JPS6055381B2 - 容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は臭気性材料、たとえば石油化学中間製品を収
納する容器に関するものである。

一般にアミン、スチレン等の石油化学中間製品は、製
造、加工業者により製造、加工され、製品として密閉し
うる容器に収納、密閉された後、需要家の許に輸送され
る。

需要家は使用時、密閉容器を開封し、収納された製品を
使用するが、開封時それぞれの製品に固有の臭気が発せ
られる。この臭気は、製品中の各成分が密閉された状態
（温度、圧力等）に応じて気化したものが容器の開封に
より、大気中に放散される事により惑じられるもので、
収納される成分により著しい刺激臭を発 するものも多
く、開封時の臭気は需要家並びに製造、加工業者にとつ
て、重要な製品特性の一つとなつており、いくら他の製
品特性が良くても、開封時の刺激臭が強い事により製品
の採用が忌避される場合も多い。更に上記密閉の状態は
、各製品の製造工程にも関係し、例えば常温に於て高粘
度の製品は高温で粘度を下げて反応、混されたものを、
同様に容器への収納に容易な比較的粘度の低い高温で収
納し、密閉するので、常温に温度が戻つても容器内は気
化成分（臭気成分）が充満し大気に対して高圧状態にな
つており、開封により一気に気化成分を散逸し、その後
は、大気中とバランスをとつた気化成分の気化をするに
過ぎなく、それ故一旦開封すれは、その後の開封に於て
は、それ程の刺激臭を発しない場合も多く、また大気中
て使用する場合には、換気等に留意して問題の解決をは
かれる場合も多い。 製品によつては、収納後、温度を
下げてから密閉したり、換気雰囲気中に放置してから密
閉する事により工夫が出来る場合も有るが、ほとんどは
、変質等の問題により大気に晒す事は製品として好まし
くないので、収納後直ちに密閉される場合が多い。

上記の如く、開封時の臭気が製品の製造工程に関係し
、工程の変更が困難な点並びに、実際の製品の使用に当
つては、換気等の工夫により、開封時ほど臭気が問題に
ならない事から、従来より、容器の収納、密封方法を工
夫する事により問題の解決をはかる種々の考案がなされ
て来た。

二成分型エポキシ樹脂組成物の硬化剤を例にすると、（
４）容器の密閉状態を密にし、開封時ふたの開封を一部
すつ除々に気化分子を放散させて開封せざるを得なくす
る方法。（Ｂ）製品ポリ袋、ポリ容器等中に空気層を残
さないように充填密閉し、それを缶容器に収納する二重
構造容器を使用する方法。

（Ｃ）収納された製品の上に、機密性のフィルムを密着
させてから容器を密閉する方法。

等の考案があるが、各々下記の如く問題点を有する。

（４）は開封作業が著しく手間どる上、抜本的な解決と
は言い難い。

（Ｂ）は製品をポリ袋、ポリ容器から取り出す際、特に
高粘度の製品では、袋及び容器に付着した製品の取出し
ロスが多くなる。

また製造、加工工程ではポリ袋、ポリ容器への製品の充
填、密閉缶容器への収納の手間がかる。（Ｃ）は高粘度
製品では、取り出しロスが問題となり、また低粘度製品
ではフィルムのずれ等による機密不足が問題になる。

このように従来法では、製品の供給サイド並びに需要サ
イドの両方に於て各方法固有の問題を有していた。

この発明は、上記のような観点から、石油化学中間製品
を収納密閉する容器に、吸着性の樹脂組成物を内面に塗
布したふたを組合せる事により、供給並びに需要両サイ
ドに、ほとんど負担をかける事なく、かつ製品の取り出
しロスを多くする事のない石油化学中間製品等の容器を
提供する事を目的とする。

即ち本発明は容器体とこれを封する蓋体より構成される
臭気性材料を密封する容器において、該．蓋体内面に上
記臭気成分を吸着する樹脂組成物層を設けたことを特徴
とする容器に関する。

臭気性材料としては前述の如きアミン、チオコール、ス
チレンの如き異臭、刺激臭を放つ石油化学中間製品や石
炭中間製品等を挙げることができ−るが、以下石油化学
中間製品であるエポキシ樹脂用硬化剤を例にとり本発明
を説明する。

二成分型のエポキシ樹脂組成物の硬化剤（硬化剤配合物
および共反応性樹脂を含む）としては、通常、ポリアミ
ドアミン、ポリアミド、芳香族アミン、ポリアルキレン
ポリアミン、アミン変性アミド、ケチミン、アミン内在
アダクト、分離アダクト、イミダゾール、グアニジン、
ポリチオールフェノール樹脂等が使用され、それらは反
応基としてアミン基、メルカプタン基、水酸基等の塩基
性の活性基を有しており、それぞれ特有の刺激性臭気を
発する。

一般に、その臭気は刺激性であり、吸入すると、はき気
を起したり、場合によれ）ば卒倒することもあり、その
強さは活性基の含有量が多い程、（例えば、アミン価が
高い程）強く、また粘度が低く、低沸点物を含む程、強
い。これら硬化剤は、空気中の水分、炭酸ガス等を吸収
したり、またそれらと反応（例えば、第一アミ１ンと炭
酸ガスが反応して炭酸アミンを生成する）しやすいので
、容器に充填後、すみやかに密封する事が望まれる。常
温で高粘度の硬化剤は反応や混合を行う際、高温条件下
で粘度を下げて反応、混合を行い、容器への受取りも、
比較的高温で行”なわれ、上記の如く変質を防ぐため、
常温に温度が下るのを待たずに密封せざるを得ない。以
上の様にして充填、密封された製品容器を開封すると、
、容器内に充填している刺激臭を有する気化成分が一気
に散逸し、はなはだしい臭気を発する。上記の如く問題
に対して、この発明においては、容器内に充満する気化
成分を選択的に吸着する樹脂組成物を容器ふた内面に塗
布、貼布する事により、開封時の刺激臭を抑制しようと
するものである。

吸着性樹脂組成物は、三つの主要な成分で構成される。
その一成分は、所謂る、活性吸着剤で、活性炭、活性白
土、ケイソウ土、アルミナ、シリカゲル、酸性白土、ベ
ントナイト、りん酸カルシウム等の無機質の粉末状の吸
着剤て、これらは、粉末表面の活性により、気化した水
分、臭気性成分を吸着するものて、非選択的な吸着を行
い、吸着性樹脂組成物の全体的な吸着能力を高める働き
を賦与する。

他の一成分は、臭気性成分中のアミン基、メルカプタン
基、水酸基等の塩基性の活性基を選択的に吸着する成分
で、スルホン酸塩、りん酸塩、ポリリん酸塩、ピロリん
塩、炭酸塩、ホウ酸塩、クロム酸塩、硫酸塩、塩酸塩、
硅酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、脂肪族酸
塩、芳香族酸塩、脂環族酸塩等の無機酸塩並びに有機酸
塩の中で、それ自身が著しい刺激臭を有しない酸性塩よ
りなる材料が選択使用される。

これらは、臭気性成分中のアミン基等の塩基性活性炭と
反応しうる酸性塩を有しており、その吸着は、多分に化
学吸着に近い選択的なものであり、吸着性樹脂組成物に
選択吸着能力を賦与する。残りの一成分は合成樹脂であ
り、上記二成分の吸着成分を分散させ、吸着性樹脂組成
物に皮膜形成能を賦与するためのベース樹脂であり、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、フェノキ
シ樹脂、フラン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂並びにポリエス
テル樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニール樹脂、エチレ
ンー酢酸ビニール樹脂、塩化ビニール樹脂、ゴム系樹脂
、石炭、石油残渣樹脂等の熱可塑性樹脂、及び水ガラス
等の無機質性樹脂等の中で、それ自身が著しい刺激臭を
有せず、容器内容物に対して汚染性の少い、かつふた内
面に対する密着性にすぐれた非腐食性の材料が選択使用
される。

例えば、エポキシ樹脂を吸着性樹脂組成物のベース樹脂
として使用する際、低粘度エポキシ樹脂では、ふた内面
に塗布され密封された後、輸送中に容器内容物と接触な
いしは容器内容物中へ滴下し汚染する事が懸念される場
合は、、固型エポキシ樹脂や熱可塑性エポキシ樹脂と組
み合せてベース樹脂を調製する事により、適度な皮膜形
成能を与える事により、汚染性が防止でき、かつ塗布、
貼布された皮膜表面が容器内容物の気化性成分とベース
樹脂との反応により硬化固定される利もある。本発明に
於てベース樹脂（合成樹脂）は活性吸着剤および酸性塩
を層状に保持しうる量だけ使用すればよく、一般的には
合成樹脂１０唾量部当り、活性吸着剤と酸性塩の合計量
５〜１００重量部程度である。また活性吸着剤と酸性塩
の使用比率は、一般に活性吸着剤が、両者合計量１０〜
９唾量％となるようにして使用される。

本発明において樹脂組成物層の層厚みは通常１０〜５０
０ミクロン程度である。

上記三成分の他に添加剤として充填剤や流動調整剤など
の公知の添加剤が必要に応じて調合される。

これら成分は主要三成分の総量１００重量部に対して通
常３０鍾量部以下の割合で用いられる。また吸着性樹脂
組成物は、予じめシート状の形態に成型されたものが貼
布されるか、あるいは溶液状の形態にして、ヘラ、ハケ
等で塗布されるが、シート状ないしは溶液状を容易なら
しめるために、ベース樹脂を溶解しえる溶剤を使用して
もよい。図面にて例示すると第１図に於て、１は容器本
体、２は蓋体、３は容器本体１に収納された臭気性材料
〔エポキシ樹脂用硬化剤としてのポリアミドアミン（高
粘度状液体）〕、２１は蓋体２の内面２２に前記した如
く貼布あるいは塗布等の手段により形成された吸着性の
樹脂組成物層である。

これらの成分により構成された吸着性樹脂組成物をふた
内面に予じめ塗布、貼布し、皮膜を形成せしめた後、内
容物を充填した容器を吸着性の皮膜を有するふたで密封
すると、それぞれの吸着機能により、相補的に気化性の
臭気成分が吸着される。たとえば活性吸着剤は物理的な
吸着作用により、気化性成分の水分、臭気成分を吸着す
るが、臭気成分は選択的に吸着する事はできず、それだ
けでは、臭気成分の脱臭効果は十分でない。

活性吸着剤で引き寄せられた臭気成分は、それと化学的
な作用をう選択性吸着剤に捕促され、選択的に吸着され
る。その際、活性吸着剤て吸着された水分や、選択性吸
着剤の反応基の親水性の性質（例えばポリリん酸塩）に
より引き寄せられた水分が、少なからず、塩基性の臭気
成分の酸性成分との反応を促進させることになる。また
選択性吸着剤のみでは、全体の吸着効率が悪くなり、大
きな脱臭効果は期待できない。以下にこの発明の実施例
を記載する。

以下において部とあるのは重量部を意味する。実施例 エピコート＃８２８（油化シェルエポキシ社製エポキシ
樹脂）５５部、エピコート＃１００１（油化シェルエポ
キシ社製エポキシ樹脂）（９）部およびバイロン＃５０
０（東洋紡社製ポリエステル樹脂）１５部、活性炭（和
光純薬社製）３娼Ｋホワイト＃８４（帝国化工社製１・
レポリリン酸アルミニウム）３娼、Ｒ−６５０（堺化学
工業社製チタン白）１５部に、溶剤として、ＭＥＫｌ５
酷翫 トルエン１００部、アセトン（４）部を加え、攪
拌混合釜中で常温で溶解混合して吸着性樹脂組成物とし
、これを４ｆ丸缶（尼崎製缶社製）のふたの内面にハケ
により塗布し、風乾により吸着皮膜を形成させた。

次に容器内容物として、下記の硬化剤を４ｅ丸缶に４ｋ
９各条件下で充填した。

（ａ）サンマイド＃３１５（三和化学社製ポリアミドア
ミン、粘度：４０℃、１００００ＣＰＳ１アミン価３２
０）。

常温で充填。

（ｂ）サンマイドＸ−９６３（三和化学社製変性芳香族
アミン、粘度：２５℃、１５０ＣＰＳ１アミン価５７０
）。

常温で充填。

（ｃ）サンマイド＃３００（三和化学社製ポリアミドア
ミン、粘度１９０℃、４００ＣＰＳ１アミン価１００）
２５部とサンマイドＸ−２０００（三和化学社製芳香族
ポリアミドアミン、粘度：２５℃、２００医楼ヌアミン
価４２０）７５部を攪拌混合釜中で１００℃にて溶解混
合し、６０℃で充填。

充填後、直ちに吸着皮膜つきふた並びに比較のため、吸
着皮膜を塗布しないふたで密封した。

密封した後、３日経過して開封したところ、吸着皮膜を
塗布しないふたで密封した容器は、三種類とも、著しい
刺激臭が開封時、感じられたが、吸着皮膜つきふたで密
封した容器は、三種類とも、開封時、刺激臭が余りリ感
じられず、顕著な脱臭効果が得られた。このように、従
来、開封時の刺激臭により、取扱い上、問題であつた石
油化学製品に対して、吸着性樹脂組成物を容器ふた内面
に塗布、貼布する事により、顕著な脱臭効果を賦与する
事が可能になり、取扱いを容易にし、刺激臭成分の吸引
、眼への接触刺激等の事故発生防止が可能となつた。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の容器を説明するために用いる説明図で
ある。 １・・・容器本体、２・・・蓋体、３・・・臭気性材料
、２１・・・樹脂組成物層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 容器本体とこれを密閉する蓋体より構成される臭気
   性材料を密封吸納する容器において、該蓋体内面に、活
   性吸着剤、酸性塩および合成樹脂の均一混合物であり且
   つ自己支持性を有する樹脂組成物層を設けたことを特徴
   とする容器。 ２ 臭気性材料がエポキシ樹脂用硬化剤である特許請求
   の範囲第１項記載の容器。 ３ 樹脂組成物層を構成する樹脂組成物が、合成樹脂１
   ００重量部当り、活性吸着剤と酸性塩の合計量で５〜１
   ００重量部であり、且つ活性吸着剤と酸性塩の使用比率
   は、該活性吸着剤が両者合計量の１０〜９０重量％であ
   る特許請求の範囲第１項または第２項記載の容器。