JPS642395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、被調理物を加熱調理する高周波加熱
調理装置に係り、特に、この高周波加熱調理装置
における開閉扉周辺からの電波漏洩防止装置に関
する。

（従来の技術） 既に提案されているこの種の高周波加熱調理装
置は、第１図及び第２図に示されるように、構成
されている。

即ち、第１図及び第２図において、箱形に形成
されたケース本体（キヤビネツト）１内には、オ
ーブン２及び機械室３を区分して形成するオーブ
ン枠体４が設けられており、このオーブン枠体４
ａの天板４ａには、励振口５が穿設されている。
又、この励振口５の周りに位置する天板４ａに
は、導波管６が添設されており、この導波管６の
一端部には、マグネトロン７が付設されている。
さらに、上記オーブン２の開口部を形成するオー
ブン枠体４と一体をなす上記オーブン前板４ｂに
は、開閉扉８が開閉自在に設けられている。

特に、上記開閉扉８を構成する扉枠体９は、チ
ヨーク構造を形成する電波減衰周溝１０を上記オ
ーブン前板４ｂに当接する接触板１１と扉カバー
１２とで形成して設けると共に、上記扉カバー１
２に電波吸収材としてのフエライト１３を付設し
たものである。

従つて、上述した高周波加熱調理装置は、加熱
調理時、上記マグネトロン７に通電することによ
り、予め、上記オーブン２内に挿入された棚板１
４上の被調理物１５を加熱調理するようになつて
おり、オーブン２内の電波は、上記開閉扉８と上
記オーブン前板４ｂとの間から漏洩しないように
なつている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述した高周波加熱調理装置に
おける電波漏洩防止装置は、(1)オーブン前板４ｂ
と接触板１１との間が、何等かの原因により、間
隙を生じ、しかも、これが大きくなると、電波漏
洩の原因となるばかりでなく、(2)フエライトによ
る電波吸収材１３は、漏洩電波を吸収すると温度
上昇して吸収効率を低減する共に、コスト高とな
る。

又一方、上記電波減衰周溝１０内に、くし形板
金を挿着して電波漏洩を防止するようにしたもの
も提案されているけれども、これは、扉全体の重
量が増大して重くなり、扉開閉動作が重くなり、
円滑に行われず、しかも、上記くし形板金の形状
の加工や扉枠体内への組立が面倒になるばかりで
なく、量産による省力化が困難である。

本考案は、上述した難点を解消するために、フ
エライトによる電波吸収材を使用することなく、
電波減衰周溝内に螺旋状をなす導電線を巻回した
誘電体を設けて、この電波減衰周溝内の電波を積
極的に減衰して、漏洩電波の発生を抑制して、開
閉扉とオーブン前板との間から電波を漏洩しない
ようにし、併せて、信頼性及び安全性の向上を図
るようにした高周波加熱調理装置を提供すること
を目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段及びその作用〕 本考案は、オーブンを形成するオーブン枠体と
一体をなすオーブン前板に開閉扉を開閉自在に設
けた高周波加熱調理装置において、上記開閉扉の
扉枠体内に電波減衰周溝を扉カバー及び接触板と
で形成して設け、この電波減衰周溝内に板状の誘
電体を設け、この誘電体の長手方向に両端部に案
内溝部を一定のピツチ間隔で形成し、この案内溝
部に螺旋状をなす導電線を巻装して、漏洩電波の
発生を抑制して漏洩しないように構成したもので
ある。

（実施例） 以下、本考案を図示の一実施例について説明す
る。

なお、本考案は、上述した具体例と同一構成部
材には、同じ符号を付して説明する。

第３図乃至第５図において、符号４は、オーブ
ン２を形成するオーブン枠体であつて、このオー
ブン枠体４の前面には、オーブン前板４ｂがこれ
と実質的に一体にして設けられており、このオー
ブン前板４ｂには、開閉扉８が、上記オーブン２
を開閉し得るようにして開閉自在に設けられてい
る。

一方、上記開閉扉８を構成する扉枠体９には、
チヨーク構造を形成する電波減衰周溝１０が、上
記オーブン前板４ｂに当接する接触板１１と扉カ
バー１２とで空洞を形成するようにして設けられ
ており、この電波減衰周溝１０内には、細長い平
板状の誘電体１６が設けられており、この板状の
誘電体１６の長手方向の両端部には、案内溝部が
一定のピツチ間隔で形成されており、この案内溝
部には、螺旋状をなす導電線１７が、約λ／４波
長程度のピツチで巻装されている。

なお、上記誘電体１６は、妄りに移動しないよ
うに、上記扉枠体９の内壁に固定されている。

従つて、加熱調理時、マグネトロン７による電
波が上記扉枠体９に生じると、第４図に示される
ように、漏洩電波は、主として、Ｘ方向とＺ方向
成分とがあり、このうち、Ｚ方向成分は、上記誘
電体１６に巻装された導電線１７の周期構造によ
りＺ方向への電波を遮断する。又、上記オーブン
２からオーブン前板４ｂと接触板１１との隙間よ
りの漏洩電波は、上記電波減衰周溝１０内で、Ｘ
方向成分によるものが主体となり、チヨーク構造
による減衰効果を高める。さらに、周期体を誘電
体１６及び導電線１７で構成しているために、開
閉扉全体の重量を軽量化することができると共
に、フエライトによる電波吸収材も不要になる。

因に、本考案による板状の誘電体１６の代り
に、断面が矩形や三角形、円形もしくは筒体に
し、これに導電線を巻装するようにしてもよい。

なお、上記導電線１７は、その導電線の高さｈ
を約20mm、幅ｂを約５mmとし、ピツチｐを約10mm
程度にしたとき、最もよい実験結果を得ることが
できた。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案によれば、オーブンを
形成するオーブン枠体と一体をなすオーブン前板
に開閉扉を開閉自在に設けた高周波加熱調理装置
において、上記開閉扉８の扉枠体９に電波減衰周
溝１０を扉カバー１２及び接触板１１とで形成し
て設け、この電波減衰周溝１０内に板状の誘電体
１６を設け、この板状の誘電体の長手方向の両端
部に案内溝部を一定のピツチ間隔で形成し、この
案内溝部に螺旋状をなす導電線１７を巻装するよ
うになつているので、漏洩電波を防止できるばか
りでなく、開閉扉全体を軽量化して耐久性及び安
全性の向上を図ると共に、構成も簡素であるか
ら、組立も容易であり、量産による省力化を図る
ことができると共に、導電線１７の位置ずれがな
くなり、加熱調理時、振動や騒音の発生を防止で
きる等の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、既に提案されている高周波加熱調理
装置を線図的に示す断面図、第２図は第１図中の
鎖円Ａ部の拡大断面図、第３図は、本考案による
高周波加熱調理装置の要部を示す断面図、第４図
は、同上斜面図、第５図は、本考案に組込まれる
導電線と誘電体とを示す正面図の一部である。 ２……オーブン、４……オーブン枠体、４ｂ…
…オーブン前板、８……開閉扉、９……扉枠体、
１０……電波減衰周溝、１１……接触板、１２…
…扉カバー、１６……誘電体、１７……導電線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ オーブンを形成するオーブン枠体と一体をな
   すオーブン前板に開閉扉を開閉自在に設けた高
   周波加熱調理装置において、上記開閉扉の扉枠
   体に電波減衰周溝を扉カバー及び接触板とで形
   成して設け、この電波減衰周溝内に板状の誘電
   体を設け、この板状の誘電体の長手方向の両端
   部に案内溝部を一定のピツチ間隔で形成し、こ
   の案内溝部に螺旋状をなす導電線を巻装したこ
   とを特徴とする高周波加熱調理装置。 ２ 導電線のピツチを約λ／４波長以下にしたこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の高周波加熱調理装置。