JPS5935715B2 - 金属溶接方法 - Google Patents
金属溶接方法Info
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- JPS5935715B2 JPS5935715B2 JP9879475A JP9879475A JPS5935715B2 JP S5935715 B2 JPS5935715 B2 JP S5935715B2 JP 9879475 A JP9879475 A JP 9879475A JP 9879475 A JP9879475 A JP 9879475A JP S5935715 B2 JPS5935715 B2 JP S5935715B2
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- welded
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は溶接熱による影響を少なくして品質の向上を図
ることができるオーステナイト系ステンレス鋼からなる
管状の部材の溶接方法に関する。
ることができるオーステナイト系ステンレス鋼からなる
管状の部材の溶接方法に関する。
一般にオーステナイト系ステンレス鋼を溶接した場合、
溶接入熱により溶接部近傍の熱影響部に炭化物が析出し
耐食性および靭性の低下をきたし、上記合金類特有の重
大欠陥である応力腐食割れや粒界割れを起す原因となり
、原子炉等の配管溶接でこの割れが大きな問題となつて
いる。そして、従来これらの不具合を解消し、溶接部の
品質を保証するため合金鋼の多層盛溶接においては、ウ
エルドデケー(WeldDecay)部を少なくする配
慮から層間温度は約150℃に制限されている。
溶接入熱により溶接部近傍の熱影響部に炭化物が析出し
耐食性および靭性の低下をきたし、上記合金類特有の重
大欠陥である応力腐食割れや粒界割れを起す原因となり
、原子炉等の配管溶接でこの割れが大きな問題となつて
いる。そして、従来これらの不具合を解消し、溶接部の
品質を保証するため合金鋼の多層盛溶接においては、ウ
エルドデケー(WeldDecay)部を少なくする配
慮から層間温度は約150℃に制限されている。
そして従来の金属溶接方法では次の溶接ビードを置くま
でその溶接部を圧縮空気で空冷するか、又は大気にて放
冷し所定の層間温度まで冷却している。しかし、原子炉
部品の如く高温高圧の冷却材(軽水)が接触する部品で
は、このようにしても溶接部近傍の熱影響によつて炭化
物析出がさけられず、応力腐食割れが生じる可能性があ
る。本発明は上記実情にかんがみてなされたもので、そ
の目的とするところは金属溶接部の裏側を液体冷却媒体
で冷却しながら溶接することにより、溶接部の品質を優
れたものとする管状部材の溶接方法を提供するものであ
る。
でその溶接部を圧縮空気で空冷するか、又は大気にて放
冷し所定の層間温度まで冷却している。しかし、原子炉
部品の如く高温高圧の冷却材(軽水)が接触する部品で
は、このようにしても溶接部近傍の熱影響によつて炭化
物析出がさけられず、応力腐食割れが生じる可能性があ
る。本発明は上記実情にかんがみてなされたもので、そ
の目的とするところは金属溶接部の裏側を液体冷却媒体
で冷却しながら溶接することにより、溶接部の品質を優
れたものとする管状部材の溶接方法を提供するものであ
る。
以下図面を参照して本発明方法を適用した構成の概要を
説明する。
説明する。
第1図は突合せ継手溶接を行なう場合である。第1図に
おいて1は突合せ継手溶接すべきオーステナイトステン
レス鋼からなる管状部材で、これら2つの管状部材1の
片側端部ノ の開口部をメクラ蓋2で閉塞すると共に、
一方の管状部材1のメクラ蓋2に液体3を供給し、又は
必要なときに排水管体4を取着している。5は液体3の
供給並びに排水を行なう給排管体である。
おいて1は突合せ継手溶接すべきオーステナイトステン
レス鋼からなる管状部材で、これら2つの管状部材1の
片側端部ノ の開口部をメクラ蓋2で閉塞すると共に、
一方の管状部材1のメクラ蓋2に液体3を供給し、又は
必要なときに排水管体4を取着している。5は液体3の
供給並びに排水を行なう給排管体である。
すなわち、これらの給排管体4、5は液体充填時5にお
いては例えば共に給水用とし、液体3が十分充填された
のちは何れか一方を給水用、他方を排水用に使用する等
任意にそのときの状態に応じて選択使用する。而して、
管状部材の突合せ継手溶性を行なう場合、2つの管状部
材1を突合せ、ルートパス溶接6を行なつた後、給排管
体4,5から冷却用の液体3を供給し、液体3を十分充
填し溶接部の内側全周に液体3が接触したところで溶接
部7を溶接する。
いては例えば共に給水用とし、液体3が十分充填された
のちは何れか一方を給水用、他方を排水用に使用する等
任意にそのときの状態に応じて選択使用する。而して、
管状部材の突合せ継手溶性を行なう場合、2つの管状部
材1を突合せ、ルートパス溶接6を行なつた後、給排管
体4,5から冷却用の液体3を供給し、液体3を十分充
填し溶接部の内側全周に液体3が接触したところで溶接
部7を溶接する。
このとき必要により給排管体5より液体3を供給し、給
排管体4から液体3を排水して液体3を管状部材1内で
流通させる。又はこれらの給排管体4を給水用、給排管
体5を排水用として使用することも可能である。第2図
は径の異なる2個の管状部材をそわせてスミ肉継手溶接
を行なう場合である。
排管体4から液体3を排水して液体3を管状部材1内で
流通させる。又はこれらの給排管体4を給水用、給排管
体5を排水用として使用することも可能である。第2図
は径の異なる2個の管状部材をそわせてスミ肉継手溶接
を行なう場合である。
第2図において1は内側に位置する小径の管状部材で、
その管状部材両端部の開口部をメクラ蓋2で閉塞し、か
つその一方のメクラ蓋2に液体3を供給し又は排水する
給排管体4を取着する。さらに管状部材1の外側に該管
状部材1の外径より大きな内径を有する管状部材10を
そわせる。
その管状部材両端部の開口部をメクラ蓋2で閉塞し、か
つその一方のメクラ蓋2に液体3を供給し又は排水する
給排管体4を取着する。さらに管状部材1の外側に該管
状部材1の外径より大きな内径を有する管状部材10を
そわせる。
そして、スミ肉継手溶接を行なう場合、管状部材1と管
状部材10のルートパス溶接を行なった後、給排管体4
に液体3を供給し管状部材1の内部に液体3を充填する
。なお、管状部材1を立てて溶接を行なう場合には液体
3が溶接部11より高い位置まで充填し、液体3が溶接
部11の内側に確実に接触されるようにする。しかる後
、管状部材1と管状部材10の溶接部11の溶接を行な
う。次に本発明方法を適用して実際に溶接した例を示す
。
状部材10のルートパス溶接を行なった後、給排管体4
に液体3を供給し管状部材1の内部に液体3を充填する
。なお、管状部材1を立てて溶接を行なう場合には液体
3が溶接部11より高い位置まで充填し、液体3が溶接
部11の内側に確実に接触されるようにする。しかる後
、管状部材1と管状部材10の溶接部11の溶接を行な
う。次に本発明方法を適用して実際に溶接した例を示す
。
すなわち、板厚16mmのオーステナイトステンレス鋼
パイプをU形開先にして突合せ、タングステンイナート
ガス溶接法にて多層溶接を行なつた。なお、母材の化学
組成は第1表、溶接施工は第2表で示す条件で行なつた
。以上のようにパイプをU形開先にて突合せてルートパ
ス溶接を行なつた後、2パス以降においてパイプ内部に
水を入れて溶接した結果、第3図に示すように溶接部近
傍の熱影響部の幅が小さく、有害な炭化物の析出も非常
に軽微であり、品質の高い接溶接が得られた。
パイプをU形開先にして突合せ、タングステンイナート
ガス溶接法にて多層溶接を行なつた。なお、母材の化学
組成は第1表、溶接施工は第2表で示す条件で行なつた
。以上のようにパイプをU形開先にて突合せてルートパ
ス溶接を行なつた後、2パス以降においてパイプ内部に
水を入れて溶接した結果、第3図に示すように溶接部近
傍の熱影響部の幅が小さく、有害な炭化物の析出も非常
に軽微であり、品質の高い接溶接が得られた。
一方、本発明方法と比較するため、2パス以降の溶接時
に何ら急冷をせず、上述する同一条件下でタングステン
溶接を行なつたところ、溶接部近傍の熱影響部の幅は第
4図に示すように非常に大きく、有害な炭化物の析出も
多かつた。
に何ら急冷をせず、上述する同一条件下でタングステン
溶接を行なつたところ、溶接部近傍の熱影響部の幅は第
4図に示すように非常に大きく、有害な炭化物の析出も
多かつた。
また、本発明の方法により溶接したものは、応力腐食割
れが生じ難く、溶接部の信頼性がきわめて高いことが確
認された。
れが生じ難く、溶接部の信頼性がきわめて高いことが確
認された。
以下この理由を説明する。
一般にオーステナイトステンレス鋼は前述した如くある
条件下において応力腐食割れを生じる欠点がある。そし
て、この応力腐食割れは溶接部近傍において特に発生し
やすい。ところで、応力腐食割れの要因については各種
の解析がなされており、その要因としては(1)材質の
変化によつて応力腐食割れが生じやすくなるといわゆる
材質の鋭敏化。(11)残留応力、外部からの荷重によ
る応力等の応力の存在。
条件下において応力腐食割れを生じる欠点がある。そし
て、この応力腐食割れは溶接部近傍において特に発生し
やすい。ところで、応力腐食割れの要因については各種
の解析がなされており、その要因としては(1)材質の
変化によつて応力腐食割れが生じやすくなるといわゆる
材質の鋭敏化。(11)残留応力、外部からの荷重によ
る応力等の応力の存在。
なお応力腐食割れの原因となる応力は引張応力である。
(110応力腐食割れを生じやすい環境。
(110応力腐食割れを生じやすい環境。
がある。
そしてこれらの要因が重なつた場合に応力腐食割れが生
じる。そして、原子炉部品は高温高圧の冷却材すなわち
溶接酸素を含んだ水に曝されるため、上記(Ijl)の
現境は応力腐食割れを生じやすい環境にある。また、溶
材部においては溶接入 I熱により上記(l)の材質の
鋭敏化が生じやすい。この材質の鋭敏化はオーステナイ
ト系ステンレス鋼の結晶粒内のクロムがクロム炭化物の
形で結晶粒界に析出し、結晶粒内における粒界近傍部分
のクロム量が低下し、このクロム量が約13%以下と
.なると耐食性が大幅に低下し、材質の鋭敏化が生じる
ものである。そして、オーステナイト系ステンレス鋼の
場合、このクロムの析出は約400テC〜800℃の温
度範囲で生じる。そして、従来の方法によつて複数パス
で溶接した場合の溶接部中心すなわち管内面における突
合せ溶接の突合せ部から溶接線と直角方向にそれぞれ異
なる距離にある内側表面の各点の温度上昇の分布を各パ
ス毎に測定した結果を第5図に示す。第5図から第8図
において「溶接部中心」の語は突合せ溶接の突合せ部の
管内側表面を示しこれらの図において横軸はいずれも管
内表面における溶接部中心からの距離、すなわち突合せ
溶接における突合せ部内側中心から管内表面の管軸方向
に向う距離を示している。この第5図から明らかなよう
に溶接部中心から約30mmの範囲までは溶接の際に約
400℃以上に加熱される。なお、溶接時に約800℃
以上となつた部分もその後の冷却により400℃〜80
0℃の温度となる。よつて従来の方法では溶接部の両側
30mmの範囲はクロムの析出が生じ、材質が鋭敏化す
る可能性がある。また、従来の方法によると第5図から
明らかなようにパスを重ねる毎に溶接部近傍の温度上昇
が大きくなり、パスの数の多いものでは材質が鋭敏化す
る範囲が拡大する可能性がある。これに対し、本発明の
方法によつて溶接をおこなつた場合の溶接部近傍の温度
上昇の分布を第6図に示す。
じる。そして、原子炉部品は高温高圧の冷却材すなわち
溶接酸素を含んだ水に曝されるため、上記(Ijl)の
現境は応力腐食割れを生じやすい環境にある。また、溶
材部においては溶接入 I熱により上記(l)の材質の
鋭敏化が生じやすい。この材質の鋭敏化はオーステナイ
ト系ステンレス鋼の結晶粒内のクロムがクロム炭化物の
形で結晶粒界に析出し、結晶粒内における粒界近傍部分
のクロム量が低下し、このクロム量が約13%以下と
.なると耐食性が大幅に低下し、材質の鋭敏化が生じる
ものである。そして、オーステナイト系ステンレス鋼の
場合、このクロムの析出は約400テC〜800℃の温
度範囲で生じる。そして、従来の方法によつて複数パス
で溶接した場合の溶接部中心すなわち管内面における突
合せ溶接の突合せ部から溶接線と直角方向にそれぞれ異
なる距離にある内側表面の各点の温度上昇の分布を各パ
ス毎に測定した結果を第5図に示す。第5図から第8図
において「溶接部中心」の語は突合せ溶接の突合せ部の
管内側表面を示しこれらの図において横軸はいずれも管
内表面における溶接部中心からの距離、すなわち突合せ
溶接における突合せ部内側中心から管内表面の管軸方向
に向う距離を示している。この第5図から明らかなよう
に溶接部中心から約30mmの範囲までは溶接の際に約
400℃以上に加熱される。なお、溶接時に約800℃
以上となつた部分もその後の冷却により400℃〜80
0℃の温度となる。よつて従来の方法では溶接部の両側
30mmの範囲はクロムの析出が生じ、材質が鋭敏化す
る可能性がある。また、従来の方法によると第5図から
明らかなようにパスを重ねる毎に溶接部近傍の温度上昇
が大きくなり、パスの数の多いものでは材質が鋭敏化す
る範囲が拡大する可能性がある。これに対し、本発明の
方法によつて溶接をおこなつた場合の溶接部近傍の温度
上昇の分布を第6図に示す。
この第6図からも明らかなように本発明の方法によれば
温度が約400℃以上に上昇する範囲は溶接部の中心か
ら約10mm程度である。また本発明の方法によれば冷
却速度が大きいため、パスを重ねても溶接部近傍の温度
上昇は大きくならず逆に小さくなる。よつて、パスの数
が多くなつても材質が鋭敏化する範囲が拡大する可能性
はない。また、溶接の際に溶融した溶接金属は溶融状態
から数秒間で凝固するので、溶接部に残留応力が生じる
。
温度が約400℃以上に上昇する範囲は溶接部の中心か
ら約10mm程度である。また本発明の方法によれば冷
却速度が大きいため、パスを重ねても溶接部近傍の温度
上昇は大きくならず逆に小さくなる。よつて、パスの数
が多くなつても材質が鋭敏化する範囲が拡大する可能性
はない。また、溶接の際に溶融した溶接金属は溶融状態
から数秒間で凝固するので、溶接部に残留応力が生じる
。
そして、従来の方法で溶接した場合について、溶接部近
傍の内側表面の溶接部中心からそれぞれ異なる各点の残
留応力を測定した結果を第7図に示す。そして、この第
T図から明らかなように従来の方法によれば溶接部近傍
の内側表面には溶接部中心から約30mmの範囲にわた
つて引張残留応力が発生している。このような引張残留
応力が発生する原因は次のように考えられる。すなわち
溶接した溶接金属が冷却、凝固する場合、外側に放熱さ
れる熱は溶接金属から直接空気中に放熱される。これに
対して内側に放熱される熱はまず母材あるいは先に溶接
した溶接金属中を伝導によつて伝わり、内側表面から空
気中に放熱される。ところが、オーステナイト系ステン
レス鋼は熱伝導率が低いため、接融した溶接金属から外
側に放熱される熱量に比較して内側に放熱される熱量は
小さい。このため、溶融した溶接金属は外側部分の方が
早く冷却し、外側部分が先に凝固したのち内側部分があ
とから凝固する。そして、溶融した金属が凝固する際に
は収縮が生じるので、溶接金属の内側部分が凝固して収
縮すると共に凝固している外側部分には圧縮応力が発生
し、内側部分には引張応力が発生する。よつて溶接部近
傍の内側表面には引張残留応力が発生する。これに対し
、本発明の方法によると、溶接部近傍の内側表面に発生
する残留応力の分布は第8図に示す如<なり、溶接部中
心から約70mmの範囲にわたつて圧縮残留応力が発生
している。
傍の内側表面の溶接部中心からそれぞれ異なる各点の残
留応力を測定した結果を第7図に示す。そして、この第
T図から明らかなように従来の方法によれば溶接部近傍
の内側表面には溶接部中心から約30mmの範囲にわた
つて引張残留応力が発生している。このような引張残留
応力が発生する原因は次のように考えられる。すなわち
溶接した溶接金属が冷却、凝固する場合、外側に放熱さ
れる熱は溶接金属から直接空気中に放熱される。これに
対して内側に放熱される熱はまず母材あるいは先に溶接
した溶接金属中を伝導によつて伝わり、内側表面から空
気中に放熱される。ところが、オーステナイト系ステン
レス鋼は熱伝導率が低いため、接融した溶接金属から外
側に放熱される熱量に比較して内側に放熱される熱量は
小さい。このため、溶融した溶接金属は外側部分の方が
早く冷却し、外側部分が先に凝固したのち内側部分があ
とから凝固する。そして、溶融した金属が凝固する際に
は収縮が生じるので、溶接金属の内側部分が凝固して収
縮すると共に凝固している外側部分には圧縮応力が発生
し、内側部分には引張応力が発生する。よつて溶接部近
傍の内側表面には引張残留応力が発生する。これに対し
、本発明の方法によると、溶接部近傍の内側表面に発生
する残留応力の分布は第8図に示す如<なり、溶接部中
心から約70mmの範囲にわたつて圧縮残留応力が発生
している。
すなわち、本発明の方法は溶接部の内側に冷却能力の大
きな液体冷却媒体を接触させているため、接融した溶接
金属から内側に放熱される熱量がきわめて5 大きくな
り、従来方法とは逆に溶融した溶接金属は内側部分が先
に凝固するので、従来方法とは逆に内側部分に圧縮残留
応力が発生するものである。したがつて、従来方法によ
ると、溶接部中心から約30mmの範囲で材質の鋭敏化
が生じ、かつ引0 張残留応力が発生するので内面に高
温高圧の冷却材が接触すると応力腐食割れを生じる要因
がすべて重畳することになり、応力腐食割れの発生する
確率が高くなる。これに対して本発明の方法によると溶
接部中心から約10nの範囲では材質の鋭敏化が生じる
が、約70]111の範囲にわたつては内側表面に圧縮
残留応力が発生する。
きな液体冷却媒体を接触させているため、接融した溶接
金属から内側に放熱される熱量がきわめて5 大きくな
り、従来方法とは逆に溶融した溶接金属は内側部分が先
に凝固するので、従来方法とは逆に内側部分に圧縮残留
応力が発生するものである。したがつて、従来方法によ
ると、溶接部中心から約30mmの範囲で材質の鋭敏化
が生じ、かつ引0 張残留応力が発生するので内面に高
温高圧の冷却材が接触すると応力腐食割れを生じる要因
がすべて重畳することになり、応力腐食割れの発生する
確率が高くなる。これに対して本発明の方法によると溶
接部中心から約10nの範囲では材質の鋭敏化が生じる
が、約70]111の範囲にわたつては内側表面に圧縮
残留応力が発生する。
この圧縮残留応力は応力腐食割れの要因とはならず、か
つ外部からの荷重によつて引張応力が発生してもこの引
張応力を相殺するので、むしろ応力腐食割れを防止する
作用をなす。よつて本発明によれば応力腐食割れを確実
に防止することができる。ここで注目すべきは本発明の
方法によると材質の鋭敏化が生じる範囲は約10nであ
るのに対し、圧縮残留応力が発生する範囲.は約70u
であり、材質の鋭敏化が生じる範囲に対して圧縮残留応
力が発生する範囲はきわめて大きく、充分な余裕がある
ので応力腐食割れを確実に防止できることである。すな
わち、溶接作業は作業条件の悪い現場作業でおこなわれ
ることが多く、また溶接する部材の形状、寸法は多種多
様であるため、これらの条件によつて材質が鋭敏化する
範囲および圧縮残留応力が生じる範囲に相当の変動が生
じ、上記の如き充分な余裕がなければ応力腐食割れ防止
の効果を確実に保証することはできない。また、上述の
如き効果を得るには少なくとも溶融した溶接金属が凝固
し、かつある程度まで冷却するまでの間溶接部の内側に
液体冷却媒体を確実かつ充分に溶接させる必要がある。
つ外部からの荷重によつて引張応力が発生してもこの引
張応力を相殺するので、むしろ応力腐食割れを防止する
作用をなす。よつて本発明によれば応力腐食割れを確実
に防止することができる。ここで注目すべきは本発明の
方法によると材質の鋭敏化が生じる範囲は約10nであ
るのに対し、圧縮残留応力が発生する範囲.は約70u
であり、材質の鋭敏化が生じる範囲に対して圧縮残留応
力が発生する範囲はきわめて大きく、充分な余裕がある
ので応力腐食割れを確実に防止できることである。すな
わち、溶接作業は作業条件の悪い現場作業でおこなわれ
ることが多く、また溶接する部材の形状、寸法は多種多
様であるため、これらの条件によつて材質が鋭敏化する
範囲および圧縮残留応力が生じる範囲に相当の変動が生
じ、上記の如き充分な余裕がなければ応力腐食割れ防止
の効果を確実に保証することはできない。また、上述の
如き効果を得るには少なくとも溶融した溶接金属が凝固
し、かつある程度まで冷却するまでの間溶接部の内側に
液体冷却媒体を確実かつ充分に溶接させる必要がある。
そして、本発明の方法は溶接すべき管状の部材内に液体
冷却媒体を充満させておくので、溶接部の内側にその全
周にわたつて常時液体冷却媒体が確実に接触しており、
作業条件の悪い現場溶接作業の場合でも溶接部の品質を
確実に保証することができる。また、本発明の方法は複
数パスで溶接をおこなうものであるから、各パス毎に溶
接部内面に圧縮残留応力が発生してこの圧縮残留応力が
蓄積されてゆくので広い範囲にわたつて大きな圧縮残留
応力を発生させることができ、応力腐食割れの防止を確
実なものとすることができる。なお、本発明は上記の実
施例には限定されない。
冷却媒体を充満させておくので、溶接部の内側にその全
周にわたつて常時液体冷却媒体が確実に接触しており、
作業条件の悪い現場溶接作業の場合でも溶接部の品質を
確実に保証することができる。また、本発明の方法は複
数パスで溶接をおこなうものであるから、各パス毎に溶
接部内面に圧縮残留応力が発生してこの圧縮残留応力が
蓄積されてゆくので広い範囲にわたつて大きな圧縮残留
応力を発生させることができ、応力腐食割れの防止を確
実なものとすることができる。なお、本発明は上記の実
施例には限定されない。
たとえぱ液体冷却媒体は水に限らず、油その他の媒体で
もよい。以上詳記したように本発明方法は溶接すべき管
状の部材内に液体冷却媒体を充満させ、溶接部内側を液
体冷却媒体で急冷をしながら溶接部を溶接したので.溶
接部近傍の熱影響部の幅が非常に小さくなり品質の高い
溶接部を得ることができる。
もよい。以上詳記したように本発明方法は溶接すべき管
状の部材内に液体冷却媒体を充満させ、溶接部内側を液
体冷却媒体で急冷をしながら溶接部を溶接したので.溶
接部近傍の熱影響部の幅が非常に小さくなり品質の高い
溶接部を得ることができる。
また溶接による熱影響が少ないことから炭化物の析出も
軽微であり、しかも溶接部内側に引張残留応力が生ぜず
、逆に圧縮残留応力が生じるので応力腐食割れや粒界腐
食割れの発生が非常に小さくなると同時に、層間温度が
100℃以上に上昇しないという点から連続溶接が可能
であり、溶接作業の大幅な短縮にも寄与しコスト低減化
を図ることができる。
軽微であり、しかも溶接部内側に引張残留応力が生ぜず
、逆に圧縮残留応力が生じるので応力腐食割れや粒界腐
食割れの発生が非常に小さくなると同時に、層間温度が
100℃以上に上昇しないという点から連続溶接が可能
であり、溶接作業の大幅な短縮にも寄与しコスト低減化
を図ることができる。
第1図ないし第4図は本発明方法を説明する図で、第1
図は突合せ継手溶接を説明する一部切欠き断面図、第2
図は本発明方法を適用した他の構成例を示す図で、スミ
肉継手溶接を説明する一部切欠き断面図、第3図Aは本
発明方法を用いて突合せ継手溶接を行なつた場合の写真
撮影図、同図Bは溶接結果を観測して現わした図、第4
図は従来の突合せ継手溶接による写真撮影図、同図Bは
溶接結果を観測して現わした図である。 また第5図は従来の方法による溶接をおこなつた場合の
溶接部近傍の温度分布を示す図、第6図は本発明の方法
による溶接をおこなつた場合の溶接部近傍の温度分布を
示す図、第7図は従来の方法による溶接をおこなつた場
合の溶接部内側面の残留応力の分布を示す図、第8図は
本発明の方法による溶接をおこなつた場合の溶接部内側
面の残留応力の分布を示す図である。1 ・・・・・・
管状部材、2・・・・・・メクラ蓋、3・・・・・・液
体(液体冷却媒体)、4,5・・・・・・給排管体、6
・・・・・・ルートパス溶接、T・・・・・・溶接部、
10・・・・・・管状部材、11・・・・・・溶接部。
図は突合せ継手溶接を説明する一部切欠き断面図、第2
図は本発明方法を適用した他の構成例を示す図で、スミ
肉継手溶接を説明する一部切欠き断面図、第3図Aは本
発明方法を用いて突合せ継手溶接を行なつた場合の写真
撮影図、同図Bは溶接結果を観測して現わした図、第4
図は従来の突合せ継手溶接による写真撮影図、同図Bは
溶接結果を観測して現わした図である。 また第5図は従来の方法による溶接をおこなつた場合の
溶接部近傍の温度分布を示す図、第6図は本発明の方法
による溶接をおこなつた場合の溶接部近傍の温度分布を
示す図、第7図は従来の方法による溶接をおこなつた場
合の溶接部内側面の残留応力の分布を示す図、第8図は
本発明の方法による溶接をおこなつた場合の溶接部内側
面の残留応力の分布を示す図である。1 ・・・・・・
管状部材、2・・・・・・メクラ蓋、3・・・・・・液
体(液体冷却媒体)、4,5・・・・・・給排管体、6
・・・・・・ルートパス溶接、T・・・・・・溶接部、
10・・・・・・管状部材、11・・・・・・溶接部。
Claims (1)
- 1 オーステナイト系ステンレス鋼で形成された管状部
材の溶接方法において、気体中で被溶接管状部材の全周
にわたつてルートパス溶接した後、この管状部材の内側
に液体冷却媒体を充満させて溶接部の内側にこの溶接部
全周にわたつて上記液体冷却媒体を接触させる工程と、
溶接部の内側に上記液体冷却媒体を流通させた状態にお
いて上記溶接すべき管状の部材を外側から複数パスで溶
接する工程とを具備したことを特徴とする管状部材の溶
接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9879475A JPS5935715B2 (ja) | 1975-08-14 | 1975-08-14 | 金属溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9879475A JPS5935715B2 (ja) | 1975-08-14 | 1975-08-14 | 金属溶接方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3209382A Division JPS58154487A (ja) | 1982-03-01 | 1982-03-01 | 管状部材の溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5222539A JPS5222539A (en) | 1977-02-19 |
JPS5935715B2 true JPS5935715B2 (ja) | 1984-08-30 |
Family
ID=14229259
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9879475A Expired JPS5935715B2 (ja) | 1975-08-14 | 1975-08-14 | 金属溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5935715B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5831270B2 (ja) * | 1975-12-26 | 1983-07-05 | 株式会社日立製作所 | オ−ステナイトケイステンレスコウノ ヨウセツホウホウ |
JPS52110244A (en) * | 1976-03-12 | 1977-09-16 | Hitachi Ltd | Method and apparatus for welding |
US4223197A (en) * | 1978-04-18 | 1980-09-16 | Hitachi, Ltd. | Method of cooling weld in steel piping and apparatus therefor |
US4218604A (en) * | 1978-04-19 | 1980-08-19 | Hitachi, Ltd. | Method for welding of austenitic stainless steel piping |
JPS5545555A (en) * | 1978-09-25 | 1980-03-31 | Hitachi Zosen Corp | Welding method of austenitic stainless steel |
JPS5976691A (ja) * | 1982-10-26 | 1984-05-01 | Kawasaki Heavy Ind Ltd | ユニツト管溶接方法及び装置 |
DE3700377A1 (de) * | 1986-12-16 | 1988-07-07 | Gutehoffnungshuette Man | Verfahren und vorrichtung zur herstellung von duennwandigen hohlkoerpern aus konzentrischen metallischen schichten |
KR102577534B1 (ko) * | 2018-12-21 | 2023-09-13 | 교세라 가부시키가이샤 | 반도체 밀봉용 성형 재료, 반도체 밀봉용 성형 재료의 제조 방법 및 그것을 사용한 반도체 장치 |
-
1975
- 1975-08-14 JP JP9879475A patent/JPS5935715B2/ja not_active Expired
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5222539A (en) | 1977-02-19 |
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