JPS5925617Y2 - 複合部品 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、樹脂成形部品と金属部品とを、前記成形部
品に対して接着不能な凝固剤を用いて一体化した複合部
品に関する。

たとえばポリアセタール樹脂は耐油性、耐薬品性に優れ
た樹脂として知られ、油、薬品等が付着する個所にはそ
の成形部品が頻繁に使用されている。

ところが、この種の樹脂には通常の接着剤か接着しない
ため、その樹脂成形部品と金属部品とを一体化したい場
合には、予めねし孔を形成しておいてねし止めしたり、
樹脂成形部品を成形する際に金属部品を一体にモールド
成形するなどの手段を講じなければならなかった。

しかし、ねじ孔を設けてねし止めする方法は工程数、部
品数ともに多くなり、作業性の低下、コスト高を招く欠
点がある。

また、一体にモールド成形する方法は、金属部品が成形
時に熱変形したり、さらに、その金属部品が永久磁石で
ある場合には、成形時の熱変化等により磁石の性能が不
安定となる欠点があった。

一方、たとえばＡ、 Ｂ、 Ｓ樹脂などは通常の接着
剤が接着するが、このような樹脂は一般に耐油性、耐薬
品性等に劣るので、油、薬品等が付着する虞れのある個
所にはその成形部品を使用することはできず、これを使
用する場合には油、薬品等が付着しないための格別な手
段を講じなければならない欠点があった。

この考案は、このような事情にかんがみてなされたもの
で、樹脂成形部品と金属部品とを金属部品にのみ接着可
能な凝固剤を用いて容易に一体化することができる複合
部品を提供することを目的としている。

以下、この考案の詳細を第１図及び第２図に示す実施例
に基いて説明する。

第１図及び第２図に示す実施例は、この考案をラインプ
リンタの印字動作検出用回転体に適用しているもので、
回転軸１に軸設された印字ドラム２と複数の印字ハンマ
３・・・とを対向させて設け、この両者間にインクリボ
ン４を介在させるとともに、紙送りローラ５゜５により
印字ドラム２とインクリボン４との間に印字紙６を導び
き、印字ハンマ３を印字ドラム２方向に回動して印字紙
６に所望の活字（数字、記号等）を印字するように構成
されている。

前記回転軸１の軸端には印字動作検出用回転体７および
歯車８が軸設されている。

そして、歯車８は、図示しない駆動モータにより回転駆
動される駆動歯車９に噛合している。

回転体７は、その外周面の一部に永久磁石１０を固着し
、この回転体７の回転動作、すなわち印字動作を、回転
体７の近傍に設けられた電磁コイル１１によって検出す
るように構成されている。

前記印字動作検出用回転体７は、ポリアセタール樹脂よ
りなる円筒状の樹脂成形部品１２と、この成形部品１２
の外周部に取付けられる永久磁石１３と、この両者を接
続する凝固剤１４とがら構成されている。

さらに詳述すると、樹脂成形品１２には、外周面の一側
に、軸心線に対して平行となる溝１５が形成されており
、さらに、その溝１５に対して直交する貫通孔１６が形
成されている。

そして、溝１５内には長方形状の永久磁石１３が、図示
極性となるように嵌合されており、貫通孔１６内には凝
固剤１４が充填されている。

こ凝固剤１４は金属には接着するが、ポリアセタール樹
脂には接着不能のものである。

ところで、前記印字動作検出用回転体７は、次のように
して作製される。

すなわち、まず樹脂成形部品１２の溝１５内に永久磁石
１３を嵌合した後、貫通孔１６内に、その両端用口部よ
り凝固剤１４を流動状態で充填する。

これを所要時間放置すると、凝固剤１４は永久磁石に接
着した状態で凝固し、永久磁石１３はその凝固剤１４に
よって溝１５がらの離脱が禁止される。

したがって、この実施例における印字動作検出用回転体
７は、凝固剤１４が樹脂成形部品１２に対して接着不能
なものであるにもががわらず、この凝固剤１４を介して
永久磁石１３を成形部品１２に対して固着することがで
き、成形部品と永久磁石とをねし止めやモールド成形に
よって一体化する場合に比して、きわめて容易に作製す
ることができる。

なお、ラインプリンタの印字動作検出用回転体は、樹脂
成形部品の端面に永久磁石を取付けるようにしてもよい
が、この場合には本考案が適用できる。

すなわち、第３図及び第４図に示す実施例は、板状の永
久磁石２１を円筒状の樹脂成形部品２２の端面に取付け
た印字動作検出用回転体２０を示すもので、樹脂成形部
品２２は、その一方の端面の一部に角穴２３を設けると
ともに、その角穴２３の底面に他方の端面に向って拡目
する１対のテーパ孔２４、２４を設け、角穴２３内に永
久磁石２１を図示極性となるように嵌合し、テーパ孔２
４内には凝固剤２５を充填して、この凝固剤２４で永久
磁石２１の、角穴２３からの離脱を禁止するように構成
されている。

したがって、この実施例の場合も、前記実施例と同様に
、樹脂成形部品２２に接着不能な凝固剤２５を用いて、
樹脂成形部品２２と永久磁石２１とを容易に固着するこ
とができる。

なお、この考案は、樹脂成形部品と永久磁石とを一体化
したラインプリンタの印字動作検出用回転体に限らず、
樹脂成形部品と金属部品とを一体化した複合部品に広く
適用することができる、すなわち、この考案は、樹脂成
形部品と金属部品とを一体化した複合部品において、樹
脂成形部品には凹所（たとえば貫通孔１６、テーパ孔２
４等）を設けて凝固剤を充填し、この凝固剤を金属部品
に接着するとともに、この凝固剤で金属部品の樹脂成形
部品からの離脱を防止するようにしているものであり、
樹脂成形部品に対して接着不能な凝固剤を用いて樹脂成
形部品と金属部品とを容易に一体化することができる、
という格別な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す斜視図、第２図は同
実施例の要部を示す断面図、第３図はこの考案の他の実
施例を示す正面図、第４図は第３図のＡ−Ａ’断面図で
ある。 ７．２０・・・・・・印字動作検出用回転体（複合体）
、１２゜２２・・・・・・樹脂成形部品、１３．２１・
・・・・・永久磁石（金属部品）、１４．２５・・・・
・・凝固剤、１６・・・・・・貫通孔（凹所）、２４・
・・・・・テーパ孔（凹所）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 凹所を有する樹脂成形部品と、この成形部品に対して取
   付けられた金属部品と、前記凹所内に充填され前記金属
   部品に接着して、この金属部品の、成形部品からの離脱
   を禁止する、成形部品に対して接着不能な凝固剤とを具
   備したことを特徴とする複合部品。