JPS6029987Y2 - ミシンの糸ゆるめ作動解除装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ミシンの糸ゆるめ作動解除装置に関するもの
である。

一般に、ミシンにおける上糸張力を調整する糸調子器の
作用、不作用の切替えは、糸ゆるめレバーを上下操作す
ることにより行われる。

刺しゅう縫い、その他特殊縫い等の場合には、上記切替
頻度もまた多くなり、特に刺しゅう専用ミシン等のよう
に押え棒を有しないミシンにおいては、作業者のウラカ
リミス等で糸ゆるめレバーを上げた状態、即ち、糸調子
器が不作用状態のままで裁縫すると、上糸張力は弱く、
満足な縫いが得られない不都合を生ずる。

本考案装置は、糸ぬるめレバーが不作用位置におかれた
ままでも、ミシンの上軸が１回転する間に、自動的に糸
ゆるめ作動が解除されて復元し、糸調子器が作用状態と
なるように構成したものである。

即ち、針棒クランクロッドに腕部材を附設し、ミシンの
１回転中（針棒不死点附近）において、前記腕部材が糸
ゆるめレバーを押下し、回動せしめて元位置に復帰させ
るようにした。

この糸ゆるめレバーの回動により、糸ゆるめを介して不
作用状態におかれていた糸調子器は、該糸ゆるめと共に
作用状態に移されるものである。

本考案の糸ゆるめ作動解除装置によると、作業者がウラ
カリして切替え操作を忘れた時の縫製においても、糸張
力作用は自動的に復元するので、良好な縫いが得られる
は勿論、敢えて糸ゆるめレバーの押下げ操作を要しない
ので、操作手間が省け、煩わしさがなく作業能率の向上
に役立つ。

以下、本考案の実施例について、添付図面を参照し説明
する。

図において、１はミシン本体、２は上軸、３は該上軸２
に固着された針棒クランクである。

４は針棒クランクピンで、針棒クランクロッド５の一方
端が遊嵌され、その他方端は針棒６に固定した針棒抱き
７の軸７ａに遊嵌される。

８は糸調子器（組）で、軸部８ａ、糸ゆるめピン８ｂ、
２枚の調子皿８ｃ、調子バネ及びナツト８ｄ、８ｅより
なり、周知する構成と同一のため以下詳細構成の説明は
省く。

９は、糸ゆるめレバーで軸１０に遊嵌され、該糸ゆるめ
レバー９と糸調子器８との間には、軸１１を中心として
回動可能に糸ゆるめ１２が設けられる。

前記糸ゆるめレバー９は、糸ゆるめ１２の一方端１２ａ
と接しリフトが漸増するカム面９ａ及び係止溝９ｂを有
し、第１図示の状態（糸ゆるめしバーが下方にあり糸調
子の作用状態）では、前記糸ゆるめ１２の他方端１２ｂ
はその対向する糸ゆるめピン８ｂとの間に隙間を有し、
従って、２枚の調子皿８は調子バネ８ｄにより圧接して
いる。

この状態から糸ゆるめレバー９を第２図実線示位置まで
上方へ回動させると、糸ゆるめ１２の一方端１２ａは、
前記糸ゆるめレバーのカム面９ａで押上げられ、係止溝
９ｂに係止するまで軸１１を中心として糸ゆるめ１２が
時計方向に回動する。

これによりその他方端１２ｂは、バネ８ｄ（７）附勢を
受ける糸ゆるめピン８ｂを押圧し、調子皿８０間には間
隙が生じて糸調子が不作動状態となる。

これらの作動も、ミシン取扱者にはよく知られていると
ころで、以下詳記を略す。

次に、本考案構成において要部をなす腕部材について述
べる。

即ち、１３は腕部材で、適宜の弾性を有する腕片１３ａ
を持ち、その基部１３ｂがネジ１４により針棒クランク
ロッド５に固着される。

また、図示例における前記腕片１３ａの先端部は、糸ゆ
るめレバーのカム面９ａに対向し、該カム面との摺接時
に抵抗が軽減するようＵ形とされている。

而して、この弾性の腕部材１３の針棒クランクロッド５
に対する取付位置は次のとおりである。

即ち、糸ゆるめレバー９が上方位置（第２図実線示）に
おかれ、針棒６が下死点付近のタイミング時に、腕部材
の弾性腕片１３ａのＵ形屈曲部が、前記糸ゆるめレバー
のカム面との間で干渉状態を発生するような位置とされ
る。

この位置で針棒クランクロッドに取付けられた腕部材１
３の弾性腕片１３ａにより、上方に位置した糸ゆるめレ
バー９のカム部９ａは、針棒６が下死点を過ぎる時点か
ら下方へ附勢される。

従って、前記糸ゆるめレバー９は実線示から２点鎖線示
方向へ回転移動し、係止溝９ｂに係止した糸ゆるめの一
方端１２ａが該係止溝より離脱する。

腕部材の腕片の弾力は、糸調子器のバネ圧８ｄより大と
されているため、両者の持つ力関係でミシンの回転に伴
い、前記糸ゆるめレバー９は第２図２点鎖線位置から更
に下方（反時計方向）へ回動し第１図示の状態（糸調子
作用状態）となる。

従って、糸ゆるめレバー９と腕部材の弾性腕片１３ａと
は離間し、再度該糸ゆるめレバーを上方に位置させぬ限
り、ミシンを運転しても両者間に干渉状態が生ずること
はない。

尚、本実施例で示す弾性を持つ腕部材を剛体部材とし、
糸ゆるめレバーのこれと摺接する部分に弾性体部材を附
設しても、同様の効果を期待することができる。

上記説明からして了解できるであろうように、本考案装
置では前述のとおり、糸ゆるめレバーの降下操作なくし
ても、自動的に糸調子器を作用状態となし得て有益であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本案糸ゆるめ作動解除装置を備えたミシン顎
部の正面図で、糸調子装置の作用状態時を示し、第２図
は、作用及び不作用状態の移行関連説明図である。 １・・・・・・ミシン本体、２・・・・・・上軸、５・
・・・・・針棒クランクロッド、６・・・・・・針棒、
８・・・・・・糸調子器、９・・・・・・糸ゆるめレバ
ー、１２・・・・・・糸ゆるめ、１３・・・・・・腕部
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上軸の回転を針棒の上下運動に変換伝達する針棒駆動部
   材に腕部材を設け、糸調子装置の作動切替えを行う糸ゆ
   るめレバーが糸調子装置の作用を不作用位置にさせてい
   るとき、前記腕部材が上軸１回転中の所定範囲内で前記
   糸ゆるめレバーと弾性的に干渉し、前記糸調子装置を不
   作用から作用状態となさしめるミシンの糸ゆるめ作動解
   除装置。