JPS6038149Y2 - 無酸化連続熱処理炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は無酸化連続加熱炉に関するものである。

ろう付けや焼鈍、焼結などの熱処理を無酸化性（還元性
）の炉気を用いて連続的に実施する場合、従来ではコン
ベアベルトを通した炉装置のほかにこれと別個独立した
雰囲気ガス発生機を設置し、被処理物を炉中に移送させ
て炉内発熱機構により加熱しつつ、これと別に前記雰囲
気ガス発生機の燃焼装置において原料ガスと空気とを混
合燃焼して雰囲気ガスを作り、これを炉内に供給する方
法がとられていた。

しかしながら、このような方法では、雰囲気ガスの生皮
と被処理物の加熱とが別個の設備と工程で行われ、こと
に、雰囲気ガスの生皮のため原料と空気を混合高温燃焼
させた際の発生熱エネルギーが雰囲気ガス発生機の燃焼
室内でいたずらに消費されるため熱エネルギーの無駄が
大きいという欠点があった。

また原料ガスと空気の燃焼装置は、燃焼室、散水機構、
熱交換部材などを含む複雑で大型なものであるため、全
体として設備が高価となり、据付は面積も広きを要する
という不具合を有していたものである。

このようなことから、本考案者は、特願昭５４−１０９
０８５号において、炉体前部の予熱空間で原料ガスと空
気により還元炎燃焼を起させ、これで予熱室内を通る被
処理物を直接加熱すると共に、還元炎燃焼排ガスを取出
しこれを精製し炉気として炉内に導くようにした無酸化
熱処理炉を提案した。

本考案は、先の無酸化熱処理炉をさらに改良し、無酸化
熱処理において問題になる熱エネルギーの無駄を減少さ
せると共に、還元炎燃焼排ガスから無酸化性雰囲気ガス
を効率よく精製でき、良好な炉気条件下で高温熱処理を
行うことのできる実用的な無酸化連続熱処理炉を提供し
ようとするものである。

この目的のため、本考案は、内部に直接加熱室を形成し
た炉体の後部に端部が下傾した出口筒を連設するととも
に、炉体前部には、これと仕切壁を介して連なった空室
と、後端が前記直接加熱室に通し前端が空室を貫いて延
びる入口筒を設け、この入口筒のまわりの空室で還元炎
燃焼を起させ、これによる燃焼室で入口筒を介して被処
理物を予熱させるとともに、燃焼排ガスを被処理物から
生ずる不純物で汚損させずに高い純度の雰囲気ガスとし
て直接加熱室に導き、この直接加熱室において、被処理
物から生じたアウトガスを入口筒からスムーズに排出せ
しめつつ高温加熱させるようにしたものである。

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明する。

第１図ないし第４図において、１は耐火物で作られた炉
体で、前後の隔壁１３．１４に小断面の入口１５と出口
１６が開口されると共に、隔壁内側には、発熱帯１７を
備えた直接加熱室１８が形成されている。

２は前記炉体１の前部に隔壁１３と接する如く設けられ
たボリュームの大きな空室であり、耐火材または保温材
により構成されている。

３は炉体後部にフランジ１９を介して連設された出口筒
で、外周に水冷ジャケット２０が囲繞され、長手方向端
部には水平に対し下向きに傾斜した端部４がベローズ５
を介して連結されている。

６は後端が直接加熱室１８と連通ずるようにフランジ２
１を介して炉体前端に固定された入口筒で、前端が空室
２を貫くように延出し、従って空室２は入口筒６の略後
半部を同心状にとりまく関係で配されている。

そして、前記空室２には原料（たとえはプロパンガス）
と空気との混合物で還元炎燃焼を得るためのバーナ７．
７′が挿設されると共に、空室２の他所には還元炎燃焼
排ガスを強制的に取出すための排気部８が設けられ、さ
らに前記排気部８には出口筒３の適所に設けた精製ガス
送入部９と連絡する配管１０が接続され、この配管１０
に冷却器２２ａ＊ ２２ｂ＊ ２２ｃとフィルタ２
３とドライヤ２４ａ、２４ｂおよびブロワ−２５を直列
状に配したガス精製装置１１が設けられており、ブロワ
−２５より先の配管１０の一部には、予備ないし始業用
として、重炭化水素系ガスの導管１２が接続されている
。

ガス精製装置１１には冷凍器やＣＯ２除去装置を加えて
もよいのは勿論である。

その他図面において、２６は入口筒６と直接加熱室１８
および出口筒３に通されたコンベアベルト、２７は直接
加熱室１８に設けられたベルトガイド用の敷板、２８は
出口筒３の端部と端部４のあいだに張設されたコンベア
ガイドで、ベローズ５と出口筒３の端板間により挟持さ
れている。

２９．３０は流量計である。

本考案は上記のような構成からなるので、ろう付け、焼
鈍、焼結などの熱処理にあたっては、被処理物Ａをコン
ベアベルト２６に載せて入口筒６から装入すると共に、
バーナ７．７′に対し空燃比が原料過剰の混合物を供給
する。

こうすることにより空室内にはバーナ７．７′により還
元炎が連続形成され、還元性の高温燃焼ガスが多量に生
ずるため、この還元炎と燃焼ガスにより入口筒６は加熱
され、入口筒６を通る被処理物Ａが間接加熱される。

一方、還元炎燃焼排ガスは、入口筒６を介して被処理物
Ａに熱量を与えた後排気部８から外部配管１０に導かれ
、ガス精製装置１１において水分の除去、夾雑物類の除
去および露点調整がなされることにより還元性ガスに変
成され、精製ガス送入部９から出口筒内に供給される。

このとき、本考案においては、還元炎により被処理物を
直接加熱せず入口筒６を介して間接加熱するようにして
いるので、被処理物に付着している油分やバインダーあ
るいはろう材成分などの不純物が蒸発しても、それら不
純物により還元燃焼排ガスが汚損されることがなく、従
って高い純度の還元性ガスが生成され、また不純物の付
着によるガス精製装置１１の故障も生じにくい。

そして、高い純度の還元性ガスが出口筒３に供給された
ときにも、出口筒３の端部が下傾していてこの部分が抵
抗となるため、炉気の無駄な放散が少なく、直接加熱室
１８との熱対流によりガス流となって出口筒３から直接
加熱室１８に入る。

一方、直接加熱室１８に対しては、これに端部を連通し
た小断面の入口筒６が外方へ延出しているので、直接加
熱室１８に導かれた還元性ガスは流速を増して入口筒６
から外部へ放散される。

すなわち、還元性ガスには出口側から入口側への方向性
が与えられる。

そのため、入口筒６や直接加熱室１８において被処理物
Ａから蒸発した不純物は、先のガス流によって効果的に
炉外へ排出され、きわめて良好な雰囲気条件下で効率よ
く予熱および高温加熱がなされるものである。

以上説明した本考案によるときには、被処理物の移動路
のまわりで原料と空気との混合物を直接還元炎燃焼させ
、その燃焼熱を利用して被処理物を加熱するので、熱エ
ネルギーの無駄がなく、被処理物加熱用電力等の大幅な
節減を図ることができる。

しかも、直接加熱室１８の後部に端部が下傾した出口筒
３を連設し、前部には還元炎燃焼用空室２を貫く小断面
の入口筒６を延設し、この人口筒６のまわりで還元炎燃
焼と排気を行うようにしたので、授熱後の還元炎燃焼排
ガスが被処理物から生ずる不純物で汚損されることがな
く、高純度の無酸化性炉気を生皮することができると共
に、その炉気に出口筒から入口筒へ向う方向性を与える
ことができるので、アウトガスの排気も円滑になり、従
って良好な無酸化雰囲気条件下で能率よく各種熱処理を
行うことができるというすぐれた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る無酸化連続熱処理炉の一実施例を
示す縦断側面図、第２図は第１図Ｈ〜■線にそう断面図
、第３図は第１図■−■線にそう断面図、第４図は第１
図における出口筒端部の拡大図である。 １・・・・・・炉体、２・・・・・・空室、３・・・・
・・出口筒、６・・・・・・入口筒、７，７′・・・・
・・還元炎燃焼用バーナ、８・・・・・・排気部、９・
・・・・・ガス送入部、１１・・・・・・ガス精製装置
、１８・・・・・・直接加熱室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に直接加熱室１８を形成した炉体１の後部に端部が
   下傾した出口筒３を連設するとともに、炉体前部には、
   これと隔壁１３で区画された空室２と、後端が前記直接
   加熱室１８に通じ前端が空室２を貫いて延びる入口筒６
   を設け、この人口筒６のまわりの空室に還元炎燃焼用バ
   ーナ７．７′と排気部８を設け、前記排気部８をガス精
   製装置１１を介して出口筒内に連絡してなる無酸化連続
   熱処理炉。