JPS601360Y2 - ハイダイク付貯蔵タンク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ハイダイク付貯蔵タンクに関する。

従来、コンクリート製ハイダイク付の一重または二重殻
貯蔵タンクにおいて、背の高い防液堤（ダイク）をタン
ク真近に設け、万が−のタンク損傷に際して、災害区域
を最小とするハイダイクを設けることがあるが、事故に
より貯蔵液がタンクとハイダイク間に漏出流した場合、
液量によって程度は異るがハイダイクには相当の液圧が
印加され、ハイダイクが湾曲変形する。

この変形により、ハイダイクの下端とコンクリート基礎
底板との間にギャップが生じ、堰止めしなければならな
い貯蔵液を外部に漏出させる第１の問題点がある。

また、ＬＮＧなどの極低温液などにおいては、外槽から
の液流出により、コンクリート底板及びコンクリート製
ハイダイクが熱衝撃をうけ、この熱衝撃による変形によ
りクラックが生じ、上述の液圧変形と併せて危険な液化
ガスが外部に漏流出する第２の問題点がある。

また、ハイダイクの中に雨水が侵入したリハイダイク側
表面に結露した空気中の水がハイダイク下部に滴下して
溜まり、タンク底板部に侵入して底板を腐食したり極端
にはタンクに浮力を与えたりする第３の問題点がある。

本考案は、このような実情に対応すべくなされたもので
、簡単な構成によって、上述の第１の問題点を解消せし
め、少くとも、漏流出の液圧により変形するハイダイク
下部からの液流失を合理的に防止させ、安全性の向上の
計れるハイダイク付貯蔵タンクを提供せんとするもので
ある。

本考案の実施例を図面について説明すると、Ａは二重殻
低温貯蔵タンクを示し、該貯蔵タンクＡは、内槽１、外
槽２、コンクリート底板３、底部保冷４などによって構
成されている。

尚特に図示してないが、上記外槽２の内面全周には、パ
ーライト粒あるいはポリウレタンフォーム（ＰＵＦ ）
のような断熱材を張設するものである。

図において、５は貯蔵タンクＡの外側に近接して設けら
れたコンクリート製のハイダイクであって、該ハイダイ
ク５の下端は、上記コンクリート底板３の外周に設けら
れた溝部６に対し相対挙動可能なように嵌着せしめられ
ている。

上記ハイダイク５の上端開口部は設計によっては大気に
開放したり、あるいは貯蔵タンクの外壁にひさしなどを
設け、大量の雨水が貯蔵タンクＡの外壁とハイダイク５
間に侵入蓄溜することを防止することもできる。

本考案は、上述のようなコンクリート製ハイダイク付き
貯蔵タンクにおいて、ハイダイク５の下部内面、及び該
ハイダイク５によって囲まれたコンクリート底板３の外
周面に夫々アンカ一部材７．８を埋設する。

９は集水トラフ１０を兼ね半径方向に変形可能なリング
状の可撓継手で、該可撓継手９外側端縁が上記ハイダイ
ク５のアンカ一部材７に、また内側端縁が上記コンクリ
ート底板３のアンカ一部材８に夫々固定せしめられ常時
は侵入する雨水あるいは結露し滴下した空気中の水分を
集め排水する用途に供せられる。

そして、万が−、タンクが損傷し液流出があり、その貯
蔵液がＬＮＧのような極低温液である場合、外槽２から
の流出液により、ハイダイク５及びコンクリート底板３
が熱衝撃をうけ、熱衝撃割れや熱変形が発生するのを防
止するために、図のように、ハイダイク５の内面及びコ
ンクリート底板３の上面に耐圧性のあるパーライトコン
クリートやポリウレタンフォーム（ＰＵＦ）などの断熱
材１１．１２を張設せしめ、コンクリートの露出面が存
在しないようにすると）もに、該断熱材１１．１２の端
部によって上記アンカ一部材７゜８を含む可撓継手９の
一部を被覆させ、漏流出液が可撓継手９の下面に侵入し
、やがてハイダイク５外に流出するのを防止するように
しである。

この場合ハイダイクは流出液の液圧を受は外方に膨張し
、コンクリート底板との間に相対挙動が生じるが、集水
トラフは半径方向に変形可能な可視性を有しており、こ
の相対挙動を吸収し得る。

この様に断熱材１１，１２を集水トラフを兼ねた可撓継
手９の液密取合構造によって、可撓継手９の下側への漏
液が防止される場合には、上記両アンカ一部材７，８は
スポット的なもので足りるが、そうでない場合、即ち、
貯蔵液が極低温液でないときには、断熱材１１．１２が
不要となるため、アンカ一部材によって可撓継手９下側
への液漏出を防止する条件として、該アンカ一部材７゜
８は無端リング状に形成腰これに夫々可撓継手９の内、
外側端縁を液密的に接合する。

尚上記実施例は、ハイダイク付きの二重殻低温貯蔵タン
クについて説明したが、極低温液でない他の貯蔵液の場
合には、−重殺貯蔵タンクにも適用できる。

この場合、コンクリート製ハイダイク及びコンクリート
底板に作用する熱衝撃についての配慮が不要となるため
、少くともも上述した断熱材１１．１２の張設は省略で
きるが、貯蔵液の流出により、ハイダイクは液圧を受は
外方に膨張しコンクリート底板との間に相対挙動が生じ
るため、集水トラフは半径方向の変形能を有していなけ
ればならない。

また集水トラフ１０は、貯蔵液の漏流出時の集液用途に
供することができき、特に図示していないが、上記集水
トラフ１０の一側に、コンクリート底板３を下向きに貫
通しハイダイク外方に導いたパイプの一端を接続し、こ
のパイプにポンプを介して他の貯蔵タンクに接続した配
管を施し、貯蔵タンクから漏流出した貯蔵液を他のタン
クに移注するようにするものである。

本考案は上述のように構成したので、事故により、貯蔵
タンク内の貯蔵液が流出しても、ハイダイクによって広
域に及び貯蔵液の流散が防止できることは勿論のこと、
特に本考案では、上記ハイダイクの下部内側と、コンク
リート底板の周縁との間に、集水トラフを兼ねた可撓継
手を液封構造をもって配設したので、タンクからの漏流
出液の圧力によってハイダイクが外方に湾曲変形し、こ
のハイダイク下端とコンクリート底板の取合部に間隙が
生じても、可撓継手によって貯蔵液の外部流出を完全に
防止させることができる。

而も貯蔵液が常温液の場合は勿論のことＬＮＧのような
極低温液であって、可撓継手に熱衝撃を与えたとしても
、この継手が半径方向の変形機能を有することから、該
可撓継手が取合うハイダイク及びコンクリート底板との
間に、貯蔵液の流出間隙を発生させることがなく、漏流
出液を、ハイダイクから外部に流出せしめない。

加えて、この可撓継手は集水トラフを兼ねているため、
雨水等および漏流出液の回収が容易であるなど実用上の
効果大である。

【図面の簡単な説明】

図は要部の縦断正面図である。 Ａ・・・・・・貯蔵タンク、１・・・・・・内槽、２・
・・・・・外槽、３・・・・・・コンクリート底板、５
・・・・・・コンクリート製ハイダイク、６・・・・・
・溝部、７，８・・・・・・アンカ一部材、９・・・・
・・可撓継手、１０・・・・・・集水トラフ、１１．１
２・・・・・・断熱材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリート製ハイダイク付貯蔵タンクにおいて、上記
   ハイダイクの内側下部と、上記貯蔵タンクのコンクリー
   ト底板の周縁上面との間全周にわたって、集水トラフを
   兼ね半径方向に変形可能なリング状の継手を、液封構造
   をもって配設したハイダイク付貯蔵タンク。