JPS6040578Y2 - 鋼材の保熱設備 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、鋼材の保熱設備に関するものである。

高温鋼材の保熱・加熱設備としては、セラミックファイ
バーや、定形・無定形レンガ等の断熱材で囲まれたピッ
ト及びバーナーを持つ各種加熱炉・均熱炉等多種あるが
、オンラインでの保熱・加熱設備としては、高速搬送機
能を持つ必要があるため、ＷＢやプッシャータイプの搬
送機構は考え難い。

従って、各種断熱材で囲まれたローラーバースタイプの
保熱・加熱設備がオンラインでは主流である。

しかし、通常の搬送ライン内に設置されているため、高
温鋼材が設備内に存在する確率は極めて低く、保熱でも
加熱でも設備自体が定常状態になることは無い。

従って、保熱能力・加熱効率は極端に悪い。

近年、通気性部材を用いた加熱効率向上技術が報告され
ているが、これは、定常あるいは定常とみなし得る状態
では成立するが、非定常状態では通気性部材を加熱する
必要があるので、必ずしも加熱効率向上にはつながらな
い。

一方、搬送用ローラーに関しては、該搬送用ローラ一群
が保熱設備内にあるため、例えばスラグを搬送する場合
、ローラーの強度を確保するには内部を水冷する必要が
ある。

従って、特に鋼材を加熱する必要がある場合には、ロー
ラ一群が熱吸収帯となり、加熱・保熱効率の低下原因と
なっていた。

この考案は、上記問題点を解決するためになされたもの
であって、 鋼材搬送ラインに設置された鋼材搬送用ローラーを囲む
如く設けられた、底部が断熱構造となっているカバーと
、前記カバー内に設置された、前記カバー内を移動する
鋼材を加熱するためのバーナーと、前記カバー内の上部
に鋼材の移動方向にそって設けられた複数枚の多孔薄板
と、前記多孔薄板の上部に重ねて設けられた通気性部材
と、前記通気性部材と前記カバーの天井壁との間に配さ
れた空気予熱用配管とから構成されていることに特徴を
有する。

この考案の一実施態様を図面を参照しながら説明する。

第１図は、この考案の鋼材の保熱設備の断面図である。

第１図において、１は鋼材搬送ラインに設置された鋼材
搬送用ローラー２を囲む如く設置されたカバー、３はカ
バー１内の搬送用ローラー２にそって複数個設けられた
、鋼材４の両側を加熱するためのバーナー、５はカバー
１内を移動する鋼材４の上部に複数枚重ねて設けられた
多孔薄板、６は多孔薄板５の上部に重ねて設けられた通
気性部材、７はカバー１の天井壁１ａと通気性部材６と
の間に配された空気予熱用配管、８は底壁１ｂ上に複数
枚重ねて設けられた多孔薄板、そして９はカバー１の鋼
材出入口部に設けられたシール装置である。

多孔薄板５はステンレス薄板等で構成され、高温鋼材４
の保温に際し、後述する非定常応答特性に優れ、高温鋼
材４が加熱されることなくカバー１内を移動するときの
保熱効率を高めるためにカバー１の最内側に設けられて
いる。

通気性部材６はポーラスな耐火材等で構成され、鋼材４
をバーナー３によって加熱するときの加熱効率を高める
作用をなす。

空気予熱用配管７は燃料節減を図る目的で、バーナー３
に使用する燃焼用空気を、多孔薄板５および通気性部材
６を通過した燃焼排ガスで予熱するためのものである。

燃焼排ガスはシール装置９によって鋼材４の出入口部が
シールされているために、多孔薄板５および通気性部材
６を通過して空気予熱配管７を予熱した後、外気と混合
する。

このとき生じる圧損はカバー１内の圧力を高めるか、煙
突による自然ドラフトか、または煙道内に吸引ファンを
設けることによって対処できる。

鋼材４はカバー１内を搬送用ローラー２によって搬送さ
れるが、ローラー２を断熱することによって高温鋼材４
の保熱・加熱効率向上が図れることは勿論のこと、ロー
ラー２を第２図に示されるような構造にすることによっ
て、より一層上記効率の向上を図ることができる。

即ち、ローラー２として、その表面に複数本の溝１０が
形成され、溝１０内に金属薄板１１が多層に巻付けられ
たローラーを使用すれば、鋼材４とローラー２との接触
面積が減少して、しかも、金属薄板１１によって断熱が
図れるので保熱・加熱効率が一段と向上する。

多孔薄板５としては例えばステンレス等の金属薄板を用
いる。

金属薄板とセラミックファイバー系の断熱材との非定常
応答特性について説明する。

第３図に、厚さ０．１ｍｍと０．５ｍｍのステンレス薄
板をそれぞれ５枚重合わせた断熱材と、厚さ１５ｍｍの
セラミックファイバー系の断熱材とを１０００°Ｃの熱
源に接近させたときの断熱材の表面温度の結果が示され
ている。

第３図から明らかなように、セラミックファイバー系の
断熱材の初期応答特性は、０．５ｍｍ厚のステンレス薄
板とほぼ同程度であるが、０．１７７＋７１厚のステン
レス薄板と比べると、はるかに遅れている。

即ち、０．５ｒＩｒｌｎ厚以下のステンレス薄板を多孔
薄板５として用いれば、高温鋼材４がカバー１内に入っ
てすぐに多孔薄板５の表面温度は急速に高温鋼材の表面
温度に近づく。

従って、金属薄板はセラミックファイバー系の断熱材よ
り優れた断熱効果を得ることができる。

また薄板５を多孔にしたのは、高温鋼材４をバーナー３
によって加熱する際の燃焼排ガスを通過させるためであ
り、複数枚としたのは断熱性を向上させるとともに最内
側の薄板が損傷した場合でも保熱・断熱性能に及ぼす影
響を最少とするためである。

高温鋼材４が搬送用ローラー２によってカバー１内に搬
送されると、鋼材４からの放射熱は多孔薄板５および８
によって断熱されるので鋼材４の温度低下が防止される
。

一方、鋼材４をバーナー３によって加熱する場合には、
上記と同じく鋼材４の温度低下が防止されるとともに、
高温の燃焼排ガスが多孔薄板５と通気性部材６を通り抜
けて空気予熱用配管７内の空気を予熱する。

この予熱空気はバーナー３の燃焼用空気として用いられ
る。

以上説明したように、この考案によれば、高温鋼材の保
温および加熱をきわめて効率よく行い得るといった有用
な効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施態様の断面図、第２図は、
この考案に使用する搬送用ローラーの断面図、第３図は
、経過時間と断熱材表面温度との間第を示す図である。 図面において、１・・・・・・カバー、１ａ・・・・・
・天井壁、１ｂ・・・・・・底壁、２・・・・・・搬送
用ローラー、３・・曲バーナー、４・・・・・・鋼材、
５，８・・・・・・多孔薄板、６・・・・・・通気性部
材、７・・・・・・空気予熱用配管、９・・・・・・シ
ール装置、１０・・・・・・溝、１１・・・・・・金属
薄板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼材搬送ラインに設置された鋼材搬送用ローラを囲む如
   く設けられた、底部が断熱構造となっているカバーと、
   前記カバー内に設置された、前記カバー内を移動する鋼
   材を加熱するためのバーナーと、前記カバー内の上部に
   鋼材の移動方向にそって設けられた複数枚の多孔薄板と
   、前記多孔薄板の上部に重ねて設けられた通気性部材と
   、前記通気性部材と前記カバーの天井壁との間に配され
   た空気予熱用配管とから構成されていることを特徴とす
   る鋼材の保熱設備。