧の燃料ポンプが接続してある。またドレン
ボート５には低圧蓄圧室７を介してドレン通路８
に接続してある。そして上記低圧蓄圧室７には圧
力センサ９が設けてあり、またドレン通路８には
可変絞り弁１０が介装してある。圧力センサ９は
電子的に作動するようになつている。

一方１１はインジエクタであり、これのシリン
ダ１２が上記ロータリバルブ１の供給ポート４に
燃料供給通路を介して接続してある。１３はこの
シリンダ１２に嵌合した増圧ピストン、１４は増
圧ピストン１３よりこの断面積を小さくしたプラ
ンジヤで、増圧ピストン１３と一体状に作動する
ようになつている。１５は上記プランジヤ１４が
対向する増圧室で、この増圧室１５が針弁１６を
有するノズル１７に連通してある。また増圧室１
５への流入を許す逆止弁１８を介して上記シリン
ダ１２に連通してある。１９は増圧ピストン１３
を戻す戻しばね、２０は吸い戻し通路である。

このような構成において、高圧の燃料ポンプよ
り送られた燃料は高圧蓄圧室６に一旦蓄えられ
る。そしてロータリシヤフト１ａの回転により吸
入ポート３から供給ポート４を経てインジエクタ
１１のシリンダ１２に送られ、増圧ピストン１３
を戻しばね１９に抗して押し下げる。かくすると
これと一体にプランジヤ１４が押し下げられ、増
圧室１５内の燃料がピストン１３とプランジヤ１
４の断面積比に応じて増圧されて高圧となり、こ
の高圧になつた燃料が針弁１６を押し開いてノズ
ル１７より上記増圧ピストン１３が完全に下がり
きるまで噴射される。増圧ピストン１３が下がり
きると、プランジヤ１４に設けた穴１４ａが吸い
戻し弁２０に連通して増圧室１５がドレン回路に
連通して増圧室１５の圧力が急激に低下し、針弁
１６が閉じ上記燃料の噴射が後だれや、２次噴射
が生じることなく停止される。

次にロータリシヤフト１ａの回転が進んでロー
タリバルブ１の供給ポート４とドレンポート５と
が連通すると、インジエクタ１１のシリンダ１２
の圧力が低下するため、ピストン１２は戻しばね
１９の作用により戻されるはじめる。これと同時
に逆止弁１８が開いてシリンダ１２内にある燃料
がプランジヤ１４の上昇分だけ増圧室１５内に入
つてくる。この増圧室１５内への燃料流量（メー
タリング量）は上記ピストン１３の戻り量によつ
てきめられるが、このピストン１３の戻り量は低
圧蓄圧室７の圧力によつてきめられる。

すなわち、シリンダ１２内の圧力は低圧蓄圧室
７の圧力と同じであり、この圧力によるピストン
１３の押圧力と戻しばね１９の付勢力とがバラン
スした状態でピストン１３が停止され、このとき
のプランジヤ１４の移動量分が１ストロークあた
りの噴射量となる。従つてこの噴射量の調整は低
圧蓄圧室７の圧力を可変絞り１０にて調整するこ
とにより行なうことができる。このような増圧式
ユニツトインジエクタにあつては上記したように
低圧蓄圧室７の圧力によつてメータリング量が決
定され、この低圧蓄圧室７の圧力は圧力センサ９
にて電気的に検出し、これの値により、可変絞り
弁１０を電気的に動かして低圧蓄圧室７の圧力を
調圧できるようになつている。

上記した増圧式ユニツトインジエクタの調量装
置にあつては、インジエクタ１１のサーボピスト
ン室１２内でのメータリング量は、このサーボピ
ストン室１２内の圧力、すなわちロータリバルブ
１のドレン通路８内の圧力によつて設定されるた
め、その構成が簡単で、低コストである反面、圧
力変動を受けやすく、メータリング時において、
増圧ピストンが希望する位置にバランスしないこ
とがあり、安定した調量ができないことがある。

本考案は以上のことにかんがみなされたもの
で、メータリング時における増圧ピストンの戻り
位置を機械的に位置調整可能にしたストツパにて
設定できるようにすることにより、メータリング
量を正確に設定できると共に、これの調整を機械
的に任意に行なうことができ、安定した調量を行
なうことができるようにした増圧式ユニツトイン
ジエクタの調量装置を提供しようとするものであ
る。

以下その構成を第３図に示した実施例に基づい
て説明する。なおこの実施例において、第２図に
示す従来例と同一部材はそれぞれ同一符号で示し
説明を省略する。

インジエクタ１１′の本体２１に、サーボピス
トン室１２内に突入され、かつ先端が増圧ピスト
ン１５の頂面に対向するストツパ２２が増圧ピス
トン１２の移動方向に摺動自在に設けてある。こ
のストツパ２２にはねじ２３が設けてあり、この
ねじにナツト２４が螺合してある。このナツト２
４は上記本体２１に、回転自在にかつ軸方向に移
動しないように支持されている。そしてこのナツ
ト２４の外周には従動歯車２４ａが設けてある。
２５はモータであり、これの出力軸に固着した駆
動歯車２６が上記従動歯車２４ａに噛み合つてい
る。なお図示してないが上記モータ２５はポテン
シヨメータにて制御され、またストツパ２２は位
置検出器にてその位置が検出され、これの値を上
記ポテンシヨメータにフイードバツクするように
なつている。

上記構成において、メータリング時における増
圧ピストン１２はストツパ２２に当接する位置で
停止してメータリングを完了する。そしてこのメ
ータリング量の調整すなわち、燃料噴射量の調量
は上記ストツパ２２の位置をモータ２５を駆動し
て変えることにより第４図に示すように直線的に
調量することができる。

本考案は以上のようになるから、メータリング
時の増圧ピストン時の増圧ピストン１２の戻りス
トロークはストツパ２２により機械的かつ任意に
きめられることになり、従来のドレン通路の圧力
によつて上記増圧ピストンの戻りストロークを設
定した場合に比べて調量作業を正確に、かつ容易
に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はデイーゼルエンジンと燃料ポンプおよ
びインジエクタとの関係を示す説明図、第２図は
増圧式ユニツトインジエクタの調量装置を示す構
成説明図、第３図は本考案に係る調量装置の要部
を示す構成説明図、第４図は本考案におけるスト
ツパ位置と噴射量との関係を示す線図である。 １はロータリバルブ、３は吸入ポート、４は供
給ポート、５はドレンポート、８はドレン通路、
１１はインジエクタ、１２はサーボピストン室、
１３は増圧ピストン、１４はプランジヤ、１７は
ノズル、２２はストツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料ポンプに高圧蓄圧室６を介して接続した吸
   入ポートと燃料供給通路に接続した供給ポート４
   とを、また供給ポート４とドレン通路８に接続し
   たドレンポート５とを順次連通するロータリバル
   ブ１と、燃料供給通路に接続されたサーボピスト
   ン室１２内の燃料圧により作動する増圧ピストン
   １３およびプランジヤ１４にて増圧室１５内の燃
   料をノズル１７より噴射し、また上記増圧ピスト
   ン１３の戻り行程にて増圧室１５内へ燃料をメー
   タリングするようにした増圧式ユニツトインジエ
   クタの調量装置において、サーボピストン室１２
   内に、増圧ピストン１３の戻り量を設定するスト
   ツパ２２を、増圧ピストン１３の移動方向に位置
   調整自在に設けたを特徴とする増圧式ユニツトイ
   ンジエクタの調量装置。