JPS599150B2 - フイルタ−用繊維エレメント - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は主として、しかし必ずしもそれに限定されるも
のではないが、紙巻き煙草用フィルターとして細か《分
割された形で使用される細長い繊維構造体に関するもの
である。

煙草の製造業界においては基本的にみて二種類のフィル
ターが、これら二種の合成品と共に圧倒的に多《使われ
ている。

広《使われている基本的なフィルターはセルロースアセ
テートを縦に束ねたもの（トウ）であって、このものは
トリアセテインのような可塑剤で処理することによって
繊維を部分的に結合させた後、これを紙（一般にはプラ
グラップとして知られる）で円筒状に包み込んで成るも
のである。

ところで、前記フグルターが紙巻煙草にとりつげられる
際にはフィルターエレメントが煙草コラムに接着保持さ
れるように第二の包装体が用いられる。

＝般にチップバンドと呼ばれる第二の包装体はコルクチ
ップに似た外観を呈しているようである。

フィルターの第二の基本形はしわの多いクレーブ紙をコ
アー状に形成させたものである。

この形態にあってはフィルターエレメントを円筒形に保
持するために、どうしても最初の包装体を用いることが
不可欠となる。

上に述べたように、クレープ紙を用いたフィルターにあ
っては、これを仕上り品とするために、包装を二重巻き
とすることを避けることが出来ないのである。

このようなフィルターは口付け部が魅力的な外観をもつ
とは云えず、しかも使用に際しては、むらのあるシミを
生じさせやすいという欠陥がある。

その上、クレープ紙構造ではフィルターの巻きに不均一
な固さをもつこともあって、高速の紙巻き煙草製造機に
適用した場合では、取扱いを困難にする虞れがあった。

デュアル（二重）フィルターとして知られる第三の形態
のフィルターは前二者のフィルターの欠点を解消させる
ものではあるが、軸方向に形態を揃えるという点では円
筒状の包装紙を不可欠とする。

またセルロースアセテート部が直接紙巻煙草に結合させ
られるという点では、端部の外観が改善され、かつその
固さが軟らかすぎるという傾向も或る程度緩和されるも
のであるが、この種のフィルターは製造に際して前記の
各要素を交互に組合せなければならないので、製造コス
トが比較的高くつ《という欠点がある。

その上、フィルターの基本構造体が複数である処から、
取扱上も困難を免れず、しかもこのデュアルタイプフィ
ルターでは前述の如き二重包装の問題を避けることがで
きないという難点がある。

実際問題としても、二つの円筒状エレメントを一体化す
るためには第三の包装体を用意しな《てはならないので
ある。

以上何れのフィルターにおいても吸引抵抗に対する微細
物質の濾過効率に関する特性曲線を得ることが出来るが
、クレープ紙製のフィルターは所与の吸引抵抗に対しセ
ルロースアセテート製フィルターよりも高い濾過効率を
示す。

デュアルフィルターはクレープ紙とセルロースアセテー
トの両者の成分割合に応じ、前二者のフィルターの中間
に位置した特性を示す。

本発明は幾つかの目的を有するものであるが、その一つ
は最初の包装体を必要とせず、同一の吸引抵抗において
セルロースアセテートと比較し、著しく高められた濾過
効率を示すフィルターエレメントな得んとした点にある
。

また本発明はセルロースアセテートに匹敵する硬さを有
しクレープ紙製フィルターより遥かに良質で、しかも一
般受けのよい端末部外観を呈するフィルターを得るよう
にしたものである。

なお本発明のフィルターにあっては、端末部にシミが生
ずることも少なく、煙草製造機に適用した場合の取扱い
も容易である。

本発明によれば、その繊維エレメントが雑多な方向に錯
綜した状態でまとめられた繊維コアーを有する細長構造
体が得られ、かつ前記コアーはコアーと一体化され、し
かも他の部位より高密度の表層をなす繊維クラストで固
められ、とり巻かれている。

このように本発明のフィルターはガスを濾過させるため
の繊維コアーを有する繊維構造体から成るもので、かつ
その表層部は構造それ自体を固く保持し、コアーによっ
て形成されているフィルターとしての一体性を保つの・
に役立つケーシング効果を有するものとなっている。

このような繊維エレメントは、同一出願人により出願さ
れた特願昭５２−９３２９８号（特開昭５３−３８７０
０号）の製紙原料と同じような繊維の水中懸濁液から細
長の繊維エレメントを製造する方法及び装置により製造
することができる。

すなわち、繊維懸濁液を形成し、前記流体抽出手段の内
部で当該抽出ゾーンを横切る方向に圧力勾配を生じさせ
るように成形器に懸濁液を噴出させる繊維の或る部分が
成形器の内面において繊維マットを形成すると共に、残
りの部分がコアーを形成して、より密度の高いクラスト
でとり巻かれた繊維コアーを有する連続性をもった繊維
エレメントを製造しうるように、成形器の速さに対応し
た注入速度（流出比）を保って繊維懸濁液を成形器内に
注入乃至は噴出させることにより、流体抽出手段の内部
を貫通して成形器が移動している間に、細長の密閉状孔
あき成形器のなかで連続的に繊維エレメントを成形する
ことができる。

成形工程の後段における、例えば乾燥工程の如きその後
の処理工程においては、好まし《は前記クラスト部の構
造的な一体性が損なわれるような曲げや圧縮力を与える
ことなく、またその原因を生じさせるようなことをなく
するのがよい。

このようにして成形されたエレメントは曲げ−られるこ
とな《、直線的に移送されて乾燥機に導びかれ、ここで
エレメントに空気が引きこまれ、ついで吸い出されるよ
うに処理された後、高周波乾燥機に対して横向きに移送
されるものであるが、該エレメントはこの移送に先立っ
て所定の長さに切断されるものである。

このように繊維エレメントを製造する装置は、孔あきベ
ルト手段を具備する細長の孔あき成形器、前記ベルト手
段が引通し、かつ該ベルト手段を中空状に保持する孔あ
き成形チャンバー、前記成形チャンバーを通して上述の
ベルト手段を駆動する装置、少なくとも前記成形チャン
バーの一部をとり囲み、かつ密閉された脱水ケーシング
によって構成されている流体抽出ゾーンを有する抽出装
置、前記成形チャンバーの内部において成形器内に繊維
懸濁液を噴出させるための噴出ノズル、ならびにとり巻
かれている内側コアーよりも、より高い密度の外側コア
ーを有する細長繊維エレメントが製造できるように、前
述のベルト手段の壁体の界面付近から空気が入り込むの
を実質的に排除するように設計された注入ノズル等から
本発明の製造装置は構成されている。

セルローズ繊維またはセルローズ繊維と合成繊維の混合
物から成る繊維の水中懸濁液はチューブ状に形成された
多孔性の支持板に向って噴射されるもので、前記チュー
ブ状多孔支持板の外側は負圧に保たれている。

このようにして懸濁液中の懸濁媒体は前記の管壁を通り
抜けて除去されるので繊維は管の内壁に付着し、繊維棒
を形成するものである。

本発明に係る繊維エレメントは、上に述べたように前記
特許出願の明細書に記載の方法ならびに装置によって任
意に製造することができるものである。

繊維クラストのケーシング効果は長手方向に配列する表
層繊維の割合が比較的高いことによって発生している。

そして必要とされる繊維の方向づけは噴出比をコントロ
ールすることによって実現させることができる。

すなわち前記噴出比とは前述した特願昭５２−９３２９
８号で説明する装置を使用した場合には、繊維懸濁液と
細孔支持板の間の速度比である。

最低の噴射比は使用する繊維のタイプに左右されるが、
煙草フィルターの製造に用いるαセルローズ高含有繊維
を原料としだ場合は最低の噴射比は１０：１程度である
。

更に本発明は張力を加えて引きちぎった時には、その分
離点で実質上円錐面を呈する細長の繊維構造体を得んと
したものであって、この繊維構造体は何れかといえば実
質的にみて均一な一体構造となっているが、その外周部
においては繊維クラストを有する円錐構造体である。

なお本発明は繊維エレメントにより製造されたフィルタ
ーを組み込んで成る煙草をも包含するものである。

進んで本発明を図示の実施例にもとすいて具体的に説明
すると、次のとおりである。

まず、第１図について説明すると、同図は、繊維コア一
部３と該コア一部よりも高い密度を具えた表層４として
の繊維クラスト部を具えた繊維構造体を符号２０部分で
長手方向に切断した場合を示すものである。

このものを一沙ｕとして紙巻き煙草フィルターとして用
いる場合には、矢印５の方向のフィルター沿いに煙草の
煙が通り抜けると仮定すると、煙の濾過は一義的にコア
一部３を構成する繊維で行われ、その際表層４もまたフ
ィルターにおける構造体を強化するように作用する。

これを通常の包み込み式フィルターと比較すると、上記
の構成から成るフィルターはコア一〇半径線方向に対す
るガス体の浸透が大きい。

第２図は張力を加えてフィルタ一本体を互いに分離させ
ると、このものは実質的にみて円錐面を呈するフィルタ
ー構造体として分解させうろことを示した図である。

ここで注意を要するのは、フィルターの外表面は符号６
で示すように、僅かに凸面を呈し、かつ中心部にはふさ
７が形成される点である。

凸面６とふさ７は第３図に示す円錐エレメント８におい
ても、これを認めることができる。

円錐エレメント８はまた隣接する凸面６とふさ７とが張
力を受けてエレメントごと分離するまではその繊維体が
互いに重なり合うための凹部９を有するものでもある。

フィルターの材料は肉眼でも、また研究室での視覚調査
技術でも識別出来ず、分離処理によってのみ確かめるこ
とのできる紙のそれに類似の積層構造体のように見える
。

エレメント８の外周部分は符号１０で示すように密度が
高く、この部分は他のエレメントのこれに見合う部分と
一体化して表層クラスト４を構成する。

第４図に掲げるフィルターの横断面は表層クラスト４が
コア一層３をとり囲んでいる様子を示す。

第５〜７図について述べると、このうち第５図ノ断面は
バツキーコーポレーション（ＴｈｅＢ ｕｃｋｅｙｅ
Ｃｏｒｐ ． ）がＰＶ ５の銘柄で発売している針葉
樹のサルフエートパルプを１００％用いて製造したフィ
ルター棒の切断面であり、一方第６〜１図に示す断面は
、ＰＶ５５５％、エスパルトパルプ４５％の混合パルプ
で製造したフィルター棒を示す。

β線ラジオグラフの黒点の程度はこれらのフィルター断
面を通るβ線透過量に反比例することが埋解される。

従ってβ線ラジオグラフによる黒さの度合はフィルター
材料の密度に直接比例し、さらにどの場合にも比較的高
密度のクラストが存在していることを明瞭に認めること
ができる。

第８〜１０図のグラフは第５〜７図によって視認するこ
とのできる結論が正しいことを証明するものである。

これらのグラフはβ線透過量がどの断面においても中央
部で十分に太き《、繊維材料は外周部よりも中央部にお
いてその密度が低いことを示している。

フィルターは種々の繊維材料から構成させることができ
るが、好ましくは濾過性能と強度を高めるために、ある
割合で硬く、しかもバルキーな繊維を比較的微細な繊維
と混合してつくるのがよい。

濾過性能を変えるためには種々の添加剤を加えることも
できる。

硬《てバルキーな繊維としては、例えばサザンハインの
ような象材を相当多《含んだαセルロースの化学漂白パ
ルプを使うことが望ましい。

この種のパルプとして商業的に使えるものは、商品名Ｐ
Ｖ５およびＨＰＺ として前記バツキー社から発売され
ているもの、もし《は商品名［Ｍｅｒｓｏｎｎｉｅｒ
ａｎｄ Ｕｌｔｒａｎｉｅｒ Ｊとしてレイオニール社
（ Ｒａｙｏｎｉｅｒ Ｃｏｒｐ． ）から発売されて
いるものがある。

微細な繊維についていうと、高い比表面積を有する繊維
を４０％〜５０％程度含ませることが望ましい。

この種繊維の実例としては、エスバルト、ユーカリ類お
よびコットンがある。

製品の機能上の諸性質について最適なバランスを得るた
めには、繊維中の或る部分はこれをとり除いた方が効果
があるらしいことも判明した。

添加剤について述べると、１０％までのカオリンまたは
炭酸カルシウムの添加は濾過効率を高めるものである。

珪藻土のような他の鉱物質フィルターもまた気相諸成分
の濾過改善に利用できる。

同様にして活性炭も添加することができる。

然しなから、添加物を加える際には製品に生じる毛羽立
ちを防ぐために、バインダーとしてスターチまたは湿潤
強度の高い樹脂を含有させるのがよい。

スターチとしてはアニオンまたはカチオンの何れでもよ
《、また樹脂としてはポリアミンないしポリエチレンイ
ミンを挙げることができる。

スターチはフィルター棒として成形後に、その表面に適
用することもできる。

その他の適当な繊維材料、例えば商品名ＳＷＰとしてク
ラウンゼラバツク社から、また商品名Ｐ ｕ − １ｐ
ｅｘとしてＳｏｌｖａｙ ａｎｄ Ｃｉｅ社から発売さ
れているポリオレフイン繊維のような合成繊維を或る割
合で添加することも可能である。

上述の繊維エレメントは主として喫煙用のフィルターを
その用途としているが、その他の用途、例えば油のフィ
ルターとしても使える。

またこのフィルターは吸着エレメントとしても使用可能
である。

念のため付記すると、本発明のフィルターは必らずしも
円形断面に形成させる必要なく、場合によっては四角、
六角、その他の使用に適した断面形状とすることができ
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る繊維構造体の一部を縦断して示し
た側面図、第２図は第１図におけると同様な構造体を、
張力を加えて軸方向に引き離した時の、当該構造体の雄
部の斜視図、第３図は第１図の■一川線間に伸びる互い
に重なり合う円錐状繊維エレメントの断面図、第４図は
第１図の［Ｖ 一■線における断面図、第５〜Ｔ図は本
発明に係るフィルター棒を厚さ約１．３關に截断し、こ
れをβ線ラジオグラフにかけて透過させた場合のグラフ
であって、その露出時間は約７時間である。 第８〜１０図はそれぞれ第５〜７図の各断面に対応した
グラフで、１關ステップごとに操作されるβ線走査機に
よって相隣れる二つの直径沿いに測定された相対的な物
質密度を示すグラフである。 ３：繊維コア一部、４：表層（繊維クラスト）、６：凸
部、７：ふさ、８：円錐エレメント、９：凹み、１０：
高密度部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 雑多な方向に配列せしめられた繊維コアーを有し、
   かつ該コアーは、このコアーと一体化された比較的高密
   度の表層を形成している繊維クラストによって固《まと
   められ、かつこのクラストで包被されている繊維エレメ
   ント。 ２ 前記表層を形成している繊維クラストは、長手方向
   に配列され、かつ繊維の密度が前記繊維コアーよりも高
   《、さらに前記繊維コアーを包囲して前記繊維コアーと
   ともに細長の繊維構造体を構成している特許請求の範囲
   第１項記載の繊維エレメント。 ３ 長手方向に張力を加えて引きちぎった際に、その破
   断面が実質上、円錐面を呈する特許請求の範囲第２項記
   載の繊維エレメント。 ４ 前記構造体が実質上円錐の集合体であり、かつ円錐
   の底局部では明らかに繊維クシストとなっている円錐製
   造を呈する特許請求の範囲第３項記載の繊維エレメント
   。 ５ カオリン類、炭酸カルシウム、活性炭および珪藻土
   の添加物が含まれる特許請求の範囲第１項乃至第４項の
   いずれか１項記載の繊維エンメント。 ６ 製造中に生じる毛羽立ちを防ぐために、スターチ類
   および湿潤強度の高い樹脂をバインダーとして用いた特
   許請求の範囲第５項記載の繊維エレメント。 ７ 湿潤強度の高い樹脂としてポリアミン類またはポリ
   エチレンアミン類を用いる特許請求の範囲第６項記載の
   繊維エレメント。 ８ 成形後にエレメントの表面をスターチで処理する特
   許請求の範囲第１項乃至第７項のいずれか１項記載の繊
   維エレメント。 ９ 合成繊維、その他の繊維材料をある割合で含有させ
   て成る特許請求の範囲第１項乃至第８項のいずれか１項
   記載の繊維エレメント。 １０ 合成繊維としてポリオレフイン繊維を用いる特
   許請求の範囲第９項記載の繊維エレメント。 １１ 喫煙用品としてのフィルターの形に成形される
   特許請求の範囲第１項乃至第１０項のいずれが１項記載
   の繊維エレメント。 １２ 雑多な方向に配列せしめられた繊維コアーを有
   し、かつ該コアーは、このコアーと一体化された比較的
   高密度の表層を形成している繊維クラストによって固く
   まとめられ、かつこのクラストで包被されており、濾過
   性能と強度を高めるため、より微細な繊維と、固《しか
   もパルキーな繊維とをある割合で混合し、これによって
   繊維構造体を構成させるようにして成る繊維エレメント
   。 １３ 硬めで崇ばる繊維（バルキー繊維）として高度
   に抽出されたαセルロースを用い、かつこノモのを夏材
   の化学漂泊パルプから得るようにした特許請求の範囲第
   １２項記載の繊維エレメント。 １４ 微細繊維が高い比表面積を有する特許請求の範囲
   第１３項記載の繊維エレメント。 １５ 微細繊維をエスパルト、ユーカリ類およびコッ
   トンから得るようにした特許請求の範囲第１４項記載の
   繊維エレメント。 １６ ４０％〜５０％の微細繊維を含む特許請求の範囲
   第１２項乃至第１５項のいずれか１項記載の繊維エレメ
   ント。