JPS5925199B2 - 原子炉格納容器内の漏洩検出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力発電所の原子炉格納容器内で発生した漏
洩を格納容器冷却器ドレン流量を測定することにより検
出する漏洩検出装置に関するものである。

原子炉格納容器内の機器および配管の破損又は破断等に
よる漏洩の発生は、原子力発電所の運転に影響を与えプ
ラントの停止にも結びつく可能性がある。

従来の原子力発電所においては、この破損に至る前の微
小漏洩を検出する為の種々の測定器が設置されている。
例えば原子炉格納容器内の蒸気及び高温水の漏洩を検出
する方法に格納容器冷却器で凝縮して集められたドレン
量を測定する方式がある。

この格納容器冷却器のドレン量は、漏洩流体の温度が一
定であれば格納容器内の漏洩量の増加に比例し、増加す
る。しかしながら原子炉格納容器内の機器、配管に内包
される蒸気高温水の温度は種々であり、漏洩量が同一で
あつても漏洩流体の温度が異なればドレン量が変化する
。

従来の原子炉発電所では、格納容器冷却器よりのドレン
流量より原子炉格納容器内の漏洩量を測定する場合には
、所定温度の漏洩流体が所定の割合で気化して蒸気とし
て発生し、ドレンとして収集されるものと仮定して単に
ドレン流量より漏洩量を計算し、一定値を超えると警報
を発し、発電所の管理に使用している。

その結果実際に漏洩した流体の温度が仮定した温度と大
幅に異なつた場合、漏洩量を正確に検出していないこと
になる。特に仮定した温度よりも、低い温度の流体が漏
洩した場合には、計算された推定量よりも多量の漏洩が
格納容器内に発生していることになり、発電所の運転上
好ましいことではない。本発明は、以上の事情に鑑みて
なされたもので、その目的とするところは、格納容器内
で実際にリークしている漏洩流体の温度の違いを測定し
、格納容器冷却器ドレン流量を補正することにより、格
納容器内の漏洩量を早期に、精度良く検出できる原子炉
格納容器内の漏洩検出装置を得ることにある。

以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。

第１図に原子力発電所の漏洩検出系の一部である、格納
容器冷却器のドレン流量検出系を示す。１は原子炉圧力
容器（１部省略して示す）、２は原子炉格納容器を示す
。

原子炉格納容器２の中には、機器や配管より発生する熱
を除去し、雰囲気温度を一定に制御する為に複数の格納
容器冷却器３（図では１台分のみ示す）を設け、格納容
器内の気体を循環させ、冷却している。原子炉格納容器
２の外側より、冷却水配管４が引きこまれ、前記冷却器
３を適切に冷却している。この冷却水配管４には、冷却
水の入口・出口温度測定用に温度測定素子５，６が取付
けられている。夫々の格納容器冷却器３からはドレン配
管７が、格納容器床ドレンサップ９まで延長しており、
このドレン配管７には流量発信器８が介設されドレン流
量を測定している。冷却器３への入口衿却水温度測定素
子５及び出口冷却水温度測定素子６の出力信号５Ａ，６
Ａ流量発信器８の出力信号８Ａは漏洩検出装置１０に入
力され、この信号から格納容器内の漏洩を検出する。

漏洩検出装置１０からは格納容器内の漏洩量記録計２０
へのアナログ出力及び、警報表示器２１への接点出力を
出力している。又冷却器衿却水出入口温度５Ａ，６Ａを
冷却水温度記録計２２に出力することもできる。漏洩検
出装置１０は第２図に示す様に２個の温度変換器１１と
、温度差を検知する為の加減演算器１２と、流量リミツ
タ１３と、補正演算回路１４と最終出力を発信する出力
設定器１５とにより構成されている。

次に原子炉格納容器の漏洩検出装置１０の作用について
説明する。

漏洩検出装置１０は、衿却器ドレン流量を、格納容器？
却器に流入、流出する冷却水温度の差により補正演算し
、迅速かつ正確に原子炉格納容器内の漏洩量を検出する
ためのものである。まず、冷却水温度測定素子５及び６
よりの信号５Ａ，６Ａはそれぞれ温度変換器１１に入力
され、そこで微小電圧出力は演算容易なレベルに増幅、
線形信号に変換される。

これらの出力は加減演算器１２にて衿却水の入口と出口
の温度へ差を演算し、この温度差出力は補正演算器１４
に入力される。一方格納容器ドレン流量発信器８よりの
流量信号８Ａは、流量リミツタ１３に入力され、通常ド
レン流量か漏洩によるものかを判定する値を超える流量
に達すると、超過分の流量信号が補正演算器１４に入力
され、冷却水の温度差に対応した所定の補正演算を実行
し、漏洩量として出力設定器１５に入力される。

出力設定器１５は、漏洩量としてアナログ出力を出すと
ともに、ある一定量を超えると異常漏洩発生の警報を出
す。ここで本発明の特徴である補正演算回路１４での演
算方式について説明する。

格納容器２内の機器又は配管の漏洩部から漏洩した高温
水が蒸気と水とに分かれる比率は、高温水の温度によつ
て定まる。

つまり、漏洩量Ｌは蒸気分Ｘ、水分Ｙに分かれる。Ｌ−
Ｘ＋Ｙ （１）式 蒸気量Ｘは簡略式で下記のように与えられる。

Ｘ／Ｌ＝ｋ−Ｔ （２）式ここでｋは漏洩体のエ
ンタルピーにより定まる係数、Ｔは漏洩流体の絶対温度
である。

（２）式に示す様に漏洩蒸気量Ｘは、漏洩流体の温度に
比例し、その蒸気分は格納容器衿却器３にて凝縮されド
レンとなる。

すなわち漏洩流体の温度が高い程、格納容器２内に発散
し、ドレンとなる量が多くなる。格納容器２内の還気風
量が一定で、冷却水量、冷却水の入口温度等が一定であ
れば、漏洩流体の温度が高い程格納容器２を？却するた
めの衿却エネルギーが必要となり、？却水の入口、出口
温度差が大きくなり第３図に示す様な右上りの傾向を示
す。

そこで格納容器衿却器３の衿却水の入口と出口の温度差
を測定し、逆に漏洩流体の温度を算定し、？却器ドレン
量に補正演算を施すのが補正演算回路１４である。これ
で精度良く？却材の漏洩量を求められる。従来の漏洩検
出方法によるものと、本発明によるものとを比較すると
第４図の様になる。

同図で破線３は、実際の漏洩量、実線１が本発明による
漏洩検出装置１０での測定値、実線２が従来の方式によ
る測定値を示す。なお横軸は漏洩流体の温度である。従
来システムでは漏洩流量の温度をＴ１と仮定しているの
で、Ｔ，近くの漏洩流体の場合は、従来システムでもほ
ぼ正確に測定し得るが、仮定した温度より低い流体が漏
洩した場合には、実際の漏洩量より少な目に表示される
。しかるに本発明によれば、漏洩流体の温度によらず正
確に検出することができる。斯して、本発明の原子炉格
納容器内の漏洩検出装置は、格納容器内の種々の温度の
異なる漏洩流体の漏洩発生に対し、漏洩量を早期に、精
度良く検出できるものである。

なお、前記説明では格納容器冷却期の冷却水温度差を用
いて漏洩量を補正する方法について述べたが、？却水温
度差の代りに格納容器内雰囲気温度の上昇分を用いて補
正しても同様な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原子炉格納容器内の漏洩検出装置の一
実施例を示す系統図、第２図は本発明の漏洩検出装置の
一実施例を示すプロツク図、第３図は漏洩流体の温度と
、冷却器入口、出口の衿却水温度差の関係を示す図、第
４図は従来の漏洩検出系と本発明による漏洩検出装置の
測定値の比較を示す図である。 １０・・・・・・漏洩検出装置、１１・・・・・・温度
変換器、１２・・・・・・加減演算器、１３・・・・・
・流量リミツタ、１４・・・・・・補正演算回路、１５
・・・・・・出力設定器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 原子炉格納容器内に設置された格納容器冷却器と、
   この格納容器冷却器に冷却水を供給する冷却水配管と、
   この冷却水配管の前記格納容器冷却器への入口側および
   出口側にそれぞれ設けられた温度測定素子と、これらの
   温度測定素子から温度差を演算する演算手段と、前記格
   納容器冷却器で凝縮されたドレン水の流量を検出するド
   レン流量検出手段と、このドレン流量検出手段で得られ
   たドレン水の流量信号に前記温度差の演算手段で得られ
   た温度差信号で所定の補正演算を施す補正演算手段とを
   具備してなる原子炉格納容器内の漏洩検出装置。