JPS603397Y2 - 十字形自在軸継手の軸支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、十字形自在継手の軸支持装置に関し、詳し
くは、軸の端面と軸受の底壁との間の摩耗や焼付きと防
止するのは勿論のこと、特に前記軸の端面と軸受の底壁
との間に適正な弾性的予圧を与えるとともに軸方向の遊
びをなくすようにした軸支持装置の改良に関するもので
ある。

従来から知られているこの種の軸支持装置にあっては、
スパイグー軸（軸））の端面と軸受の底壁との間にすき
まを有するものや偏平でかつ付勢力をもたない座金かま
たは高分子材料製でわずかの弾性を有する座金が装着さ
れたものが知られている。

しかるに、すきまを有するものにあっては、軸と軸受と
の軸方向相対振動により軸端面と軸受の底壁との衝突に
よる騒音が発生し、また、すきまの分だけ回転軸に対し
て不安定なアンバランスを生じ高速回転時に回転軸のふ
れまわりを発生する。

そして、これらの騒音やふれまわりを防止するために軸
方向に予圧を与えると端面の焼付きを起し易い欠点があ
った。

また、座金が装着されたものにあっては、軸方向のばね
性がないかあっても極くわずかなため、組立て時の各部
の寸法誤差やわずかの摩耗によって軸方向の予圧が大き
く変化するので、部品の寸法を細かく選別したり、軸受
外輪をヨークに加締によって固定するなど、組立にあた
り修理や部品交換が困難となる手段を用いねばならない
欠点があった。

この考案は、上記欠点を除去し、軸の端面と軸受の底壁
との間に常に適正な弾性的軸方向予圧を与えるとともに
軸方向の遊びをなくした十字形自在継手の軸支持装置を
提供するものである。

つぎにこの考案を第１図ないし第６図に示す軸受を針状
ころ軸受とした実施例について説明すると、１は軸、２
は止め輪、３はヨーク、４は針状ころ軸受の外輪、５は
針状ころ、６は座金である。

はじめに第１図および第２図に示す一実施例について説
明する。

第１図において、軸１ （４本あるうち図示は１本のみ
）の中央には油入１１を有し、該油入１１は前記軸１の
端面１２に形成されたテーパ穴状の凹部１３に連通して
いる。

止め輪２によってヨーク３に対し軸方向に固定された針
状ころ軸受の外輪４は、一端に底壁４１を有し他端が開
放されている一端密閉形で、内周壁４２に配置されてい
る針状ころ５によって軸１を支持している。

前記座金６は、第２図に示すように薄い金属板を打ち抜
いて作られたもので、表裏対応する放射状の複数個の凹
凸面６１をもって形成されている軸方向のばね性を有し
、前記凹凸面６１の凹凸の高さｈｌはその全長にわたり
はＳ゛一様に形成されている。

そして、前記座金６の中央部には突起６２を有し、前記
突起６２の先端部には小穴６３を有する。

このように形成された座金６は、第１図に示すように、
前記軸の端面１２と前記軸受の底壁４１の内面４３との
間に付勢されて装着され、前記突起６２が前記テーパ穴
状の凹部１３にはまりあって位置ぎめされている。

この実施例においては、前記座金６の複数個の凹凸面が
放射状に形成されているので、前記油入１１から供給さ
れる潤滑剤（グリース）は前記凹凸面６１をとおって針
状ころ５に導びかれ、その転動面を潤滑するため、前記
軸の端面１２に通常設けられるグリースみそを不要にで
き、また、前記突起６２の先端面には小穴６３を有する
ことにより、前記油入１１から供給されるグリースを前
記座金６の表裏両面へ供給することができる。

さらに、前記凹凸の高さｈ□はその全長にわたり一様に
形成されているので、凹凸の軸方向の剛性を座金６の中
心部から外周部に向ってしだいに低くすることができる
結果、荷重分布ｐを第３図に示すように周速の速い外周
部に向ってしだいに小さくすることができて、前記座金
６、軸の端面１２および外輪底壁内面４３に耐久性およ
び耐焼付性を向上させることができる。

第４図は、座金６の別の実施例であって、凹凸面６１の
凹凸の高さｈ２は半径方向の内側から外側に向ってしだ
いに高くなるように形成されているので、凹凸の軸方向
のたわみは前記座金６の軸方向の剛性が低い半径方向外
側程大きく、したがって荷重分布ｐは第５図に示すよう
に半径方向に一様であり、各部の荷重は第３図に示す荷
重分布の平均値より大きくすることができるため第２図
の実施例の場合に比較して軸方向の負荷能力が向上する
。

第６図は、この考案の別の実施例であって、軸受の外輪
４はシェル形とし、座金６は、前記第２図の実施例にお
ける突起６２が前記シェル形針状ころ軸受の外輪４の底
壁内面４３の中央部に形成された凹所４１１にはまりあ
って位置ぎめされている。

以上述べたように、ここの考案の軸支持装置は、軸の端
面と軸受の外輪底壁内面との間に複数個の凹凸面をもっ
て形成されたばね性を有する座金が付勢されて装着され
ているので、軸の端面と軸受の底壁内面との間に常に適
正な予圧を与えとともに軸方向の遊びをなくし、かつ急
激なスラスト荷重を緩衝して前記両面間の衝突による騒
音を防止できるばかりでなく、凹凸面が潤滑剤（グリー
ス）を保持して前記凹凸面と前記各面との間の潤滑が良
好になり、この部分の摩耗や焼付きを防止できる。

なお、軸受や座金の形状などはいずれも実施例に限定さ
れるものではなく、たとえば座金の軸方向のばね定数を
低くするため凹凸面の適宜の位置に穴を設けるなど請求
の範囲内で適宜変更して実施するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す要部断面図、第２図
ａ、 ｂは第１図に示す座金の一実施例を示す断面図お
よび斜視図、第３図は第２に示す座金を第１図に示す実
施例に使用した場合の圧力分布図、第４図は座金の他の
実施例を示す断面図、第５図は第４図に示す座金を第１
図に示す実施例に使用した場合の圧力分布図、第６図は
この考案の他の実施例を示す要部断面図である。 図面の符号中１は軸、１２は軸の端面、１３は軸の端面
に形成された凹部、２は止め輪、３はヨーク、４はころ
軸受の外輪、４１は底壁、４１１は外輪底壁内面に形成
された凹部、４３は軸受の外輪底壁内面、５はころ、６
は座金。 ６１は凹凸面、６２は突起である。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）一端に底壁を有し、他端が開放されている一端密
   閉形のころ軸受を有する十字形自在軸継手の軸支持装置
   において、軸の端面と軸受の外輪底壁内面との間に、複
   数個の凹凸面が中央から放射状に形成された、ばね性を
   有する座金が付勢されて装着されている十字形自在軸継
   手の軸支持装置。
2. （２）座金の複数個の凹凸面の凹凸の高さがその全長に
   わたり一様に形成されている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の十字形自在継手の軸支持装置。
3. （３）座金の複数個の凹凸面の高さが半径方向の内側に
   向ってしだいに高くなるように形成されている実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の十字形自在軸継手の軸支持
   装置。