JPS607038Y2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電波漏洩防止構造を改良した高周波加熱装置に
関するものである。

高周波加熱装置の代表的なものである電子レンジの断面
図を第３図に示した。

この第１図において、１は加熱室で、２は加熱室を形成
している金属箱体、３はドア、４は被加熱物である食品
、５は食品４を均一加熱させるためのターンテーブルを
回転させるための駆動モータである。

７はマイクロ波を発振するマグネトロンで、８は加熱室
１内へマイクロ波エネルギーを伝送する導波管である。

９が電波漏洩防止機構で、この拡大断面図が第２図であ
る。

第２図において金属性ライン１０を加熱室１の外から、
加熱室箱体２の壁面に設けた孔１１を通して挿入した従
来構造では、加熱室１内のマイクロ波は同軸モードとな
って外部へ漏洩する。

従って漏洩を防止する機構として溝の深さ１２が使用電
波の自由空間波長の１７４の長さを有するチョーク１３
を構威し、漏洩量を減衰させる方式となっている。

しかしチョーク１３の効果のみでは電波漏洩防止効果が
不充分で、チョーク１３の後に電波吸収材たとえばフェ
ライトゴム１４などを付加して、規格を満足している。

しかしフェライトゴム１４は高価でかつ電波を多量に吸
収すると発熱する欠点があった。

本考案の目的は、上記した従来技術の欠点をな（し、安
価で漏洩防止効果の優れた機構を具備した高周波加熱装
置を提供するにある。

本考案は上記した問題点を解消する手段として、加熱室
壁面の孔に金属性ラインが挿入された構造で、壁面外部
にスリットを有する金属の導体板を金属性ラインの周囲
に等間隔にかつ垂直に設置固定する。

スリットの深さは使用電波の自由空間波長丸の約１７４
弱の長さにとれば、漏洩防止効果が著しくよいというこ
とを見出した。

またスリットを有した導体板は個々に設置しても、連続
に折り曲げて設置しても漏洩防止効果は変らず、生産性
のよい構造を得た。

このように非常に簡単な構造で、性能の優れた電波漏洩
防止機構を構威し、上記した目的を遠戚できた。

なお、実開昭５３−９５４１号公報をみると、マグネト
ロンから発振された高周波エネルギーが損失なく加熱室
へ導かれるようにした同軸線路の構成が示されている。

そして、その同軸線路の内導体および外導体を金属で構
成し、内導体を支持するための支持柱には高周波に対し
て絶縁性の材質のものを利用している。

この構成において絶縁体の支持柱の高さは４分の１波長
になっているが、これは内導体の設けられた位置が電界
強度の最太侭と一致するようにしたためで、それにより
高周波エネルギーを損失なく伝送するためである。

これに対して本考案は高周波エネルギーの伝送が起らな
いように構成する。

以下本考案を実施例図を用いて説明する。

第３図は本考案実施例の電波漏洩防止機構の断面図であ
る。

加熱室１内にシーズヒータや高圧用ケーブル等の金属性
のライン１０を加熱室外部から加熱室箱体２の壁に設け
た孔１１を通して挿入する構造において、その加熱室外
部に金属の導体板１６を金属の枠１７に固定し、加熱室
箱体２の外壁に固定する。

この金属の導体板１６にはスリット１８を内側から切欠
き、そのスリットの深さ１９は使用電波の自由空間波長
の約１７４弱の長さが最も漏洩防止効果があることを実
験的に見い出した。

上記の事を詳細に述べる。

スリット１８を１ケ有した導体板２０を導波管２１内に
電波の進行方向に、第７図に示すように設置する。

このように設置した導体板の周波数特性を測定すると第
５図に示す特性曲線を得る。

すなわちこの特性をみると、ある共振した周波数の点で
減衰量が大きくなっている。

また共振点は、スリットの深さ１９や幅および導波管上
壁との間隙で決まり、加熱装置の使用電波の周波数（２
４５０ＭＨ２）に一致させることは可能である。

この時スリットの深さ１９を使用電波の約１７＃Ｌ長に
とると、共振周波数がほぼ２４５０Ｍ Ｈｚ近傍となる
。

これは、スリットの開口部からみたインピーダンス乙が
、 Ｚ、 ＝ −ｊ Ｚｏｔａｎβ１（１）で表わされ、
ここで４はスリットの特性インピーダンスβは位相定数
（＝２−！！−）、ｌはスリットの深λ さである。

従って、（１）式よりスリットの深さｌをλハとすると
、インピーダンス４は無限大となり伝送する電波は反射
する。

よってこのようなバンドリジェクションフィルタを、同
軸系の内導体の周囲に設けると、伝送する電波は反射し
て加熱室外部への漏洩電波量は激減する。

スリット１８を有した導体板を複数個内導体の周囲に設
けているため全体の周波数特性は、第８図に示した特性
より広帯域で減衰効果がある。

マグネトロンからは、周波数２４５０±５０ＭＨｚの他
に、レヘルは小さいが２２００ＭＨｚや２６００ＭＨｚ
などのサイドバンド及び第２高周波（４９００ＭＨｚ）
などが発振されているため、バンドリジェクションフィ
ルタの特性としては広帯域で減衰量の大きい方が良い。

次にこのフィルタを設けた実用的な構造について以下述
べる。

第４図は、金属の導体板１６を枠１７に設置した場合を
示したものである。

なお、この第４図は第３図の構造図を右側面から見た図
である。

この図においてスリット１８を有した導体板１６は、金
属枠１７に金属性ライン１０の周囲を等分割するように
等間隔に設置固定されている。

導体板１６の数は多い方が漏洩防止効果は大きいことが
認められるが、４個でも十分規格を満足した効果を示し
ている。

また金属性の枠１７は円形でなくても、第５図に示した
ように矩形でも、導体板１６のスリットの深さ１９を上
述した寸法に保持できておれば、漏洩防止効果は変らな
い。

次に第６図は、スリット１８を有した導体板１６を連続
に折り曲げたものを枠１７に固定したものである。

この構造においてもスリットの深さ１９が上記寸法に保
持されておれば、漏洩防止効果は変らず、生産性のよい
構造である。

以上述べたように本考案は同軸モードで漏洩する電波に
対して、スリットを有する導体板を金属性のラインの周
囲に等間隔に設置固定する簡単な構造で、規格を十分満
足する漏洩防止効果が得られ、高価な電波吸収材である
フェライトゴムを除去でき、安価にかつ安全性に優れた
電波漏洩防止機構を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は高周波加熱装置の断面図で、第２図は従来の電
波漏洩防止機構の部分拡大断面図である。 第３図は本考案の漏洩防止機構の部分拡大断面図、第４
図は第３図の側面図である。 第５図は本考案の第二の実施例の側面図、第６図は本考
案の第三の実施例の側面図である。 第７図は本考案を説明する導波管モデルの一部切欠斜視
図、第８図は第７図に示したモデルの特性図である。 １・・・・・・加熱室、２・・・・・・加熱室箱体、５
・・・・・・ターンテーブル、７・・・・・・マグネト
ロン、１０・・・・・・金属性ライン、１３・・・・・
・チョーク、１４・・曲電波吸収材、１６・・・・・・
導体板、１７・・・・・・枠、１８・・曲スリット。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱箱体２の壁を金属性ライン１０が貫通する構造にお
   いて、上記箱体の壁外側に上記金属性ラインに対して放
   射状に複数枚の導体板１６を設置し、かつそれら導体板
   の各々に使用電波の自由空間波長の４分の１弱の長さ１
   ９に相当するスリット１８を形成して、上記金属性ライ
   ンを通じて外部へ漏洩しようとする電波を阻止するよう
   にした高周波加熱装置。