JPS6046269B2 - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は機関のノッキング状態に応じて点火時期を制
御する内燃機関の点火時期制御装置に関するものである
。

内燃機関の点火時期設定は機関の運転状態に対して効率
が最も良くなるように行なわれる。

一般には、機関がノッキングしない範囲でできるだけＭ
ＢＴ（ＭｉｎｉｍｕｍａｄｖａｎｃｅｆｏｒＢｅｓｔＴ
ｏｒｑｕｅ）に近づくように点火時期を設定するのが望
ましい。しかし、従来装着されてきた点火時期制御装置
は機械式が多く製品のばらつきや経年変化に対して点火
進角特性が安定しない。

それ故、実際の点火時期設定はノッキングを防ぐために
上記の望ましい点火進角特性よりもかなり遅れ側に設定
される。これでは機関の効率は悪化する。また、たとえ
、ばらつきや経年変化のない点火時期制御装置を用いて
も、ノッキング現象が機関の吸気温度・湿度、さらに空
燃比等によつて左右されるため、ある条件のもとでノッ
キングの発生しない点火時期に設定しても異なつた運転
条件のもとではノッキングを起こす恐れがある。そこで
、ノッキングを検知して、ノッキングが発生すれば点火
時期を遅らせる制御を行なうと、上記のように機械式の
ばらつきや運転条件の差によつて点火進角特性に誤差が
生じてもほとんどノッキングの起こらないように点火時
期を合わせることができる。

ノッキングを検出するには、燃焼室内圧力を測定する方
法、機関の振動加速度を測フ定する方法、機関発生音を
測定する方法等があるが、実車に装着する場合、センサ
ー取付場所や信号処理等を考えると機関の振動加速度を
測定する方法が最も実用的である。しかし、この方法で
はノッキング信号とともに機関が発生するノツキン５グ
とは無関係な機械的な振動ノイズも同時に受けるため、
機械的な振動ノイズの中からノッキング信号を選別する
ことが必要である。この発明は、機関の振動加速度セン
サの出力から種々のノイズ成分の妨害を受けることなく
ノッキング信号を適確に検出し、そのノッキング信号に
応じて点火時期を制御することにより最適の点火時期を
得る点火時期制御装置を提供しようとするものであり、
特に何かの原因でノイズ信号をノッキング信号と誤検出
することがあつてもその誤検出を解除して適確にノッキ
ング信号に対応した点火時期制御を行なおうとするもの
である。以下、第１図に示す一実施例に基づき詳述する
に図において、１は機関に取り付けられ、機関の振動加
速度を検出する加速度センサ、２は加速度センサ１の出
力信号の中でノッキングに対し感度の高い周波数成分を
通過させる周波数フィルタ、３は機関のノッキングとは
無関係な機械的な振動ノイズレベルを検出するノイズレ
ベル検出器で、周波数フィルタ２の出力を増幅する演算
増幅器３１、抵抗３２，３３、ダイオード３４と、積分
器を構成する抵抗３５、コンデンサ３６を有する。４は
上記周波数フィルタ２の出力電圧と上記ノイズレベル検
出器３の出力電圧を比較しノッキング検出パルスを発生
する比較器、５は上記ノッキング検出パルスの発生期間
は上記演算増幅器３１の反転入力端子電圧を引上げて上
記周波数フィルタ２の出力の通過を阻止させると共に、
上記コンデンサ３６に対する充電回路を構成する帰還回
路で抵抗５１、ダイオード５２からなる。

６はこの比較器５の出力パルスを積分し、機関のノッキ
ング強度に応じた積分電圧を発生する積分器、７は積分
器６の出力電圧に応じて基準となる点火信号の位相を遅
角変位させる移相器、８は予め設定した点火進角特性（
これは少なくとも機関がノッキングを呈するノッキング
領域内に設定されている。

）に応じた基準の点火信号を発生する基準点火時期信号
発生器で、通常配電器に内蔵されており、これを操作す
ることにより上述の点火進角特性が得られる。９は基準
点火時期信号発生器８の出力波形を整形し、同時に点火
コイル１１の通電の閉路角制御を行なう波形整形回路、
１０は移相器７の出力信号により点火コイル１１の給電
回路に直列なダーリントン出力トランジスタ１２を開閉
するドライブ回路である。

第２図に加速度センサ１の出力信号の周波数特性を示す
。

Ａはノッキングのない場合、Ｂはノッキングの発生した
場合である。この加速度センサ１の出力信号にはノッキ
ング信号が機関のノッキングとは無関係な機械的ノイズ
信号が信号伝達経路に乗る各種ノイズ成分が含まれる。
第２図のＡＩ：．Ｂを比べると、ノッキング信号には特
有の周波数特性のあることが判る。

この特性分布は機関自体の違い、あるいは加速度センサ
１の取付位置の違い等により差はあるものの、ノッキン
グの有無により明確な分布の違いがある。そこで、この
ノッキング信号の有する周波数成分をフ通過させること
によつて他の周波数成分のノイズを抑圧し、ノッキング
信号を効率よく検出することができる。第３図、第４図
は、第１図の各部の動作波形を示すもので、第３図は機
関のノッキングが発生し；ていないモードを、第４図は
機関のノッキングが発生しているモードを示している。

次にこの実施例の動作を説明する。

機関の回転により予め設定された点火時期特性に対応し
て基準点火時期信号発生器８より発生さ・れた基準点火
時期信号は波形整形回路９によつて所望の閉路角をもつ
パルスに波形整形され、移相器７、ドライブ回路１０を
介して出力トランジスタ１２を駆動し、点火コイル１１
の通電を断続し、その通電電流遮断時に発生する点火コ
イル１１の点火電圧によつて機関は点火されて運転され
る。

この機関の運転中に起る機関振動は加速度センサ１によ
つて検出される。今、機関にノッキングが発生しない場
合においてはノッキングによる機関振動は発生しないが
、他の機械的振動により加速度センサ１の出力信号には
第３図ａで示すように機械的振動ノイズが発生する。

このノイズ信号は周波数フィルタ２を通過することによ
り第３図ｂ−イのように特定帯域以外の機械的ノイズ成
分が抑圧された信号であるため出力されたノイズ成分の
レベルは低くなる。この周波数フィルタ２からの振動出
力はノイズレベル検出器３の演算増幅器３１によつて電
圧増幅され、この電圧増幅度は抵抗３２，３３の抵抗値
によつて決定される。この電圧増幅された演算増幅器３
１の振動出力は抵抗３５を介してコンデンサ３６を充電
し抵抗３５，３２，３３を介して放電することにより直
流電圧にされる。この場合の充放電時定数は演算増幅器
３１の出力信号のうちノッキング信号ではない機械的振
動ノイズのような緩やかなピーク電圧レベルの変化には
応動しうるような値に設定されているためその平滑出力
はｍ械的振動ノイズのピーク値より若干高い直流電圧と
なる。（第３図ｂ−口参照）従つて、周波数フィルタ２
の出力信号電圧よりも、ノイズレベル検出器３の出力電
圧が大きいため、これらを比較する比較器４の出力は第
３図ｃに示す通り何も出力されず、結局ノイズ信号は全
て除去される。それ故、積分器６の出力電圧は第３図ｄ
のように零であるため、移相器７による移相角（入出力
（第３図Ｅ，ｆの位相差）も零となる。従つて、点火コ
イル１１の通電の断続位相は、波形整形回路９の出力と
同位相となり、機関の点火時期は、基準点火時期信号発
生器８からの基準点火時期信号に基づく基準点火時期と
なり、点火時期は遅角しない。次にノッキングが発生し
た場合、加速度センサ１の出力には第４図ａのように点
火時期（第４図ａ−ｆ）よりある時間遅れた時期にノッ
キング信号が含まれ、周波数フィルタ２を通過後の信号
は第４図ｂ−イのようにノッキングとは無関係な機械的
振動ノイズにノッキング信号が大きく重畳したものとな
る。

ここで、上記周波数フィルタ２の出力信号のうち、ノッ
キング信号の立上り立下り変化は急峻なためノイズレベ
ル検出器４のコンデンサ３６の充放電の応答が遅れ、そ
の出力電圧のレベルは第４図ｂ−口に示す通りノッキン
グ信号レベルに応答して上昇しない略々一定な出力電圧
となる。その結果、比較器４の各入力には第４図ｂ一イ
、ｂ−口に示す電圧が入力され、従つて、比較器４の出
力には第４図ｃのようにノッキング信号に対応したパル
スが発生する。

而して、積分器６はそのパルスを積分し第４図ｄのよう
な積分電圧を発生する。そして移相器７の積分器６の出
力電圧に対応して波形整形回路９の出力信号（第４図ｅ
）を遅角移相することによつて移相器７の出力電圧パル
スは第４図ｆに示す如く波形整形回路１０の出力電圧パ
ルスの位相よりも遅れ、この遅れ位相でドライブ回路１
０は出力トランジスタ１２を駆動するため、点火時期は
予め設定された点火時期よりノッキング強度に応じて遅
角制御され、ノッキングの発生が抑生され、結局最適の
点火時期に制御される。ここで比較器４がノッキング検
出信号を発生すると、このノッキング検出信号は帰還回
路５の抵抗５１、ダイオード５２を介して演算増幅器３
１の反転入力端子の電圧を非反転入力端子の入力電圧以
上に引上げるため演算増幅器３１の出力の発生は阻止さ
れる。

このため、この演算増幅器３１の出力を積分平滑してい
たコンデンサ３６に対する演算増幅器３１の出力による
充電は停止されるため、ノイズレベル検出器３の出力、
即ち比較器４の比較電圧レベルがノッキング信号発生期
間中に増大することはなく、ノッキング信号の終了時点
Ｔｌ，ｔ２付近においてもノッキング発生直前のレベル
とほぼ同じレベルであるため、比較器４は正確にノッキ
ング信号をレベル判別し適確な点火時期制御を可能にす
る。ところが、上述の如ぐ比較器４の出力によりコンデ
ンサ３６の電圧上昇を阻止させた場合、何かの原因でノ
イズレベル検出器３の出力電圧レベルが周波数フィルタ
２の出力のノイズレベルより小さくなり、比較器４が一
時的にでもノッキング信号より小さいレベルのノイズ信
号をノッキング信号と誤検出することがあれば、この誤
検出信号により演算増幅器３１の出力の発生を阻止する
ためノイズレベル検出器３の出力電圧レベルを低いま）
の状態に保持して、比較器４の誤検出出力の発生を長時
間にわたり続けさせる恐れがあるが、本装置によれば、
比較器４の検出出力によつて帰還回路５の抵抗５１、ダ
イオード５２を介して周波数フィルタ２の出力によるコ
ンデンサ３６の充・電を阻止させると同時に、抵抗３２
，３５，５１、コンデンサ３６で決まる大きな時定数で
コンデンサ３６を充電し、所定の時間後には必ず比較器
４の入力の周波数フィルタ２の出力のノイズレベル以上
にレベル検出器３の出力レベルを上昇さ・せて、比較器
４の長時間にわたる誤検出信号の発生を遮断させ正規の
動作に復帰させることができるものである。

この場合、コンデンサ３６に対する比較器４の出力によ
る充電時定数は、演算増幅器３１の出力による時定数よ
り充分大きく（数十）〜数百倍）なる如く抵抗３５，３
２，５１間の抵抗値を選定すれば、周波数フィルタ２の
出力のノッキング信号の発生期間中には比較器４の比較
レベルを実質的に上昇させることなく、適確にノッキン
グ信号をレベル判別できると共に、仮りに何かの原因で
ノイズ信号レベルより比較レベルが低下してノイズ信号
を誤検出することがあつても所定時間経過後には自動的
に正規の動作に復帰させ得るものである。尚、上記実施
例にあつては、比較器４の検出出力発生時には、比較レ
ベル発生用のコンデンサ３６に対する周波数フィルタ２
の出力による充電を阻止すると同時に、充分大きな時定
数回路を介してコンデンサ３６を上記検出出力により充
電させて所定時間後に比較器４の各入力の大小関係を反
転させたものであるが、比較器４の検出出力の持続時間
を計測するタイマ回路を設け、その持続時間が所定値に
達すれば検出出力によりコンデンサ３６を急速に充電し
て比較器４の各入力の大小関係を反転させて誤検出を解
除させるよう構成しても同様の作用効果を奏し得る。

以上の如くこの発明によれば、機関のノッキング状態に
応じて点火時期を遅角制御してノッキングの発生を抑圧
することにより機関効率の良好な点火時期の制御を可能
とし得るものである。

又、−振動センサの出力のノッキング信号成分を弁別す
る弁別回路においては、振動センサ出力を受けてそのノ
イズ信号レベルに応動する比較信号レベルを発生するレ
ベル検出手段と、この比較信号レベルと振動センサ出力
とを比較してノッキング信号をレベル判別する比較器と
、更に該比較器の出力発生時にはレベル検出手段に対す
る振動センサ出力の通過を阻止すると共に比較器出力が
所定時間以上持続したときは比較器の各入力レベルの大
小関係を反転させて比較器出力の発生を停止させるフイ
ドバツク手段を設けたことにより、正確にノッキング信
号をレベル判別して適確なノッキングに対応する点火時
期制御が可能になると共に、仮りにノイズ信号をノッキ
ングと誤検出することがあつても所定時間経過後には自
動的に誤検出を解除して正規のノッキングに対応する点
火時期制御に復帰させ得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すラ゛ロック回路図、第
２図は第１図の加速度センサの周波数特性図、第３図、
第４図は第１図の各部の動作波形図である。 図において、１は加速度センサ、２は周波数フィルタ、
３はノイズレベル検出器、４は比較器、５は帰還回路、
６は積分回路、７は移相回路、８は基準点火時期信号発
生器、９は波形整形回路、１』はドライブ回路、１１は
点火コイル、１２は出力トランジスタである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 点火コイルの給電を断続するスイッチ手段、このス
   イッチ手段を開閉制御するための基準点火時期信号を発
   生する信号発生器、機関の振動を検出する振動センサ、
   この振動センサの出力のノイズ信号成分を除去しノッキ
   ング信号成分を選別する弁別回路及び上記弁別回路の出
   力に応じて上記基準点火時期信号の位相を遅角制御し点
   火時期を制御する移相手段を備え、上記弁別回路は上記
   振動センサの出力を受けて上記ノイズ信号のレベルに応
   動する比較信号を発生するレベル検出手段と、上記振動
   センサの出力と比較信号のレベルとを比較してノッキン
   グ信号をレベル判別する比較器と、該比較器の出力発生
   時に上記振動センサの出力の上記レベル検出手段への通
   路を阻止すると共に上記比較器の出力の発生が所定時間
   以上持続したとき上記比較器の各入力レベルの大小関係
   を反転させる帰還手段を含んで構成された内燃機関の点
   火時期制御装置。