JPS597293B2 - 新規な食品素材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は小麦粉を水に分散せしめ、これに微生物を接種
して醗酵せしめることによって得られる起泡性に富んだ
新規な食品素材及びその用途に関する。

従来起泡性素材としては卵白とか植物蛋白質の素分解物
が広く利用されているが、卵白は高価であり、該酵素分
解物は微量の油脂の共存下で起泡性を失うという欠点が
ある。

本発萌者らは起泡性を有する素材について広く検討の結
果、小麦粉の水分散液に微生物を接種して醗酵させるの
みで、安価な優れた起泡性を有する食品素材が得られる
ことを見出した。

本発明の食品素材は培養物の状態において、約１００重
量係の砂糖と約１係の油を加えて攪拌起泡させたときに
比重が５〜１５分で約半減する性質を有する。

バン製造の際に用いられる原料中の小麦粉の重量の３〜
１０％が本発明の食品素材の製造に用いた小麦粉の重量
に相当する本発明の食品素材を、バン製造用食品素材に
含有させることによってバンの内相を改善し、比容積の
高い食品を得ることができる。

さらに本発明の食品素材のみあるいはこれを他の食品素
材に加えてビスケット、ケーキ等の菓子、トツピング等
を製造することによって内相の改善が期待され、あるい
は起泡剤として有用である。

本発明の食品素材は、小麦粉１部を水１〜２０部に分散
せしめた小麦粉分散液を培地として微生物を培養して得
られる培養物に、これと等重量（１００％）の砂糖及び
１係の油を加えた後、苛性ソーダ等でｐＨを約５．５と
し、これを５〜１５分起泡させた際に、混合物の比重が
元の約半分以下となるような起泡性を有する培養物を生
成しうるものであり、かつバチルス属、アエロバクター
属またはラクトバチルス属に属する微生物を、小麦粉を
水に分散せしめた小麦粉分散液に接種し、３０〜４０℃
で培養することによって得られる培養物、あるいは培養
物から菌体を除去した液またはそれらの乾燥物からなる
起泡性食品素材である。

用いられる微生物は上記性質を有するものであればいず
れも用いうるが、好ましい具体例としてバチルス●セレ
ウスＩＦＯ−３００１、７エロバクター●アエロゲネス
ＡＴＣＣ１３０４８、ＩＡＭ−１０７２およびラクトバ
チルス●サーモフイラスＩＡＭ１３９０があげられる。

これらの微生物は強力小麦粉のみの水分散液にこれらの
微生物を約１ ０８個接種して培養し、培養後およそ等
重量の砂糖と油約１係を加えて混合し、アルカリまたは
酸でｐＨを約５．５とし、ついで起泡装置で約５〜１５
分起泡させた際に比重が元の混合物の１／２以下となる
ような培養物を生成しうる性質を有し、このような方法
によって適当な微生物を探索できる。

本発明に用いられる小麦粉は薄力粉も用いうるが、準強
力粉好ましくは強力粉を用いることによって高い起泡性
を有するものが期待される。

小麦粉の濃度は８〜１２優において処理するのが好まし
い。

接種は通常の微生物を用いるのと同様に行なえばよく、
濃度は１０７〜１０８個／ｒｒＬｌとすればよい。

培養は数時間〜３日間で完了し、培養によってｐＨは下
がるが中和操作は起泡性発現を阻害するので好ましくな
い。

培養は通気することなく、ゆるやかに攪拌することによ
って行なわれる。

とくに食塩の添加は起泡性発現に好ましくない。

かくして得られた培養物は、そのまま、または菌体を除
去した上澄液、さらにはこれらの凍結乾燥により粉末と
したものを食品素材として用いることができる。

得られる培養物のうち、培養物のｐＨを約５．５に調整
し、これに約１係の油と約等重量の砂糖を加えて攪拌起
泡させることにより、５〜１５分で比重が半減するよう
なものは本発明］の食品素材として有用である。

本発明の食品素材の性質に関し、起泡性に対する油およ
びｐＨの影響について以下に試験例を示す 試験例 １ 強力小麦粉１００ｖを水９００ｄに分散させ、２Ｎ−苛
性ソーダ溶液でｐＨを７．０とした後、アエロバクター
・アエロケネスＡＴＣＣ１３０４８を約１０８個／ｄと
なるよう接種し、３７℃で攪拌しながら２６時間培養し
た。

培養液を冷却後、苛性ソーダでｐＨを５．５に調整した
。

その培養液（Ｌｏｏｍ）砂糖１００１を加えて万能混合
攪拌機（品川製作所製５ＤＭＲ’）で攪拌翼としてスク
リュービーダーを用い２４０ｒｐｍで泡立てた。

一定時間毎に泡の比重を測定した結果を第１図に示す。

対照として強力小麦粉の水分散液を上記と同様の条件で
泡立てた。

さらに上記試験において砂糖の他に大豆油を１―加えて
試験し、対照も大豆油１１ｎｌを加える他は上記試験の
対照と同様に行ない、第２図に示すような結果を得た。

試験例 ２ 試験例１において培養時間を１６時間とする他は試験例
１と同様にしてｐＨ４．７の培養液を得た。

この培養液１００ｒＩＬｌに砂糖１００１、大豆油１ｒ
ｒＬｌを加えたものを４個用意し、ｐＨを４．５，６．
７とした。

これらを各１０分泡立てて比重を測った。

この結果を第３図に示す。対照として、小麦粉の水分散
液に砂糖、大豆油を加えて同様に試験した。

この試験から明ら−ｉ′）１なように、培養物の起泡性
はｐ Ｈ ５． ５付近において最も優れていることが
理解される。

本発明の食品素材を用いてバンをつくるときには、バン
の生地をつくる際に用いる小麦粉の３〜１０係重量が培
養物を作る際に用いた小麦粉の量に相当する培養物ある
いは培養上澄液もしくは・それらの乾燥物を加える他は
、通常のバンの製造方法に準じて行なえばよい。

すなわち生地をつくるに際しては、小麦粉、イースト、
食塩、砂糖、ショートニング等に本発明の食品素材およ
び水を加えて生地をつくればよい。

以下公知のバンの製法に従ってバンをつくると、内相の
優れたバンを得ることができる。

本発明の食品素材はｐ Ｈ ５． ５付近において最も
泡立ちがよい。

従ってこれを加える食品としてはｐ Ｈ ５． ５付近
のものにおいて著しい効果が期待されるが、ｐＨ３〜７
の食品においても本発明の効果が期待される。

実施例 １ 強力小麦粉２０ｆＩを水１８０ｗＬｌに分散させ、苛性
ソーダでｐＨを７とし、これにアエロバクター●アエロ
ゲネスＡＴＣＣ１３０４８を約１０８個／一となるよう
に接種し、３７℃で２４時間培養して起泡活性を有する
ｐＨ４、５の培養液を得た。

この培養液の半分に砂糖ｉ ｏ ｏ ｆ？，大豆油１グ
を加えてｐ Ｈ ５． ５に調整し、発泡させた後、比
重を調べたところ０．４７９であった． 残りの半分を苛性ソーダでｐ Ｈ ５． ５とした後、
強力小麦粉１９０１、食塩４グ、砂糖１０グ、ショート
ニング８グ、乾燥バン酵母３グと共に水３８−に加えバ
ン生地を作り、ストレート法により分割成型後の重量を
１００１として３個の食パンを試作した。

対照区として培養液の半分の替わりに、小麦粉１０グと
水９Ｍの分散液を加えた他は、上記と同様にして３個の
バンをつくった。

得られたバンの内相および比容積は次の通りである。

実施例 ２−３ 微生物としてバチルス・セレウスＩＦＯ３００１および
ラクトバチルス●サーモフイラスＩＡＭ１３９０をそれ
ぞれ用いる他は実施例１と同様に培養し、得られた培養
物各１００Ｐをｐ Ｈ ５． ５に調整した後、砂糖１
００ｆ、大豆油１グを加えて１０分起泡させた結果、泡
の比重は０．５５および０．５３であった。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本発明の食品素材の起泡活性と時間との関
係を示すグラフ、第３図は本発明の食品素材の起泡活性
とｐＨとの関係を示すグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 小麦粉分散液を培地として微生物を培養して得られ
   る培養物にこれと等重量の砂糖及び１チの油を加えてｐ
   Ｈを５．５とし５〜１５分起泡させた際に比重が元の約
   半分以下となる起泡性を有する培養物を生成し得る、か
   つバチルス属、アエロバクター属、ラクトバチルス属に
   属する微生物を小麦粉を水に分散せしめた小麦粉分散液
   に接種培養して得られる培養物、その菌体除去濾液、ま
   たはこれらの乾燥物力・らなる起泡性食品素材。