JPS5932329Y2 - 開離嵌插具付きスライドフアスナ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は開離嵌挿具付きスライドファスナーに関し、特
にファスナーエレメントがテープの一側面上に位置して
いるファスナーチェーンの下端部に開離嵌挿具を射出形
成した形式のスライドファスナーに関するものである。

ファスナーチェーンの下端部に、開離嵌挿具を射出成形
したスライドファスナーとして、蝶棒および箱棒と一体
の補強翼片および補強骨をテープの両面に延在させ、か
つその端縁をテープの蝶棒、箱棒と反対側の端縁にまで
延長したものが知られている。

しかしこの構成のものは、剛性の大きい補強翼片及び補
強骨からなる補強材がテープの表裏を覆っているため、
開離嵌挿具周辺の剛性が大きくなり過ぎると同時にファ
スナー縫着時の針折れの原因となり、被着生地との縫着
に支障をきたすばかりでなく、蝶棒着脱操作も円滑にで
きにくいという欠点がある。

このような欠点を解消したものとしてテープ両面を覆う
ように合成樹脂フィルム等の補強帯を設けて開離嵌挿具
の取付部分を補強し、蝶棒、箱棒には補強翼片を形成し
ない構成のものが知られている。

この構成のものは柔軟性、縫着性は良好であるが蝶棒、
箱棒のきわでテープが極端に折曲しやすいのでその部分
が短期間のうちにもまれたようになって損傷し開離嵌挿
具操作がしずらくなるし、また蝶棒、箱棒とテープの一
体性が充分でなく、ファスナーテープに強い横引き力が
加わった際蝶棒、箱棒からテープが抜は易いという問題
があった。

特にコイル状、又はジグザグ状ファスナーエレメントの
ように、ファスナーエレメントがテープの片面に配置さ
れている場合、後述するように蝶棒、箱棒のテープ裏面
側（ファスナーエレメントと反対側の面）の部分の肉厚
が制限されるため、充分な強度をもった開離嵌挿具が得
られないという問題が生じていた。

本考案は上述の点に着目してなされたもので、ファスナ
ーエレメントがテープの片面側に取付けられているスラ
イドファスナーにおいて、補強翼片の幅を最小寸法にし
て柔軟性、縫着性を向上させると共に取付強度が大きく
耐久性に富む開離嵌挿具付きスライドファスナーを提供
することを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面と共に説明する。

第１図ないし第３図において、ｌａ、ｌｂはテープ２ａ
、２ｂと、該テープ２ａ、２ｂの内端縁に取付けられた
ファスナーエレメント３とから成るファスナーチェーン
である。

該ファスナーエレメント３はテープ２ａ、２ｂの一側面
上に取付けられている。

前記ファスナーチェーンｌａ、ｌｂの下端部には蝶棒４
と箱棒５および摺動可能な箱体Ｓ工からなる開離嵌挿具
Ａが取付けられている。

なお、第１図に示すスライドファスナーは逆開きファス
ナーの例であって、前記箱体Ｓ１は逆開き用のスライダ
として構成されている。

Ｓ２はファスナーの通常の開閉用のスライダである。

上記箱体、すなわち逆開き用スライダＳ１を箱棒５に固
着するか又は箱棒５と一体形成すれば通常の逆開きしな
い開離嵌挿具付きスライドファスナーとなるものである
。

該蝶棒４、箱棒５は合成樹脂を射出成形することによっ
てファスナーチェーンｌａ、ｌｂの下端部内端縁に形成
されている隆起縁部６ ａ 、６ ｂを包囲するように
取付けられる。

好ましくは箱棒５の内側面にガイド溝７が、蝶棒４の内
側面には該ガイド溝７に嵌挿されるガイド突片８が形成
される。

前記隆起縁部６ ａ 、６ ｂは第３図に示されている
ようにテープ２ａ、２ｂの面よりも上方に折曲成形され
、隆起縁部６ａ、６ｂの上面に凹部６ａ’、６ｂ′を構
成している。

この凹部６ａ’、６ｂ’に蝶棒４、箱棒５の下側部４’
、５’が形成されている。

したがって該下側部４’、５’はスライダＳ１．Ｓ２の
摺動に支障がない厚みで充分に強度をもった厚肉板とす
ることができる。

なお、該下側部４’、５’が厚肉部となるのは凹部６ａ
’、６ｂ’の存在だけではなく後述する補強帯９ ａ
、９ ｂの取付構造にも関連している。

前記テープ２ ａ 、２ ｂの表面側には合成樹脂フィ
ルム等の補強帯９ ａ 、９ ｂが付着されている。

該補強帯９ａ、９ｂの内端縁１０°はテープ２ ａ 、
２ ｂ内端縁に至る途中まで、すなわち前記隆起縁部６
ａ。

６ｂとの間に適宜の間隔をおいた位置まで延びている。

前記蝶棒４、箱棒５の上側部にはテープ２ａ、２ｂの表
面側に延在する補強翼片１１ ａ、１１ ｂが一体に形
成されている。

この補強翼片１１ ａ 、１１ ｂの外側縁部１２，１
２は前記補強帯９ ａ 、９ ｂの内端縁部上に重合、
付着している。

そして該補強翼片１１ａ、ｌｌｂの外側縁部１２，１２
ニは補強帯９ａ、９ｂおよびテープ２ａ、２ｂに形成さ
れた貫通孔１３に嵌入した連結柱１４．１４が一体に形
成されている。

該連結柱１４．１４はテープ裏面に形成されたリブ１５
゜１５と一体に連結されている。

補強翼片の外端縁１６．１６はスライダＳ、（又はＳ２
）の両側面１７．１７より僅かに突出する程度の幅に形
成されている。

これによって、剛性のある補強翼片１１ａ、ｌｌｂがス
ライダＳ１．Ｓ２のレール部１８に位置するためレール
部１８が摺動する蝶棒、箱棒のきわにおいて、補強帯損
傷あるいは剥離が生ずることがなく、スライダの円滑な
摺動性および蝶棒４の円滑な抜き挿し操作を充分に確保
すると共に、被着生地１９をテープに縫着する際縫着位
置に補強翼片１１ａ、１１ｂが延在していない位置にあ
るため、縫着が容易にできる。

補強翼片１１ ａ、１１ ｂの表面からテープ２ ａ
、２ ｂの裏面に至る厚みは、スライダＳ１．Ｓ２のレ
ール部１８におけるテープ介在用溝の幅内に納まる大き
さに形成する必要がある。

したがって補強帯９ ａ 、９ ｂが介在している部分
では補強翼片はその分だけ薄肉になるが、補強翼片が介
在していない部分は厚肉部２０．２０に形成して蝶棒４
、箱棒５と強固に一体化できる。

すなわち補強帯９ａ、９ｂの内端縁１０，１０と隆起縁
部６ａ、６ｂとの間に間隔をあけることによってスライ
ダＳ１．Ｓ２の限られた溝幅内において補強翼片１１ａ
、ｌｌｂの蝶棒４、箱棒５を連設する部分に厚肉部２０
．２０を形成でき、この部分に充分な剛直性をもたせる
ことが可能となり、かつ、蝶棒４、箱棒５との一体化も
強力になり、さらに連結柱１４との関係によって補強テ
ープ部と蝶棒４、箱棒５の連結一体性を確実なものにし
ている。

第４図ないし第７図に開離嵌挿具Ａの取付形成工程を示
している。

第６図に示すようにストッパ２１の両側にファスナーチ
ェーンｌａ、ｌｂを当接させてアンビル２２上に載置し
、超音波ホーン２３で熱圧縮成形する。

ファスナーエレメント３，３に挿入されている芯紐３ａ
、３ａ、エレメント縫着糸３ｂ、３ｂおよびテープの各
内端縁はアンビル２２の凸部２４とホーン２３の凹部２
５間で圧縮成形されて断面長方形状の隆起縁部６ａ、６
ｂが形成される。

次に隆起縁部６ ａ 、６ ｂおよびテープ２ ａ 、
２ ｂを第４図のカットラインＬ１．Ｌ２に沿ってカッ
トし、かつ補強帯９ ａ 、９ｂの内縁部に貫通孔１３
を穿つことにより第７図の如く上下に分離されたファス
ナーチェーンｌａ、ｌｂおよび１ ａ’、１ ｂ’を得
る。

そしてファスナーチェーンｌａ、ｌｂの下端部に合成樹
脂を射出成形することにより前述のごとき蝶棒４、箱棒
５、補強翼片１１ ａ 、１１ ｂ、連結柱１４、ノブ
１５等が同時に形成される。

上述の熱圧縮成形工程（第６図）において、補強帯９ａ
、９ｂが隆起縁部６ａ、５ｂ上にまで延びていたとする
と、補強帯の分だけ隆起縁部が厚くなり、その分蝶棒、
箱棒を薄肉にしなければならずまた補強翼片１１ ａ、
１１ ｂに肉厚部２０．２０が得られないため強度の大
きい開離嵌挿具が得られないばがっでなく、安定した寸
法の隆起縁部６ ａ 、６ ｂが成形できにくいため、
精度の高い開離嵌挿具が得られない。

本考案は補強帯９ ａ 、９ ｂを隆起縁部にまで延長
させていないためこのような問題が生じない 第８図は蝶棒４側のファスナーチェーン１ａをスライダ
Ｓ１．Ｓ２に嵌挿させて、両ファスナーチェーンｌａ、
ｌｂを組合せる操作を示しており、この状態からスライ
ダＳ２を上方に引上げると第１図のようにファスナーエ
レメント３，３が噛み合わされると同時にスライダＳ１
内において蝶棒４と箱棒５とが組合せられる。

本考案によれば上述のように補強帯９ａ、９ｂの内端縁
１０を隆起縁部６ａ、６ｂにまで延長させず適宜の間隔
をおいた位置にとどめているため、蝶棒４、箱棒５との
連接部分における補強翼片１１ ａ、１１ ｂを厚肉部
２０とすることができ、したがって補強翼片はテープ２
ａ 、２ ｂの一面側のみに形成されているにもか・
わらず充分に剛直性を付与できる。

さらに補強帯９ａ、９ｂが隆起縁部６ａ、６ｂに載って
いないため、熱圧縮成形によって薄肉で安定した寸法の
隆起縁部６ａ、５ｂが形成でき、したがって射出成形に
よって厚肉で精度の高い蝶棒４、箱棒５が形成できると
共に、この蝶棒４、箱棒５は前記厚肉部２０と連続し蝶
棒、箱棒の付着成形が非常に強固になる。

さらに又、補強翼片１１ａ、ｌｌｂの外端縁１６はスラ
イダＳ１．Ｓ２の側面かられずかに突出している範囲に
とどめているので、被着生地１９への縫着は柔軟な補強
帯９ａ 、９ ｂ部分で行なうことができ、縫着が容易
になると共に、剛直な補強翼片１１ａ、ｌｌｂの部分で
スライダに対する摺動性も充分に確保できる。

さらに、補強翼片１１ ａ、１１ ｂの外側縁部１２，
１２にはテープ２ａ、２ｂおよび補強帯９ ａ 、９
ｂを貫通してテープ裏面のリブ１５を連結している連結
柱１４を一体に形成したので、該外側縁部１２，１２は
薄肉であるにもかかわらず補強帯およびテープと強固に
一体化されると共に、被着生地１９からテープ２ ａ
、２ ｂに作用する横引き力は連結柱１４、補強翼片１
１ ａ、１１ ｂの厚肉部２ｏを介して直接ミ蝶棒４、
箱棒５に伝わり、隆起縁部６ａ、６ｂを蝶棒４、箱棒５
がら引抜くように作用しないため強い横引き力に対して
充分な抵抗力を有する等、幾多の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のスライドファスナーの一実施例を示す
平面図、第２図は同上の蝶棒側ストリンガ−の裏面図、
第３図は第１図のｌｌｌ−ＩＩＩ線断面図、第４図ない
し第７図は開離嵌挿具取付部の成形工程を示すもので、
第４図はテープ隆起縁部を圧縮成形した状態の平面図、
第５図および第６図は各々第４図の■−Ｖ線およびＶＩ
−ＶＩ線断面図、第７図はカット後の平面図、第８図は
本考案を適用した逆開きファスナーの組合せ操作を示す
平面図である。 ｌａ、ｌｂ・・・・・・ファスナーチェーン、２ ａ
、２ ｂ・・・・・・テープ、３・・・・・・ファスナ
ーエレメント、４・・・・・・蝶棒、５・・・・・・箱
棒、６ａ、６ｂ・・・・・・隆起縁部、９ ａ 、９
ｂ・・・・・・補強帯、１０・・・・・・補強帯の内端
縁、Ｓｌ・・・・・・スライダ（箱体）、Ｓ２・・・・
・・スライダ、１１ ａ、１１ ｂ・・・・・・補強帯
、１２・・・・・・補強翼片の外側縁部、１４・・・・
・・連結柱、１５・・・・・・リブ、１６・・・・・・
補強翼片の外端縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ファスナーエレメント３がテープ２ ａ 、２ ｂの一
   側面上に取付けられているファスナーチェーンｌａ、ｌ
   ｂの下端部に開離嵌挿具Ａが射出成形されているスライ
   ドファスナーにおいて、前記ファスナーチェーンｌａ、
   ｌｂの下端部の内端縁部には熱圧縮成形によって形式さ
   れた隆起縁部６ａ、５ｂを有し、該隆起縁部６ａ 、６
   ｂ上に射出成形された蝶棒４、箱棒５にはテープ表面上
   に延在される補強翼片１１ａ、１１ｂが一体に形成され
   、がっ該補強翼片１１ ａ、１１ ｂ（７）外端縁１６
   ．１６はスライダＳ□、Ｓ２の両側面１７．１７より僅
   かに突出する位置に形成され、前記テープ２ａ、２ｂに
   付着されている補強帯９ａ 、９ ｂはその内端側の一
   部が前記補強翼片１１ａ、ｌｌｂとテープ２ ａ 、２
   ｂとの間に介在されると共に、補強帯１１ａ、ｌｌｂ
   の内端縁１０，１０は前記隆起部６ａ、６ｂとの間に適
   宜の間隔をおいた位置に形成され、前記補強翼片１１ａ
   、ｌｌｂの外側縁部１２．１２ニハ前記補強帯９ ａ
   、９ ｂとテープ２ａ、２ｂを貫通してテープ裏面のリ
   ブ１５と連結している連結柱１４が一体に形式されてい
   ることを特徴とする開離嵌挿具付きスライドファスナー