JPS6021074Y2 - 芳香剤等の含浸構造体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は芳香剤等の含浸構造体に係り、詳しくは、香水
その他の芳香剤等が多量に含浸でき、しかも、この多量
の芳香剤等が長時間にわたり徐々に発散する装身具、室
内装飾品、のれん等にきわめて好適な芳香剤等の含浸構
造体に係る。

一般に、装身具は金、銀等の貴金属若しくは少なくとも
表面に貴金属を介在させて構成し、貴金属特有の色、光
沢等によって装身具としての審美的価値を保っている。

また、貴金属は高価であるため、貴金属と同等の色、光
沢等を有する材料によって構成された装身具も多いが、
何れの場合であっても一般に装身具はその外観の審美的
効果を中心とするものである。

また、装身具のほかに人間の体臭等を緩和するため、古
くから香水等の芳香剤が用いられ、近来では女性にとっ
て芳香剤の着用は生活上必要欠くべからざるものとなっ
ている。

しかしながら、上記の如き装身具と芳香剤との着用は通
常個別的に行なわれていたが、これら両目的、つまり、
審美的効果と芳香の発散とを同時に遠戚できるものも例
えば特公昭２３−６２１号公報に記載の如く提案されて
いるが、次の通りに問題があって未だ実施化されていな
い。

すなわち、これは金属または合金の微粉末を焼結して得
られる多孔質焼結体中の孔隙を利用し、この中に液状の
発香物等を含浸して成るものである。

この多孔質体は焼結前の成形時にどうしてもある程度の
加圧を必要とするため、同公報にも記載されている如く
、粉末粒子間に有機質粘着剤を介在させて加圧成形し、
焼結時に、この有機質粘着剤を消失させてその部分に孔
隙を形成している。

従って、孔隙率を高めるには有機質粘着剤を量的に高め
ることになり、有機粘着剤の量によっては焼結雰囲気が
みだされて焼結性の低下、機械的強度の低下が招来する
ため、孔隙率は高めてもせいぜい２０％どまりである。

これに反し、有機質粘着剤を介在させずに多孔質体を構
成する場合は、成形時の加圧により粉末粒子間の孔隙が
相当失なわれ、その上に、得られる孔隙の径がきわめて
細くなり、芳香剤を液状で浸漬できる量がきわめて少な
くなる。

要するに、従来例の多孔質体は孔隙率がきわめて小さく
、その使用もせいぜい１週間程度で、実用化には至って
いなかった。

本考案はこれらの問題点を解決することを目的とし、具
体的には、審美的効果を有すると同時に長時間にわたり
持続的に芳香を発散できる芳香剤等の含浸構造体を提案
することを目的とする。

以下、図面によって本考案の実施態様につい°Ｃ説明す
る。

ます、第１図は本考案の一つの実施例に係る構造体の断
面図、第２図はその多孔質板部分の一部の拡大図であっ
て、第１図から明らかな通り、多孔質板１とその多孔質
板１の少なくとも表裏両面に被着された包囲板２とから
戊っている。

多孔質板１は第２図に示す如く金属若しくは合金の粉末
粒子１ａの焼結体であって、この粉末粒子１ａの間には
孔隙率で６０〜６５％程度の孔隙若しくは連通孔１ｂが
形成する。

この多孔質板は成型容器中に粉末粒子を散布し、はとん
ど成型圧力をかけない状態で焼結し、粉末粒子間の結合
力が劣るが、この焼結後の多孔質板１の少なくとも表裏
両面に対し包囲板２を加圧して被着する。

すなわち、包囲板２は所望の金属若しくは合金板から構
威し、この包囲板２の間に多孔質板１を介在させて上下
から加圧する。

このように加圧すると、多孔質板１の少なくとも表裏面
に包囲板２が被着して一体化し、焼結時に、粉末粒子間
結合力が小さくともその結合力が高められ、更に、包囲
板２の呈する金属色特有の光沢等で審美的効果が高めら
れる。

次に、多孔質板１と包囲板２とを具える成る構造体にお
いて、その多孔質板１の孔隙１ｂ中の残存空気を予め吸
引して減圧状態に保ち、この状態の孔隙１ｂの中に芳香
剤を吸引して含浸させる。

すなわち、上記の如く多孔質板１の表裏面への加圧によ
り、少なくともその附近の孔隙１ｂ等の径は細くなり、
液状の芳香剤中に浸漬したのみではあまり多量の芳香剤
が含浸できない。

この点、孔隙１ｂ中を減圧状態に保っていると、細い孔
隙１ｂであっても容器に芳香剤は吸引含浸できる。

また、孔隙１ｂの径が少なくとも表裏面で細いことは含
浸後の芳香剤の保持性が向上し、長期間にわたって使用
できる。

例えば、ペンダント、リング、その他の装身具は着用時
に人間の体温等により温度が上昇し、含浸芳香剤が周囲
に発散する。

しかし、少なくとも表裏面が包囲板によっておおわれ、
孔隙等は無限に屈折し、更に、表裏面附近の孔隙径が細
いため、芳香剤の発散は徐々に行なわれ、芳香剤等は長
時間保持できる。

なお、第１図においては、多孔質板１の表裏面にのみ包
囲板２を被着した例を中心に説明したが、多孔質板１の
側面も第３図ならびに第４図に示す如く包囲板３によっ
て包囲し、芳香剤は各包囲板の接合部分等から発散でき
るよう構成することもできる。

なお、本考案は上記のところで装身具について説明した
が、香料の如く、揮発剤の中に成分として芳香成分を入
れる代りに成分として防錆成分や、防かび成分、昆虫誘
引成分等を添加でき、例えば、防かび成分を添加したも
のを含浸させた構造体は光学機器等の内部に装着するこ
とによりレンズの防かびができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一つの実施例に係る構造体の断面図、
第２図は多孔質板部分の一部拡大図、第３図は本考案の
他の実施例に係る構造体の横断面図、第４図は第３図の
Ａ−Ａ方向からの断面図である。 符号１・・・・・・多孔質板、１ａ・・・・・・粉末粒
子、１ｂ・・・・・・連通孔、２，３・・・・・・包囲
板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属若しくは合金等の粉末粒子を、その粒子間に孔隙若
   しくは連通孔が形成されるよう焼結した多孔質板と、そ
   の少なくとも表裏両面に被着された包囲板とを具え、こ
   の包囲板を前記多孔質板に対して加圧し、前記孔隙若し
   くは連通孔は孔隙率６０〜６５％になるよう存在させ、
   しかも、減圧状態の前記孔隙若しくは連通孔中に芳香剤
   等を吸引含浸して成ることを特徴とする芳香剤等の含浸
   構造体。