JPS6024046Y2 - 超音波振動子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、複数の焦点を有する超音波振動子の改良に関
するものである。

超音波パルスエコー・システムにおいて超音波の送受波
に用いられる振動子は、超音波ビームを絞ってエコグラ
ムの分解能を高めるために、適当な焦点を持つように作
られる。

焦点は、単一形振動子の場合は振動子の表面を曲面にし
て作られる。

焦点の深度はできるだけ深いことが望ましいが、１つの
焦点の深度には自ずと限度があるので、より深い焦点深
度が必要なときは複数の焦点が作られる。

単一形振動子につき、複数の焦点を作るには、従来は、
円板形振動子の表面にそれぞれ曲率の異なる曲面を同心
的に形成するようにしていたが、このような振動子にお
いては、同心的な各曲面がそれぞれ異なるアパーチュア
形態のフォーカル・ゾーンをなし、外縁に近い曲面の実
効アパーチュアはリングとなって、サイドロープなどの
特性が円板から大きく変わってくるので不都合である。

本考案の目的は、複数の焦点用のそれぞれのフォーカル
・ゾーンが実質的に同一の実効アパーチュアとなる超音
波振動子を提供することにある。

本考案は、円板形振動子の表面を、複数通りの曲率半径
を有する部分曲面の均一な分布によって構成するように
したものである。

以下、図面によって本考案を説明する。

第１図は、本考案実施例の超音波振動子の断面図である
。

第１図において、ｄは電歪材料からなる円板で、その表
面には、曲率半径の異なる２つの曲面Ｆ１．Ｆ２が、そ
れぞれの部分曲面を互い違いに並べた形で構成されてい
る。

部分曲面の配置は同心円環状、放射状、あるいはモザイ
ク状のいずれでもよく、どの曲率の部分曲面も表面上に
一様に分布するように配置される。

このような電歪板ｄの表面の各部分曲面にそれぞれ部分
電極ｅＰ９ ”ｐが設けられ、裏面には共通電極ｅ。

が設けられて振動子本体りが構成される。

振動子本体りはその裏面をバッキング材Ｂと接合される
。

振動子の電極ｅｐｔ ”ｐｔ ｅ、は送受信回路（図
略）に接続され、それにより、振動子りに対する電気的
駆動パルスの印加と振動子りに入感した反射波信号の受
信が行なわれる。

このような振動子りに電気的駆動パルスが印加されたと
き、振動子りは超音波パルスを発生して被検音場に放射
する。

振動子りの表面は曲率が異なる２つの白画Ｗ工、Ｆ２を
持っているので、被検音場に放射された超音波のビーム
は、２つの曲面Ｆ□ｖ Ｆ２のそれぞれの曲率によって
定まる２つの焦点ｆ□？ ｆ２に集束される。

このように送波された超音波に対して被検音場からのエ
コーが振動子りの表面に到達したとき、曲面Ｆ□におい
ては焦点ｆ□およびその近傍からの工コーの波面がそろ
い、曲面Ｆ２においては焦点ｆ２およびその近傍からの
エコーの波面がそろう。

このため、曲面Ｆ１に入感したエコーは焦点ｆ□にピン
トが合っており、曲面Ｆ２に入感したエコーは焦点ｆ２
にピントが合っている。

したがって焦点ｆ１． ｆ２の位置およびそれらの焦点
深度を適切に定めることにより、合皮の焦点深度を音線
上所望の深さまで伸ばすことができる。

このようにして２つの焦点を持った超音波振動子が得ら
れる。

この振動子りにおいては、２つの焦点を与えるフォーカ
ル・ゾーンは実質的に互い重なった円となり、実質的に
同一の実効アパーチュアを有する。

したがってサイドロープなどの特性が互いに同一であり
、好ましいものである。

振動子りの表面に作る曲面の数は３つ以上とすることも
できる。

振動子りは、表面を部分曲面の集合とした電歪材料の代
わりに、表面が平らな電歪材料板と段付音響レンズとの
組合わせによって構成することができる。

その例を第２図に示す。第２図において、ｄは平面円板
状の電歪材料、ｅｐｔ”ｐはその表面に設けられた部分
電極群、ｅｃはその裏面に設けられた共通電極であって
、これらは平面円板状の振動子りを構成する。

Ｌは振動子りの表面に接合された音響レンズ、Ｂはバッ
キング材である。

音響レンズＬの表面には、第１図における電歪材料の表
面と同様に、曲率半径の異なる２つの曲面Ｆ１．Ｆ２が
、それぞれの部分曲面を互い違いに並べた形で構成され
る。

これによってＬは段付レンズとなる。

部分電極群ｅｐ、ｅ’、は段付音響レンズＬの各部分曲
面に対応している。

段付音響レンズＬの各段間に、電歪材料ｄまで達する溝
を切ると、各部分曲面間の相互干渉を低減させることが
できる。

このような装置は、段付音響レンズの効果により、２つ
の焦点ｆ□、ｆ２を持つものとなり、第１図の振動子と
同様の機能を果す。

エコー信号の受信回路としては、例えば、第３図のよう
なものが用いられる。

第３図は、振動子りの部分電極群を同じ群同志でまとめ
、エコーの深さに応じてスイッチＳＷにより切換えて使
用するようにしたものである。

ただし振動子りの中央部の部分電極は、両群に共用され
る。

これにより、受信の前半は、中央部の電極と焦点の短い
方の曲面用の部分電極群が用いられて、被検音場の浅部
にピントの合った受信が行なわれ、受信の後半は、中央
部の電極と焦点の長い方の曲面用の部分電極群が用いら
れて、被検音場の深部にピントの合った受信が行なわれ
る。

なお、至近距離からのエコーは中央部の電極だけで行な
うよケにしてもよい。

またスイッチＳＷの代わりに、相補的に変化する２つの
可変抵抗器を用い、一方の群から他方の群への切換えを
連続的に行なうようにしてもよい。

受信された信号は必要に応じて増幅、検波などされて表
示器等に与えられる。

以上のように、本考案は、円板形振動子の表面を、複数
通りの曲率半径を有する部分曲面の均一な分布によって
構成するようにした。

このため、複数の焦点用のそれぞれのフォーカル・ゾー
ンが実質的に同一の実効アパーチュアとなる超音波振動
子が実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、および第２図は本考案実施例の概念的構成図、
第３図は、受信回路の一例のブロック図である。 Ｄ・・・・・・振動子、ｄ・・・・・・電歪材料、ｅｐ
ｔ ”ｐ＊ ｅ。 ・・・・・・電極板、Ｌ・・・・・・段付音響レンズ、
Ｂ・・・・・・バッキング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円板形振動子の表面を、曲率の中心が同じ軸線上の同じ
   側にあり曲率半径が複数通りに異なる複数の曲面の部分
   曲面が均一に分布したものとした超音波振動子。