JPS5935054Y2 - 田植機におけるポツト苗植付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、単位ポット苗が多数個のり付は結合されて矩
形状に形成されている集団ポット苗から分離した単位ポ
ット苗を、略直立状に植付けるようにした田植機におけ
るポット苗植付装置に係るものである。

〔従来技術〕

この種の集団ポット苗は、１４ｍｍ角の紙筒よりなる単
位ポットが横方向に２０（固、縦方向に４２個が互いに
のり付けにより矩形状に結合されたいわゆるペーパーポ
ットを、通常のマット苗と同様の育苗箱内に装填し、各
単位ポットの紙筒内に充填した床上内に点播して育苗さ
せたものである。

ところで、このポット苗は、マット苗のものに比して各
単位に区切る紙筒等の育苗資材が必要となるために全体
としては高価になる欠点があるも、枡目に区切って育苗
されることによって、揃った健苗ができ、また、植付ま
では紙筒が根を保護しているから、マット苗のように苗
床崩れによるバラクや植え傷みがなく活着・初期生育が
極めて良好であるので、北海道等の寒冷地の安全稲作に
有利であるという特徴がある。

したがって、この集団ポット苗を、一般に利用されてい
る通常のマット苗を分割して植付ける田植機を利用して
植付けることが要望されている。

しかしながら、この集団ポット苗を一般のマット苗を分
割して植付ける田植機の苗載置台に載置して単位ポット
苗に分割する際には、通常のマット苗を分割するように
一株分の苗幅に合わせた分割爪を用いて掻取ると紙筒の
接合部を切断してしまい、折角の紙筒による根の保護が
無効となるので、苗床外側の紙筒を傷めないようにする
ため、対向間隔を狭めて紙筒内の苗床にのみ突き刺さる
突き刺し爪を用いて上方から突き刺し、この突き刺し爪
の下降により紙筒相互ののり付けを離して単位ポット苗
を分割すると共に、突き刺した状態で単位ポット苗を、
土壌中の苗植付位置まで移送するようにしなければなら
ない。

ところが、植付時点における紙筒相互ののり付けは、水
分を含み極めて弱くなっているため、分割時に突き刺し
爪が充分苗床に突き刺さらないうちに分離してしまい、
植付位置までの移送時に苗姿勢が乱れたり脱落したりし
て適正な植付けができないという欠点があるので、充分
苗床に突き刺さるまでのり付けをはがさないようにする
必要があり、また、苗載置台には植付杆が臨む苗取出口
が開口されているため、この苗取出口に臨む単位ポット
苗の苗床に上方から突入する突き刺し爪により集団苗と
ののり付けが離れ、こののり付けが離れた単位ポット苗
が苗取出口側に倒れて姿勢が乱れてしまい、乱れた苗姿
勢のまま植付けることによって、直立状の良好な植付け
ができないという問題点があった。

また、ポット苗の泥中への植込みにあたっては、ポット
苗の分割は前記の如く突き刺し爪を用いざるを得ないの
で、突き刺された苗は、その苗床がむき出しのまま突出
した状態で泥中に斜め上方から押し込まれることとなり
、さらにポット苗は、周囲が紙筒で囲繞されていること
により土中抵抗が特に大となるため、泥との接触時に苗
姿勢が乱れて傾斜状に植込まれるという欠点があった。

そして、この傾斜植込みは、通常のマット苗においては
、板張りにより２日〜３日すれば根部より直立状に復元
するが、ポット苗においては、ポット苗自体が苗床の周
囲が紙筒で囲繞されている関係よりして、植付後に新た
な苗根毛が紙筒を貫通して側方に延び始めるのに約１５
日程度を必要とするのに対し、紙筒周囲の泥土がそれ以
前に固ってしまうため、傾斜状に植付けられたポット苗
の根部は、真直ぐに復元することなく、その傾斜姿勢の
ままで茎を成長させ、茎稈が曲って成長するので、好ま
しくないというポット苗特有の問題点があるので、ポッ
ト苗の植付時には傾斜植付がないように植付けることが
特に重要課題である。

〔考案の目的〕 本考案は上述した従来の実情に鑑み、これらポット苗特
有の欠点を解消して要望に応するべく創案されたもので
あって、通常のマット苗を植付けるようにした田植機を
利用し、その苗分割装置の一部分を交換するだけで、集
団ポット苗から分割した単位ポット苗を略直立状に整然
と植付けることができる田植機におけるポット苗植付装
置を提供することを目的とするものである。

〔考案の構成〕

上記目的を遠戚する本考案による田植機におけるポット
苗分割装置は、上下動するロッドとロッド軸芯後方に爪
取付部とを設けた植付杆を具備する田植機において、上
記植付杆の爪取付部には単位ポット苗の苗床に上方から
突き刺さる突き刺し爪を左右一対取付け、前記ロッドの
下端には単位ポット苗の苗床前面を支持し突き刺し爪の
植付軌跡前位に位置する苗床支持ベラを設けると共に、
この苗床支持ベラの下端を苗床支持ベラに支持される単
位ポット苗の底面よりも長く突出させ、該苗床支持ベラ
により集団ポット苗から分離した単位ポット苗を植付け
るようにしたことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す一実施例について説明する。

１は中間部イが円軌跡口を画くように軸支され、前端枢
支部ハが往復円軌跡二を画くように設けられると共に、
後端ホには上下動するロッド３を備え、このロッド３の
軸芯後方に爪取付部へを備えた通常のマット苗用の植付
杆である。

この植付杆１の後方には、第３図に示すように田植機体
の進行方向と直交する横方向に往復移動する苗載置台６
を、植付杆１が臨む苗取出ロアが低位となり後方側が高
位となるように傾斜させて設けられており、この苗載置
台６は通常のマット苗（幅２８０ｍｍ Ｘ長さ５８０
ｍｍ）が載置される大きさにしであるから、この苗載置
台６内には単位ポット苗が横方向に２０個、縦方向に４
２個のり付けされ全体が矩形状に結合された状態で育苗
された集団ポット苗が載置される。

前記植付杆１の爪取付部へには、単位ポット苗５の苗床
に上方から突き刺さる左右一対の突き刺し爪２を着脱自
在に取付けるようになっており、この突き刺し爪２は集
団ポット苗５側である後縁２ｂをロッド３の軸芯方向に
平行する直線状に形成すると共に、ロッド３側である前
縁２ｂを下端の尖鋭部から上方に向うにしたがって次第
に前方に張り出すθ角度の傾斜面に形成しである。

前記ロッド３の下端には、ロッド３に設けたネジ部を介
して苗床支持ベラ４をナツトで着脱自在に設ける。

この苗床支持ベラ４は、突き刺し爪２の移動軌跡の前位
に設けられ、苗分割時に苗載置台６の苗取出ロアに臨む
単位ポット苗５の苗床前面を支持し得ることができるよ
うポット苗５の苗床前面に沿う部位は直線状に形成され
、この苗床支持ベラ４の下端は苗床支持ベラ４に支持さ
れる単位ポット苗５の底面よりも下方に長く突出され移
動方向の前位に向って僅かに傾斜させである。

この苗床支持ベラ４には、苗分割時に単位ポット苗５の
苗床上面５ａに接当するように突き刺し爪２の前縁２ａ
に向って突出する左右の支持片４ａ。

４ａが設けられており、この苗床支持ベラ４の幅Ｌ１は
、単位ポット苗幅りと同等若しくは単位ポット苗幅りよ
りも若干幅狭に形成されると共に、突き刺し爪２の対向
幅Ｌ２は単位ポット苗幅りよりもさらに狭幅に形成され
ている。

前記支持片４ａ、４ａは第２図Ｃにおいては突き刺し爪
２の対向幅内に位置せしめているが、突き刺し爪２の外
側に位置させてもよい。

植付杆１の爪取付部へには、上方に孔を設けると共に下
方には半円状の係止部が形成してあって、この爪取付部
への半円状の係止部に左右が一体形成されている突き刺
し爪２間を通るピンを嵌入させて、突き刺し爪２に設け
た孔と、爪取付部への上方の孔とにボルトを貫通させて
ナツトで突き刺し爪２を着脱自在に固定する。

苗載置台６に載置された集団ポット苗から単位ポット苗
を分割する際には、苗取出ロアに臨む単位ポット苗５の
紙筒内の苗床に、突き刺し爪２の下端尖鋭部が上方から
突き刺さるが、その際、苗取出ロアに臨む単位ポット苗
５の苗床前面には突き刺し爪２の下端尖鋭部よりも下方
に長く突出している苗床支持ベラ４が苗床前面を支持す
るように位置しており、突き刺し爪２の前縁２ａに設け
た傾斜面が苗床内に次第に深く突き刺さることによって
、単位ポット苗５が前方の苗床支持ベラ４の苗床支持面
にに向って押し付けられるようになり、突き刺し爪２が
一定の深さまで突き刺さるまででに、単位ポット苗と集
団ポット苗とを結合しているのり付けが離れ、単位ポッ
ト苗が苗取出ロア側に倒れたりして、分割前に苗姿勢が
乱れるということがないように苗床が側面より支持され
ている。

そして、突き刺し爪２が一定の深さまで充分に突き刺っ
た時には、単位ポット苗５の苗床上面５ａは、苗床支持
ベラ４側の支持片４ａ、４ａに接当し、植付杆１が下降
することに伴って突き刺し爪２と苗床支持ベラ４とが下
降することにより、苗取出ロアに臨む単位ポット苗５は
、集団ポット苗との間ののり付けが離され、のり付けが
離された単位ポット苗５は、突き刺し爪２が充分に突き
刺さっており、かつ苗床前面を支持ベラ４により支持さ
れた安定状態で苗取出ロアを通過し植付位置に向けて移
送されるので、単位ポット苗５は分割時の姿勢そのまま
が保持されて整然と分割移送されることになる。

続く植付杆１の下降に伴って、円面近くではロッド３が
次第に下降するので、突き刺し爪２の下降軌跡Ａよりも
苗床支持ベラ４下端の画く下降軌跡Ｂが下位となり、突
き刺し爪２により突き刺し支持された単位ポット苗５は
、移動軌跡Ａの前位を略同幅でかつ単位ポット苗５の底
面よりも下方に突出する苗床支持ベラ４に保護された状
態で移動し、苗床支持ベラ４によって円面に形成される
植付溝Ｃの終端に至り、最下降位置に下降するロッド３
によって単位ポット苗５は、支持片４ａ。

４ａにより苗床上面５ａの両肩部を下方に向って押し出
され、突き刺し爪２から単位ポット苗５の苗床が抜は出
ることにより植付けられる。

したがって、単位ポット苗５は、突き刺し爪２の先端に
突き刺された状態で斜め上方から泥土中に押し込まれ、
泥中移動抵抗が大であるにもかかわらず、移動方向前位
に位置すると共に略同幅で、かつ単位ポット苗５の底面
よりも下方に長く突出する苗床支持ベラ４により保護さ
れるので、苗分割時の分割姿勢がそのまま維持されて乱
れることなく略直立状に植付られることになる。

したがって、本考案にあっては、従来のマット苗を分割
する植付杆１と、苗取出ロアを有する苗載置台６とをそ
のまま利用して、植付杆１の爪取付部へには単位ポット
苗の苗床に上方から突き刺る突き刺し爪２を取付け、ま
た、ロッド３の下端には苗床支持ベラ４を設けるだけの
簡単な部品交換で、苗載置台６に載置した集団ポット苗
から単位ポット苗に分割して植付けることができる。

そして、苗載置台６の苗取出ロアに臨む単位ポット苗５
は、その苗床前面が下方に長く突出する苗床支持ベラ４
によって支持された状態で、突き刺し爪２を苗床内に所
定深さまで突入させることができ、また、苗床支持ベラ
４が苗床を側面より支持して植付位置まで移送すること
によって、突き刺し爪２による苗突き刺し時に、苗取出
ロアに臨む単位ポット苗５の苗姿勢を乱すことなく充分
に突き刺すことができるため、分割時および移送送時に
苗姿勢が乱れるというポット苗特有の欠点を防止するこ
とができる。

しかも、泥中への植込みの際には、突き刺し爪２の先端
に突き刺さっており紙筒に周囲が囲繞されていて泥中移
動抵抗が大である単位ポット苗５にもかかわらず、この
単位ポット苗５は、植付けられる単位ポット苗の移動方
向前位に位置すると共に略同幅で、かつ突き刺し支持さ
れる単位ポット苗５の底面よりも下方に突出する苗床支
持ベラ４により保護され、かつ先行して形成される植付
溝Ｃまで泥中移送されることにより、泥中移送中におけ
る苗姿勢の乱れを防止して、苗分割姿勢そのままを維持
し、ポット苗を傾斜させることなく略直立状に植付ける
ことができる。

このため、ポット苗特有の傾斜植付の問題点を完全に解
消することができる。

〔考案の効果〕

これを要するに、本考案による田植機におけるポット苗
植付装置は、上下動するロッドとロッド軸芯後方に爪取
付部とを設けた植付杆を具備する田植機において、上記
植付杆の爪取付部には単位ポット苗の苗床に上方から突
き刺さる突き刺し爪を左右一対取付け、前記ロッドの下
端には単位ポット苗の苗床前面を支持し突き刺し爪の移
動軌跡前位に位置する苗床支持ベラを設けると共に、こ
の苗床支持ベラの下端を苗床支持ベラに支持される単位
ポット苗の底面よりも長く突出させ、該苗床支持ベラに
より集団ポット苗から分離した単位ボッＩ・苗を植付け
るようにしたが故に、単位ポット苗の分割時には、苗床
前面が苗床支持ベラによって支持された状態で、突き刺
し爪を苗床内に所定深さまで突入させることができるこ
とにより、苗取出口に臨む単位ポット苗の苗姿勢を乱す
ことなく集団ポット苗から単位ポット苗を整然と分離す
ることができると共に、分割後の円面までの移送におい
ても、単位ポット苗は突き刺し爪に充分突き刺さり、か
つ苗床前面を苗床支持ベラにより保護された安定状態で
移送されるため、移送途中にお・ける苗姿勢の乱れや、
すっぽ抜は等がなく、また、ポット苗の泥中植込時には
、泥中移動抵抗が大となる単位ポット苗の特性があるに
もかかわらず、この単位ポット苗は、移動方向前位に位
置すると共に、突き刺し支持された単位ポット苗の底面
よりも下方に長く突出する苗床支持ベラにより保護して
苗床支持ベラにより先行して形成される植付溝まで泥中
移送することができるため、泥中移送中における苗姿勢
の乱れを完全に防止して、分割姿勢そのままを維持し、
ポット苗を傾斜させることなく略直立状に植付けること
ができて、ポット苗特有の傾斜植付による問題点を解消
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図Ａ
は側面図、第１図Ｂは突き刺し爪の斜視図、第１図Ｃは
苗床支持ベラの斜視図である。 第２図は第１図の植付部を拡大して示すもので、第２図
Ａは側面図、第２図Ｂは正面図、第２図Ｃは支持される
単位ポット苗の正面図である。 第３図は植付は状態を示す作用説明図である。 第４図は苗分割状態を示す作用説明図で、第４図Ａは一
部断面して示す側面図、第４図Ｂは同じく正面図、第４
図Ｃは背面図である。 第５図は田面にお・ける植付は状態を一部断面して示す
側面図、第６図は第５図のＶＩ−ＶＩ矢視による断面図
である。 １・・・・・・植付杆、２・・・・・・突き刺し爪、３
・・・・・・ロッド、４・・・・・・苗床支持ベラ、５
・・・・・・ポット苗、６・・・・・・苗載置台、７・
・・・・・苗取出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下動するロフトとロッド軸芯後方に爪取付部とを設け
   た植付杆を具備する田植機において、上記植付杆の爪取
   付部には単位ポット苗の苗床に上方から突き刺さる突き
   刺し爪を左右一対取付け、前記ロッドの下端には単位ポ
   ット苗の苗床前面を支持し突き刺し爪の移動軌跡前位に
   位置する苗床支持ベラを設けると共に、この苗床支持ベ
   ラの下端を苗床支持ベラに支持される単位ポット苗の底
   面よりも長し突出させ、該苗床支持ベラにより集団ポッ
   ト苗から分離した単位ポット苗を植付けるようにしたこ
   とを特徴とする田植機におけるポット苗植付装置。