JPS5936325Y2 - 被加工物のチヤツク装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は各種自動旋盤、工作機械に適用して有効な被加
工物のチャック装置に関する。

従来自動旋盤装置等において、被加工物（以後ワークと
称する）をチャッキング治具によって強固にチャックす
るに際し、主軸台ドローバ装置に連なるチャック爪を用
いて機械的にチャックする方法が一般的に行われている
。

即ち主軸の先端部でチャックしたワークを高速回転させ
つつ刃物台上の刃部に接して切削作業を行うものであり
、その際ワークの固着及び取外し作業を行う為にはチャ
ック爪の圧接力を調節する機構を必要とするが、上記機
構としては一般的に機械的な爪の開閉機構、又はシリン
ダ装置を併用したチャック爪の左右方向への移動、その
他によって実施されている。

上記のチャック機構は構造的に複雑且つコスト高になり
易く、操作上煩瑣になる難点がある上、常に均一なチャ
ック力を得る事が困難であるという欠点を有している。

本考案は上記のような従来のワークに対するチャック装
置を改良し、ワークの真円度等精度向上に資する上、製
作も容易なチャック装置の実現を目的とするもので゛あ
る。

本考案の他の目的はチャックによるワークの把持及び解
放動作が容易であり、チャック力も常に均一な上操作性
の良好な装置を得ることにある。

本考案の構成は、エア供給路を有する回転軸を軸孔に嵌
設した主軸台のスピンドルにフランジを回転自在に装設
し、該フランジには後部にピストンを嵌装させると共に
先端部に開きやといを固設し、前記ピストンは基端部を
細径としてその外周面にエア通路を形成して該基端部を
前記軸孔に挿入させると共に先端部に付設したビスはフ
ランジ先方に突出させてその先端部に栓体を付設し、該
栓体は基端部に引圧されたときに外周面で前記開きやと
いを円周方向に広開させるよう構成すると共に栓体基端
部にはフランジとの間に戻し付勢スプリングを介装し、
前記ピストンとフランジ間には皿バネを介装して前記栓
体を基端部に引圧付勢させ、前記ビス先端部には栓体位
置の調節金を付設して成ることを特徴とするものであり
、上記構成により成る本考案によれば、次のようなすぐ
れた作用効果がある。

（１）フランジ先端部に開きやといを付設し、該開きや
といの内孔部に前後摺動する栓を調節自在に装設したの
で、管状のワークのほか、突起部の小さなワークも簡単
にかつ確実にチャックすることができ、 （２）ビス先端部に調節金を付設したので、ビスに対す
る栓の取付位置を前方から調節して、栓による開きやと
いの円周方向への広開度を簡単に調節できるようにした
ため、ワークの径の違うものに対してもチャック力を調
節して確実なチャックをすることができる効果がある。

（３）フランジと栓の基端部との間にスプリングを介装
したので、ワーク解放時に栓がワーク方向へ戻りやすく
ワーク解放が早くできる効果がある。

（４）ピストンはフランジ基端部に内装され、フランジ
とピストン間に皿バネを介在させたから皿バネの均等に
かかる弾力によってビスとビスに付設した栓を常に均等
に引圧して、栓による開きやといを円周方向に均等に広
開させてワークを確実にチャックさせることができる効
果がある。

（５）ピストンの基端部を細径として、その外周面にエ
ア通路を形成して主軸台の軸孔に挿入し、該軸孔にはエ
ア供給路を形成した回転軸を装設したので、エア供給路
から軸孔にエアを供給すれば、即、ピストンが皿バネに
抗して栓方向に移動し、栓基端部のスプリングの弾力で
栓かワーク方向に移動してワークは開きやといから解放
されるため、これらの作動が極めて早く確実であり、エ
アのロスもなく効果がある。

（６）シかも主軸台とフランジとの境界にまたがる形で
ピストンを装設したので全体としてコンパクトに構成す
ることができる効果がある。

以下図面を参照して本考案に係る実施例の詳細な説明を
行う。

第１図はワーク１をチャックしている状態を示す断面図
であり、主軸台２内から導出されたエア供給路３を内蔵
する回転軸４に対してブツシュ５、Ｏリング６を介して
エア通路を形成しつつスピンドル７の軸孔内を摺動する
ピストン８を設けである。

９及び９′はピストン８を内嵌するフランジであり、ボ
ルト１０によって一体に連結固定して成る。

尚、フランジ９，９′は図示のように別体として組立て
に便ならしめているが、機能上は一体であっても良い。

ピストン８はその基端部を細径としてその外周面に設け
た切欠８′によってエア通路を設けるとともに２本のノ
ックピン１１．１１’によって内孔部のナツト１２と連
結してあり、該ナツト１２と螺合してワーク１方向へ貫
通するビス１３を設ける。

１３′は調節ビスを示す。

ピストン８の拡開側はＯリング１４を介してフランジ９
′に密接しているとともに該フランジ９，９′間の空隙
Ｘ内を摺動移動可能に余裕を持たせて内嵌した状態とな
っている。

更に前記ナツト１２とフランジ９の一端に設けた座金１
５間、換言すればピストン８とフランジ９間に皿バネ１
６を介挿固定する。

一方フランジ９の前方には前記貫通したビス１３に螺合
する調節金１７と、フランジ９に一端をボルト１８によ
り固定した開きやとい１９と、該開きやとい１９及び調
節金１７間に嵌挿した栓２０と、該栓２０をワーク方向
に付勢するスプリング２１を装備させる。

栓２０はそのワーク方向先端部外面において円周方向に
拡開する傾斜２０′が付されており、これに対応して開
きやとい１９の内面にも同様な傾斜１９′が付されてい
る。

上記構成によって開きやとい１９は栓２０の左右動に応
じて、上下方向への拡開動作を行うように駆動させるこ
とができる。

調節ビス１３′は、ビス１３と同様に調節金１７内に螺
合している。

上記構成においてワーク１をチャックする場合、ワーク
１の突起部１′の内面に開きやとい１９の先端を嵌入し
た状態とし、エア供給路３に送入するエアを停止する。

エア圧力が停止することによって皿バネ１６の伸長方向
の付勢力がナツト１２を通じてピストン８に伝達し、ピ
ストン８が第１図示の位置となる。

これによってナツト１２に螺合するビス１３が左方に移
動し、該ビス１３に螺合する調節金１７、及び該調節金
１７に係合する栓２０も同様に左方に移動する。

栓２０のワーク方向先端部外面に設けた傾斜２０′及び
これと対応するように開きやとい１９の内面に設けた傾
斜１９′との相互作用によって、栓２０の左方向への移
動が開きやとい１９の拡開方向への動きＡに変換され、
ワーク１をその内方より強固にチャックする。

一方ワーク１のチャックを開放する場合はエア供給路よ
り圧縮空気を送入することによって行う。

即ち第２図に示す如く送入されたエアがピストン８の一
端に設けた切欠８′を通過してピストン８を右方向へ移
動させ、ナツト１２及びビス１３が皿バネ１６の力に抗
して右方向に移動する。

当然調節金１７も右方向に連動移動するが、二の際スプ
ノング２１の付勢力が栓２０に作用し、該栓２０を右方
向、即ちワーク方向に移動させることになる。

上記動作によって栓２０の先端部外面に設けた傾斜２０
′及び開きやとい１９の内面に設けた傾斜１９′とが、
前述のチャック時と逆の動作、即ち開きやとい１９の先
端をフリーの状態又は縮小する状態にしてワーク１のチ
ャックを開放させることができる。

上記動作においてワーク１に対するチャック力の強弱は
皿バネ１６の付勢力によってほは゛決まることになる。

該バネ１６の付勢力を調節する為に調節ビス１３′を抜
いてビス１３と調節金１７の螺合位置を変化させると皿
バネ１６が圧縮又は弛緩方向に変化して開きやとい１９
のチャック力を調節する事ができる。

上記調節後調節ビス１３′を再び螺入してビス１３の位
置をロックする。

第３図は本考案の他の実施例を示すものであり、ワーク
１に対してその外径方向よりチャックする場合を示して
いる。

即ち開きやとい１９の一端をワーク１の外径より押し当
て、該開きやとい１９の内側に溝部２２を設け、且つこ
れに対応するように栓２０に突起部２０′を設けて前例
と逆方向即ちワーク方向先端部において円周方向に縮小
する傾斜２０′を設けておく。

調節金１７に係合する上記開きやとい１９と、栓２０の
相互作用によって、栓２０の左方向への移動が開きやと
い１９の縮小方向への動きに変換されワーク１をその外
径方向より強固にチャックで゛きる。

本考案は上記の構成及び動作態様を有する被加工物のチ
ャック装置に関し、使用に際して以下の特徴及び効果を
発揮する。

即ちワークに対するチャック力は皿バネ１６の付勢力に
よって決まるものであるから、常に均一な力が得られ従
来のようにチャック条件の変動によるチャック力のばら
つきが発生しない。

しかも皿バネ１６の付勢力の変更は、皿バネ自体を交換
せずともビス１３の位置調整によって容易に実施できる
ものであるから、操作が簡易となる。

チャックの解放時には、前記皿バネ１６の付勢力を解消
するためのエア圧力をピストン８を介して加えるのみで
良い為、図示しないエアコックのみの操作によってチャ
ック解放が実施し得ることになる。

エアは解放時のみ加えるものであってチャック時且つワ
ークに対する切削作業時には全く必要としない。

ワーク１に対するチャック力が常に一定になる事によっ
て精密工作機中、例えば真円度を要求される部材、又は
一定深度を保持する穴明は作業、中ぐりその他各種加工
を実行する際の精度向上を図れるという利点を持ち、広
い応用分野を有する点において実用的価値の大きなチャ
ック装置を実現する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであり、第１図はワー
クをチャックしている状態を示す縦断面図、第２図はチ
ャックを解放した状態を示す縦断面図である。 第３図は本考案の他の実施例を示す一部縦断面図である
。 １・・・・・・ワーク、２・・・・・・主軸台、３・・
・・・・エア供給路、４・・・・・・回転軸、７・・・
・・・スピンドル、８・・・・・・ピストン、９，９′
・・・・・・フランジ、１１・・・・・・ノックピン、
１２・・・・・・ナツト、１３・・・・・・ビス、１３
′・・・・・・調節ビス、１５・・・・・・座金、１６
・・・・・・皿バネ、１７・・・・・・調節金、１８・
・・・・・ボルト、１９・・・・・・開きやとい、２０
・・・・・・栓、２１・・・・・・スプリング。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）エア供給路を有する回転軸を軸孔に嵌設した主軸
   台のスピンドルにフランジを回転自在に装設し、該フラ
   ンジには後部にピストンを嵌装させると共に先端部に開
   きやといを固設し、前記ピストンは基端部を細径として
   その外周面にエア通路を形成して該基端部を前記軸孔に
   挿入させると共に、先端部に付設したビスはフランジ先
   方に突出させてその先端部に栓体を付設し、該栓体は基
   端部に引圧されたときに外周面で前記開きやといを円周
   方向に広開させるよう構成すると共に栓体基端部にはフ
   ランジとの間に戻し付勢スプリングを介装し、前記ピス
   トンとフランジ間には皿バネを介装して前記栓体を常に
   基端部に引圧付勢させ、前記ビス先端部には栓体位置の
   調節金を付設して成ることを特徴とする被加工物のチャ
   ック装置。
2. （２）前記装置において、ビス先端部に付設した調節金
   は管状としてビスに外嵌させ、ビス先端部に直列に配設
   した調節ビスによってビスに対する付設位置が調節され
   るよう構成されていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の被加工物のチャック装置。