JPS5941289Y2 - 内燃機関の燃焼室 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、均一な混合気を燃焼室に吸入させるようにし
た内燃機関の燃焼室の改善に関する。

内燃機関の排気中に含有される有害成分、例えばＨＣ，
ＣＯ，ＮＯＸ等を低減させる手段として、機関に希薄混
合気を供給したり或いは排気の一部を吸気中に還流させ
ることが有効であることはよく知られているが、この場
合燃焼が悪化する傾向を有する。

一方、圧縮された混合気に点火された火炎が伝播する過
程においては、混合気が攪拌され、乱れが生じている場
合には火炎伝播の速度が速くなることは知られている。

従って、従来では、第１図及び第２図に示すように、シ
リンダヘッド１ 、シリンダブロック２及びピストン３
にて形成された燃焼室４の偏心した位置に吸気ボート５
及び排気ボート６を設け、ピストン３の下降にともなう
吸入行程に際して吸入された混合気にスワールを与え、
あるいは、図示しない第３弁から空気又は混合気を高速
で燃焼室４内に流入させることによって燃焼室４内の混
合気にスワールを与え、燃焼を安定化させていた。

ところが、このようにして生ｅ、されたスワールは圧縮
行程の終期にはその勢いが器筐り、初期の効果が半減す
ると同時に、これを解消すべぐ頭初のスワールを強化し
た場合には着火時に釦ける点火栓７の近傍の乱れが強す
ぎるたべ失火の原因となり、殊に排気を清浄化させるた
めに希薄混合気を供給し、又は排気を還流させると、そ
の着火性が鈍化するのでより失火し易くなる←特開昭５
４−４２５０９号公報参照）。

本考案は、上記に鑑みてなさ力たものであって、ピスト
ンの圧縮上死点時に形成さ力る燃焼空間を改善すること
により、希薄混合気を供給した場合及び排気を大量に還
流させた場合にも着火ミスをともなうことなく燃焼特性
の改善に必要な急速燃焼が得られるようにした内燃機関
の燃焼室を提供するものである。

以下、図示された実施例に基づいて本考案を詳細に説明
する。

第３図〜第５図に釦いて、シリンダヘッド１゜シリンダ
ブロック２及びピストン３によつで燃焼室４が形成され
、前記シリンダヘッド１には燃焼室４の中心から偏心し
た位置に吸気ポート５及び排気ポート６が開口していて
、従来同様に点火栓１が燃焼室４内に臨んでいる。

前記ピストン３の頂面には、ピストン３が圧縮上死点に
達した時にピストン３頂面とシリンダヘッド１下面に形
成される燃焼空間（燃焼室４）を前記点火栓７を含む領
域４ａと点火栓Ｔを含まない領域４ｂとに分割する隔壁
８をシリンダヘッド１に向けて立設しである。

尚、この隔壁８にて隔成された点火栓Ｔを含む領域４ａ
の容積は他の部分より小さく形ｅ、されており、吸入行
程に際して生成された混合気のスワールが圧縮行程の終
期に達するまでに適度に抑えられるようにしである。

又、前記隔壁８には前記吸入行程に際して生成すれる混
合気のスワールの向きと順方向に開口する１乃至複数個
の噴出口９が穿設されており、この噴出口９を介して前
記円領域４ａ、４ｂを連通させている。

かかる構成において、ピストン３が下降スるにともなっ
て吸気ポート５から燃焼室４内に吸入された混合気は、
その慣性によって燃焼室４内を旋回し、スワールが形成
される。

ピストン３の上昇にともなって混合気が圧縮されると、
前記スワールが次第に弱くなるが、特に、その圧縮上死
点付近にかいては、隔壁８がシリンダヘッド１に近接す
ることによって他の部分から分割された点火栓１を含む
領域４ａ内でのスワールが程良く消滅される。

従って、点火時期にあっては、点火栓７の近傍には適度
な乱れのない圧縮混合気が存在するのみであるから、希
薄混合気を供給した場合及び排気を大量に還流させて混
合気の着火性が低下している場合にも確実に着火される
。

このようにして領域４ａ内で着火された混合気はこの領
域４ａ内で燃焼を開始して膨張し、隔壁８に穿設された
噴出口９から火炎となって他方の領域４ｂ内に噴出し、
この領域４ｂ内の混合気のスワールを強化させつつこの
領域４ｂの混合気に点火する。

このために、点火栓Ｔを含オない領域４ｂ内の混合気は
いわゆる急速燃焼を開始してピストン３を下降させ、以
後は円領域４ａ、４ｂは膨張した燃焼室４の一部となり
全一体となってスワールを利用した安定した燃焼が行わ
れる。

即ち、点火時には燃焼空間を２分割し点火栓１を含む燃
焼領域のスワールを弱くして着火性を高め、着火後は方
向性をもった火炎を点火栓Ｉを含まない領域４ｂに噴出
させてスワールを増強させ、点火させ、その後は領域４
ａにおいてもスワールが影響して燃焼性が向上するため
、全体として急速な燃焼が行われる一方、吸気行程で領
域４ａが他の燃焼室に大きく開放されるので掃気効率が
向上し、これらにより、希薄混合気を供給した場合及び
排気を大量に還流させた場合にも失火のない安定した燃
焼を行わせることができるため、機関の排気性肯ａ燃費
及び運転性を悉く向上できるのである。

第６図及び第７図は、１個の燃焼室４に２個の点火栓７
を装着したいわゆる２点点火の場合の実施例を示すもの
であって、この実施例では隔壁８によってそれぞれの点
火栓１を含む領域４ａを形成し、これらの円領域４ａか
ら残りの領域４ｂに向ってそれぞれ火炎ｆｌ出させるよ
うにしたものであるから、点火栓７を台筐ない領域４ｂ
のスワールがより強化され、燃焼がさらに安定化する。

第８図及び第９図はピストン３の頂面に形成された隔壁
８を一直線状に形成すると共に、シリンダヘッド１の内
面を平坦にすることにより、点火栓７を含む領域４ａを
細長くしてその内部のスワールの弱まりを高めると共に
、点火栓Ｔを含！ない領域４ｂの凹凸を少なくしてこの
領域４ｂのスワールを充分に残すようにしたものであり
、これによって、燃焼開始時における点火栓Ｔを含まな
い領域４ｂのスワールの強化度をより高くし、燃焼速度
をより速くしたものである。

第１０図及び第１１図に示す実施例は、隔壁８の先端（
上端）とシリンダヘッド１の内面との隙間を小さくさせ
るべくシリンダヘッド１の内面にガイド用の突起１０を
設け、点火栓１を含む領域４ａと点火栓Ｔを含まない領
域４ｂとを圧縮上死点時に噴出口９のみを介して連通さ
せることにより噴出ガス（火炎）によるスワールの強化
度をさらに強めたものである。

尚、上記実施例ではいずれも隔壁８をピストン３の頂面
に突設したものであるが、この場合にはピストン３を耐
熱性に富むセラミック材で構成することにより、高温に
晒される隔壁８の耐熱性をより高くできるのであるが、
ピストン３の重量を軽減するためには第１２図に示すよ
うに、隔壁８をシリンダヘッド１の内面に突設してもよ
く、更に、円領域４ａ、４ｂの分割度を高めるために、
図示はしないがシリンダヘッドの内面に突設された隔壁
を重合する突起をピストンの頂面に突設してもよい。

また噴出口９はいずれも１個の場合を示しているが、複
数個設けてもよい。

以上説明したように、本考案によれば、ピストンの圧縮
上死点時に形成される燃焼空間を隔壁によって点火栓を
含む領域と点火栓を含！ない領域とに分割し、吸気スワ
ールと順方向に向かう噴出口を前記隔壁に穿設して円領
域を連通させたものであるから、圧縮上死点近傍、即ち
、点火時期には点火栓の近傍のみの吸気スワールを適度
に抑えることができるので失火のない安定確実な点火が
なされ、点火後には方向性をもった火炎が点火栓を貴重
ない領域に噴出してこの領域のスワールを強化し、着火
させるので急速な燃焼が行われる。

従って、希薄混合気を供給した場合及び排気を大量に還
流させた場合にも燃焼を安定化させることができるため
、機関の排気性能、燃費性能及び運転性能のいずれをも
向上できる。

寸た点火栓を含む領域がピストン膨張行程で他の燃焼室
部分に大きく開放されるから、スワールの影響を受けて
点火後の燃焼性が良好となり、一方吸気行程においても
新気のスワールにより掃気されて、圧縮上死点時の点火
性能を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一例を示す断面図、第２図は第１図の平
面図、第３図は本考案の第１実施例を示す断面図、第４
図は第３図の平面図、第５図は第３図に示したピストン
の斜視図、第６図は本考案の第２実施例を示す平面図、
第７図は第６図の■−■断面図、第８図は本考案の第３
実施例を示す平面図、第９図は第８図の■−ＩＸ断面図
、第１０図は本考案の第４実施例を示す平面図、第１１
図は第１０図のｘｉ−ＸＩ断面図、第１２図は本考案の
第５実施例を示す断崩図である。 １・・・・・・シリンダヘッド、２・・・・・・シリン
ダブロック、３・・・・・・ピストン、４・・・・・・
燃焼室、４ａ・・・・・・点火栓を含む領域、４ｂ・・
・・・・点火栓を含會ない領域、Ｉ・・・・・・点火栓
、８・・・・・・隔壁、９・・・・・・噴出口。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１） 均一な混合気を燃焼室に吸入させるようにし
   た内燃機関にふ・いて、ピストン及びシリンダヘッドの
   一方に他方に向けて隔壁を立設して、ピストンの圧縮上
   死点時にピストン頂面とシリンダヘッド下面との間に形
   成される燃焼空間を、前記隔壁がピストン及びシリンダ
   ヘッドの他方に近接することにより、点火栓を含む小領
   域と点火栓を含捷ずかつ吸気ボートを含む大領域とに分
   割するように構成し、吸入行程で生皮されるスワールの
   向きと順方向に開口する１乃至複数個の噴出口を前記隔
   壁に穿設すると共に、該噴出口を介して前記円領域を連
   通させたことを峙徴とする内燃機関の燃焼室。
2. （２）隔壁を気筒の点火栓の数と同数個設けてなる実用
   新案登録請求の範囲第１項に記載の内燃機関の燃焼室。