JPS5933606Y2 - ベルト式遠心成形における起振用型枠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ベルト式遠心成形に用いる型枠であって、
特にベルト式の遠心成形において振動を併用して成形す
る型枠に関するものである。

従来、パイルやポールおよびヒユーム管等のコンクリー
ト製品を遠心力で成形するには、第１図に示す如く外周
に適当間隔で多数のキャスティング１を取付けた型枠２
を設け、この型枠２のキャスティング１の下部両側を金
属製のランナホイル３で支持し、キャスティング１とラ
ンナホイル３の摩擦伝動で型枠２に回転を与えて行って
いた。

第２図乃至第４図は従来の型枠２を示すもので、型枠２
は半円状の上下型枠の胴板５と６を両側のインサージョ
ン部分７においてボルト結合すると共に、外周面に補強
リブ８が補強バンド９を設けた構造で、内部の人ンクリ
ートＣを遠心成形するのである。

しかし、ランナホイル３と型枠２のキャスティング１は
鉄−鉄系の摩擦伝動であり、そのため以下に示すような
問題点があった。

（１）ｅ、形機上の型枠は、ランナホイルに規制されて
自由度がなく、キャスティングがランナホイルに対して
二点の線接触部分でぶつかり合うことになり、また近年
コンクリートパイルは、高強度が要求され、それを成形
する型枠の剛性が大きくなり、型枠の軸方向（長手方向
）の曲げ自由度がなくなるため、ランナホイルと型枠と
の間になじみが出来ない傾向かで゛てきている。

この結果キャスティングおよびランナホイルの摩耗発生
がはげしく、耐久性が大幅に低下する。

（２）振動時のランナホイルに対するキャスティングの
衝突により打撃騒音が１１０〜１２０ホ一ン発生し、周
囲への振動と騒音公害が生じ、作業具の疲労を増大させ
る。

（３）型枠の振動が直接成形機に伝わるため、成形機の
基礎を非常に強固なものにしなければならないと共に、
成形機側に発生するリアクションによリ、型枠に有効な
振動のみを与えることができない （４）回転伝達時のスリップの発生が大であり、型枠の
高速回転が不可能になり、高い遠心成形力を得ることが
できないので成形に時間がか・つて能率が悪い。

（５）回転伝動部分の摩耗がはげしいため、成形機にお
けるランナホイルの修正削りや型枠のメンテナンスを頻
繁に行なわなければならない。

（６）回転伝動部分にスリップと振動が発生するため、
型枠に多くのキャスティングを取付け、各キャスティン
グを成形機のランナホイルで支持しなければならず、型
枠および成形機の構造が複雑になる。

（７）ポールは外面にテーパがつけられており、コンク
リートの肉厚が元口になるほど厚くなるため、コンクリ
ートの使用に無駄が多く、コスト高になる。

この考案は、上記のような従来の各問題点を解消するた
めになされたものであり、型枠の高速回転による大きな
遠心力と、安定した振動が得られ、精度がよく強度の優
れたコンクリート製品を能率よく製作できるベルト式遠
心成形における起振用型枠を提供することを目的とする
。

以下、この考案の一実施例を添付図面の第５図乃至第１
１図にもとづいて説明する。

この考案の起振用型枠が用いられるベルト式遠心成形機
１１は第５図に示すように、二個のプーリ１２および１
３とテンションプーリ１４を並べて配置すると共に、可
撓性のエンドレス支持部材として例えば弾性のある材料
を用いて形成したエンドレスベルト１５を外側プーリ１
２からテンションプーリ１４にわたって巻架し、このベ
ルト１５の上部走行部分の途中を中間プーリ１３で支持
している。

外側のプーリ１２はモータ１６と連動し、エンドレスベ
ルト１５を走行させると共に、テンションプーリ１４は
中間プーリ１３に対して進退する移動自在となり、シリ
ンダ１７との連動によって進退動が付与され、エンドレ
スベルト１５の緊張度を自由に変化させるようになって
いる。

上記成形機１１は、エンドレスベルト１５のプーリ１２
と１３間を走行する垂れ下り部分で型枠２１を支持し、
ベルト１５の走行により摩擦伝動で型枠２１に回転を与
えるようになっている。

この成形機１１におけるエンドレスベルト１５はゴムや
同効の弾性）オ料を用いて形成され、摩擦係数が大きい
ため、スリップを生じることなく型枠２１に回転を伝達
できると共に、テンションプーリ１４の位置を調整する
ことによって、型枠２１とエンドレスベルト１５の接触
面距離Ａと８間を変え、回転伝達力を任意に設定するこ
とができる。

上記、成形機１１によって支持される型枠２１は、第６
図乃至第１１図に示す如く、その外周に振動従動手段２
２が設けられ、ベルト１５による回転の付与と同時に振
動が与えられるようになっている。

第６図、第７図並びに第１０図は、この考案に用いる型
枠と振動従動手段２２の第１の例を示しており、上記型
枠は半円状の上下型枠の胴板２３と２４を両側のインサ
ージョン部分２５においてボルト結合すると共に、外周
面に補強リブ２６や補強バンド２７と共に、軸方向に適
当な間隔で摩擦伝動踏面２８を設けた構造である。

振動従動手段２２の第１の例は、型枠２１の外周面に歯
車状の打撃リング２９を、軸方向に適当な間隔をもって
複数を取付けると共に、成形機１１上に支持された型枠
２１の各打撃リング２９の外周位置に、この打撃リング
２９に当接する振動駆動手段としての打撃ホイル３０を
配置して構成され、打撃リング２９の凹凸面で振動を発
生するようになっている。

型枠２１は、エンドレスベルト１５で支持されて回転し
ているため、自由な移動性があり、このため打撃ホイル
３０は、第１０図に示すように、打撃リング２９の上下
左右等任意の位置に配置できると共に、その数も自由に
選ぶことができる。

第１１図は振動従動手段２２の第２の例を示しており、
型枠２１の外周面に受撃リング３１を取付けると共に、
成形機１１で支持された型枠２１の各受撃リング３１の
下部両側の位置に振動駆動手段としての歯車状の打撃ホ
イル３２を配置して構成され、打撃ホイル３２を受撃リ
ング３１に当接させて回転を与えると、型枠２１に振動
を付与することができる。

次にこの考案の起振用型枠を用いる場合のベルト式遠心
成形の工程を第５図および第１０図、第１１図にもとづ
いて説明する。

第５図のように、テンションプーリ１４を内側に移動さ
せ、ベルト１５をプーリ１２，１３間でたるませること
によって型枠２１を支持し、この状態でモータ１６を起
動してベルト１５を走行させ、型枠２１に回転を与える
と同時に振動従動手段３０．３２を型枠２１の振動従動
手段２２に衝合させて内部のコンクリートＣを遠心力と
振動によって成形するのである。

成形時型枠２１はエンドレスベルト１５でつり下げられ
た形となっているので、型枠２１と内部のコンクリート
に自由度があり、まだ完全に真円となっていないコンク
リートによる重量のアンバランスがあっても、回転中心
、すなわち慣性モーメントが最も小さくなる位置へ自動
調心することになると共に、振動駆動手段の振動従動手
段への衝合等による起振手段による振動の付与により、
コンクリート内の骨材は全体に対して均等に分散し、従
って強度の優れた円筒度の高い精度の良い製品を成形す
ることができる。

以上のように、この考案による起振用型枠は上記の構成
であるので、次に列挙する効果がある。

（１）弾性のあるエンドレスベルトで型枠を支持し、ベ
ルトの走行によって型枠に回転を与えると共に、起振手
段によって型枠に振動を与えるようにしたので、型枠を
弾性体によって支持することになり、振動を与えること
による成形機側に発生するリアクションがなくなり、型
枠に有効な振動のみを与えることができるので、遠心力
と振動を併用してコンクリート製品を成形することが可
能になる。

（２）型枠に対する振動の付与によっても成形機に振動
が伝わらないので、成形機の基礎を大幅に簡略化するこ
とができる。

（３）コンクリート製品の製造に遠心力と振動が併用で
きるので、骨材が全体に均一配置された強度の優れたコ
ンクリート製品を製作することができる。

（４）型枠を弾性のベルトで支持して振動を付与するの
で、型枠の振動による金属相互の衝撃部分が少なくなり
、型枠の回転と振動時に生じる打撃騒音を８０ホ一ン程
度に下げることができ、作業員の疲労を激減し、周囲へ
の振動騒音による公害の防止が可能になる。

（５）弾性のあるエンドレスベルトで型枠を支持して回
転を与えるので、型枠とベルトの接触時におけるスリッ
プの発生がなく、型枠の高速回転による遠心力成形が可
能になるので、コンクリート製品の製造時間を従来にく
らべて半減することができる。

（６）弾性のあるエンドレスベルトで型枠を支持して振
動を与えるので、型枠の移動性が良好となり、振動の付
与が極めて簡単に能率よく行なうことができる。

（７）型枠は従来のキャスティングをなくシ、ベルトと
接触する部分に摩擦伝動踏面を構成すると型枠の構造を
簡略化でき、型枠製造コストを従来に対し２〜３割減少
させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の型枠を用いた成形方法を示す縦断正面図
、第２図は従来の型枠の側面図、第３図は第２図のｌｌ
ｌ−ＩＩＩ線の断面図、第４図は第３図の■■線の断面
図、第５図はこの考案の型枠を用いて遠心成形する成形
機の正面図、第６図はこの考案の型枠の側面図、第７図
は第６面のＶＩＩ−ＶＩＩ線の断面図、第８図は第６図
の■−■線の断面図、第９図は第８図の■−Ｘ線の断面
図、第１０図と第１１図の各々は起振手段の異なった例
を示す縦断面図である。 ２１・・・・・・型枠、２２・・・・・・振動従動手段
、３０．３２・・・・・・振動駆動手段。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）内部にコンクリートが充填された型枠を可撓性の
   エンドレスベルトで支持し、このエンドレスベルトを走
   行させて型枠に回転を与えるベルト式遠心成形において
   、該型枠の外周部に所要間隔を設けて摩擦伝動踏面と振
   動従動手段を形成し前記振動従動手段と衝合する振動駆
   動手段との各手段間距離を変位自在に設けたベルト式遠
   心成形における起振用型枠。
2. （２）型枠の外周部に設けた振動従動手段が複数個のカ
   ム状突起を有する起振ホイルであり、振動駆動手段が打
   撃ホイルである実用新案登録請求の範囲第１項記載のベ
   ルト式遠心成形における起振用型枠。
3. （３）型枠の外周部に設けた振動従動手段が受撃リング
   であり、振動駆動手段が複数個のカム状突起を有する起
   振ホイルである実用新案登録請求の範囲第１項記載のベ
   ルト式遠心成形における起振用型枠。
4. （４）型枠の外周部に設けた振動従動手段が軸方向に適
   当な間隔で設けた実用新案登録請求の範囲第１項ないし
   第３項の何れかの項に記載のベルト式遠心成形における
   起振用型枠。