JPS6014587Y2 - パツド印刷機のインキング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、腕時計のカバーガラス、文字板類等の小物
に印刷を施すパッド印刷機に関し、詳しくは、そのイン
キング装置の改良に関するものである。

従来、腕時計のカバーガラス、文字板類に、意匠的な線
模様、文字等の印刷を施す装置としては、スクリーン印
刷機やパッド印刷機等が用いられている。

第４図示のものは腕時計のカバーガラスを例示したもの
であって、符号ａの斜線で示す部分は、カバーガラス裏
面にスクリーン印刷によって、例えば黒色のベタ印刷が
施された状態を示す。

また符号すの部分は、カバーガラスの表面にパッド印刷
機を用いて印刷された極細の線の枠どりを示すもので、
例えば金色のインキを用いて意匠効果を出していること
を表わしたものである。

このように、カバーガラス、文字板類などの小物に細い
線での印刷が望まれるときは、パッドによる転写印刷が
好適である。

その理由は版に凹版が用いられるからで、その反面太い
線（４ｍｍ以上）はインキドクタでインキが掻きとられ
るとき折角版にのせたインキ迄削り取ってしまうので適
当でない。

このようなものはスクリーン印刷の方がむしろ適してい
る。

上記のように、カバーガラス類の印刷はスクリーン印刷
に頼らなければならない面もあるが、細線部の印刷が多
いのでパッド印刷機の利用は不可欠である。

そもそも、パッド印刷機は現在まで印刷対象物の種類に
よって大小様々なものが開発されているが、上記した分
野の印刷には適切なものがなく、欠陥も多かった。

ところで、パッド印刷は以下記載のプロセスによって行
われる。

版は前述のように凹版が用いられる。

いま、凹版上にインキが供給されるとインキドクタで画
像以外の余分のインキが掻きとられ、続いてインキ着け
された画像に転写用パッドが押しつけられる。

このパッドは、ポリウレタン、ゴム等の適当な弾性をも
った材質によりなり、先端が球面をなしていて版の画像
インキはこの先端球面部に的確に移しとられる。

このパッドは更に被印刷体に押圧されて印刷が完了する
のである。

従来機においては、インキ装置に問題点が多かった。

腕時計のカバーガラスなどに印刷する小物用パッド印刷
機は、インキ替え、ドクターの研磨、取付作業、および
掃除等が簡便に行えて、小廻りがきくようにするために
、また価格の面からも廉価にする必要から簡単に構成さ
れている。

このためにインキの無駄が多いのである。

すなわち、インキはインキドクタとの平板状の返しベラ
との間に貯留されていて、版板上を移動するようになっ
ているが、返しベラが平板状であるためにインキが少し
ずつ版板の側方へ流れ出してしまうのである。

そして、この溢れ出たインキはゴミ、はこり等の混入し
ていることが多く、回収して再使用することは版を傷つ
けたりするので好ましくないのである。

また、前記の如くして貯留されるインキ量には自づから
限度がある。

従来の装置においては流れ出る量が多く１、−日の作業
量として２〜３回程度の途中補給を行う必要があった。

インキはその度毎に色合わせをするので、このように途
中補給することは煩雑で取扱上不便であった。

また、前記した側方へのインキの流出を防ぐために、イ
ンキを貯留する箱形の容器を設けて、この容器にインキ
ドクタおよび返しベラを付設して構成したインキング装
置も公知であるが、インキ替え、掃除、ドクタの着脱等
に不便であり、然もドクタがインキ容器に固定された構
成であるから往復動に際し版面を傷損するおそれが大で
ある欠陥があった。

この考案の目的は、上記欠点を排除した簡単な構成のパ
ッド印刷機のインキング装置を提案することにある。

次に図面の実施例につき詳述する。

符号１はベットで、２はベット１上に固定されている往
復台用基台、そして、３は往復台である。

この往復台３の底部にはアリ溝が形成され、往復台基台
２の上部４と嵌合し、水平方向に摺動し得るようになっ
ている。

往復台３の一端にはロッド５が連結され、ロッド５の他
端には図示しないエアーシリンダが連結されている。

この往復台３上面左方には１、被印刷体、本例では腕時
計のカバーガラス６を保持する保持部材７が、摺動部材
８を介して調整自在に取付けられている。

すなわち、摺動部材８が往復台３とアリ溝で嵌合し、ボ
ルト９で緊締されていて、ボルト９を弛め、ハンドル１
０を廻わすことにより、摺動部材８がネジ作用で紙面と
直角な方向に摺動し得るようになされている。

また、保持部材７も、摺動部材８に回転自在に嵌合して
いて、固定部材１１で適所に固定されるようになされて
いる。

前記の保持部材７には、さらに、被印刷体６を保持する
嵌合孔１２が設けられ、これに連通ずる吸着口１３が穿
設されていて、図示しない真空ポンプにバルブを介して
連結されている。

また、往復台３上面右方には、版板１４が版板取付台１
５を介して調整自在に取付けられている。

版板取付台１５は定規縁１６を有し、版板１４の側縁を
これに押しあてて図示しない緊締部材により位置決め保
持する。

版板１４はガラス板を材料とし、所望の画像１７を腐蝕
して凹版にしたものを用いるのが好ましい。

１８は版取付台１５を往復台３に固定するためのボルト
である。

なお、ボルト１８を弛めて、版取付台を紙面に垂直な方
向に移動する構成については図示を省略したが、これを
例えば、前述の摺動部材８と同様な構成によって行って
も良く、その構成は任意である。

次に、符号１９は転写用パッドを示す。

このパッド１９は、ポリウレタン、ゴム等の材質で適当
な弾性をもった材質により形成されるもので、先端が球
面状を呈しているものが用いられる。

他端の軸２０は、ベット１に固定された図示しない支持
部材に上下動自在に支持されるとともに、図示しないエ
アーシリンダに連結されていて、所定のタイミングで上
下動し、版面または被印刷体に圧接されるように構成さ
れている。

符号２１で示すものはインキドクタである。

このインキドクタ２１は、ベット１に固定される図示し
ない支持部材により、保持体２２を介して回動し得るよ
うに支持されている。

また、インキドクタ２１は図示されないスプリングによ
り、常時版板面に向けて付勢されていると同時に、他方
において図示されてないエアーシリンダとも関連してい
る。

第１図示の状態から第２図示の状態に往復台３が移動す
るときには、前記スプリングに抗して前記のエアーシリ
ンダが働き、インキドクタ２１は上方に廻動せしめられ
る。

そして、前記と逆行程のときはインキドクタ２１はスプ
リングにより版板１４に接触し、インキの掻きとりを行
うように構成されている。

返しベラ２３は、ベット１に固定された図示しない支持
部材に支持されているもので、版板１４上において版板
１４から０．１ｒＩｒ！ｎ程度の僅かな間隙を残して固
定されている。

また、返しベラ２３はまた前記インキドクタ２１と間を
へだでて対面するように取付けられているもので、取付
部材を介して取付けられるときに、インキドクタ２１に
面する側が凹面となるよう、第３図示のように湾曲させ
て取付けられる。

（あらかじめ整形されたものを取付けても良い。

このときは弓形状等の変形も可能であるが研磨のときに
手間がかかる。

）更に、返しベラ２３の下縁は、第１図の断面図にみら
れるように片刃に刃付けされ、取付けに際しては片刃を
形成する研磨面側が、返しベラ２３の凸面側にあるよう
にして取付けられる。

インキドクタ２１と返しベラ２３との間はインキ貯留部
２５である。

なお、２６はインキを示す。次に作用について述べる。

往復台３が第１図の左方停止位置にあるときに、被印刷
体６は保持部材７の被印刷体嵌合部１２に投入され、こ
の停止時間内に、転写用パッド１９がエアーシリンダに
より上下動せしめられる。

転写用パッド１９は下降の際版面を圧接し、後記するよ
うにして既に着肉されている版面から画像インキを受け
とる。

次に、往復台３は第２図示の右方停止位置に、エアーシ
リンダにより移動せしめられ、被印刷体６が転写用パッ
ド１９の直下に移行する。

この時間内に図示されてない真空ポンプのバルブが開か
れ、被印刷体嵌合部１２に投入されている被印刷体６は
その場にしっかりと吸着固定される。

また一方、往復台３が右方停止位置（第２図、第３図示
）に移動するとき、インキ貯留部２５内に保有されてい
るインキ２５は返しベラ２３によってインキ返しされて
練られる。

このとき、インキドクタ２１は版面より上昇させられて
いる。

前記返しベラは特に平面円弧状（第３図示）に取付けら
れ、または形成されているので、前記インキ返しに当っ
ては周辺インキを内方に呼びこんで集める作用をなす。

また、下縁の片刃は内面が垂直状を呈しているので、イ
ンキ返しの際、インキが盛りあがって付着するのを自重
で下がり易くするとともに、インキ中に混入したゴミ、
ガラスの破片等がクサビ状となって版板１４と返しベラ
２３との隙間に入りこみ版の傷つくのを防止する作用も
なす。

このようにして返しベラ２３が第２図示の位置に至った
ときは、インキ貯留部２５が版板１４の画像１７の上に
位置し、インキの給付が行われる。

往復台３が右方停止位置にあるとき、転写用パッド１９
が前記した要領で再び上下動し、受理した画像インキを
被印刷体６に転写する。

その後、往復台は再び旧位置に戻るから、印刷済の被印
刷体を取り外して、再び同様動作を繰り返す。

以上述べた一連の動作は電気的になシーケンス制御され
るものである。

なお、印刷物の見当合わせは、前記した位置決め調整機
構を用い容易に行うことができる。

本考案は以上述べたように、インキの返しベラが円弧状
に形成してあり、インキ返しの際に周辺インキを内方に
呼びこむから、インキ２６が版板１４の外へ流れ出す恐
れがなく、従来のものに比しインキの消費量を激減させ
ることができると同時にインキ練りローラを必要としな
い。

しかも、インキドクタは必要時にのみ下降するようにな
っているので版面を傷損する憂いがなく、又ドクタを研
磨するための着脱作業も、その上昇時に行えばよいので
頗る簡単になされ清掃、インキ替え等も極めて容易であ
る等の諸利益を具有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案パッド印刷機の要部を断面して示す全体
側面図、第２図は往復台が移動した状態を示す要部の全
体側面図、第３図は第２図示の状態にあるパッド印刷機
の平面図、第４図は被印刷体を例示した平面図である。 ２は往復台用基台、３は往復台、６は被印刷体、７は保
持部材、１４は版板、１５は版取付台、１７は画像、１
９は転写用パッド、２１はインキ貯留部、２３は返しベ
ラ、 ５はインキ貯留部。 ２４は研磨面、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 版板と被印刷体とが往復台上に取付けられ、この往復台
   が両折返点停止位置にきたときに転写用パッドが下降し
   て、前記版板の画像面と被印刷体とを交互に押圧して印
   刷を行うようになしたパッド印刷機において、前記版板
   上に位置して支持される平板状のインキドクタが、イン
   キ掻きとり時には版板面に下降し、また、画像面のイン
   キ盛り行程時には版板面から上昇しているように構成し
   た当該インキ貯留部と、このインキドクタに版板上で対
   面するとともに、その対面側は凹面となるよう湾曲され
   、かつ、下縁は片刃に形成されてその傾斜面が凸面側に
   向くようにして支持部材に固定された返しベラとからな
   り、両者の間をインキ貯留部となして、版板の画像にイ
   ンキの供給が行われるように構成したことを特徴とする
   パッド印刷機のインキング装置。