JPS5919707Y2 - 装飾エナメル皮革地 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、バッグや草履の表装材その他に適用されると
ころの、貝殻を薄片に加工したちのその他の装飾用薄片
で表面に装飾を施した装飾エナメル皮革地の改良に関す
るものである。

従来のこの種の装飾エナメル皮革地は、天然又は人造皮
革地の銀面上に、着色用塗装を施すか又は施さずに、エ
ナメル塗装を施してエナメル皮革地とした上で、そのエ
ナメル塗装の塗膜層の上に装飾用薄片を接着剤で接着し
、その上から接着した装飾用薄片の表面と周辺部等に更
にエナメル塗装を施して被覆するようにして形成される
のが普通であった。

ところがこのような従来の装飾エナメル皮革地では、先
に皮革地の銀面上に施されたエナメル塗装の塗膜層に対
する後の接着された装飾用薄片の上からのエナメル塗装
の塗膜層の強固な一体化が実現され難く、後のエナメル
塗装の塗膜層が剥離してしまい易くて、装飾用薄片が剥
離してしまい易いという欠点を有していた。

しかも装飾用薄片が貝殻を薄片に加工したもの（いわゆ
るスリ貝）等のように固くて衝撃や撓みに弱くて割れ易
いものである場合には、単に接着剤で接着されただけで
あると、皮革地が衝撃を受けたり押圧を受けたり等によ
りその柔軟性において撓み等の弾力的な変形を生ぜしめ
られたりするといとも簡単に割れてしまうというような
欠点があった。

本考案は上記のような欠点のない装飾エナメル皮革地を
提供しようとするもので、その構成の特徴は、天然又は
人造皮革地の銀面上に、着色用塗装を施すことがあるに
しても、何らエナメル塗装を施すことなしに装飾用薄片
を接着し、その上がら全面にエナメル塗装を施すものと
したこと、及び装飾用薄片の接着の両面接着テープ又は
シートを介してなすものとしたことにある。

本考案を実施例について図面を参照して説明すると、第
１図に示された装飾エナメル皮革地は、婦人用草履の表
装材に適用する場合の例であり、そのような寸法形状に
成形した皮革地１の表面エナメル塗装面側の適当部分に
部分的に適当形状の装飾用薄片２による適当模様の装飾
が施されている。

その構造を第２図の横断面図を参照して説明すると、皮
革地１は、表面に銀面１ａを具えたものであって、クロ
ームなめしの牛革等の天然皮革地又は合成皮革地や人工
皮革地等の人造皮革地が用いられている。

その皮革地１の銀面１ａ上には、まずその全面に下地塗
装としての皮革用の顔料からなる塗料による白や黒やピ
ンクその他の適当な色の着色用塗装を施して、この着色
用塗装の塗膜層３を形成しである。

次にそのように銀面１ａ上に施された着色用塗装の塗膜
層３の上に、何らエナメル塗装を施すことなしに、柔軟
で薄い布、紙、合成樹脂シート等のベースシー１−４Ｈ
の両面に接着剤４ｂ、４Ｃの施された構成の両面接着テ
ープ又はシート４を介して装飾用薄片２を接着しである
。

この接着においては、まず装飾用薄片２をいまだ模様形
状に成形されていない材料薄片であるままの状態で両面
接着テープ又はシート４に対して片面の接着剤４ｂで全
面重合接着し、この時両面接着テープ又はシート４の他
面側の接着剤４Ｃの面上には離型紙が付されたままの状
態にしておき、この状態で装飾用薄片２を重合接着され
た両面接着テープ４と付された離型紙と共に望みとする
模様形状に切り抜き成形加工し、この後に離型紙を外し
て他面側の接着剤４Ｃで銀面１ａ上の着色用塗装の塗膜
層３上の所望部位に接着するようにして行うものとする
。

上記の装飾用薄片２の材料は、真珠層を有する如き貝殻
を例えば０．２ｍｍ程度の厚さに薄く板状に擦り加工し
たもの（いわゆるスリ貝）、あるいはべっ甲、象牙、珊
瑚、宝石類等を同様に薄く擦り加工したもの、さらには
七宝等のセラミックの薄片や、合成樹脂等の装飾性フィ
ルムや、金銀箔等の金属薄片や、金銀糸等の箔糸等々と
いった種々のものが用いられる。

しかしてそのようにして皮革地１の銀面１ａ上に施した
着色用塗装の塗膜層３の上に何らエナメル塗装を施すこ
となしに装飾用薄片２を両面接着テープ又はシート４を
介して接着した上で、その上から、接着した装飾用薄片
２の表面と銀面１ａ上の着色用塗装の塗膜層３の顕現し
ている表面とにわたる表面全面にそれを完全に覆うよう
に、ウレタンエナメル等の合成樹脂等の透明艶出し塗料
によるエナメル塗装を施して、このエナメル塗装の塗膜
層５を形成しである。

このエナメル塗装においては、表面全面に均等に塗装し
たままでは、当然にもその塗膜層５が装飾用薄片２の部
分においてふくれて表面に凹凸を生ずることとなり、こ
れでも何ら問題はないが、好ましくはその塗膜層５を図
示のように装飾用薄片２上の部分については薄くしそれ
以外の他の部分では厚くするようにして表面凹凸のない
平坦面とし、これは簡単には例えば塗装後に塗膜層５の
装飾用薄片２上の部分をみがいて薄くする等のようにし
て実現され得る。

なお、以上の実施例では、着色のために銀面１ａ上に下
地塗装として着色用塗装を施してその塗膜層３を形成し
たものであるが、これは着色を必要としない場合には省
略され得て何ら支障のないこと勿論である。

以上のようにして本考案の装飾エナメル皮革地によれば
、皮革地の銀面上に何らエナメル塗装を施すことなしに
装飾用薄片を接着し、その上から全面にエナメル塗装を
施すものとしたことにより、エナメル塗装の塗膜層が全
面一体の強固なものとして形成され、部分的に剥離して
しまうようなおそれがなくなって装飾用薄片の剥離を生
ずるようなおそれがなくなる作用効果が奏されると共に
、装飾用薄片の接着を両面接着テープ又はシートを介し
てなすものとしたことにより、とくに装飾用薄片がスリ
貝等の衝撃や撓みに弱くて割れ易いものである場合でも
、両面接着テープ又はシートが強固な接着力作用と共に
クッション材のような作用をなして、皮革地が衝撃を受
けたり押圧を受けたりしである程度の撓み等の弾力的な
変形を生ぜしめられたりしても容易にはその装飾用薄片
の割れを生じたりすることのない作用効果が奏され、従
来の欠点が解消されて、丈夫にして実用上安心してバッ
クや草履の表装材その他に適用できることとなるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になる装飾エナメル皮革地の実施例を示
す斜視図、第２図はその部分拡大横断面図である。 １・・・・・・皮革地、１ａ・・・・・・銀面、２・・
・・・・装飾用薄片、３・・・・・・着色用塗装の塗膜
層、４・・・・・・両面接着テープ又はシート、４ａ・
・・・・・ベースシート、４ｂ。 ４Ｃ・・・・・・接着剤、５・・・・・・エナメル塗装
の塗膜層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天然又は人造皮革地の銀面上に、着色用塗装を施すか又
   は施さずに、且エナメル塗装を施すことなしに、適宜形
   状の装飾用薄片を両面接着テープ又はシートを介して接
   着し、その上から全面にエナメル塗装してなることを特
   徴とする装飾エナメル皮革地。