JPS6021444Y2 - 炭素繊維強化樹脂製ロッカ−ア−ム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は一端に内燃機関の開閉弁を押圧するアジヤステ
ィングスクリューが調節可能に螺合され他端にカム面に
衝接するロッカーアームパッドを具備してなるロッカー
アームに関する。

従来かかるロッカーアームは鋳鉄またはアルミニウム合
金により製作されている。

しかし鋳鉄製ロッカーアームはその素材の比重量力伏基
いため重量が過大となり易く、換言すれば重量当りの強
度および剛性において必らずしも満足なものではない。

特に、内燃機関の重量を低減して機関搭載車輌の燃費特
性を向上せんとするときに問題となる。

一方アルミニウム合金製ロッカーアームではカムと衝接
するロッカーアームパッド部に耐摩耗性の大きい材料か
らなるパッド部材を一体的に固定する必要があるが、ア
ルミニウム合金は約７００℃の温度で鋳造するためにこ
の鋳込み温度によりパッド部材が軟化し変質する欠点が
ある。

更にまたアルミニウム合金製ロッカーアームではアジヤ
スティングスクリューナツトの螺合部の損傷陥没を防止
するためアジヤスティングスクリューの締め付けに細心
の注意が必要であった。

加えて、従来のロッカーアームではロッカーアーム自体
に潤滑機能がないためロッカーシャフト外周面のロッカ
ーアーム摺動部に軸方向に延びるＵ字断面の油溝を穿ち
油入と連通せしめて油膜が切れないようにする必要があ
り、上述の軽量化の困難さとにより高速運転時の特性が
不十分になることがある。

本考案はロッカーアームの軽量化および高速性能の向上
をはかることを目的とし、内燃機関の開閉弁を押圧する
アジヤスティングスクリューを取付るロッカーアームの
一端からカム面に衝接するロッカーアームパッドを具備
した他端の方向に実質的に延在する炭素繊維により強化
された樹脂により製作された炭素繊維強化樹脂製ロッカ
ーアームにより遠戚する。

すなわち、本考案ではロッカーアームの材質を高剛性炭
素繊維強化樹脂とすることにより比強度および比剛性が
ともに向上し、従来の鋳鉄製ロッカーアームの約１／４
．そしてアルミニウム合金製ロッカーアームの約３１５
の重量とできる。

このようにロッカーアームを軽量化できることによって
、ロッカーシャフトのまわりに揺動運動するロッカーア
ームの等価慣性重量が減少し、ロッカーアームの慣性力
が低下し、従ってロッカーアームにより作動される動弁
系の性能が向上し高速運転が可能となる。

また本考案の炭素繊維強化樹脂は、例えば±４５°の繊
維配向からなるプリプレグ積層板を重ねて、その炭素繊
維がパッドからアジヤスティングスクリューへ実質的に
延びるよう配設しているためにその剛性を高めることが
でき高速運転に適する。

特に実施例に示すように縦長の■ビーム断面形状となす
ことにより、剛性を一層高めることができる。

このようにして形成されたロッカーアーム本体にはロッ
カーシャフトのための水平貫通穴を形成すべく円筒状に
丸めれた炭素繊維強化樹脂製軸受部材が一体に組合わさ
れる。

円筒状に丸められたこの炭素繊維強化樹脂製軸受部材で
は強化用炭素繊維がロッカーシャフトの周りに円周方向
に延在し、この軸受部材は前述した積層体本体に樹脂の
特性による比較的低い温度で加圧合体されることができ
、よって安定した軸受性能を備えた軽量且つ高剛性ロッ
カーアームが得られる。

本考案の実施例に示すようにロッカーアームパッドをロ
ッカーアーム本体と同じく炭素繊維強化樹脂により一体
に構成してもよ＜ＪＩＳ Ｇ４４０３に規定される高速
度岡［ｌ５ＫＨ９もしくはＪＩＳ Ｇ４４０４に規定さ
れる熱間加工用合金工具鋼５ＫＤ６１のような鉄鋼系合
金製パッド材を一体的に締結固定してもよい。

何れの構造によっても炭素繊維強化樹脂の硬化温度が２
００℃以下であるために、アルミニウム合金製ロッカー
アームのパッド材のように熱により材質が不安定になる
ことがない。

更に実施例に示すように炭素鋼製の座面面積を増したフ
ランジを有するアジヤスティングスクリュー雌ねじ部材
をロッカーアームに一体的に締結固定することによりア
ジヤスティングスクリューに螺合するナツト座面の陥没
を防止することもできる。

以下図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図および第２図において、ロッカーアーム１はロッ
カーシャフト６に揺動可能に嵌合されている。

なおロッカーシャフト６には小径の油孔７を穿設してい
る。

図中右端に形成されたロッカーアームパッド部材３が機
関に回転可能に設けられたカム（図示せず）に衝接しそ
のカムプロフィル軸受２に応じてロッカーアーム１をロ
ッカーアーム軸受２によりロッカーシャフト６まわりに
揺動せしめる。

この揺動によりロッカーアーム１の図中左端に一体的に
締結固定した炭素鋼製アジヤスティングスクリュー雌ね
じ部材４の雌ねじ５に長さ調節可能に合固定したアジヤ
スティングスクリューによって内燃機関の吸気弁または
排気弁等のバルブリフタ（図示せず）を押圧せしめて開
閉弁の開閉を行わせる。

本実施例のロッカ７アーム１の本体は高剛性炭素繊維お
よび体積百分率で４０％乃至５０％のエポキシ、ポリエ
ステル、ポリイミドまたはポリアミド樹脂からなる±４
５°に繊維配向したプリプレグ積層板を第２図に符号Ｆ
で示すようにロッカーアーム１の左右両端間に延在する
よう重ねる。

また軸受２は上述と同材質の炭素繊維強化樹脂を円筒状
に形成したもので、炭素繊維は円周方向に丸められてい
る。

軸受２は所定長さに切断後にロッカーアーム１本体と一
体となるよう組合せ形成されている。

ロッカーアームパッド部材３は鉄鋼系の合金、例えば高
速度鋼５ＫＨ９の焼入焼戻熱処理したものまたは型用＃
ｌ５ＫＤ６１の焼入焼戻し熱処理したもの、からなり、
第４図に示すようにカムに衝接する平担部３ａおよび該
平担部から突出した取付部３ｂからなり、取付部３ｂを
プリプレグ積層板中に埋込み加圧成形して硬化させ一体
的に締結固定している。

ロッカーアームの左端に機械加工により通し穴を穿設し
、次いでフランジ付アジヤスティングスクリュー雌ねじ
部材４の外周に接着剤を塗布した後に、前記通し穴に、
密嵌合して一体的に締結固定している。

ここでアジヤスティングスクリュー雌ねじ部材４のスク
リューナツトの座の面積を十分に大きくなしておりアジ
ヤスティングスクリューの締結時のロッカーアームの座
面が陥没しないよう配慮している。

上述したロッカーアーム゛をガソリンエンジン実機台上
の高速連続耐久試験に供したところ、軸受部の焼付きも
なくその摩耗量は従来品の約１７２であった。

またアジヤスティングスクリュー雌ねじ部材の座面陥没
なく、タペットクリアランスも極めて安定していた。

更にパッド部の焼付、スカーフィフグもなく摩耗も小さ
く良好な運転状態であった。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の第１実施例の平面図、第２図第１図の
正面図、第３図および第４図はそれぞれ第２図の■−■
線およびＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図である。 １・・・・・・ロッカーアーム、２・・・・・・軸受、
３，１３・・・・・・ロッカーアームパッド部材、４・
・・・・・アジヤスティングスクリュー雌ねじ部材、５
，１５・・・・・・雌ねじ、６・・・・・・ロッカーシ
ャフト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端に内燃機関の開閉弁を押圧するアジヤスティングス
   クリューが調節可能に嵌合され他端にカム面に衝接する
   ロッカーアームパッドを具備し、これらの両端間はぼ中
   央部にロッカーシャフトとの嵌合のための水平貫通穴が
   形成されてなるロッカーアームにおいて、ロッカーアー
   ム本体が前記一端から他端の方向に実質的に延在する炭
   素繊維強化樹脂板材積層体として形成され、該本体には
   前記水平貫通穴を形成すべく円筒状に丸められた炭素繊
   維強化樹脂製軸受部材が一体に組合わされていることを
   特徴とする炭素繊維強化樹脂製ロッカーアーム。