JPS6110374Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は多系列誤り検出装置に関する。

PCM通信等に代表される符号通信に於いて、
其の性能を左右するものは「符号誤り」であり、
その監視測定によつて機器或いは回線の品質が評
価出来る事は周知であるが、これ等PCM関連機
器を生産する場合には、この「符号誤り」の評価
を単位時間当りの誤りの数で評価する所謂「符号
誤り率＝BER」による測定と、更に全く外部的
擾乱の無い場合に如何に機器が少しの誤りも発生
しないで作動するかという「安定度」の評価も重
要な要素となつている。

本考案は後者で述べた安定度を評価し、十分な
る性能の機器を回線に供給する為に、多数の機器
を並列同時観測し、原理的に長時間を要する安定
度試験を容易且つ完壁に実現する為の符号誤り検
出装置に関するものである。

現在、符号誤りの検出には被測定物に送り込ん
だ符号列（シフトレジスタ等を用いた擬似ランダ
ムパルス）が被測定物を通過した後、該当符号列
と全く同一のものを受信側にて用意し、同期を確
立した後に符号比較して被測定物通過時の誤りを
検出する方法が主流である。しかしながら、この
方法では、例えば100H（時間）等の連続監視を
して機器の安定度を評価する様な場合には、本質
的に長時間掛る為に何台かの機器を同時に測定
し、能率良く処理する必要が出てくるが、上述の
方法をそのまま適用する事は、測定器をＮ台（Ｎ
は任意の実数）運転する事となり、実用的でな
い。同時に長時間（例えば100H）観測し、数個
の符号誤りが発生した場合等には、被測定物で発
生した誤りか又は測定器の電源等の擾乱によるも
のかの切分けが容易でない事も大きな問題であ
る。つまり、200Mb／ｓ等の高速パルスを取扱つ
た場合には、100Hにて数個の誤りは10^-13程度の
評価となり、測定器の若干の擾乱でも完全に切分
ける必要が生じる訳である。

本考案は従来の上記欠点を除去する為になされ
たものであり、従つて本考案の目的は、容易な手
段によりＮ台の機器を並列に観測する事を可能な
らしめ、同時に十分に安定度の高い測定系を構成
出来る事が可能となり、機器の安定度等の長時間
観測を有利に確立出来る新規な符号誤り検出装置
を提供することにある。

本考案の上記目的は、符号誤り測定に於いて、
送信側パターン信号列をＮ（Ｎは任意の整数）個
の被測定物に対応してＮ列に分岐する手段と、該
分岐手段から出力されるＮ列のパターン信号によ
り前記Ｎ個の被測定物の符号誤りを同時に並列測
定可能ならしめる独立したＮ個の受信系と、該受
信系の出力結果により当該測定系に対する擾乱に
よる誤測定を除去し得る禁止手段とを具備する事
を特徴とする多系列符号誤り検出装置、によつて
達成される。

次に本考案をその良好な一実施例について図面
を参照しながら詳細に説明する。

第１図は本考案の一実施例を示すブロツク構成
図である。図において、参照符号はＢはＮ個の対
象物（即ち被測定物）を並列測定するべく被測定
物へ試験信号を同時供給する為の擬似ランダムパ
ターン発生器であり、Ａは擬似ランダムパターン
発生器Ｂをドライブする為のクロツク発生器であ
る。

ここで擬似ランダムパターン発生器Ｂから出力
された信号データ列はドライバＣへ導びかれ、例
えば無線方式に於ける４相位相変調系が被測定物
の場合には、２列のデータ信号CH１，CH２及び
１列のクロツク信号CLに分岐される。この時２
列のデータ信号CH１，CH２には３ビツトの位相
差（既知）を付与する。このデータ信号CH１，
CH２は、和分演算回路Ｅに導かれ、４進加算演
算（４相系の被測定物の場合）を処理された後、
多系列分岐回路Ｆへ入力され、後続の信号分配器
Ｇにより２列の信号を各列Ｎ列（この実施例の場
合は10列）に分岐する為の十分なる電力を供給さ
れる。

又、クロツク信号CLについてもドライバＣを
通過した後クロツク分配器Ｈにて10列に分岐さ
れ、Ｎ個（本実施例では10個）の被測定物Ｍに同
時に供給される。

さて、受信側では、被測定物Ｍを通つてきた10
系統の当該信号は各々10個の差分演算回路Ｉにて
４進減算を行われた後、誤り検出計数器Ｊにて
夫々誤りが検出される。ここで、誤り検出計数器
Ｊに導かれる信号は送信側のドライバＣの出力と
等価な信号となつており、前述の如く２列の信号
CH１，CH２に３ビツトの位相差が付与されてい
る訳であり、もし、送信側でデータ信号CH１を
３ビツト進めて置いたと仮定すれば、受信側誤り
検出計数器Ｊに於いてデータ信号CH１を３ビツ
ト遅らせてデータ信号CH１とCH２とを比較した
時被測定物通過時に全く符号誤りがない時には、
両者は完全に一致する。

即ち、本考案によれば、誤りの検出が上述の如
く簡単なる手続で完了し、例えば10列等の並列測
定として実現し得る。

又、本考案では、信号の誤りは被測定物の性能
に於いて決定され、同一時刻に同一なる誤りが発
生する確率は非常に低く、殆んど無視出来る為
に、当該誤り、即ち、誤り検出計数器Ｊのすべて
に誤りが発生した時には、測定器系に対する外部
擾乱であると判断し、この誤りをインヒビツトす
る機能を有する。誤りインヒビツト回路Ｋはこの
禁止機能を有する。つまり、本考案は長時間に亘
る測定に於ける被測定物の異常に基づく誤り以外
は表示しない安定なる測定器を提供しているわけ
である。

本実施例に於いて被測定物Ｍとは、PCM通信
に於ける符号変換回路等の機能を有する無線通信
機能全般を云い、特に何の装置とは限定されるも
のでなく、いわゆるPCM通信を行う際の送受信
装置全般と考えて良い。

本考案は、以上説明したように、市販の高価な
誤り率測定装置を多数使用する事なく、伝送系の
誤りをＮ列並列の同時測定が可能となり、測定時
間の短縮及び誤り（瞬断）の正確な検出が出来、
装置の信頼性の向上に多大な効果を発揮し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すブロツク構成
図である。 Ａ……クロツク発生器、Ｂ……擬似ランダムパ
ルスパターン発生器、Ｃ……ドライバ、Ｄ……ク
ロツク増幅器、Ｅ……和分演算器、Ｆ……多系列
分岐回路、Ｇ……信号分配器、Ｈ……クロツク分
配器、Ｉ……差分演算器、Ｊ……誤り検出計数
器、Ｋ……誤りインヒビツト回路、Ｍ……被測定
物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 符号誤り測定に於いて、送信側パターン信号列
   をＮ（Ｎは任意の整数）個の被測定物に対応して
   Ｎ列に分岐する手段と、該分岐手段から出力され
   るＮ列のパターン信号により前記Ｎ個の被測定物
   の符号誤りを同時に並列測定可能ならしめる独立
   したＮ個の受信系と、該受信系の出力結果により
   当該測定系に対する擾乱による誤測定を除去し得
   る禁止手段とを具備する事を特徴とする多系列符
   号誤り検出装置。