JPS6014661B2 - 切削工具の損傷検出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、切削工具の摩耗、折損などの損傷を自動的
に検出する装置に関するものである。

近年、各種工作機械の無人化運転が著しく普及し、更に
最近はその高能率化、高精度化を目指す技術開発が盛ん
である。このような技術開発に並行して、工作機械の切
削工具についても、その寿命のぱらつき、損傷等に対す
る効果的な対策で強く要望されている実情にある。

そこで、切削工具の寿命や損傷の程度を切削中に自動的
に測定検出し、検出値が限界値を越えると警報を出し、
或いは機械の運転を停止させる各種の方法、装置が提案
されている。

しかしながら、従来の提案の或るものは精度が十分でな
く、また或るものは装置が複雑高価である、などの問題
があり、未だ満足できる技術水準に達していない。

この発明の目的は、精度よく、しかも簡単に切削工具の
損傷を検出できる装置を提供することにある。

ところで、切削工具にかかる切削抵抗は、主分力と広義
の背分力とに分けられ、更に後者は狭義の背分力と送り
分力とに分けられることが知られているが、この発明で
いう背分力とは、広義の背分力をいう。

切削中の工具から発生する機械的振動のうち、背分力方
向の振動成分は、工具の摩耗や破損、欠損等の損傷の発
生によって増大することが従来から知られている。

したがって、背分力方向の振動成分の増加率を検出する
ことによって、一応工具の損傷発生を知ることができる
が、工具が正常に摩耗している場合も、その影響により
背分力方向の振動成分が増大するため、破損、欠損等の
損傷発生の場合と区別がつかず、精度よく損傷の発生を
検出することができない。しかし、工具の摩耗によって
上記の振動成分が増大するのは、工具の切削刃が鋭く未
だ摩耗の進んでいない場合、すなわち切削の初期の段階
においてである。

この段階において工具の切削刃が欠損と同様の状態で激
しく摩滅するために、背分力方向の振動成分が増大する
ことになると考えられ、この段階を過ぎ、摩耗が一様に
進行する場合には、もはや摩耗によって振動成分が増大
することはない。したがって、工具の損傷発生を知る条
件の第一は、切削の初期の段階を除くこと、すなわち主
分力方向の振動成分が一定以上に大きくなる現象を検出
することであり、その第二は背分力方向の振動成分が増
大する現象を検出することである。

一方、背分力方向の振動成分は、切削抵抗の増大と共に
増大するので、単にその増大現象を検出するだけでは、
損傷の発生と切削抵抗の増大を区別するとができない。
しかし、切削抵抗の増大と共に主分力方向の振動成分も
増大するので、背分力方向と主分力方向の各振動成分の
出力比をとることにより、切削抵抗の増大による背分力
方向への影響を消去することができる。したがって、工
具の損傷発生を知る条件の第三は、背分力方向と主分力
方向の各振動成分の出力比の増大又は減少を検出するこ
とである。

この発明は、以上の…つの条件を検出することにより工
具の損傷発生が検知できることを見出し、これを具体化
したものである。

第１図はその実施例であり、１は主分力方向の振動成分
の検出器、１′は背分力方向の振動成分の検出器、２，
２′は増幅器、３，３′は周波数弁別器、４は比較器、
５は割算器、６は比較器、７は警報器を示している。

上記の検出器１は、主分力方向の振動成分を、例えば加
速度、ＡＥ信号等によって検出するものであって、圧電
素子、ＡＥ信号測定用素子などが使用されている。

背分力方向の振動成分の検出器１′もこれと同様の構成
である。これらの検出器１，１′は、できるかぎり切削
刃物の近くに固着され、切削時に生じる振動をそれぞれ
独立して検出するようになっている。検出された各振動
成分は、各検出器１，ｉ′において電気信号に変換され
、それぞれ次の増幅器２，２′で増幅される。

更に、次の周波数弁別器３，３′にいて、切削により発
生する周波数成分以外の周波数成分、例えば０．１Ｋ世
以下の周波数成分が除去される。

周波数弁別された検出器１側の信号ａの出力Ｐａ及び同
１′側の信号ｂの出力Ｐｂは、例えば第２図、第３図に
示すように、切削の進行、すなわち時間ｔの経過と共に
増大し、前者は時間ｑ‘こおいて基準値Ａを越え、後者
は時間ｔ２において基準値Ｂを越えている。上記の各信
号ａ，ｂは、次の比較器４に入り、信号ａの出力Ｐａが
予め設定した基準値Ａを越え、信号ｂの出力Ｐｂが同じ
く基準値Ｂを越えた場合のみ、各信号ａ，ｂが次の割算
器５に入るようになっている。

割算器５においては、基準値Ａ，Ｂを越えた各信号ａ，
ｂのそれぞれの出力Ｐａ，Ｐｂの比Ｐａ／Ｐｂ又はＰｂ
／Ｐａが計算され、次の比較器６において、予め設定さ
れた基準値Ｃと比較される。

上記の比Ｐａ／Ｐｂ又はＰｂ／Ｐａは定常状態ではほぼ
一定であるが、工具に損傷が発生すると、出力Ｐａに変
化は生じないが、出力Ｐｂが急激に増大するため、両者
の＃ｆａ／Ｐｂは減少し、Ｐｂ／Ｐａは増大する。第４
図は時間ｔに対する出力比Ｐａ／Ｐｂをとったものであ
り、時間ｔ３において損傷が発生すると、その牡ｆａ／
Ｐｂが急激に減少する様子を示している。

出力比Ｐａ／Ｐｂが第４図のように基準値Ｃを下回るか
、又はＨｆｂ／Ｐａが基準値Ｃを上回ると、警報器７が
作動し、警報を発するか、工作機械を停止させるか、又
は切削工具を元の設定位置に戻すなどして作業を中止さ
せる。

この発明は、以上のように、切削の初期の段階において
は検出を行わないこと、すなわち主分力方向の振動成分
に基づく信号ａの出力Ｐａが基準値Ａを越えること（前
記第一の条件）、背分力方向の振動成分に基づく信号ｂ
の総出力Ｐｂが基準値Ｂを越えること（同第二の条件）
、及び前記出力ＰａとＰｂの比が基準値Ｃを越えること
（同第三の条件）を判別することによって工具に損傷が
発生したことを自動的に検出できるようにしたものであ
る。

よって、この発明の装置によれば、切削作業中の工具の
損傷を精度よく、しかも簡単な装置によって検出できる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示すブロック図、第２図は
時間ｔと総出力Ｐａとの関係を示すグラフ、第３図は時
間ｔと総出力Ｐｂとの関係を示すグラフ、第４図は時間
ｔと総出力Ｐａ／Ｐｂとの関係を示すグラフである。 １，１′…・・・検出器、２，２′・・・・・・増幅器
、３，３′・・・・・・周波数弁別器、４・・・・・・
比較器、５・・・・・・割算器、６・・・・・・比較器
、７・・・・・・警報器。 第１図第２図 第３図 第４図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 切削加工によって発生する工具の機械的振動を切削
   抵抗の主分力方向の振動成分と背分力方向の振動成分と
   に分けて検出する検出器、検出された各振動成分を基準
   値と比較し、各振動成分がいずれも基準値以上である場
   合にのみ各振動成分を出力として出す比較器、上記比較
   器から出た各振動成分のそれぞれの出力の比を求める割
   算器、及びその比の値と基準値とを比較する比較器とか
   ら成ることを特徴とする切削工具の損傷検出装置。